医療保険の必要性を考えるための、入院費用見積もり計算方法

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医療保険の必要性を考えるシリーズ第14回です。

前回は、公的医療保険の給付内容をまとめました。

これをベースに、今回は入院費用の見積もりについて書きます。

医療保険の実態は、入院費用を保障する入院保険です。

医療保険の必要性を考えるには、入院費用を正しく見積もらないといけません。

家計支出・家計収入のうち入院で変動する項目について、支出増や収入減の金額を見積もってそれを合計したものが入院費用となります。

入院費用とは、入院による支出増加・収入減少のこと

入院費用は「入院したばっかりに必要になるお金」です。

言い換えると入院による支出増と入院による収入減の和です。

  • 入院費用=入院時の支出増+入院時の収入減

入院による支出増

下図の緑矢印が入院時の支出増です。

入院時の支出全額(上図の赤い部分)は入院費用ではありません。注意して下さい。

入院時の支出のうち、普段の支出に相当する部分(上図の青い部分)は、「入院したばっかりに必要になるお金」とは言えないからです。

「入院したばっかりに必要になるお金」は緑矢印の部分だけ。

赤い部分全体を入院費用だと考えてしまうと、必要以上に医療保険に加入して無駄な保険料を払い続けることになります。間違えないように気をつけてください。

入院による収入減

入院時の収入減も「入院したばっかりに必要になるお金」です。これも入院費用として計上します。

入院時に普段の収入のすべてが失われることはあまりありません。傷病手当金など、なにがしかのお金が入ってくるものです。

もちろん、入院すると普段の収入をすべて失う人もいるのですが、大事なのは自分の場合はどうなのかということです。

自分が加入する公的医療保険の給付内容や、勤務先の福利厚生の内容を調べておきましょう。

入院時の支出増の見積もり計算

入院時の支出増は、各費目ごとの支出増を合計して求めます。

以下の項目については、特に注意深く考えておくべきです。

  • 医療費
  • 食費
  • お小遣い(外食費・交際費・レジャー費)
  • 交通費その他

医療費の支出増の計算

まず入院医療費を計算します。それには、高額療養費制度その他の公的な支援や、勤務先の福利厚生の理解が欠かせません。

入院医療費から普段の医療費支出を差し引く

入院医療費の計算が済んだら、家計簿などを見て普段の通院医療費を見積もり、入院医療費から普段の通院医療費を差し引いたものを入院費用として計上します。

持病があるなどの理由で定期的に通院している方は、普段から無視できない金額の医療費がかかっているはずなので、これを差し引くのを忘れないでください。

食費の支出増の計算

入院中の食費は1食あたり460円、30日で41,400円の支出となります。

入院中の食費から普段の食費を差し引いたものを、入院費用として計上します。

人によっては、入院中の食費のほうが、普段の食費より安くなるかもしれません。

この場合は支出増ではなく支出減が起こっているので、食費については入院収益が発生することになります。

支出減は入院費用をマイナスするものとして計上します。

お小遣いの支出減の計算

入院すると、入院した人に関するお小遣い(外食代・交際費・お小遣い・レジャー含む)は、支出減となるのが普通です。

お小遣いの支出減は、入院費用をマイナスする入院収益として計上します。

交通費その他の支出増または支出減の計算

入院によって交通費支出が増えるか減るかは、それぞれの家庭の状況によって異なります。

付添の家族にかかる通院交通費が、入院した人に普段かかっている交通費より大きいときは、入院によって交通費は増加します。この場合は増加分を入院費用として計上します。

逆に、付添の家族にかかる通院交通費が、入院した人に普段かかっている交通費より小さい特は、入院によって交通費は減少します。

交通費の支出減も、入院費用をマイナスする入院収益として計上します。

入院時の収入減の見積もり計算

ここまで入院による支出増の計算の仕方を見てきましたが、入院費用を求めるには入院による収入減も計算しなければいけません。

入院による収入減は、入院した人の属性によって全く異なります。

入院による収入減が全く生じない場合もある


専業主婦(主夫)や子供など収入のない人が入院した場合、入院してもしなくても収入はゼロです。収入減は発生しません。

また、年金収入や家賃収入・配当金収入のような不労所得は、入院しても減りません。これらの場合についても入院による収入減は起きません。

サラリーマンの収入減少は傷病手当金などで緩和される

労働から発生する収入は入院によってゼロになります。

とは言え、サラリーマンや公務員などの給与所得者には、公的医療保険から傷病手当金が支給されます。入院して働けなくなってからも、月給の2/3以上(勤務先によって異なる)が給付されます。

また、会社や労働組合などから見舞金などを貰えるかも知れません。

サラリーマンや公務員などの給与所得者が入院しても、収入減は普段の収入の1/3以下で済みます。

個人事業主が入院した場合、不労所得を除いてすべての収入を失う

個人事業主が入院すると、厳しい状況に追い込まれることになります。

個人事業主が加入する国民健康保険では、多くの場合、傷病手当金の支給がありません。

特に、都道府県市町村の運営する国民健康保険では、傷病手当金を支給しているところはありません。

自分の代わりに働いてくれる人のいない個人事業主が入院すると、不労所得を除いた普段の収入を全て失うことになります。

入院すると収入がゼロになる場合もあるでしょう。

私も個人事業主ですが、収入の大半は不労所得(広告収入)です。入院時の収入減少は大したことはありません。良かったです。そもそも収入が多くないという噂もありますが‥

各項目の支出増や収入減の金額を合計して、入院費用を求める

支出増と収入減を各項目ごとに計算したら、最後にそれを足し合わせます。

月収30万円の会社員で普段の1ヶ月の支出が食費30,000円お小遣い10,000円交通費0円である方が、月またぎで1ヶ月間(30日間)入院した場合の支出増をまとめた表です。

費目 普段 入院中 支出増
医療費 0 180,000 180,000
食費 30,000 41,000 11,000
お小遣い 10,000 0 -10,000
交通費等 0 0 0
支出増計 **** **** 181,000

医療費の自己負担額は、高額療養費制度で定められた自己負担額上限まで達したものとして約90,000円としました。

支出減となった項目の支出増の金額は負の数となります。

支出増の合計は18.1万円です。

次に収入減を計算します。

この月収30万円の会社員が、入院後も有給休暇を一切取らず、30日間の入院で受け取る傷病手当金が18万円だとします。

すると‥

項目 普段 入院中 収入減
月給 300,000 0 300,000
傷病手当金 0 180,000 -180,000
収入減計 **** **** 120,000

収入増となった項目の収入減の金額は負の数となります。

入院による収入減は12万円です。

入院費用は支出増と収入減の合計ですから、

入院費用
=18.1万円+12万円
=30.1万円

となります。

次回は‥入院費用の調達方法について

入院費用を見積もったら、次はお金の準備です。

貯蓄や親族からの援助で入院費用を支払えそうなら、問題はありません。

しかし、もし支払えそうにない場合はどうすればいいでしょうか。

借金か保険で入院費用を賄うことになります。

というわけで、次回は入院費用の調達方法について書きます。