入院による家計へのダメージを計算する方法

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医療保険が不要であることを証明する連載 第17回です。

前回は、患者申出療養について書きました。

今回は、入院による家計へのダメージを計算する方法を考えます。

入院による家計へのダメージ=支出増 + 収入減

入院による家計へのダメージは、入院時の支出全額(下の図の赤い部分)ではなく、 普段より支出が増える部分(上の図の緑矢印) です。

普段収入がある方は、入院したばっかりに普段より収入が減ってしまう分(下の図の緑矢印)も、 入院による家計へのダメージ となります。

結局、 入院による家計へのダメージは、次のような計算で求めることになります。

入院による家計へのダメージ
=入院による支出増
+ 入院による収入減

入院による家計へのダメージを計算するなら、入院による支出と収入を変化を調べないといけません。

入院による家計へのダメージを、実際に見積もってみましょう

入院による家計へのダメージ 見積もるには、支出増と収入減をそれぞれ求めて合計しなければなりません。

支出増は次の4つに分けて考えると計算しやすいです。

  • 医療費の支出増
  • 食費の支出増
  • お小遣いの支出増
  • 交通費の支出増

この4つを計算して合計し、そこにと収入減を上乗せすると、 院による家計へのダメージが分かります。

以下、同一月に30日間入院した場合の、入院による家計へのダメージを計算してきます。

医療費の支出増を計算

医療費の支出増は、入院医療費から普段の通院医療費を差し引いて求めます(下の図の緑矢印)。

入院医療費の見積もり方が重要です。

現役世代の場合、医療費の自己負担割合は3割です。残りは公的医療保険が支払ってくれます。

自己負担割合が3割になるのはありがたいですが、それでも入院医療費が高額になったら大変です。

そこで、総医療費が一定額を超えると、自己負担割合が1%または0%に引き下げられる制度が用意されています(これを高額療養費制度と言います)。

例えば、月収30万円の一般企業サラリーマンでは「一定額」は267,000円です。

自己負担割合は、一ヶ月の総医療費うち267,000円までの部分は3割、267,000円を超えた部分は1%です。

教師や公務員・大企業社員は自己負担がさらに少なくなる

なお、公務員・教師・優良企業社員の場合、高額療養費制度をさらに充実させる付加給付制度があるため医療費の自己負担額は更に下がります。

ひと月あたりの医療費自己負担額は、三重県公立学校の正規教員では5,100円未満、シャープ社員の場合は25,000円未満に収まるようになっています。

差額ベッド代の計算

入院による家計へのダメージを計算する際に、差額ベッドを考慮する必要はありません。

自ら進んで差額ベッドの利用を希望しない限り、差額ベッド代はかかりません。

差額ベッドしか空いていないと言われれば差額ベッドを使うしかありませんが、その場合でも差額ベッド代の支払いは不要です。

食費の支出増を計算

入院中の食費についての自己負担額は1食あたり460円です。

1ヶ月(30日間)の食費は、1日3食で41,400円(460円✕3食✕30日)となります。

41,400円から入院した人の普段の食費を差し引いた金額が、入院による食費の支出増です。これは入院による家計へのダメージとして計上します。

例えば、入院した人の普段の食費がひと月あたり3万円だとすると、支出増は以下のようになります。

支出増(円)=41,400-30,000=11,400円

ちなみに、普段の食費が41,400円/月を上回っている人は食費の支出減が発生します。支出減は「負の支出増」として、入院による家計へのダメージに計上します。

例えば、入院した人の普段の食費がひと月あたり5万円だとすると、支出増は以下のようになります。

支出増(円)=41,400-50,000=-8,600円

お小遣いの支出増を計算

お小遣いについても、入院によって支出が増えるかどうかをチェックしていきます。

お小遣いは入院すると支出減となるはずです。 支出減は「負の支出増」として、入院による家計へのダメージに計上します。

例えば、普段のお小遣いが3万円で入院中のお小遣いが5,000円だとすると、お小遣いの支出増は次のようになります。

支出増(円)=5,000-30,000=-25,000円

交通費の支出増を計算

交通費についても支出増を計算します。

付き添い家族の交通費支出から入院した人の普段の交通費支出を引いて、支出増の金額を求めて、入院による家計へのダメージに計上します。

下の図のようになれば支出減が発生します。 支出減は「負の支出増」として、入院による家計へのダメージに計上します。

例えば、入院した人の普段の交通費が15,000円/月で、付き添い家族の交通費が10,000円/月ならば、支出増は以下のようになります。

支出増(円)=10,000-15,000=-5,000円

入院による支出増合計を計算

さて、ここまで計算してきた支出増を合計しましょう。

1ヶ月(30日間)の期間で、入院時の支出と普段の支出を比べて支出増をまとめると便利です。以下のような、表にまとめると簡単です。

費目入院時普段支出増
保険医療費87,930087,930
食費41,40030,00011,400
小遣い5,00030,000-25,000
交通費10,00015,000-5,000
合計144,330
65,00069,330

ここまでの説明で例示した数値を表に記入してみました。

こうしてみると、入院による家計へのダメージは、そう大きくないですよね。

入院による収入減を計算

最後に、入院による収入減少をチェックしましょう。

サラリーマン、公務員、教師の収入減

サラリーマンや公務員などの給与所得者は、入院で働けなくなると給料をもらえなくなります。

しかし、月給の2/3以上(勤務先によって異なる)の傷病手当金が、公的医療保険から支給されます。

見舞金を貰える場合もあります。

普段の収入と入院時の収入(傷病手当金・見舞金等の合計)との差額が、収入減として入院による家計へのダメージに計上されます。

例えば、月収30万円の一般企業サラリーマンが30日間入院し、傷病手当金を20万円貰えるなら、収入減は10万円です。

収入減(円)=200,000-300,000=100,000円

なお、教師・公務員や大企業サラリーマンは、傷病手当金の水準も恵まれています。普段の月給の8割以上が傷病手当金として支給されるケースもあります。

自営業者の収入減

自営業者が加入する国民健康保険では、多くの場合、傷病手当金の制度がありません。

入院すると収入のすべてを失う自営業者が入院した場合、収入減はとても大きくなります。

それでも、入院しても普段と同じレベルの収入を確保することができる自営業者は、入院時に収入減が発生しません。

自営業者の入院時の収入減は人それぞれです。

普段収入がない人が入院しても、収入減は発生しない

一方、専業主婦(主夫)や子供など収入のない人が入院した場合、入院してもしなくても収入はゼロです。入院しても収入減は発生しません。

老後の入院でも、収入減はあまり発生しない

老後の収入の中心は年金です。年金は入院中も普段と変わりなく支給されます。

収入の100%を年金に頼っている場合、収入減はゼロです。

支出増と収入減を合計して、入院による家計へのダメージを求める

収入減の計算ができたら、既に計算してある支出増の金額を加えれば、 入院による家計へのダメージ金額を求めることが出来ます。

もう一度、支出増の集計表を眺めましょう。

例えばこの記事では、月収30万円の一般企業サラリーマンが30日間入院した場合について、次のような表を作っていました。

費目入院時普段支出増
保険医療費87,930087,930
食費41,40030,00011,400
小遣い5,00030,000-25,000
交通費10,0005,000-5,000
合計144,330
65,00069,330

一方、月収30万円の一般企業サラリーマンが1ヶ月(30日間)入院し、傷病手当金を20万円貰える場合の収入減は100,000 でした。この場合…

入院による家計へのダメージ (円)
= 69,333 + 100,000

となります。

このペースだと、半年間続けて入院しても、 入院による家計へのダメージ は100万円余に過ぎません。

果たして医療保険は必要なんでしょうか??