公務員・私立学校職員・大企業社員は、高額療養費の付加給付のおかげで入院医療費がさらに安くなる。

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「医療保険の必要性を考えるシリーズ」第5回です。

前回は法律で定められた高額療養費の最低基準の給付(法定給付)について書きました。

今回は、高額療養費の付加給付の話をします。付加給付のパワーを図解したのが次の図です。

今はこれを見てもあまり良くわからないと思いますが後々わかりやすく説明します。

重要なのは、この付加給付のおかげで「公務員・私立学校職員・一部会社員(大企業社員が中心)は入院医療費がさらに安くなる」ということなんです。

付加給付を頭に入れておかないと医療保険の必要性を合理的に判断することは出来ませんよ。

高額療養費の付加給付の恩恵に預かれるのは、公務員・私立学校職員・大企業社員

前回書いたように、高額療養費制度は法律で定められた最低基準の給付(法定給付)でも十分にありがたいものです。

共済組合や一部の健康保険組合では、法定給付に上乗せする形で付加給付が行われます。

共済組合に加入するのは公務員と私立学校職員。一部の健康保険組合に加入するのは一部会社員(大企業社員が中心)。

これらの方々は、高額療養費の付加給付のおかげで、その他の人々に比べて入院医療費がさらに安くなります。

公務員への付加給付の例:公立学校教師に対する高額療養費付加給付

公立学校教師に対しては、 公立学校共済組合によって高額療養費の付加給付が行われています。

付加給付は一部負担金払戻金・家族療養費附加金という名目で行われています。

次のように、ひと月あたりの医療費自己負担の上限額が格段に引き下げられます。

区分 標準報酬月額 自己負担上限額
83万円~ 50,000円
53万円~83万円 50,000円
28万円~53万円 25,000円
~28万円 25,000円
低所得者 25,000円

ここで法律で定められた最低基準の給付(法定給付)の内容を改めて見てみましょう。

公立学校教師の医療費自己負担額の上限は、法定給付と比べてとても恵まれていることが分かりますよね。

例えば、区分アに適用される高額療養費制度が法定給付だけだったとしても、赤矢印のパワーが働いて医療費の自己負担額の上限を赤線まで引き下げてくれます。

しかし、公立学校教師には付加給付があるので下図の紫矢印のパワーが働いて、医療費の自己負担額の上限が5万円まで引き下がります。

ここで説明したのは公立学校教師の例ですが、他の公務員の方にも同様の付加給付が行われています。すごいですよね。

しかしこれで終わりではありません。

公務員の入院医療費には、さらなる上乗せ給付が行われているのです。

公務員の入院費用に対しては、福利厚生による補助も充実している

病気やケガをしたとき|給付|一般財団法人三重県公立学校職員互助会によると、三重県の公立学校教師には、三重県公立学校職員互助会から「会員/家族医療費補助金」として自己負担-5,000円が給付されます。

最終的な自己負担を計算すると次のようになります。

  • 最終的な自己負担
     =自己負担-会員/家族医療費補助金
     =自己負担-(自己負担-5,000円
     =5,000円

三重県の公立学校教師は、保険診療であればどんな高額な医療を受けても、ひと月あたりの自己負担は5,000円で済む

何ということでしょう。三重県の公立学校教師は、保険診療であればどんな高額な医療を受けても、ひと月あたりの自己負担は5,000円で済むのです。

そのうえ、入院した場合は、1日あたり2,000円の入院療養付加金までもらえます

入院中に差額ベッドを使うなどの無駄遣いをしなければ、入院で儲かることすらありえます。

勤務先によって手厚さは異なりますが、他の公務員にも同様の制度があります。

公務員が入院したときのひと月あたり医療費自己負担額は、殆どの場合で20,000円未満となります。

公務員には医療保険は不要だと思います。

私立学校職員への付加給付の例

私立学校職員にも、公務員と同様に「一部負担金払戻金・家族療養費付加金」と言う名目で、高額療養費の付加給付が行われています。

多くの私立学校職員が加入する私学共済で行われている高額療養費制度は以下の通りです。

区分 標準報酬月額 自己負担上限額
83万円~ 25,000円
53万円~83万円 25,000円
28万円~53万円 25,000円
~28万円 25,000円
低所得者 25,000円

なんと…赤字になっている部分は、公務員より手厚いです。

一部会社員にも付加給付は行われている

公務員や私立学校職員が加入する共済組合だけではなく、会社員が加入する健康保険組合の一部でも、高額療養費の付加給付は充実しています。

例えば、シャープ勤務のサラリーマンなら、付加給付による上乗せがあります。

一番下の最終自己負担の行を見れば分かる通り、ひと月の医療費自己負担額は約25,000円以下に抑えられます。

シャープのような大企業でなくとも、付加給付による上乗せをしてくれるところはあります。

例えば、関東ITソフトウェア健康保険組合では、ひと月の医療費自己負担額は約20,000円以下に抑えられます。

当組合では付加給付制度を実施しているため、保険医療機関等で受診した際の支払額(「入院」「外来+調剤」別)が20,000円を超えたときはその超えた額が一部負担還元金等(付加金)として給付されます。高額療養費に該当しない場合でも一部負担還元金等(付加金)は給付されます。(高額な医療費がかかったとき | [ITS]関東ITソフトウェア健康保険組合)

もっとも、健康保険組合で付加給付行うところは一部に限られます。全く付加給付を行っていない健康保険組合もあります。

自分に適用される高額療養費制度を把握してから医療保険を検討する

今回は前回に引き続いて高額療養費制度の有り難さについて説明しました。

高額療養費は人によって給付水準が大きく違います。

医療保険の必要性を検討するなら、自分に適用される高額療養費制度の内容をしっかり把握しないといけません。

…と言ってもなかなか難しいですよね。その場合は保険営業マンやFPをうまく使いましょう。

保険営業やFPの方が高額療養費制度について親身になってアドバイスをしてくれないなら、保険についてはその方々とのお付き合いをやめるべきです。

次回は入院中の食費について

次回「医療保険の必要性を考えるシリーズ」第6回は、入院中の食費について説明します。

入院中の食費は、医療費に次いで入院費用に占める割合が大きい費目です。医療保険の必要性を考えるならきちんと理解したいところです。