医療保険って本当に必要?FPが不要と結論付けるまでに考えた事・調べたことまとめ

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1級ファイナンシャル・プランニング技能士のウェブシュフです。

これまで様々なケースで医療保険の必要性を検討してきましたが、その全てで「日本にいる限り医療保険は不要」という言う結論が出ました。

もちろん、医療保険の必要性はその人の価値観次第です。私の結論が絶対的な正解になるわけではありません。

しかし、FPが医療保険を不要だと結論付けるに至った過程は、皆さんの参考になると思います。

以下詳しく説明します。

もくじ

必要性を検討するのは民間保険会社の医療保険。公的医療保険は強制加入。

医療保険には公的医療保険と民間医療保険(民間保険会社の運営する医療保険)があります。

公的医療保険は強制加入ですから、必要性を判断する余地がありません。

ここで必要性を判断するのは民間医療保険の方です。

しかし、公的医療保険が全く関係ないのかと言うと、そうではありません。

民間医療保険は公的医療保険を補うものです。民間医療保険の必要性を検討するなら、公的医療保険の理解が不可欠です。

公的医療保険から受けられる保障の内容を把握したら、医療保険の必要性の検討に入りましょう。

まずは入院費用を正しく見積もる

医療保険の必要性を考えるなら、まずは入院費用を正しく見積もらないと始まりません。

入院費用は「入院したがために必要になるお金」です。

「入院したがために必要になるお金」としてまず最初に挙げられるのは、入院時の支出増(下図の緑矢印)です。

入院時の支出全額(上図の赤い部分)は入院費用ではありません。入院時の支出のうち、普段の支出に相当する部分(上図の青い部分)は、入院したがために必要になるお金とは言えないからです。

生命保険文化センターが「入院時の一日あたりの自己負担費用の平均は2万円」と言っていますが、これは上図の赤い部分を指したものです。資金調達すべき入院費用として取り扱ってはいけません。

赤い部分を入院費用だと考えてしまうと、必要以上に医療保険に加入して無駄な保険料を払い続けることになります。間違えないように気をつけてください。

ところで、「入院したがために必要になるお金」は入院時の支出増だけではありません。

入院時の収入減も「入院したがために必要になるお金」です。これも入院費用として計上します。

医療保険の必要性を考えるなら、

  • 入院費用=入院時の支出増+入院時の収入減

であることを、しっかり抑えなければなりません。

入院時の支出増の計算

入院時の支出増は、各費目ごとの支出増を合計して求めます。

以下の項目については、特に注意深く考えておくべきです。

  • 医療費
  • 食費
  • お小遣い(外食費・交際費・レジャー費)
  • 交通費

医療費の支出増

まず入院医療費を計算します。それには高額療養費制度その他の公的な支援や勤務先の福利厚生の理解が欠かせません。FPや保険営業の方に手伝ってもらってもいいでしょう。

次に、家計簿などを見て普段の通院医療費を見積もり、入院医療費から普段の通院医療費を差し引いたものを入院費用として計上します。

持病があるなどの理由で定期的に通院している方は、普段から無視できない金額の医療費がかかっているはずなので、これを差し引くのを忘れないでください。

食費の支出増

入院中の食費は1食あたり460円、30日で41,400円の支出となります。

入院中の食費から普段の食費を差し引いたものを、入院費用として計上します。

お小遣いの支出減

入院すると、入院した人に関するお小遣い(外食代・交際費・お小遣い・レジャー含む)は、支出減となるのが普通です。

この支出減は入院収益とも言えます。

お小遣いの支出減は、入院費用をマイナスするものとして計上します。

交通費の支出増または支出減

入院によって、交通費が支出増になるか支出減になるかは、それぞれの家庭の状況によって異なります。

入院時に付添の家族にかかる通院交通費が、入院した人に普段かかっている交通費より大きいときは、入院によって交通費は支出増となります。この場合は支出増の金額を入院費用として計上します。


逆に、入院時に付添の家族にかかる通院交通費が、入院した人に普段かかっている交通費より小さい特は、入院によって交通費は支出減となります。
この場合は、支出減の金額を、入院費用をマイナスするものとして計上します。

入院による収入減の計算

ここまで入院による支出増の計算の仕方を見てきましたが、入院費用を求めるには入院による収入減も計算しなければいけません。

入院による収入減は、入院した人の属性によって全く異なります。

入院による収入減が全く生じない場合もある


専業主婦(主夫)や子供など収入のない人が入院した場合、入院してもしなくても収入はゼロです。収入減は起きません。

また、年金収入や家賃収入・配当金収入のような不労所得は、入院しても減りません。これらについても入院による収入減は起きません。

サラリーマンの収入減少は傷病手当金などで緩和される

労働から発生する収入は入院によってゼロになります。

とは言え、サラリーマンや公務員などの給与所得者には、公的医療保険から傷病手当金が支給されます。

入院して働けなくなってからも、月給の2/3以上(勤務先によって異なる)が給付されます。

また、会社や労働組合などから見舞金などを貰えるかも知れません。

サラリーマンや公務員などの給与所得者が入院しても、収入減は普段の収入の1/3以下で済みます。

個人事業主が入院した場合、不労所得を除いてすべての収入を失う。

個人事業主が入院すると、厳しい状況に追い込まれることになります。

傷病手当金は個人事業主には支給されません。

自分の代わりに働いてくれる人のいない個人事業主が入院すると、不労所得を除いた普段の収入を全て失うことになります。

入院すると収入がゼロになる場合もあるでしょう。

私も個人事業主ですが、収入の大半は不労所得なので、入院時の収入減少は大したことはありません。良かったです。

医療保険で調達するべき金額(必要保障額)の計算

入院費用の計算が終わったら、医療保険で調達するべき金額(必要保障額)を計算します。

医療保険は入院費用を調達するための手段の一つですが、コストが高いです。

医療保険を使わずに入院費用のすべてを調達できるなら医療保険は不要です。

ですから、

  • 医療保険を使わずに入院費用の全てを調達できるか
  • 調達不足が出るなら、その金額はどれくらいか

といったシミュレーションが大事になります。

医療保険を使わずに入院費用の全てを調達できない場合、医療保険は必要です。

その場合、医療保険の必要保障額は、調達不足の金額となります。

我が家については何度もシミュレーションをしましたが、公的医療保険や福利厚生からの給付が充実しているため、医療保険を使わずに入院費用を賄えるケースばかりでした。

とは言え「全てのケースで医療保険が不要」などと断言するわけにも行きません。

個々のケースにおける医療保険の必要性は、シミュレーションをしたうえで判断しなければなりません。

貯蓄だけで資金調達できるなら、必要保障額はゼロで医療保険は不要

入院費用を貯蓄だけで賄えると理想です。この場合は医療保険による必要保障額はゼロで、もちろん医療保険は不要です。

貯蓄のうちいくらまで入院費用の穴埋めに回せるかは、よく考えておかないといけません。

子供の教育資金など、手を付けたくない部分もあるのが普通ですから。

このあたりは、ライフプランをきちんと立てて考える必要があります。

親族からの援助で乗り切れる場合も、必要保障額はゼロで医療保険は不要

貯蓄だけで入院費用をまかなうのが無理でも、親族から援助を受けることで乗り切れるケースもあります。

この場合も医療保険による必要保障額はゼロで医療保険は不要です。

ただし、確実に援助してもらえる金額をはっきりさせるのは、意外と大変かも知れません。

無利子又は低金利の借入でしのげる場合も、必要保障額はゼロで医療保険は不要

貯蓄と親族からの援助だけで入院費用を埋めわせることが難しいなら、親族・会社・公的機関などからの無利子又は低金利の借入を利用します

無利子又は低金利の借入で乗り切れれば、医療保険による必要保障額はゼロ。医療保険は不要です。

他の資金調達方法ではどうにもならないとき、医療保険が必要になる。

貯蓄・親族からの援助・借入などで入院費用を穴埋めすることが出来ないときは、医療保険で資金を調達しなければなりません。

必要保障額は、入院費用のうち他の資金調達手段で調達できなかった部分となる

医療保険による必要保障額は、入院費用の額から、貯金・援助・借入などで資金調達可能な金額を差し引いたものということになります。

必要保障額をきちんと計算するには、ライフプラン表・キャッシュフロー表を作った上で、医療保険以外の資金調達手段に精通する必要があります。

必要保障額を入院日数で割れば、設定すべき入金給付金の額となる

1日あたりの入院給付金の額は、必要保障額を入院日数で割って求めます。

例えば、180日入院した場合のシミュレーションをしていたなら、必要保障額を180で割れば入院給付金の額となります。

保険診療しか利用しないなら医療保険は不要

ここまで「医療保険は必要か不要か?」「必要なら入院給付金はいくらにするべきか?」を、入院費用のシミュレーションに基づいて判断するための流れを説明してきました。

入院費用は、入院日数や差額ベッドや先進医療などの保険外診療を使うか使わないかによっても全く違ってきます。

まず、保険外診療を使わない入院について、「医療保険は必要か不要か?」「必要なら入院給付金はいくらにするべきか?」を、職業別属性別に具体的に考えることにします。

60日程度の短期入院には医療保険で備える必要はない

職業や属性をごとに60日間の短期入院時の入院費用の額を試算し、資金調達の方法を考えていきましょう。

保険以外の資金調達手段が使えれば医療保険は不要ですし、そうでなければ医療保険は必要です。

公立学校教師のような公務員には特に不要

私の妻のような公務員(三重県公立学校教師)の場合、入院費用の自己負担はほとんどありません。

そのうえ短期入院であれば病気休暇を取得することが出来ます。病気休暇の間は給料の100%が支払われます。

細かい計算をするまでもなく、誰がどう見ても三重県公立学校教師には医療保険は不要です。

その他の公務員の方についても、短期入院に備えて医療保険に加入する必要性は小さいでしょう。

公務員以外も医療保険は不要

公務員以外の職業や属性の方の場合はどうでしょうか。

60日間の短期入院をした場合について、それぞれの入院費用を試算すると以下のようになりました。

職業・属性 入院費用
入院中も就業可能な自営業 25万円
入院中は就業不能な自営業 85万円
会社員(某健保組合) 14万円
会社員(協会けんぽ) 44万円
専業主婦(主夫) 3~28万円

この程度の金額なら、医療保険以外の手段で調達できるでしょう。

我が家の結論としては以下のようになりました。

シングルマザーの場合は、会社員、自営業、専業主婦のどれかに該当するわけですから、やはり医療保険は不要だということになります。

子供や老人は、専業主婦(主夫)と同様に働いていないのですから、専業主婦と同じように判断すればいいです。

長期入院の場合は医療保険の必要性は高くなるが…

次に長期入院の場合を考えましょう。

以下は職業・属性別に長期入院時の入院費用を試算したものです。

入院日数 180 360 540 720
会社員1 45 88 131 174
会社員2 106 198 294 503
公務員 4 44 84 148
自営業1 44 76 111 143
自営業2 224 436 651 863
  • 2行目以下の数字の単位は万円
  • 会社員1はシャープ健保加入の会社員
  • 会社員2は協会けんぽに加入する会社員
  • 公務員は三重県教職員の場合
  • 自営業1は働けなくとも収入がある自営業
  • 自営業2は働けないと無収入となる自営業
  • 全員、入院前の月収は30万円。

自営業2・会社員1の方が長期入院すると入院費用がかなり大きくなります。

それ以外の方も、入院期間が長くなるほど入院費用の額が大きくなり、医療保険の必要性は増していきます。

長期入院をきちんとカバーした医療保険は無い

しかし現実に販売されている医療保険は「〇〇日以上の入院は保障しません。」というタイプばかりです。

保険会社の社会的使命を考えれば、「〇〇日以上の入院だけを保障します!!」という医療保険のものが出現するべきだと思うんですが、無いんですよね。

ですから「長期入院に備えて医療保険に入る必要はない」と言わざるを得ません。

長期入院に備えるなら、医療保険よりも就業不能保険のほうが役立ちます。

保険外診療を利用する場合はどうか

私は、日本で保険診療しか利用しない場合は、医療保険は不要だと考えています。

しかし、保険外診療を利用する場合、医療保険の必要性の判断は難しくなります。

差額ベッド代に備えて医療保険に入る必要もない

まず、差額ベッド代に備えて医療保険に加入する必要性ですが、これについては必要性ゼロと判断しています。

以下理由を説明します。

差額ベッド代を渋々支払う事態に陥るリスクはない

患者自身が差額ベッドの利用を心から希望する場合を除いて、病院は差額ベッド代を請求することは出来ません。

自分が希望してもいないのに差額ベッドを利用することになった場合は、差額ベッド代を請求されたとしても、堂々と支払を拒否することが出来ます。

我が家のように「入院しても絶対に差額ベッドを使わない」と決めているのなら、差額ベッド代に備えて資金調達を考える必要はありません。医療保険ももちろん不要です。

医療保険に入っても、安心して高額な差額ベッドを使うことはできない

「入院時に差額ベッドをぜひとも使いたい」という方もいると思います。その場合に医療保険が必要かどうかを考えてみます。

厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によると、一日当たりの差額ベッド代の平均は6,129円ですが、差額ベッド代は1日1,000円未満のものから30万円以上かかるものまで千差万別です。

一日16,000円を超える高額な差額ベッドも5%ほど存在しますね。

いくら医療保険に入っていても、一日あたり数万円かかる差額ベッドは安心して使うわけには行きませんから、結局は差額ベッドの支払いを拒否する方法も覚えておかなければなりません。

それなら最初から差額ベッドを使わないことにしたほうが良くないですか。

差額ベッドについては、医療保険とは関係が薄そうな事柄も調べましたが、高いお金を払って利用する価値は無いと思います。

先進医療に備えて医療保険に入る必要があるかどうかは迷うところ

差額ベッドと違って、先進医療については医療保険で備えるかどうか迷うところです。

我が家では散々迷った挙げ句に加入しないことにしました。

先進医療への保障に対する保険料はとても安く、先進医療と臓器移植に特化した保険で月々の保険料が500円というものもあります。

深く考えずに先進医療に備えた保険に入るのも悪くないと思います。

海外旅行に行く場合は医療保険に入る必要がある

私は医療保険が必要な場面なんて殆どないと考えています。

ただしそれは自分が日本にいる場合だけです。

外国の医療費は日本では考えられないほど高額です。

海外に行く場合は、治療費無制限補償と持病補償が付いた海外旅行保険は絶対に必要です。

医療保険が必要と判断したなら、選び方にも注意してください。

我が家では現在は医療保険の必要性をほとんど感じていません。医療保険にも加入していません。

しかし、以前は先進医療に対する保障を求めて、医療保険に加入していました。

医療保険を選ぶ際には、一般の保険商品よりも団体保険を優先して検討しました。

団体保険は一般の保険商品よりもリーズナブルなものが多いからです。

ウェブシュフ妻
保険を検討するなら団体保険から!!

これは保険選びの鉄則です。

医療保険もまずは団体保険から検討してください。

医療保険の必要性は、毎年見直してください。

以上、医療保険の必要性と必要保障額を判断する手順について、一通り説明してきました。

私は今のところ、日本にいる限り医療保険は不要だと思っています。

しかし、公的医療保険制度の変化次第では、医療保険が必要だと主張することもあるでしょう。

医療保険の必要性は、状況の変化によって結論が変わる問題です。ぜひとも定期的に見直すようにしてください。

医療保険の必要性に関する記事一覧

医療保険の必要性を判断するには、公的医療保険や入院に関するデータなど、ある程度の基礎知識が必要です。

医療保険に関する記事を、本記事の本文中に出てきたものも含めてまとめましたので、参考にしてください。

ケーズ別・医療保険の必要性

職業別・属性別に医療保険の必要性を検討したシミュレーションです。

公的医療保険について

民間保険会社の医療保険は、公的医療保険を補うためのものなので、公的医療保険についてある程度知っておく必要があります。

高額療養費について

公的医療保険の制度の中でも、高額療養費は、医療保険の必要性を判断する上でとても重要です。

入院に関するデータ

差額ベッドについて

終身医療保険は大損

その他医療保険に関する記事