医療保険は不要!入院費用を試算すれば一目瞭然

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医療保険に入ると期待値の上では大損。しかも、いざというときに役立ちません。

入院に備えて医療保険に入る必要はありません。正規雇用の教師や公務員なら特にそうです。入院費用を試算してみればすぐに分かります。

この記事では、入院費用を試算したうえで、医療保険が不要であることを分かりやすく説明します。

医療保険(民間医療保険)とは?

医療保険は医療費を補償してくれる保険で、公的医療保険と民間医療保険があります。

公的医療保険は強制加入です。就職すると当然のように保険証(公的医療保険の加入者証)を持たされますが、あれこそ強制加入の証拠です。

一方、民間医療保険は、加入してもしなくても自由です。

医療保険の必要性を考える時、医療保険とは民間医療保険を指します。

※以下、単に「医療保険」と言えば、民間医療保険のことを指すものとします。

必要もないのに医療保険に入ると大損

医療保険に入るのは自由ですが、入ると期待値の上では大損です。

保険料から、保険会社の従業員の給料などの運営費用が差し引かれてしまうので、契約者はその分だけ損をします。

ライフネット生命の終身医療保険「新じぶんへの保険」エコノミーコース(入院給付金日額10,000円コース)に40歳女性が加入した場合

上図の医療保険では、契約者が死ぬまでに支払う保険料が200万円を超えるのに対し、契約者がもらえる金額の期待値は160万円余に過ぎません。

医療保険に入るのは、期待値としては数十万円もの大損をする決断です。

必要がないのに医療保険に加入するのは避けるべきです。

医療保険の必要性の判断には入院費用の見積もりが欠かせない

では、医療保険の必要性は、どう判断すればいいでしょうか。

医療保険は「毎月保険料を支払うことと引き換えに、不幸にも入院する羽目になったときには入院給付金が貰える」と言う約束です。

貯金その他で入院費用を賄うことが出来るなら、大損してまで医療保険に入る必要はありませんよね。

ですから、医療保険の必要性を考えるなら、入院費用がいくらになるかがとても大事です。

「入院費用≠病院への支払い」「入院費用=支出増 + 収入減」

入院費用は、入院時の支出全額(下の図の赤い部分)ではありません。

入院に備えて準備しておくお金は、普段より支出が増える部分(上の図の緑矢印)だけでいいですよね。だから緑の矢印が入院費用を表します。

普段収入がある方については、入院したばっかりに普段より収入が減ってしまう分(下の図の緑矢印)も入院に備えて用意しなければなりません。これも入院費用になります。

つまり、次のようになります。

入院費用
=支出増 + 収入減

入院費用を計算するなら、入院によって支出と収入がどう変化するのかを考えないといけません。

実際に入院費用を見積もってみましょう

入院費用を見積もるには、支出増と収入減をそれぞれ求めて合計しなければなりません。

支出増は次の4つに分けて考えると計算しやすいです。

  • 医療費の支出増
  • 食費の支出増
  • お小遣いの支出増
  • 交通費の支出増

この4つを計算して合計し、そこにと収入減を上乗せすると、入院費用が分かります。

以下、同一月に30日間入院した場合の、入院費用を計算してきます。

医療費の支出増を計算

医療費の支出増は、入院医療費から普段の通院医療費を差し引いて求めます(下の図の緑矢印)。

入院医療費の見積もり方が重要です。

現役世代の場合、医療費の自己負担割合は3割です。残りは公的医療保険が支払ってくれます。

自己負担割合が3割になるのはありがたいですが、それでも入院医療費が高額になったら大変です。

そこで、総医療費が一定額を超えると、自己負担割合が1%または0%に引き下げられる制度が用意されています(これを高額療養費制度と言います)。

例えば、月収30万円の一般企業サラリーマンでは「一定額」は267,000円です。

自己負担割合は、一ヶ月の総医療費うち267,000円までの部分は3割、267,000円を超えた部分は1%です。

ただ 「一定額」は勤務先と収入によって複雑に変化します(詳細は下記記事)。

そのため、慣れていない方が入院医療費の自己負担額を見積もるのは、調べることが多くてちょっと大変です。

入院医療費の自己負担額計算機

そこで計算機を用意してみました。「あなたの月給」「当月の入院日数」を入力後「計算」ボタンを押すと、「自己負担予想額 」がわかります(利用上の注意※1)。


例えば、月収30万円の一般企業サラリーマンが今月30日間入院した場合の医療費の自己負担額を上の計算機で予想すると、9万円未満となります。

あとは「自己負担予想額 – 普段の医療費 = 医療費の支出増」という計算で、入院による医療費の支出増の金額が分かります。

これを入院費用に計上します。

教師や公務員・大企業社員は自己負担がさらに少なくなる

なお、公務員・教師・優良企業社員の場合、高額療養費制度をさらに充実させる付加給付制度があるため医療費の自己負担額は更に下がります。

ひと月あたりの医療費自己負担額は、三重県公立学校の正規教員では5,100円未満、シャープ社員の場合は25,000円未満に収まるようになっています。

差額ベッド代の計算

入院費用の計算に差額ベッドを入れる必要はありません。

自ら進んで差額ベッドの利用を希望しない限り、差額ベッド代はかかりません。

差額ベッドしか空いていないと言われれば差額ベッドを使うしかありませんが、その場合でも差額ベッド代の支払いは不要です。

食費の支出増を計算

入院中の食費についての自己負担額は1食あたり460円です。

1ヶ月(30日間)の食費は、1日3食で41,400円(60円✕3食✕30日)となります。

41,400円から入院した人の普段の食費を差し引いた金額が、入院による食費の支出増です。支出増は入院費用に計上します。

例えば、入院した人の普段の食費がひと月あたり3万円だとすると、支出増は以下のようになります。

支出増(円)41,40030,00011,400円

ちなみに、普段の食費が41,400円/月を上回っている人は食費の支出減が発生しますが、負の支出増が発生したと考えて入院費用に計上します。

例えば、入院した人の普段の食費がひと月あたり5万円だとすると、支出増は以下のようになります。

支出増(円)41,400-50,000-8,600円

お小遣いの支出増を計算

お小遣いについても、入院によって支出が増えるかどうかをチェックしていきます。

お小遣いは入院すると支出減となるはずですが、負の支出増が発生したと考えて、入院費用に計上します。

例えば、普段のお小遣いが3万円で入院中のお小遣いが5,000円だとすると、お小遣いの支出増は次のようになります。

支出増(円)5,000-30,000-25,000円

交通費の支出増を計算

交通費についても支出増を計算します。

付き添い家族の交通費支出から入院した人の普段の交通費支出を引いて、支出増の金額を求めて入院費用に計上します。

下の図のようになれば支出減が発生しますが、その場合でも、支出増の金額(負の数になる)を求めて入院費用に計上します。

例えば、入院した人の普段の交通費が15,000円/月で、付き添い家族の交通費が10,000円/月ならば、支出増は以下のようになります。

支出増(円)10,000-15,000-5,000円

入院による支出増合計を計算

さて、ここまで計算してきた支出増を合計しましょう。

1ヶ月(30日間)の期間で、入院時の支出と普段の支出を比べて支出増をまとめると便利です。以下のような、表にまとめると簡単です。

費目入院時普段支出増
保険医療費87,930087,930
食費41,40030,00011,400
小遣い5,00030,000-25,000
交通費10,00015,000-5,000
合計144,330
65,00069,330

ここまでの説明で例示した数値を表に記入してみましたが、こうしてみると入院費用はそう大きくないことが分かると思います。

入院による収入減を計算

最後に、入院による収入減少をチェックしましょう。

サラリーマン、公務員、教師の収入減

サラリーマンや公務員などの給与所得者は、入院で働けなくなると給料をもらえなくなります。

しかし、月給の2/3以上(勤務先によって異なる)の傷病手当金が、公的医療保険から支給されます。

見舞金を貰える場合もあります。

普段の収入と傷病手当金・見舞金との差額が、収入減として入院費用に計上されます。

例えば、月収30万円の一般企業サラリーマンが30日間入院し、傷病手当金を20万円貰えるなら、収入減は10万円です。

収入減(円)200,000-300,000100,000円

なお、教師・公務員や大企業サラリーマンは、傷病手当金の水準も恵まれています。普段の月給の8割以上が傷病手当金として支給されるケースもあります。

自営業者の収入減

自営業者が加入する国民健康保険では、多くの場合、傷病手当金の制度がありません。

入院すると収入のすべてを失う自営業者が入院した場合、収入減はとても大きくなります。

それでも、入院しても普段と同じレベルの収入を確保することができる自営業者は、入院時に収入減が発生しません。

自営業者の入院時の収入減は人それぞれです。

普段収入がない人は入院しても収入減は発生しない

一方、専業主婦(主夫)や子供など収入のない人が入院した場合、入院してもしなくても収入はゼロです。入院しても収入減は発生しません。

老後の入院でも、収入減はあまり発生しない

老後の収入の中心は年金です。年金は入院中も普段と変わりなく支給されます。

収入の100%を年金に頼っている場合、収入減はゼロです。

支出増と収入減を合計して、入院費用を求める

収入減の計算ができたら、既に計算してある支出増の金額を加えれば、入院費用の金額を求めることが出来ます。

もう一度、支出増の集計表を眺めましょう。

例えばこの記事では、月収30万円の一般企業サラリーマンが30日間入院した場合について、次のような表を作っていました。

費目入院時普段支出増
保険医療費87,930087,930
食費41,40030,00011,400
小遣い5,00030,000-25,000
交通費10,0005,000-5,000
合計144,330
65,00069,330

一方、月収30万円の一般企業サラリーマンが1ヶ月(30日間)入院し、傷病手当金を20万円貰える場合の収入減は100,000 でした。この場合…

入院費用(円)69,333 + 100,000

となります。

このペースだと、半年入院しても入院費用は100万円余に過ぎません。

果たして医療保険は必要なんでしょうか??

入院費用の準備に保険は必要?

医療保険は「毎月保険料を支払うことと引き換えに、不幸にも入院する羽目になったときには入院給付金が貰える」と言う約束です。

入院給付金を当てにせずとも、貯蓄や借入で入院費用を無理なく準備できるなら、医療保険は不要です。

貯蓄や借入で入院費用を準備できない場合は、医療保険は不要どころか加入してはいけないものになります。

人生のリスクは入院だけではありません。次のような、保険で備えることが出来ないリスクも多くあります。

  • 失業が長引いて蓄えが底をつく
  • 地震で損害を受けた(地震保険がカバーするのは損害の半分だけ)
  • 私立大学に通う子供がまさかの留年

保険で備えることが出来ないリスクには、貯蓄や借入で対応するしかありませんよね。

入院時に医療保険の入院給付金に頼らざるを得ないほどなら、保険で備えることが不可能なリスクに対応するだけの貯蓄や借入を、準備できていないということです。

のんきに医療保険に入っている場合ではありません。

医療保険に入るくらいなら、その分を少しでも貯蓄の上積みに使うべきです。

結局、入院費用が出せるかどうか不安な状況なら、医療保険に入るべきではないのです。

実際、入院費用の準備に医療保険が必要なケースはない

医療保険は明らかに不要ですが、念のために、様々なケース別に入院費用シミュレーションをしてみました。

その結果、大損をしてまで医療保険に入る必要は、どこにも見いだせませんでした。

教師や公務員の場合

月給30万円の三重県公立学校教師の場合について、詳しく入院費用シミュレーションを行ったのが次の2記事です。

教師が入院したときの、入院期間と入院費用の関係は次のようになります。

これだと医療保険の出番はありませんよね。

教師や公務員は、公的医療保険や福利厚生からの給付が手厚いので、入院費用はとても少なくて済みます。

公務員や教師に医療保険は不要です。

教師や公務員以外の場合

教師や公務員以外の場合についてもシミュレーションをしています。

詳細はリンク先に譲りますが、サラリーマンや自営業者についても、医療保険は不要です。

他の方についても、医療保険の出番は見当たりません。

特に、普段働いていない専業主婦(主夫)・子供・老人などは、入院しても収入が減らないため、医療保険の必要性はさらに低くなります。

様々なケースについて散々調べましたが、医療保険が必要不可欠という場面は全くありません。

医療保険はどう考えても不要なのです。

医療保険に加入しても、いざというときに役立たない

医療保険は不要ですが、あえて加入しても、いざ助けてほしいときにはあまり助けてくれません。

医療保険は長期入院を補償しない

医療保険はそもそも不要ですが、あえて入るとしたら、

ウェブシュフ妻
病気が長引いたときに助けてもらいわ…

と思うからですよね。

ところが、病気が長引いたとき、医療保険は私たちを見放します。

医療保険は、一定以上の長期入院を補償してくれないからです。

いざというときに頼りにならない医療保険に、入る必要はあるでしょうか。

医療保険は自宅療養や自宅介護介護の助けにならない

自宅療養や自宅介護でも、入院ほどでなくとも療養介護による支出増はありますし、就業不能となれば入院と同じ程度の収入減が発生します。

病気になって働けないものの入院せずに自宅療養・自宅介護になった時、医療保険はなんにもしてくれません。

医療保険は入院給付金で入院費用を補償してくれる保険です。入院しなかったときに何もしてくれないのは契約上当然です。

しかし、病気に対するお金の備えとしては、医療保険は心もとないと言わざるを得ないでしょう。

それでも医療保険に加入するのなら…

何度も言いますが、医療保険は不要です。そのうえ、医療保険に加入すれば期待値の上では大損です。

しかし、それを理解しつつ、余裕資金で医療保険に加入するのは悪いことではありません。個々人の自由です。

ですが、その場合でも無駄な支出は少しでも減らしたいところです。以下の3点に注意して下さい。

若いうちから終身医療保険に入らない

終身医療保険への加入はデメリットが特に大きいです。

そんなに老後の医療費が不安なら、定年を迎える前に医療費分をしっかりためておきましょう。

選び方に注意して下さい

そもそも不要な医療保険に入るのなら、せめて少しでもお得なものに入るべきです。

それには「保険は団体保険から検討する」という鉄則を覚えておきたいです。

団体保険は一般の保険商品よりもリーズナブルです。

教師や公務員が加入することができる団体保険は特に割安です。

保険営業の方が熱心に売ろうとしている保険より、団体保険を優先して検討して下さい。

医療保険は不要なもの。解約の方向で毎年見直してください。

繰り返しますが、今のところ日本では医療保険は不要です。

医療保険に加入している方は、解約できないかどうか、毎年見直す必要があります。

ただ、今後永遠に医療保険が不要かと言うと、そうではありません。

医療保険の必要性は、状況の変化によって結論が変わる問題です。

臨機応変に対応できるよう貯蓄や運用に力を入れ、医療保険が必要という状況になればすぐ動けるようにしておく、というのがベストな選択だと思います。

追記:その他医療保険関連記事

そもそも不要な医療保険にどうしても入るなら、詳細な調査が必要です。

当サイトの医療保険カテゴリ記事を参考にして下さい。

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※1 過去1年間無病息災だった人が入院し、高額療養費は法定給付のみ支給されtたものとします。また、保険医療費の総額、総額の3割、自己負担額の計算は、入院患者1人1日あたりの保険医療費(食費除く)は35,000円( 概算医療費データベース|厚生労働省 の2018年9月時点のデータより)として行っています。