このサイトで医療保険と言う場合、 特に説明がない限りは、入院保障と手術保障のみからなるシンプルな保険商品(民間医療保険)を指すこととします。
タイトルの問いに対する答えは、明らかに Yes です。
医療保険への加入は、①そもそも不要で、②保険料の支払いを確実にもたらし、③家計のキャッシュフローの期待値を悪化させるものなのです。
①②③のデメリットと医療保険加入のメリットを比較し、メリットが上回ると思うなら医療保険に加入すればよく、そうでないなら加入しなければいいのです。
以下、メリット・デメリットの比較に役立つ記事をこの連載で提供します。皆さんの参考になれば幸いです。
医療保険に安易に加入してはいけない
保険は人生で2番目に高い買い物と言われますので、安易に加入してはいけません。お金がないならなおさらです。
医療保険に入るかどうかは、病気やケガが家計にもたらすダメージの金額を試算した上で、慎重に決めるべきです。
それには、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険、その他の福利厚生についてよく知ることが大事です。
医療保険の検討の前に、保険証による補償内容を把握

まず、自分の保険証をしっかり確認してください。 保険証は公的医療保険から、色々と給付が受けられることの証明書です。
そのうえで、加入している 健康保険の内容を、しっかり把握してください。
- 第4回:保険証のパワーで医療費の自己負担割合は3割以下になる
- 第5回:高額療養費制度のおかげで入院医療費はとても安くなる-医療保険が不要と言われる最大の理由
- 第6回:公務員・私立学校職員・大企業社員は、高額療養費の付加給付のおかげで入院医療費がさらに安くなる。
- 第7回:入院中の食事代の自己負担額は1食あたり460円にすぎない。人によっては入院したほうが安上がりかも。
- 第8回:傷病手当金-病気や怪我で収入を失ったときに給料の2/3以上を公的医療保険が補償してくれる仕組み
- 第9回:教師や公務員が病気休職すると、1年半は給料支給、その後2年間は傷病手当金等が貰える(三重県の場合)
- 第10回:妊娠出産費用を援助してくれる
差額ベッドや先進医療などは、公的医療保険の保障対象外

差額ベッドには治療効果がないので、公的医療保険の給付対象とはなりません。
- 第11回:大部屋でも4人部屋なら差額ベッド代がかかることがある
- 第12回:差額ベッド代の平均・相場~1日1万円超は少数だが、東京の大病院では特に警戒が必要
- 第13回:差額ベッド代の対策は支払拒否に限る
- 第14回:差額ベッド代は本来は確定申告時に医療費控除の対象とはならないはず
また、先進医療や患者申出療養も、治療効果と安全性をテスト中(つまり未確認)の医療なので、公的医療保険の給付対象とはなりません。
入院による家計へのダメージを見積もる

入院による家計へのダメージを見積もると、医療保険がどうしても必要という状況は、やはり見当たらない事が分かります
- 第19回:教師や公務員に医療保険は不要!充実の福利厚生で医療費の自己負担はかなり安く済む
- 第20回:月収30万円の会社員にも医療保険は不要~医療保険に加入しても救われない
- 第21回:月間所得30万円の自営業者にも医療保険は不要~保険以外の手段で備えることも重要
- 第22回:専業主婦(主夫)にも医療保険は不要~入院しても収入が減らないからダメージが少ない
- 第23回:子供に医療保険は不要。中学生以下の医療費はたいてい無料になる
- 第24回:母子家庭(シングルマザー)にも医療保険は不要~ひとり親への公的支援は充実している
老後も、医療保険が必要だとは、到底言えない

入院による家計へのダメージをシミュレーションすると、老後においても、医療保険がどうしても必要なものだとは言えないことが明らかになります。
- 第25回:定年後も医療保険は不要~老後に備えて終身医療保険に入るのは大損
- 第26回:終身医療保険の「保険料は一生上がりません」はメリットではない。若い間は保険料が割高。
- 第27回:終身医療保険は途中で解約しにくい~サンクコストの呪縛
- 第28回:【高齢者の長期入院費用】病室料金の自己負担分は重いけど、若い人の長期入院の方がダメージは大きい
老後の医療費は貯蓄で調達することを目指すべきです。
参考:入院に関するデータ
医療保険は、いざというときに役立たない
実は、医療保険に加入しても、病気で破滅的な損害を受けたときにはほとんど頼りになりません。
- 第31回:医療保険は長期入院への備えとしては心もとない
- 第32回:医療保険の入院日数の数え方と支払限度日数~医療保険が頼りにならない理由
- 第33回:医療保険は自宅療養や自宅介護を保障してくれない
- 第34回:差額ベッド代を賄うには医療保険は力不足
それでも医療保険に加入したいですか?
私は、ごく一部を除いて、医療保険には加入していません。
最初にも書いたとおり、医療保険への加入は、そもそも不要であり、家計のキャッシュフローの期待値を引き下げてしまいます。
また、一般に、入院による家計へのダメージは大したことはありません。
そのため、私は医療保険加入に対して極めて否定的です。
しかし、旅行中の医療費を補償する海外旅行保険には、海外旅行のたびに加入しています。
海外で医療を受けると、医療費が莫大なものになり得るからです。
あなたはそれでも医療保険に加入しますか?
私は、海外旅行時を除いて、医療保険には入らないほうが良いと思っています。
最初にも書いたとおり、医療保険への加入は、そもそも不要であり、家計のキャッシュフローの期待値を引き下げてしまいます。
保険でカバーされない類の経済的苦境に陥ったとき、「なんでオレ、こんな保険に入っちゃったんだろ?」と後悔するものです。
「先行き後悔するかもしれないけど、それでもなお医療保険に加入する価値がある」と考える人は、医療保険に入ればいいですが、私はそのように考えることができません。