定年後に備えて終身医療保険に入る必要性はあるのだろうか

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ウェブシュフ妻
収入が年金だけになってから医療費がかさんだらどうしよう。

こう考えて、1入院支払限度日数が60日程度の終身医療保険に入っている方、いませんか。

もちろん、保険に入るか入らないかは、家計状況と価値観次第。入っても入らなくても、よく考えて出した結論なら正解です。

ただ私は、老後の入院に備えて1入院支払限度日数が60日程度の終身医療保険に入るのは、お勧めしません。

年金収入が月に20万円程度の人が60日間入院した場合、家計へのダメージは20万円程度なんです。

費目 70歳未満 70歳以上
+医療費 17.28 13.32
+食費 8.28 8.28
+収入減 0 0
-支出減 4 4
合計 21.56 17.60

※医療費については、保険証の利く範囲でしか治療を受けない前提で、計算しています。

これくらいなら貯金で賄えそうですよね。

以下に試算の詳細を書きます。

60日間の入院でかかる医療費(食費除く)

まず、月20万円の年金収入がある人が60日間入院した場合について、医療費(食費を除く)を試算しましょう。

年金生活になると国民健康保険に加入しますが、現役時代の健康保険などと同様に高額療養費制度が適用され、所得区分別に医療費自己負担額の上限が設定されます。

ただ、70歳未満と70歳以上とでは、適用の仕方に違いがあります。

60日間の入院でかかる医療費(食費除く)を、70歳未満と70歳以上に分けて見ていきます。

70歳未満の場合は約17万円

70歳未満の場合、一か月あたりの医療費自己負担額の上限は、以下のように定められています。

年間所得 自己負担額上限/月
901万円超 約26万円
600万~901万円 約17万円
210万~600万円 約9万円
210万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

国税庁によると、月20万円の年金収入がある場合の年間所得は142.5万円(240万×0.75-37.5万円)です。

これは上の表の「210万円以下」に該当しますから、一か月あたりの医療費自己負担額の上限は57,600円となります。

60日間(足掛け3ヶ月)入院した場合の医療費(食費を除く)は、70歳未満の方については約17万円(=57,600円/月×3月=172,800円)となります。

70歳以上の場合は13万円程度

70歳以上の場合、一か月あたりの医療費自己負担額の上限は、以下のように定められています。

2016-02-17_2009

月20万円の年金収入(年間所得142.5万円)は上の表の「一般所得者」に該当しますから、一か月当たりの医療費自己負担額上限は44,400円/月となります。

60日間(足掛け3ヶ月)入院した場合の医療費(食費を除く)は、約13万円(44,400×3月=133,200円)となります。

入院中の食費は約8万円

②入院中の食費についての患者自己負担額は、2018年以降、一食あたり460円となります。

一日3食で1,380円、60日なら82,400円です.

60日間入院しても、収入は減らない

給料や事業所得は働かないと得られない所得ですが、年金は働かなくても手に入る不労所得です。

年金生活者は働けないからと言って収入が減ることはありません。

60日間入院した時の収入減はゼロです。

逆に、60日間入院すると、普段の支出が4万円程度浮きます

普段の家計支出のうち、

  • 入院した人にかかるお小遣い
  • 外食代
  • 交通費やガソリン代
  • 家での食事にかかる食材費
  • 光熱費

などは、入院によってかからなくなります。つまり浮いてきます。

今回の試算では、これらの支出の合計が月々2万円、60日間(2か月)で4万円になるものとして計算します。

老後に60日間入院しても、損害は20万円を超えた程度で済む

入院によるダメージの各要素の計算が終わりました。合計してみましょう。

費目 70歳未満 70歳以上
+医療費 17.28 13.32
+食費 8.28 8.28
+収入減 0 0
-支出減 4 4
合計 21.56 17.60

最初にも言いましたが、老後に60日間入院しても、家計が受けるダメージは約20万円くらいなんですよ。

人並みに貯蓄があれば、保険がなくても老後に入院に十分対応できます。

定年後に備えて一般的な終身医療保険に入る必要はない

終身医療保険の保険料は、生涯で一人当たり約200万円、夫婦で約400万円にもなります。

その分を貯蓄しておけば、かなりの長期入院にも耐えられます。

医療保険で用意した資金は入院医療費にしか使えませんが、貯蓄で用意した資金は使い道自由です。

老後のリスクは入院リスクだけではありませんから、明らかに貯蓄の方がセーフティーネットとして優れていますよね。

保険は資金を用意する手段がほかにないときに、最後の手段としてしぶしぶ使うくらいがちょうどいいです。