定年後に備えて終身医療保険に入る必要性はあるのだろうか

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ウェブシュフ妻
収入が年金だけになってから医療費がかさんだらどうしよう。

こう考えて若いうちに終身医療保険に入ろうとする人がいます。少なくとも私の妻はかつてそうでした。

不安になる気持ちはわかるんですが、老後に備えて一般的な終身医療保険に入る必要はあまりなさそうです。

入院による損害などを調べればそれはよくわかります。

年金収入20万円/月の人が60日の入院で家計に受けるダメージの内訳

まずは年金生活者が入院した場合に家計が受けるダメージを調べてみましょう。

ここでは年金収入が月あたり20万円でそれ以外の収入が一切ない方について考えてみます。

①60日間の入院による医療費

60日間入院した時の医療費の額は以下の通りです。

年令 60日間の医療費
70歳未満 172,800
70歳以上 133,200

70歳未満の場合は17万円程度

年金生活となって無職になった後に加入する公的医療保険は国民健康保険です。

これは自営業者と同じです。高額療養費制度の基準も自営業者と同じということになります。

70歳未満なら、1月当たりの自己負担額上限は、所得別に以下のようになります。

年間所得 自己負担額上限/月
901万円超 約26万円
600万~901万円 約17万円
210万~600万円 約9万円
210万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

年金収入が月に20万円だと、年収は240万円ですが、所得はこの金額ではありません。

次の国税庁のページを見て所得を計算しましょう。

公的年金等に係る雑所得の速算表によると、所得は240万×0.75-37.5万円=142.5万円となります。

「年間所得210万円以下」ですから、高額療養費制度による1月当たりの自己負担額上限は57,600円となります。

60日間入院すると足掛け3ヶ月ということになりますから、そこでかかる医療費は57,600円×3=172,800です。

70歳以上の場合は13万円程度

70歳以上の場合は、1月当たりの医療費自己負担額上限は以下のようになります。

2016-02-17_2009

年金収入が月に20万円だと年収は240万円で年間所得が142.5万円ですから、1月当たりの医療費自己負担額上限は44,400円となります。

60日間(足掛け3ヶ月)入院すると、医療費は44,400×3=133,200円ということになります。

ちなみに、75歳以上となると国民健康保険から後期高齢者医療制度に移りますが、1月当たりの自己負担額上限はそれまでと変わりません。

②入院中の食費、③差額ベッド料金、④60日入院した時の収入減

②入院中の食費についての患者自己負担額は、2018年以降、一食あたり460円となります。一日3食で1,380円、60日で82,400円です.

③差額ベッド料金については、我が家は差額ベッドを使わない主義なので0として計算します。

④60日入院した時の収入減は年金生活者には発生しません。給料や事業所得は働かないと得られない所得ですが、年金は働かなくても手に入る不労所得だからです。

⑤60日入院した時の支出減

普段の家計支出のうち、

  • 入院した人にかかるお小遣い
  • 外食代
  • 交通費やガソリン代
  • 家での食事にかかる食材費
  • 光熱費

などは、入院によってかからなくなります。

入院によるダメージを計算するにあたってはこれらのお金が月々2万円、60日間(2か月)で4万円になるものとして計算します。

老後の60日入院によるダメージは、20万円を超えた程度

入院によるダメージの各要素の計算が終わりました。

合計してみましょう。

費目 70歳未満 70歳以上
+①医療費 17.28 13.32
+②食費 8.28 8.28
+③差額ベッド 0 0
+④収入減 0 0
-⑤支出減 4 4
合計 21.56 17.60

このように、老後に60日入院しても、家計が受けるダメージはせいぜい20万円くらいなんです。

人並みに貯蓄があれば老後に入院しても貯蓄で十分対応できます。

定年後に備えて一般的な終身医療保険に入る必要はない

実は、終身医療保険に入らず、その分を貯蓄しておけば、かなりの長期入院にも耐えられます。

終身保険に加入して一生で払い込む保険料は平均して200万円前後にもなります。

医療保険で用意した資金は使途が入院医療費に限られた資金ですが、貯蓄で用意した資金は使い道自由自在です。

老後のリスクは入院リスクだけではありませんから、明らかに貯蓄の方がセーフティーネットとして優れていますよね。

保険は資金を用意する手段がほかにないときに、最後の手段としてしぶしぶ使うくらいがちょうどいいです。

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