母子家庭(シングルマザー)に医療保険は必要か

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1級ファイナンシャルプランニング技能士の@web_shufuです。妻は公務員(教師)です。

夫婦とも職業柄、母子家庭や父子家庭などの一人親家庭の親御さんの悩みに直面することが多いです。

典型的な悩みの一つが、

もし私が入院したら、この子はどうやって生活すれば…

というものです。ついつい医療保険に入りたくなっても仕方ありません。

でも、ひとり親が医療保険に加入する必要性は、思ったほど高くないものです。

国や地方公共団体などによる一人親家庭への医療費支援は、とても充実しているからです。

子供に対する医療保険は不要

親について話をする前に、子供について話しておきますが、子供に医療保険を掛ける必要はありません。

ひとり親であろうとなかろうと、子供に対する医療費支援は充実しています。

保険診療分の自己負担は実質的にほとんどありません。

問題は親に医療保険が必要かどうか

続いて、親が医療保険に入る必要性を考えます。

ひとり親家庭では親御さんは働いていらっしゃるでしょうから、親御さんがサラリーマンである場合と自営業である場合とを考えます。

ひとり親への支援がなくとも医療保険加入の必要性は低い

月収30万円程度の方について、入院日数ごとの入院費用(単位:万円)を、差額ベッド料のかかる病室を使用しない前提で試算すると以下の様になります。

入院日数 60 120 180 360 540 720
会社員1 14 25 36 70 104 138
会社員2 44 70 97 180 267 470
公務員 26 57 112
自営業1 24 30 36 60 87 112
自営業2 84 150 217 420 627 830
  • 2行目以下の数字の単位は万円。いずれも入院前の月収は30万円。
  • 会社員1はシャープ健保加入の会社員
  • 会社員2は協会けんぽに加入する会社員
  • 公務員は三重県教職員の場合
  • 自営業1は入院中も収入がある自営業
  • 自営業2は入院中は無収入となる自営業

60日程度入院の入院なら、公務員やサラリーマンの方であれば、金銭的には大した損害ではありません。自営業の方もびっくりする損害金額ではありません。

ひとり親に対する支援制度がなくとも、60日以内の短期入院しか保障しないタイプの医療保険には加入の必要性があまり感じられませんね。

問題は長期入院の場合ですが、ここはひとり親の医療費を支援する仕組みをよく勉強したうえで、医療保意見が必要かどうかを考えましょう。

ひとり親の医療費は福祉医療費助成制度で手厚く支援されるため、医療保険の必要性はもっと下がる

ひとり親の医療費には福祉医療費助成制度という手厚い支援制度があります。

保険証のきく範囲であれば、診療費用のすべてを助成してくれます。

窓口では、通常の自己負担分(診療費用の3割)をいったん支払わなければなりませんが、自己負担分は後日すべて還付されます。

福祉医療費助成制度の対象となるのはこんなひとり親

私の住む伊賀市の場合、ひとり親に対する福祉医療費助成制度の対象者は、以下の様に決められています。

以下の1.~3.のすべてに該当する方。

1.次のア~エいずれかに該当する人

  • ア.母子家庭で養育されている18歳未満の子(*)とその母
  • イ.父子家庭で養育されている18歳未満の子(*)とその父
  • ウ.父または母のいない18歳未満の子(*)とその養育者
  • エ.父または母が重度の障がい(国民年金の障害等級1級程度)にある18歳未満の子(18歳に達する日以降の最初の3月31日までの子)とその父または母

2.健康保険に加入している人
3.本人および養育者および扶養義務者などの所得が、制限額表の所得額未満の人(伊賀市役所/福祉医療費(一人親家庭等)助成制度

伊賀市の所得制限は下記の通りです。この所得未満であれば福祉医療費助成制度の対象となります。

子供 一人親所得
0人 192万円
1人 230万円
2人 268万円
3人 306万円
4人 344万円
5人 382万円

社会保険料が給料の15%くらいだとすると、給与所得者の所得が268万円となる場合、年収は550万円以上です。

ひとり親の多くは、福祉医療費助成制度の対象となるでしょう。

福祉医療費助成制度の対象となれば、入院による損害はさらに少なくなります。

先程の「入院日数ごとの入院による損害金額」のうち、保険証のきく医療費(病院での食費を除く)は以下のとおりですが…

入院日数 60 120 180 360 540 720
一般企業社員 27 36 45 76 112 143
優良企業社員 8 13 18 33 48 63
公務員 2 3 4 7 10 13
自営業 27 36 45 76 112 143

福祉医療費助成制度の対象となるひとり親の場合は、これを全く負担しなくてもいいのです。

福祉医療費助成制度の対象となるひとり親が入院したときに家計が受ける損害金額(単位万円)を、入院日数ごとに試算すると次のようになります。

入院日数 60 120 180 360 540 720
一般企業社員 20 40 61 122 182 363
優良企業社員 9 18 27 55 83 111
公務員 0 0 0 37 74 135
自営業 60 120 181 362 542 723

自営業者が長期間入院した場合を除いて、大した損害金額ではないと思いますが、いかがでしょう。

ひとり親に医療保険は不要。保険に入るとしたら、就業不能保険。

私がひとり親の方から医療保険加入の是非を相談された際には、

ウェブシュフ
医療保険に回すお金があるなら、ほかに使った方がいいですよ

とアドバイスさせていただくことが多いです。

それでも不安なら、入院時の損害に備えて、保険を含めた相互扶助で対応することになります。

ただ、入院による損失額の大半は、就業不能によるものです。

これを保険でカバーするなら、本来は医療費を補償するための保険である医療保険よりも、就業不能保険の方が適していると思います。

ただ、就業不能保険の保険料は、個人的には結構高いと思います。

母子父子寡婦福祉資金制度でお金を借りることもできる

ひとり親の場合、かなり高所得の方を除いて、母子父子寡婦福祉資金制度でお金を借りることもできます。

ひとり親の入院対策は、お金以外をメインとするべき

ここまでは、入院に対するお金の備え(リスクファイナンシング)に焦点を当てて話してきました。

ウェブシュフ
ひとり親が入院した場合の金銭的な損害は大したことがない。保険は不要。貯蓄で備えよう。

というのが私の考えです。

ただ、万一に備えたリスクマネジメントの話で、いきなりお金の備えの話から入るのは間違っています。

  • そもそもリスクが発生しないようにする(リスクの回避)
  • それが無理でも発生頻度を下げる対策をする
  • 発生した場合の被害を抑える対策を取る

こういったリスクコントロールから考えるのが普通です。

ひとり親家庭で親の入院に備えて何か手を打つなら、お金の手当以外のことからするべきです。

子供に家事能力を身につけさせる

子供に任せられる家事を増やせば、それだけ親の入院によるダメージも減ります。

私の母は、私4歳・妹3歳の時に、2か月ほど入院しました。

母は、妹が小学生に上がると同時に、私たちきょうだいに家事ノルマを与え始めました。

風呂トイレ掃除、洗濯ものの取り込み・畳み、布団の上げ下ろし、夕食分のお米とぎ…などをきょうだいで分担・協力してすることになりました。

父にも、毎朝の掃除機かけ、洗濯物干しのノルマが降ってきました。

母親なりに「私がいなくなっても家事が回るように…」とリスクコントロールをしたわけです。

助けてもらえる人を作る

家事能力を子供に身につけさせると言っても、子供があまりにも小さなうちは無理です。

その場合は助けてくれる人を確保することが大事です。

一番良いのは、ひとり親自身の父母、子供にとっての祖父母に助けてもらうことです。

しかし祖父母を当てにできない場合はちょっと大変です。

児童相談所や乳児院の一時保護などを利用することになるかもしれません。

事前に役所に出向いて手続き・相談しておく

さて、リスクコントロールとして打つべき手を打ったら、リスクファイナンシングの出番です。

ひとり親の入院リスクに備えたリスクファイナンシングでは、先程話した福祉医療費助成制度の利用が一番重要です。

しかし事前に手続きをしないとこの制度は利用できません。

ひとり親が病気になってしまってから手続きをするのはとても大変です。

元気なうちに役所に出向き、万一の際に福祉医療費助成制度を利用するために必要な手続きを済ませておきましょう。

ついでにひとり親家庭が利用できる福祉資金貸付制度についても聞いておくと、万一の際にとても役立ちます。

まとめ

途中医療保険から脱線気味だったのでまとめます。

福祉医療費助成制度を利用する手続きをしておけば、ひとり親が入院しても入院費そのもので家計が破たんするようなことはありません。

もしそれでも心配なら、入院費用に備えて医療保険に入るのではなく、就業不能による収入減に備えて就業不能保険に入るべきだと思います。

というわけで、

ウェブシュフ
シングルマザーなどのひとり親が医療保険に入る必要性はあまりありません。

というのが私の結論です。

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