連載:医療保険は不要 第23回です。
前回は、 専業主婦(主夫)にも医療保険は不要 という話でした。
今回は子供の医療保険について書きます。
子供が生まれると「子供を医療保険に入れた方がいいのかしら…」と迷われる親御さんがいらっしゃいます。
我が家でも子供が欲しいと思っていたので、子供の医療保険加入の意義について調べました。
その結果、子供を医療保険に加入させる意義は乏しい、という結論に達しました。
我が家は夫婦ともアラフィフとなり、子供はもうあきらめましたが、これから子供を授かるご夫婦の参考になれば幸いです。
「不要な保険に敢えて入る意義」を考えることが大事
連載:医療保険は不要 の冒頭で書いたように、医療保険加入は自由(任意)、つまり不要です。
「自分にとっては入る意義がある」と思うなら医療保険に入ればいいし、そうでないなら医療保険に入らなければいいのです。
そこを意識しながら、以下をお読みください。
本記事中の入院費用試算の前提などについて
今回は、子供の入院費用について、
- 両親はともに月給30万円のサラリーマンとする
- 保険診療しか受けない
- 子供の普段の食費は24,000円/月とする
- 子供のお小遣い・習い事代をあわせて1万円とする
という条件で試算をし、それに基づいて医療保険に加入した方がいいかを考えます。
子供の入院費用は1万円/月もみておけば充分
子供が入院すると大変ですが、金銭的なダメージは大したことがありません。
入院費用は1万円/月もみておけば充分です。なぜそのようになるのか、以下で項目別に詳しく見ていきましょう。
入院中の医療費(保険適用分)は無料
子供が入院した時にかかる医療費ですが、保険適用部分については自己負担がゼロになります。
子供の医療費は福祉医療費助成制度の対象となっているため、手厚い支援が行われるんです。
福祉医療費助成制度は都道府県や市町村が運営する制度です。三重県の場合、
市および町が行う福祉医療費助成制度に対して補助金を交付しております(三重県|国民健康保険・後期高齢者医療制度:福祉医療費助成制度のご案内)
とのことであり、都道府県はお金を出すだけですが、市町村が主体となってしっかり運営されています。
伊賀市の場合、福祉医療費助成制度が助成してくれる医療費の範囲は、以下の通りです。
助成の対象となるもの
医療機関などで支払った金額のうち、保険適用となる医療費(入院・通院)
※端数処理の関係で、実際に支払った金額と10円未満の違いが生じる場合があります。
※ご加入の健康保険者の給付制度により、高額療養費や附加給付金が発生する場合は、実際の給付の有無にかかわらずその分を差し引いた額となります。
(高額療養費や附加給付金についてはご加入の健康保険者へ請求してください)(伊賀市役所/福祉医療費助成制度の概要)
要するに、子供の医療費で保険適用の対象となるものは自己負担ゼロなんです。つまり入院中の医療費は無料です。
窓口では、通常の自己負担分(未就学児が2割、小学生以上は3割)をいったん支払わなければなりませんが、自己負担分は後日すべて還付されます。
手続きを怠った人は恩恵を受けられない
福祉医療費助成制度はとてもありがたい仕組みですが、子供が生まれて資格を得たときに申請手続きをしておかないと、恩恵を受けることができません。
社会保険制度はなんでも申請しないと始まらないのがつらいところです。
伊賀市の場合、福祉医療費助成制度の対象となる資格がある子供は、以下の通りです。
伊賀市に住所がある子で、次の1~3のすべてに該当する子
(中略)
1. 15歳未満(15歳に達する日以降の最初の3月31日まで)の子〔中学校卒業までの子〕
2. 健康保険に加入している子
3. 保護者(父および母)の所得が、制限額表の所得額未満の子(伊賀市役所/福祉医療費(子ども)助成制度)
「15歳未満」の部分は自治体ごとに違います。
北海道の南富良野町は、子どもが大学生や専門学校生など就学中であれば、通院も入院も22歳まで医療費が無料(地域で異なる子どもの医療費助成制度 22歳まで医療費が無料の自治体もある|男の健康|ダイヤモンド・オンライン)
高所得者の子供は「無料」の対象外とされることが多い
福祉医療費助成制度の適用に際しては、親の所得による制限が掛けられる自治体もあります。
また、所得制限がある場合の制限内容も、自治体ごとに違います。
自治体に問い合わせて確認しておくべきですし、申請手続きが済んでいない方は、大急ぎで手続きしましょう。
食費も大したことがない
入院中の食費は一食460円、一日3食で1,380円、30日で41,400円です。
食費は福祉医療費助成制度の対象外です。。。
入院中の食費と普段の食費24,000円/月との差額が、食費についての入院費用となります。
17,000円/月ほどなので大したことはありませんが。
習い事の費用やお小遣い支出は入院よって減る
子供の入院中は、子供のお小遣いや子供の塾代・習い事費用は、支出しなくてよくなることが多いでしょう。
その分、子供が入院しても、金銭的なダメージが少なくて済みます。
子供が入院しても収入は減らない
働いている人が入院すると、入院で働けなくなることによる収入減少が、入院費用の多くを占めます。
しかし、子供は普段は働いていませんので、就業不能による収入減はゼロ円です。
そのうえ、子供が入院する確率は小さい
子供が入院する確率はとても小さいです。
平成26年(2014)患者調査の概況|厚生労働省で年齢別入院受療率を見てみましょう。
入院受療率は「ある特定の日において人口10万人中何人が入院しているか」を表すものです。
受療率
ある特定の日に疾病治療のために、すべての医療施設に入院あるいは通院、又は往診を受けた患者数と人口10万人との比率を「受療率」という。
患者調査によって、病院あるいは診療所に入院又は外来患者として治療のために通院した患者の全国推計患者数を把握し、「受療率」を算出する。(厚生労働統計に用いる主な比率及び用語の解説|厚生労働省)
0歳児を除き、子供の入院受療率は、25歳以上の大人のそれを大きく下回ります。
子供が入院したときの損害は小さく、入院する確率は低いわけです。
我が家としては、子供の入院に備えて保険に入る意味はないと判断しました。
子供の医療保険に回すお金があったら貯めておこう
医療保険は選択肢の一つではありますが、それを選択する必要まではありません。
よく考えずに、子供の入院に備えて医療保険に入ったり特約を付けたりされた方は、もう一度考え直したほうがいいと思います。
子供の入院リスクに備えるなら、保険に入ることよりも、次のようなことのほうが重要です。
- 福祉医療費助成制度を利用できるよう、抜かりなく手続きしておくこと
- 子供の看護に備えて、有給休暇や看護休暇を確保しておくこと
そのうえで、どうしても子供に医療保険をかけておきたいというなら、それも選択の一つでしょう。
ただ、私はあまりお勧めしませんけどね。