連載:医療保険は不要 第29回です。
前回は、高齢者の長期入院費用の自己負担分 についてでした。
今回は、平均入院日数の減少について書きます。

先日来、入院確率を調べていましたが、医療保険について考えるには入院日数も重要です。そこで年代別に平均入院日数を調べてみました。
直近のデータだけではなくここ数年の推移を調べたところ、「加齢とともに入院期間は伸びるが、近年は入院日数は明らかに減少傾向」であることがわかりました。
特に高齢者の入院日数の減少ぶりは顕著です。 (さらに…)
連載:医療保険は不要 第29回です。
前回は、高齢者の長期入院費用の自己負担分 についてでした。
今回は、平均入院日数の減少について書きます。

先日来、入院確率を調べていましたが、医療保険について考えるには入院日数も重要です。そこで年代別に平均入院日数を調べてみました。
直近のデータだけではなくここ数年の推移を調べたところ、「加齢とともに入院期間は伸びるが、近年は入院日数は明らかに減少傾向」であることがわかりました。
特に高齢者の入院日数の減少ぶりは顕著です。 (さらに…)
連載:医療保険は不要 第28回です。
前回は、終身医療保険は途中で解約しにくい~サンクコストの呪縛 でした。
今回は、老後の長期入院費の自己負担について書きます。

入院中の食費の自己負担について調べるうちに、健康保険法第八十五条が気になりました。
65歳以上の高齢者が長期入院すると、病室料金の自己負担が重くなるのです。
長期入院時の病室料金に限れば、若い人より高齢者の負担の方が重いのです。
とは言え、病室料金の自己負担は、若い時の長期入院による就業不能ダメージに比べれば、たいしたことはありません。 (さらに…)
連載:医療保険は不要 第27回です。
前回は、終身医療保険の「保険料は一生上がりません」はメリットではない という話でした。
今回は、うっかり終身医療保険に入ると「今やめたら損になる」という気持ちで途中解約しにくくなることについて書きます。

終身医療保険を途中解約すると、老後の保険料として前払いしている部分が、そっくりそのまま無駄になります。
そのため途中解約が出来ず、ずるずると保険料の無駄遣いを続ける可能性が高くなるのです。
この「今やめたら損になる」という気持ちは「サンクコストの呪縛(誤り)」というものです。
(さらに…)連載:医療保険は不要 第26回です。
前回は、定年後に医療保険は必要? という話をしました。
今回は、終身医療保険のCMで有名な「保険料は一生上がりません」にケチをつける回となります。

「保険料は一生上がりません」は、素晴らしくもなんともないものなんですよね。
老後に支払うべき高い保険料を、若いうちに前払いしているだけです。
将来の保険料を前払いすることによるデメリットも大きいです。
(さらに…)連載:医療保険は不要 第25回です。
前回は、母子家庭(シングルマザー)に医療保険は必要? という話でした。
今回は、老後の医療保険の必要性を考えます。

老後に平均的な年金収入を得ている場合、医療費の自己負担額はかなり低く済みます。
老後の医療費に備えて若いうちから終身医療保険に入る方もいますが、それって必要でしょうか?
私としては、終身医療保険はあまりおススメしません。
(さらに…)連載:医療保険は不要? 第24回です。
前回は、 子供に医療保険は不要 という話でした。
今回は、母子家庭(シングルマザー世帯)の医療保険について考えます。

ひとり親は「もし私が病気になったら、この子はどうやって生活すれば…」という悩みを持つものです。
ついつい医療保険に入りたくなるかも知れませんが、医療保険に入るべきかどうかは慎重に判断してください。
連載:医療保険は不要 の冒頭で書いたように、医療保険加入は自由(任意)、つまり不要です。
「自分にとっては入る意義がある」と思うなら医療保険に入ればいいし、そうでないなら医療保険に入らなければいいのです。
そこを意識しながら、以下をお読みください。
ひとり親家庭の医療費に対する公的支援はとても充実しています。
しかし、ひとまず、ひとり親への公的支援を抜きにして考えてみます。
親御さんが、サラリーマンである場合と、自営業である場合で入院費用を試算してみます。試算の方法は次の記事を参照してください。
月収30万円程度の方について、入院月数ごとの入院費用(単位:万円)を、保険診療しか受けない前提(差額ベッドなどは使わない前提)で試算すると以下の様になります。
| 入院月数 | 3 | 6 | 12 | 18 | 24 | 36 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 会社員1 | 68 | 112 | 200 | 301 | 415 | 657 |
| 会社員2 | 23 | 45 | 88 | 131 | 173 | 379 |
| 公務員 | -16 | -32 | -46 | -60 | -94 | -161 |
| 自営業1 | 126 | 230 | 438 | 659 | 805 | 1,111 |
| 自営業2 | 36 | 50 | 78 | 119 | 85 | 31 |
公務員の入院費用はマイナスです。つまり、公務員が入院すると、お金の出入りの上では儲かってしまいます。これはシングルマザー公務員でも同じことです。
会社員や自営業者については、ケガや病気が長引くと大変なケースもありますが、医療保険はいざというときに助けてくれません。
あえて医療保険に入る意義はあるでしょうか。
次に、ひとり親の医療費に対する公的支援を考慮してみましょう。
ひとり親の医療費に対しては、福祉医療費助成制度という手厚い公的支援があります。
ひとり親にかかる保険診療費用をすべて助成してくれます。
窓口ではいったん通常の自己負担分(診療費用の3割)を支払わなければなりませんが、自己負担分は後日すべて還付されます。
私の住む伊賀市の場合、ひとり親に対する福祉医療費助成制度の対象者は、以下のように決められています。
以下の1.~3.のすべてに該当する方。
1.次のア~エいずれかに該当する人
2.健康保険に加入している人
3.本人および養育者および扶養義務者などの所得が、制限額表の所得額未満の人(伊賀市役所/福祉医療費(一人親家庭等)助成制度)
※条件に「健康保険に加入している人」とあるので「国民健康保険や共済組合に加入している人はだめなんだ‥」と思って、電話で問い合わせたところ、国民健康保険や共済組合に加入していても対象となるようです。紛らわしい‥。
上記対象者は、以下の所得未満であれば、福祉医療費助成制度の対象となります。
| 子供 | 一人親所得 |
|---|---|
| 0人 | 192万円 |
| 1人 | 230万円 |
| 2人 | 268万円 |
| 3人 | 306万円 |
| 4人 | 344万円 |
| 5人 | 382万円 |
例えば、子供が二人いるひとり親の場合、1年間の所得が268万円以下であれば、保険診療の費用が無料になります。
1年間の所得が268万円になる給与収入は、色々考えられますが、おおむね500万円台から600万円台です。
ひとり親の多くは福祉医療費助成制度の対象となるでしょう。
先程の「入院月数ごとの入院費用」のうち、医療費(保険診療費用自己負担分のみ。単位:万円)は以下の通りです。
| 3 | 6 | 12 | 18 | 24 | 36 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般会社員 | 36 | 49 | 76 | 116 | 143 | 210 |
| シャープ | 10 | 18 | 33 | 48 | 63 | 93 |
| 公務員 | 2 | 4 | 7 | 10 | 13 | 19 |
| 自営業1 | 36 | 49 | 76 | 116 | 143 | 210 |
| 自営業2 | 36 | 49 | 76 | 116 | 143 | 210 |
ひとり親が福祉医療費助成制度の対象となった場合は、これを全く負担しなくてもいいのです。
そのため、ひとり親が福祉医療費助成制度の対象となると、入院費用(単位:万円)は次のようになります。
| 入院月数 | 3 | 6 | 12 | 18 | 24 | 36 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般会社員 | 32 | 63 | 124 | 185 | 272 | 448 |
| シャープ | 13 | 27 | 55 | 83 | 111 | 286 |
| 公務員 | -18 | -35 | -52 | -69 | -106 | -180 |
| 自営業1 | 90 | 181 | 362 | 543 | 662 | 901 |
| 自営業2 | 0 | 1 | 2 | 3 | -58 | -179 |
大した損害金額ではないと思いますが、いかがでしょう。
損害が大きかったとしても、ケガや病気に対して医療保険で備えたところで、いざというときには助けてもらえないことが多いんですけどね。
結局、ひとり親が医療保険に加入する意義は、薄いと言わざるを得ません。
どうしても不安だから保険で備えたい‥という方には、医療保険よりは、就業不能保険(または所得補償保険)をすすめます。
入院による損失額の大半は、就業不能によるものです。
入院医療費を補償する医療保険よりも、入院による収入減少を手当てする就業不能保険(または所得補償保険)の方がいいと思います。
とはいえ、就業不能保険(または所得補償保険)も必要とまでは言えず、保険金をもらうためにはかなり厳しい条件をクリアしなければならないものも多いです。
就業不能保険(または所得補償保険)への加入は、慎重に検討して下さい。
ひとり親の場合、かなり高所得の方を除いて、母子父子寡婦福祉資金制度でお金を借りることもできます。
かなりの低利融資ですから、医療保険に入るより有利です。
ここまでは、入院費用を賄うための資金手当に焦点を当てて話してきました。
ひとり親が入院した場合の金銭的な損害は大したことがありません。
入院時の資金手当ては、保険よりも、貯蓄や借入を優先して考えるべきです。
ただ、万一に備えたリスクマネジメントで、資金手当から考えるのは間違っています。
こういったリスクコントロールから考えるのが普通です。
ひとり親家庭で親の入院に備えて何か手を打つなら、お金の手当以外のことからするべきです。
子供に任せられる家事を増やせば、その分、親の入院によるダメージも減ります。
私の母は、私4歳・妹3歳の時に、2か月ほど入院しました。
母は、妹が小学生に上がると同時に、私たちきょうだいに家事ノルマを与え始めました。
風呂トイレ掃除、洗濯ものの取り込み・畳み、布団の上げ下ろし、夕食分のお米とぎ…などをきょうだいで分担・協力してすることになりました。
父にも、毎朝の掃除機かけ、洗濯物干しのノルマが降ってきました。
母親なりに「私がいなくなっても家事が回るように…」とリスクコントロールをしたわけです。
入院うんぬんは抜きにしても、子供に家事をさせるのは悪くないですよね。
家事能力を子供に身につけさせると言っても、子供があまりにも小さなうちは無理です。
その場合は助けてくれる人を確保することが大事です。
一番良いのは、ひとり親自身の父母、子供にとっての祖父母に助けてもらうことです。
しかし祖父母を当てにできない場合はちょっと大変です。
児童相談所や乳児院の一時保護などを利用することになるかもしれません。
医療保険に入る前に、こういった制度を利用する準備をすることから始めてはいかがでしょうか。
さて、リスクコントロールとして打つべき手を打ったら、次は資金の手当てです。
保険も資金手当の一つですが、保険料という高いコストがかかるので、他の手段から検討するべきです。
ひとり親の入院リスクに備えた資金手当ては、先ほど話した福祉医療費助成制度の利用が一番重要です。
しかし、手続きをしないことには、この制度は利用できません。
ひとり親が病気になってしまってから手続きをするのはとても大変です。
元気なうちに役所に出向き、万一の際には福祉医療費助成制度を利用できるよう、必要な手続きを済ませておきましょう。
ついでに、ひとり親家庭が利用できる福祉資金貸付制度についても聞いておくと、万一の際にとても役立ちます。
途中、医療保険から脱線気味だったのでまとめます。
福祉医療費助成制度を利用する手続きをしておけば、ひとり親が入院しても入院費用そのもので家計が破たんするようなことはありません。
もしそれでも心配でどうしても保険に入りたいなら、入院費用に備えて医療保険に入るのではなく、就業不能による収入減に備えて就業不能保険に入るべきだと思います。
しかし‥
しかし、保険でカバーできる原因による家計破綻よりは、他の原因による家計破綻のほうを心配すべきであり、そのあたりのバランスをとることが重要です。
というわけで、シングルマザーなどのひとり親が医療保険に入る必要はありません。
あと、シングルマザーの方の入院体験記も見つけました
是非是非参考にして下さい。
連載:医療保険は不要 第23回です。
前回は、 専業主婦(主夫)にも医療保険は不要 という話でした。
今回は子供の医療保険について書きます。
子供が生まれると「子供を医療保険に入れた方がいいのかしら…」と迷われる親御さんがいらっしゃいます。
我が家でも子供が欲しいと思っていたので、子供の医療保険加入の意義について調べました。
その結果、子供を医療保険に加入させる意義は乏しい、という結論に達しました。
我が家は夫婦ともアラフィフとなり、子供はもうあきらめましたが、これから子供を授かるご夫婦の参考になれば幸いです。
(さらに…)連載:医療保険は不要 第22回です。
前回は、 月間所得30万円の自営業者にも医療保険は不要 という話でした。
今回は、専業主婦(主夫)にとって、医療保険に加入する必要があるかどうかを考えます。
(さらに…)連載:医療保険は不要? 第20回です。
前回は、教師や公務員に医療保険は不要!充実の福利厚生で医療費の自己負担はかなり安く済む でした。
今回は、サラリーマンにとっての医療保険加入の意義を考えます。

サラリーマンは医療保険に入っていても救われません。
医療保険に入るくらいなら、所得補償保険や就業不能保険に入るべきです。
その理由をお話します。
(さらに…)連載:医療保険は不要 第19回です。
前回は、「入院費用の平均は1日23,000円」に騙されてはいけない ということについて書きました。
今回からは、シチュエーション別に、医療保険に加入する意義を検討していきます。
今回は、教師や公務員にとっての、医療保険加入のメリットを考えます。
