HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

教師や公務員に医療保険は不要!加入のメリットは小!福利厚生は手厚いです。

連載:医療保険は不要 第19回です。

前回は、「入院費用の平均は1日23,000円」に騙されてはいけない ということについて書きました。

今回からは、シチュエーション別に、医療保険に加入する意義を検討していきます。

今回は、教師や公務員にとっての、医療保険加入のメリットを考えます。

「不要」だから「保険に入る意義」について考えることが大事

連載:医療保険は不要 の冒頭で書いたように、明らかに、医療保険は不要です。

ですから、「自分にとっては入るメリットが大きい」と思うなら医療保険に入ればいいし、そうでないなら医療保険に入らなければいいのです。

ところで、三重県の公立学校教師が入院すると、入院費用がかさむどころか、かえって儲かります。

他の都道府県の公立学校教師や私立学校の教師も、入院費用の自己負担はとても低い水準に抑えられています。

そういう方々が、あえて保険に入るメリットはあるのでしょうか?

その点を考えながら、以下、お読みいただけると幸いです。

教師や公務員の入院医療費の自己負担額は驚くほど少ない

まず頭に入れなれけばならないのは、三重県公立学校教師の入院医療費の自己負担額は驚くほど少ないという事実です。

医療費の自己負担割合は原則として3割です。残りは公的医療保険から支払われます。

その上、高額療養費制度によって、保険診療の医療費のうち一定額を超えた部分については自己負担割合が1%または0%に下がります。

さらに、公務員・教師の加入する共済組合では、高額療養費制度に上乗せする形で手厚い補償(付加給付)を行っています。

さらにさらに、三重県公立学校教師に対しては、教職員互助会からの医療費補助も充実しています。保険診療の医療費については1ヶ月の自己負担額が5,100円を超えない水準に抑えられます。

さらにさらにさらに、入院1日あたり2,000円の会員入院療養付加金までもらえますね。。。

さらにさらにさらに、公務員の多くは退職者向けの互助会があり、定年後の医療費についても、互助会からある程度の援助が受けられます。

三重県の公立学校教職員以外でも、公務員や教師は福利厚生や医療費補助が充実しているために、医療費の自己負担がとても少なくて済むケースが多いです。

教師や公務員は、病気休業中の所得補償も充実

三重県公立学校教師が病気で休業しても、1年半は給料支給、その後2年間は傷病手当金等が貰えます。一般の方に比べて恵まれた給付水準です。

さらに、休業期間の大半について、1日あたり1,000円の療養補助金をもらえます。

他の公務員の方も、勤務先によって多少ばらつきはあるとはいえ、一般の方に比べて恵まれた傷病手当金・見舞金を貰えます。

医療保険に入る意義は見当たりません。

保険診療しか受けないなら、教師や公務員が医療保険に入る意義は薄い

夫婦で検討の結果、我が家では「保険診療しか受けないなら、教師や公務員が医療保険に入る意味は見出しにくいよね。。。」という結論を出しました。

現役時代に入院すると儲かる!保険診療に備えて医療保険に入る意義は薄い

教師や公務員は、高額療養費制度の付加給付や互助会からの給付が充実しています。

例えば、月給30万円、お小遣いひと月1万円、食費ひと月3万円、交通費ゼロの三重県公立学校教師が入院した場合、入院月数と入院費用の関係は次のようになります。

※ここでは、入院費用を「入院による家計のダメージ」という意味で使っています。

なんと!三重県公立学校教師が入院すると儲かります。

入院1日あたり2,000円の会員入院療養付加金が大きいです。1ヶ月で6万円もらえるということですね。

教師になるなら絶対に三重県ですね。

とは言え、儲かるのは差額ベッドを使わない場合の話です。差額ベッドを使うとこんな儲けは吹っ飛んでしまいますけどね。

三重県公立学校教師は、定年までは、医療保険に入る意義は薄いです。

三重県の教師ほど恵まれている人は少ないでしょうけど、他の教師や公務員の方も、現役の間は、医療保険に入る意義は見出しにくいと思いますよ。

定年後も医療費で家計が破滅するとは考えにくい

公務員や教師が現役の間は医療保険に入る意義は薄いですが、定年後についてはどうでしょうか。

退職して年金生活になった後、ひと月当たりの医療費が最大でどれくらいになるかは、やはり高額療養費制度を調べればわかります。

定年まで教師だった人が年金生活に入ると、下の表の区分エ(年間所得210万円以下)に該当することが多いです。この場合、月当たりの医療費の上限は57,600円です。

1年間入院し続けても、医療費の自己負担は70万円未満だとわかります。

次に、70歳以上になった場合ですが、下記「一般」に該当することが多いです。月当たりの医療費の上限は、これもまた57,600円ですね。

1年間入院し続けても、医療費の自己負担は70万円未満です。

以上のことから、夫婦とも教員の場合「老後の医療費が家計を破滅させる」ことなど考えにくいです。

入院期間は想像以上に短い

先程、1年間入院しても大丈夫という話をしましたが、実は1年入院することなどめったにありません。

生命保険文化センターのデータからも、ガンですら入院期間は意外に短く、精神疾患でもない限り、入院は長期化しにくいことがわかります。

精神疾患の入院が長期化しているのは、患者の家族が患者を精神病院に閉じ込めるような形で入院させているケースが多いからです。

今は精神疾患も在宅医療が中心です。

精神疾患の在宅医療に対しては、高額療養費制度に加えて、さらに手厚い支援システムがあります。

まず、医療費自己負担額抑制システム(自立支援医療)が用意されています。

統合失調症などで、医療費が高額な治療を長期間にわたり続けなければならない場合は、月々の医療費自己負担額の上限は20,000円に抑えられます。

また、医療費が高額な治療を長期間にわたり続けなければならない場合は、月々26,000円の特別障害者手当も受給可能です。

このあたりを考慮すると、たとえ治療が長期に渡る精神疾患に罹ったとしても、「老後の医療費が家計を破滅させる」ケースは考えにくいです。

医療保険に一切加入しないという選択は合理的

結局のところ、老後の医療費が家計を破滅させるケースはとても考えにくいです。

老後の医療費支出は「めったに起きないものの、ひとたび起きれば家計を破滅に至らしめるような事故」ではありません。

入院リスクを考慮した上で医療保険に一切加入しないというのは、合理的です。

先進医療など、保険証の効かない医療を受けたいなら、保険をかけるかどうか迷うところ。

保険証のきく範囲でのみ医療を受ける場合は、老後の医療費が家計を破滅させるようなことは考えにくいです。

しかし先進医療に頼るとなると話は別です。先進医療は全額自己負担だからです。

先進医療は未だ安全性と信頼性が確立されていない治療法。先進医療に頼るしか病気の治療手段がないというケースは滅多にないです。

先進医療には、自己負担額が数百万円に上るケースがありますが、三重県公立学校教師は低金利の生活貸付を200万円まで借りることが出来ます。

自分の貯蓄と親族からの援助(借入含む)を合わせれば乗り切れなくはないですよね。

我が家でも今は「先進医療分の数百万円は痛いけど何とかなるかな。」ということで先進医療に保険は掛けていません。

ただ、先進医療に備えて保険に入りたい気持ちはわかります。以前の我が家がそうでしたから。

医療保険を検討するなら一般の商品よりも、団体保険を優先するべき

先進医療に備える目的等で、もし敢えて医療保険に入るなら、少しでもリーズナブルなものに入りたいところです。

そのためには、広く宣伝されている一般向け保険商品ではなく、団体保険を優先して医療保険を探すことです。

公立学校の教職員をはじめとする公務員には、民間共済や民間保険会社から、一般商品より条件のいい団体保険商品がたくさん出ています。

我が家も教職員共済の団体医療共済「トリプルガード」を使っていました

団体保険商品の中から我が家が選んでいたのが、教職員共済の団体医療共済「トリプルガード」です。

トリプルガードは教員の配偶者も加入可能なので、妻だけでなく私も一緒に加入しました。

今は解約しましたが、医療保険に入るとするなら、今でも「トリプルガード」を選びます。

40歳未満の方なら、年額保険料2,240円で、1,000万円まで保障してくれる先進医療特約がつけられます。(保険料と保障内容は教職員共済発行の共済のてびきに基づいています)

補償内容保険料
入院保障日額1,000円年額1,300円
先進医療特約1,000万円年額940円

先進医療特約だけを契約することは出来ません。本体の入院保障にも最低一口(日額1,000円)分だけは加入しないといけません。そこはしぶしぶ加入していました。

41~60歳の場合の保険料は以下の通りです。

補償内容保険料
入院保障日額1,000円年額2,950円
先進医療特約1,000万円年額940円

一人当たりの年額保険料は3,890円、夫婦合計で年額7,780円ですね。

教師の方に「どの医療保険がいい?」と尋ねられたら、「トリプルガードで入院保障日額1,000円と先進医療特約を組み合わせて加入するのが一番。」と回答させて頂いています。

とはいえ、ベストな保険商品は家計の状態と価値観次第でいくらでも変わるので、その点も併せてお伝えさせていただくのですが。

「トリプルガード」は90歳まで加入可能

「トリプルガード」は90歳まで加入可能です。60歳以降は保険料がぐんと高くなるのですが、それでも十分加入可能な金額です。

入院保障日額1,000円の保険料、先進医療特約1,000万円の保険料を、加入者の年齢別に整理すると以下のようになります。

年齢入院保障日額1,000円先進医療特約1,000万円
~40歳年額1,300年額940円
41歳~60歳年額2,950年額940円
61歳~70歳年額8,440年額940円
71歳~75歳年額14,340年額940円
76歳~80歳年額19,450年額940円
81歳~85歳年額22,080年額940円
86歳~90歳年額26,640年額940円

高齢になってからでも、保険料が高すぎて加入できないというほどではないですよね。

高齢になった時に比較的安価な保険料で高額な医療費の出費に備えることができるという点が、「トリプルガード」の魅力だと思います。


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