医療保険を検討する際には「入院費用の平均は1日2万円」に騙されてはいけない。

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保険営業マンには「入院費用の平均は1日2万円」だと主張して医療保険の勧誘をする人がいるようです。

「入院費用の平均は1日2万円」の根拠は、生命保険業界の息がかかった生命保険文化センターが出したレポートです。

自己負担費用の総額を入院日数で除した1日あたりの自己負担費用*は、平均で19,800円となっている。(中略)*サンプルごとに算出したものの平均値(生命保険文化センターの平成28年度生活保障に関する調査

しかし「1日あたりの自己負担費用は、平均で19,800円」は、医療保険が必要かどうかを判断する際にはほとんど役に立ちません。

以下でその理由を説明しますので、「入院費用の平均は1日2万円」と言うフレーズが聞こえてきても、聞き流してください。

2万円は入院時の支出であって入院費用ではない。

生命保険文化センターの言う「自己負担費用は2万円」というのは、入院による支出をアンケートで調べて集計したものです。入院時の家計支出についての下の図で言うと、赤い部分の一部を調べたものです。

しかし、入院時に調達しなければいけないのは、緑矢印の入院費用の部分です。

入院費用(緑矢印)は入院時の家計支出(赤い部分)から普段の家計支出(青い部分)を差し引いて求めます。

生命保険文化センターの言う「自己負担費用は2万円」は青い部分を差し引いていません。アンケートで質問してもいません。

「自己負担費用は2万円」は医療保険の必要性を検討する上では、そのまま使うことができない数字なのです。

厚生労働省のデータとぜんぜん違う内容

生命保険文化センターの「1日あたりの自己負担費用は、平均で19,800円」はあまりに酷いです。

そのためか、一部の生命保険会社は、生命保険文化センターの調査結果を利用していません。「入院1日あたりの自己負担費用の平均」を独自に計算しています。

例えば、アクサ生命の計算は、生命保険文化センターに比べればきちんとしています。

自己負担額を合計すると、必要な金額は1日あたり約10,100円(*2)+αが目安です。(もしも入院したらどのくらい費用がかかる?|アクサ生命保険)

10,100円は厚生労働省の調査に基づいて試算したものです。

① 治療費1日平均(推計)2,942円
厚生労働省「平成25年 医療給付実態調査」をもとにアクサ生命が計算。(推計平均在院日数31.59日、推計1入院あたり医療費総額1,005,169円。高額療養費制度適用後(70歳未満・所得区分「年収 約370万円~約770万円」、月初から入院された場合)の金額)
② 差額ベッド代(推計)6,129円
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」1日当たり徴収額金額階級別病床数 平成26年7月1日現在(平成27年10月14日総会資料) 
③ 食事代などの一部負担 1日3食1,080円
実際の負担金額は年齢や所得によって異なります。(もしも入院したらどのくらい費用がかかる?|アクサ生命保険)

とは言え「食事代などの一部負担」は古い情報です。

入院中の食事代の自己負担は、2018年以降は1食あたり460円、1日3食で1,380円です。その部分は訂正しないといけません。

アクサ生命による「入院1日あたりの自己負担費用」の試算を、適切に補正して表の形式でまとめると次のようになります。

費目 金額
治療費 2,942円
差額ベッド 6,129円
食事代 1,380円
合計 10,400円

入院1日あたりの自己負担は、差額ベッド代と食事代込みで約10,400円。

アクサの試算は、生命保険文化センターの試算よりは、きちんとしています。

しかし、アクサの言う「入院1日あたり約10,400円が必要」を鵜呑みにしてはいけません。

差額ベッドの利用を自ら希望しなければ、差額ベッド代約6000円は入院費用に含まれない

まず、アクサの言う10,400円のうち6129円は差額ベッド代です。

差額ベッドの利用を自ら希望しない人は、差額ベッド代は不要です。

入院1日あたりの自己負担には差額ベッド代を含めなくていいです。

入院中の食事代1,380円/日のうち、普段の食事代との差額だけが入院費用となる。

食事代は入院してもしなくてもかかるものです。

病院に支払う食事代として1,380円計上されていますが、これは入院によって発生した費用ではありません。

食費の支払先は、普段はスーパーやコンビニ・外食産業ですが、入院時には病院に変わります。入院で食費の支払先が変わるだけです。

外食が多い方の場合、入院によって食費が安くなることすらあります。

医療保険を検討するなら、入院によって新たにかかる費用だけを集計するべきであり、食費1,380円/日の全額を入院費用に含めるのはおかしいですよね。

入院時の食費1,380円/日から普段の食費を差し引いた分だけを、入院費用として計上するべきです。

保険診療しか受けない場合、入院1日あたりの実際の自己負担は3000円程度となる

ここで、アクサ生命による「入院1日あたりの自己負担費用」の試算をまとめた表を、もう一度見てみましょう。

費目 金額
治療費 2,942円
差額ベッド 6,129円
食事代 1,380円
合計 10,400円

費目のうち差額ベッド代と食事代は「入院1日あたりの自己負担費用」に含める必要はありません。

すると「入院1日あたりの自己負担費用」は約3,000円です。ひと月あたり約9万円です。これは生命保険文化センターの言う「入院費用の平均は1日2万円」の1/6未満です。

もっとも、ひと月の入院であっても足掛け2ヶ月になる場合は、「入院1日あたりの自己負担費用」は約6,000円(ひと月あたり約18万円)と考えなければならないんですけどね。

それでも、生命保険文化センターの言う「入院費用の平均は1日2万円」の1/3未満です。

医療保険を検討する際に、世間の平均を見ても意味はない。

生命保険文化センターのデータがいい加減だという話をココまで長々としてきました。

しかし、そもそも医療保険の検討に平均値を使っている事自体がおかしいです。

いま問題なのは、世の中全体の入院費用ではなく、自分自身の入院費用です。

平均を根拠にするのではなく、家計簿とライフプラン表を見ながら自分の実情に合わせて、入院費用を見積もるべきですよね。

保険営業マンやFPの方には「我が家の家計とライフプランから言えば、入院費用はどれくらいになりますか?」と尋ねてみましょう。

ここでろくな返答ができない保険営業マン・FPなら、保険に関するお付き合いはやめたほうが良いですね。

販売者側が提示するデータを鵜呑みにしてはいけない。

医療保険に限ったことではありませんが、販売者側の提示するデータは、販売者側にとって都合の良く歪められていることがあります。

鵜呑みにせずによくよく吟味するようにしてください。

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