入院中の食事の自己負担は3割で済まないうえ値上がり傾向

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健康保険法85条により、入院中の食費は、「入院時食事療養費」の支給という別の形で、公的医療保険(健康保険や国民健康保険)から一部を補償されます。

しかし、入院中の食費の自己負担は3割ではすみません。

  • どの程度補償されるのか
  • どうして「自己負担3割」の対象ではないのか

などを調べました。


入院時食事療養費支給の流れ

「入院時にかかった実際の食費」と「国の定めた基準額(2015年現在は640円)」のうちより低いほうの金額と、260円との差額が、一食当たりの入院時食事療養費となります。

260円というのは、総務省の「家計調査」等に基づき「平均的な家計における食費(1食分)」として国が決めた金額です。

これを食事療養標準負担額といい、入院患者の自己負担額となります。

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上の図は、一食当たりの自己負担額と、入院時食事療養費の支給額を図示したものです。

一日当たりの食費自己負担額は、260円×3食で780円ということになります。

入院時食事療養費は、患者が加入する公的医療保険から入院先の病院に直接支給されます(現物給付)。

低所得者への配慮

高所得者から低所得者まで一律の食事療養標準負担額を自己負担させるのは、社会保障の一環として運営されている公的医療保険としてはあまり望ましくありません。

実際の食事療養標準負担額は、低所得者に配慮したものになっています。

住民税非課税世帯に対する食事療養標準負担額は以下の通りです。

属性 1食 1日
入院90日以下 210円 630円
入院90日超 160円 480円
70歳以上で特に低所得 100円 300円

入院時の食費は高額療養費の対象とはならない

入院時の食費については、食事療養標準負担額を自己負担するのですが、これは残念ながら高額療養費の計算に含める事ができません。

入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。(高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局


確定申告時の医療費控除の対象にはなる

入院時の食費の自己負担分は、確定申告時の医療費控除の計算の対象にはなります。

病院に支払う入院患者の食事代は、いわゆる入院費用の一部であり、入院の対価として支払われるものですので、通常必要なものに限り、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-3)。
(注) 病室に出前をとったり外食をした場合の食事代や、おやつ代など、病院から給付される食事以外の食事の費用は、入院の対価には当たらないことから、医療費控除の対象とはなりません。(入院患者の食事代|所得税目次一覧|国税庁

入院中の食事は1994年に療養の給付の対象から外された

昔は入院中の食事も療養の給付の対象とされていました。

療養の給付の対象なら、現役世代の自己負担は3割です。入院中の食費の自己負担額は一食当たり192円(=640円×3割)以下ということになります。

しかし、入院中の食費については、1994年に「療養の給付」の対象から外され、新しく作られた「入院時食事療養費」の支給対象とされ、自己負担割合が引き上げられることになりました。

「療養の給付」の対象から外された理由は、在宅療養者との公平を図るため

入院中の食費が「療養の給付」の対象から外されたのは、在宅療養患者と入院療養患者の間で、食費の負担を巡る不公平があったからです。

在宅療養患者の食費は全額が患者の自己負担です。

一方、入院療養患者に対する食費は、医療の一部とされて自己負担割合は低く抑えられてきました。

同じように療養しているのに、食費に関する負担が違いすぎて不公平ですね。

食費のうち材料費相当分は医療サービスに含まれないという考え方

考えてみれば、食事というのは、入院しなくても生きている限り必要なものです。

しかし、病院で提供される給食は、療養のために栄養バランス等が考慮されるなど、在宅療養者の自炊による食事に比べて手がかかったものになっているのも事実です。

この余分に手がかかっている部分のみのを医療サービスとみなし、「在宅療養者の自炊でもかかってしまうような費用(材料費相当分)については、医療サービスには含めずに患者の自己負担にしよう」というのが、入院時食事療養費制度の趣旨です。

入院時の食費の自己負担はさらに値上がり傾向にある

「在宅療養者の自炊でもかかってしまうような費用(材料費相当分)については、医療サービスには含めずに患者の自己負担にしよう」という趣旨に沿って、入院中の食費の自己負担額はさらに引き上げられる傾向にあります。

2016年には1食あたり360年に値上がりし、2018年にはさらに大幅な引き上げが予定されています。

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厚生労働省-270619_市町村セミナー資料によると、食事療養標準負担額(入院時の給食一食当たりの自己負担額、低所得者を除く)は、2016年度には360円に、2018年度には460円に引き上げられます。

調理費相当分も自己負担の対象に

今回の引き上げの趣旨は、材料費相当分に加えて、新たに調理費相当分も自己負担の対象にすることです。

これまでは、材料費相当分しか自己負担の対象としていなかったので、結果として調理費に対して入院時食事療養費が支給される形になっていました。

でも考えてみれば、調理費も材料費と同様、在宅療養者の自炊でもかかってしまうような費用です。

調理費相当分を入院時食事療養費の対象とするのは、理屈の上ではおかしいですよね。

入院時のコスト計算では食費負担も忘れずに

医療保険を検討するなら、入院時のコストに食費も入れて計算しなければなりません。

我が家では、色々なケースについて、入院時のコスト計算をしております。

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