連載:医療保険は不要 第11回です。
前回は、妊娠出産費用に対する公的医療保険の保障内容 について書きました。
今回からは差額ベッドについて書きます。
4人部屋でも差額ベッド代がかかることがあるってご存知でしたか?
差額ベッドとは「特別な療養環境」のこと
厚生労働省の定義によれば、差額ベッドは特別な療養環境を備えた病室(特別療養環境室)のことです。
それに対する料金が「差額ベッド代(料)」です。「差額室料」「室料差額」などと言われることもあります。
差額ベッド代には保険証が効きませんので高額療養費の対象外です。
差額ベッド代は入院費用を膨張させる元凶です。
差額ベッドはそこまで豪華な部屋ばかりではない
差額ベッドは「特別な療養環境」のことなのですから、お金持ちが使う豪華な部屋のように思えます。しかし実はそんなに豪華な部屋ばかりではないのです。
厚生労働省の文書によると、「特別な療養環境」の条件は…
- 1部屋のベッド数が4つ以下
- 部屋の広さは、(病室の定員)×6.4㎡以上
- プライバシー確保(カーテンによる仕切りなど)
- 個人用収納、照明、小机、椅子完備
これだけです。
カーテンで仕切られた4人部屋でも差額ベッドとなりうる
ですから、
- 4人部屋
- 部屋の広さが14畳(≒26㎡>4人×6.4㎡)
- カーテンでプライバシー確保
- 収納、照明、小机、椅子はあるけど、テレビもネットも使えない
という、大部屋に毛が生えたレベルの部屋でも差額ベッド代を徴収することは可能です。
ちなみに、下の写真はカーテンを閉めた状態で大部屋のベッドから撮られた写真です。
これと比べて少し広いだけの部屋でも差額ベッド代がかかる可能性があるのですから、「えっ、こんな部屋で差額ベッド代がかかっちゃうの?」ということもよくあります。
差額ベッドの約2/3は個室ですが4人部屋も1割以上あり
実際、厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」で、差額ベッド(特別療養環境室)の定員を調べると…
差額ベッドの約2/3は個室ですが残りは相部屋です。4人部屋が14%もありますね。
とは言え、一般病室と比べて特別な環境が整えられているという建前があるので、それ相応の料金(差額ベッド代)が必要です。
差額ベッドは療養上必要不可欠というものではない
差額ベッドと言っても、その環境はそれぞれで、とても差が大きいという話をしてきました。
ところで、入院中に差額ベットを使って環境を良くすることは、それほど重要なのでしょうか 。
私は2回入院したことがありますが、別に大部屋でもさほど不快では有りませんでした。
差額ベッドを使っても病気ではその良さは味わえない
1回目の入院は1泊2日の検査入院でした。夜入院して朝には退院しました。
私は大部屋希望だったのに、入院した部屋は差額ベッドでした。
確かに部屋は快適だったはずですが、体中に検査機器をつけて横たわっているので、差額ベッドの良さなど実感できませんでした。
なお、大部屋が空いてないために病院都合で差額ベッドに収容されることになったので、差額ベッド代は請求されませんでした。
大部屋でも耳栓があればそこそこ快適
私の2回目の入院は盲腸によるものでした。差額ベッドのお誘いなどなく、大部屋に担ぎ込まれました。
最初の日は虫垂炎の痛みがひどすぎて、周囲の環境は全く気になりませんでした。
次の日に手術を受けたのですが、今度は手術の傷口の痛みがかなりあったので、やはり周囲は気になりませんでした。
4日目には傷口の痛みが少し治まってきて、それとともに多少周囲のことも気になり始めました。
確かに周りの患者さんの中には、いびきが大きい人、咳き込む人、おならをする人がいらっしゃいます。
私もそれらの音が多少気になるようになりましたので、耳栓ををするようになりました。
いびきや咳やおならは耳栓をしていれば全く気になりませんでしたし、眠ってしまえばこっちのもの。
次に入院することがあっても、耳栓とPCその他の暇つぶし道具があれば、大部屋でも特にストレスなく過ごせる自信があります。
差額ベッドはなるべく利用しないようにしたい
医療保険の必要性を検討するには、差額ベッドを使うかどうかを決めなければいけません。入院費用に大きく影響するからです。
差額ベッドを使うかどうかは人それぞれと言うしかありませんが、私としては使わない方向で検討することをお勧めします。
差額ベッドは、個室から4人部屋までその環境はピンキリ。料金水準も当然ピンキリとなります。
そのため、差額ベッドを使うことにすると、入院した場合の資金計画がとても立てにくいんです。
差額ベットを使う前提で医療保険に加入されている方は、その前提を差額ベッドを使わない方向に変えて、今一度医療保険を見直してみてはいかがでしょうか。