公的医療保険の種類と保障内容~民間医療保険との違い

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医療保険には公的医療保険と民間医療保険があります。

公的機関が運営する医療保険が公的医療保険、民間保険会社が運営する医療保険が民間医療保険です。

このブログでは民間医療保険の必要性を見極める方法について書いていますが、それには公的医療保険について理解することが欠かせません。

公的医療保険と民間医療保険の違い、公的医療保険の種類、公的医療保険の保障内容などについて説明します。

公的医療保険と民間医療保険との違い

公的医療保険と民民間医療保険との違いをまとめると、以下のとおりです。

項目 公的医療保険 民間医療保険
運営主体 公的機関 民間保険会社
加入の強制 強制加入 任意加入
選択(選別) 原則全員加入 選択(選別)有り
告知診査 無し 有り
証明書 保険証 保険証券
保険料 支払能力による 保険給付の内容次第
保険給付 一律 加入者の任意選択

公的医療保険は社会保障の一環として行われているので、原則として国民全員が強制的に加入させられます。そこに選択の余地はありません。

無理やり加入させられているわけですから、まずは、公的医療保険を100%利用し尽くすことを考えなければなりません。

公的医療保険では足りない部分があるなら、民間医療保険で補います。

公的医療保険で充分なら、民間医療保険は不要です。

公的医療保険の種類

次のグラフは、平成28年厚生労働白書②保険医療に基づいて、公的医療保険の制度別加入者割合を表したものです。

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公的医療保険制度には大きく分けて6つの種類があります。

それぞれについて簡単に説明します。

※船員保険については加入者が少ないため説明を割愛します。

共済組合

共済組合は公務員や学校職員が加入する公的医療保険です。

共済組合に加入する人は公的医療保険加入者の7%ですが、一般に最も保障内容が充実しています。

公務員や学校職員で民間保険会社の医療保険に加入している方は、 必要のない保障を付けてしまっている可能性があります。

今一度ご自身の加入されている共済組合の保障内容を確認し、既に加入している医療保険に無駄がないかを見直すことをお勧めします。

我が家でも、公務員である妻の保険を2015年に見直したところ、医療保険を中心にかなり無駄が見つかりました。自分で保険を見直して、年間保険料を6万円も削減することが出来ました。

健康保険組合

健康保険の運営を行う組織を健康保険組合といいます。公的医療保険加入者の2割強がここに加入しています。

常時700人以上従業員がいる企業が単独で、併せて3,000人以上の従業員がいる同種同業の企業が共同で、設立します。

このブログでは、以下の2つの健康保険組合について取り上げることが多いです。

健康保険組合では、高額療養費や傷病手当金について、法定給付水準を上回る給付(付加給付)を行っていることが多いです。

付加給付を行う健康保険組合は、共済組合に次いで保障内容が手厚いと言えます。

付加給付を全く行わない健康保険組合もありますけどね。

協会けんぽ

協会けんぽも健康保険を運営する組織の一つです。

独自の健康保険組合を持たない企業の従業員が加入します。公的医療保険加入者の3割近くがここに加入しています。

協会けんぽでも高額療養費制度や傷病手当金の仕組みはあります。

しかし協会けんぽでは法定給付しか行わないため、付加給付を行う健康保険組合や共済組合に比べて保障内容が落ちます

国民健康保険

共済組合や健康保険に加入しない人(個人事業主や無職の方)が加入する公的医療保険制度が、国民健康保険です。都道府県と各市町村が運営しています。

公的医療保険加入者の3割近くがここに加入しています。

高額療養費制度は有りますが、法定給付のみで付加給付はありません。また傷病手当金は有りません 。

国民健康保険は、傷病手当金がない分、協会けんぽに比べてもさらに保障内容が劣ります。

傷病手当金の代役としての役割を果たしてくれるような保険に加入するといいでしょう。

それには、医療保険よりも、就業不能保険や所得補償保険が適していると思います。

国民健康保険組合

国民健康保険には、国民健康保険組合によって運営されるものもあります。

国民健康保険組合は同業の個人事業主事業者が加入する組織です。

市町村が運営する国民健康保険と異なり、国民健康保険組合には、傷病手当金を給付してくれるところもあります 。

ただ、傷病手当金を給付してくれる場合でも、健康保険のように1年半にわたって給付してくれることは殆どありません。

国民健康保険組合は、市町村が運営する国民健康保険に比れば保障が手厚いですが、健康保険ほどではありません。

後期高齢者医療制度

75歳以上になると全ての人が加入する公的医療保険制度が後期高齢者医療制度です。

保障内容は国民健康保険と大きく変わりませんが、年齢を重ねた分、高額療養費制度などが手厚くなっています 。

公的医療保険の保障内容

公的医療保険の保障は保険証の提示によって受けられます。

そのパワーの程を簡単に説明します。

療養の給付

まずは誰でもご存知のことから。

病院にかかった時に保険証を提示すれば、保険診療費用の自己負担割合は3割で済みます。 残りの費用は公的医療保険が負担してくれます

老人や子供の自己負担は、1割や2割のこともあります。

ただし、保険診療以外の診療については全額自己負担になります。

高額療養費

公的医療保険には、一か月の医療費自己負担金額を一定限度額以下に抑えてくれる高額療養費制度というものもあります 。

しかし、保険証で医療費の一部を肩代わりしてくれるのは、国が安全性や有効性を認めたオーソドックスな医療(保険診療)だけです。

保険診療以外の診療については、高額療養費制度も適用されません。

入院時食事療養費

入院時食事療養費は、入院中の食費を補助してくれる制度です。

患者の自己負担割合は、年々引き上げられる傾向ですが、それでも有り難いです。

療養費

保険医療機関以外で診療を受けた時に、診療費用の一部を補助してくれる制度です。

海外旅行時にも医療費の一部を肩代わりしてくれる


保険証を持っていると、海外旅行時の医療費も一部を肩代わりしてもらえます。

ただし、現地では一旦治療費を全額負担しなければなりません。

帰国後に自ら請求することで、海外でかかった医療費の一部を支給してもらうことが出来ます。

また、診療を受けた国・地域や診療の内容によっては、自己負担割合が3割では済まずに自己負担額がかなり高額になるケースがあります。

海外旅行でかかった診療費用に対する保険証のパワーは弱いのです。。。全く助けてくれないのに比べれば遥かにマシではありますが 。。。

そのため、海外旅行をする際には、旅行中にかかった医療を保障してくれる海外旅行保険に加入する必要があります。

鍼灸マッサージや接骨院への支払いも、厳しい条件付きで一部を肩代わりしてくれる


病院だけでなく、はり灸あんまマッサージや整骨院・接骨院でも、保険証は効きます。

自己負担3割以下で施術を受けることができますが、それは次の条件をはじめ条件を全て満たした場合だけです。結構厳しいです。

  • 施術する人が「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」「柔道整復師」などの国家資格を保有していること
  • 神経痛、リウマチ、五十肩、頸腕症候群、腰痛症、頚椎捻挫後遺症などの特定の症状の治療目的で施術を受けること
  • 医師が施術について同意書を書くこと

同意書の有効期間は3か月しかないので、それを超えて治療を受け続ける場合は、同意書を再び書いてもらわないといけません。

条件を守らずに保険証を使うと不正使用です。気を付けてください。

なお、条件を守った場合であっても、一旦は患者自身が治療費全額を支払わないといけません。

公的医療保険に対して後日請求手続をしないと還付が受けられず、自己負担3割ではなく10割になってしまいます。

出産育児一時金

保険証は妊娠出産時にも大いに助けてくれます。

出産に際して一時金を給付してくれます。

自分で請求手続きなどをしないといけない部分もあるので、妊娠したら手続きについてきちんと調べておきましょう

傷病手当金

傷病手当金は、怪我や病気が原因で働けなくなった時に、所得を補償してくれる制度です。

怪我や病気で働けない時にも保険証は所得補償してくれます。これが傷病手当金です 。

もちろん普段の収入を全額補償してくれるわけではありませんが、通常の月収の3分の2に相当する額を、1年半にわたって補償してくれます。

勤務先によっては補償はもっと充実しています。下記の記事に詳しく書きました。

ただし、傷病手当金が支給されるのは、健康保険や共済組合の加入者だけです。

自営業者や年金生活者が加入する国民健康保険には傷病手当金はありません。

出産手当金

出産手当金は、出産で働けない場合に所得を保障してくれる制度です。

出産日以前42日(双子以上の多胎である場合は出産日以前98日)から出産の日後56日までの間、通常の月収の3分の2に相当する額を1年半にわたって補償してくれます。

移送費

ケガや病気で緊急に手当てが必要な状況で自力で移動できなければ、救急車を呼びますよね。もちろん無料です。

ただ、一刻を争う状況では救急車を待っていられないこともあります。

その場合はタクシーなどを使いますが、このタクシー代についても公的医療保険は力を貸してくれます。なんと全額を肩代わりしてくれるのです。

ただし、一旦は患者自身がタクシー運転手に費用全額を支払わないといけません。

公的医療保険に対して後日請求手続することで、救急時のタクシー代は全額が支給されます。

葬式費用の一部を補助してくれる

By 夢の散歩 (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

公的医療保険は、葬式費用についても一部を補助してます。

国民健康保険なら葬祭費、健康保険なら埋葬料という名目で補助してもらえます。

これらはもちろん葬儀業者に保険証を提示すればいいというものではありません。

公的医療保険に対して自ら申請しないといけません。

貰える金額は大体5万円前後です。

私の妻の加入する公立学校共済組合では、埋葬料として50,000円、埋葬料附加金として25,000円を補助してもらえます。

民間医療保険の必要性を検討するには、公的医療保険の理解が欠かせない

以上、公的医療保険について簡単に説明してきました。

冒頭で書いたように、民間医療保険の必要性を見極めるには、公的医療保険について理解することが欠かせません。

とは言え、教師を含め一般の方が公的医療保険について精通するのは難しいかも知れません。

その場合はFPさんや保険営業の方を頼ってみましょう。

頼った人が公的医療保険についてきちんと説明してくれないなら、保険を相談する相手としてはふさわしくないので、別の人を探しましょう。

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