連載:医療保険は不要 第2回です。
前回は、医療保険は必要ですか?お金がないなら加入は慎重に。 でした。
今回は、公的医療保険と民間医療保険の違いについて書きます。
医療保険とは、医療費を補償する保険のことです。医療保険は公的医療保険と民間医療保険とに分類されます。
公的医療保険と民間医療保険の特徴を、その違いとお互いの関係性に着目してまとめてみました。
運営者は誰か
公的医療保険と民間医療保険とでは運営者が違います。
民間医療保険は保険会社(私企業)が運営します。
一方、公的医療保険は法律で定められた公的機関が運営します。
75歳未満の人は、以下のように加入する公的医療機関が決まっています。
75歳未満の人 | 公的医療保険名 | 運営者 |
---|---|---|
個人事業主・無職 | 国民健康保険 | 都道府県と市町村 |
サラリーマン | 健康保険 | 健康保険組合・健康保険協会 |
公務員・私立学校職員 | 共済組合 | 共済組合 |
75歳になると、全員が、後期高齢者医療制度に加入します。
75歳以上の人 | 公的医療保険名 | 運営者 |
---|---|---|
全員 | 後期高齢者医療制度 | 後期高齢者医療広域連合 |
自分が加入している公的医療保険は、保険証を見るとわかります。
強制加入か自由加入か
公的医療保険と民間医療保険の違いで最も重要なのは、加入強制があるかどうかです。
公的医療保険は強制加入です。すべての国民は、法律で定められた公的医療保険に加入することが義務付けられています。これを国民皆保険と言います。保険料も強制的に徴収されます。。。
一方、民間医療保険は自由加入です。加入したい人だけが加入すればいいのです。
強制加入である公的医療保険を最大限利用して、それでも足りない部分だけを民間医療保険で補いたいところです。
税金投入があるか
公的医療保険と民間医療保険の違いでは、税金が投入されるかどうかも重要です。
公的医療保険には税金が投入されるので、保険料と税金の合計が加入者に保険給付(保険サービス)として分配されます。
保険料+税金=加入者への分配(保険給付)
民間医療保険の場合は、保険料から付加保険料(保険会社の儲けや従業員の給料など)を差し引いた残りが、純保険料となります。
純保険料は保険給付(保険サービス)の原資です。
保険料-付加保険料=純保険料=加入者への分配(保険給付)
「支払った保険料の内どれくらいが戻ってくるか」という観点からは、民間医療保険よりも公的医療保険のほうが圧倒的にお得です。
やはり、強制加入である公的医療保険を最大限利用して、それでも足りない部分だけを民間医療保険で補いたいところです。
保障内容を自由に選択できるか
公的医療保険では、全加入者が一律に保障を受けます。どの保障を受けるかを選択する余地はありません。
一方、民間医療保険では選択の余地はかなり広いです。
保険会社が提供する様々な商品から、入りたいものだけを選ぶことになります。
保険料の決まり方はどう違うか
公的医療保険の保険料は加入者の収入次第で変わりますが、民間医療保険はそうではありません。
一方、民間医療保険では加入者の年齢・性別・病歴によって保険料が変わるのが普通ですが、公的医療保険ではそうではありません。
告知や診査があるか
告知や診査は、民間保険会社が健康状態の悪い人を医療保険に加入させない目的で行うものです。
告知は、保険加入に先立って過去の病歴などの健康状態に関わる情報を知らせることです。
診査は、保険加入に先立って行われる医師による健康状態チェックのことです。
公的医療保険では告知や診査は行われません。国民皆保険で全員強制加入なのに告知や診査をしても意味はないからです。
加入証明書の違い
公的医療保険でも民間医療保険でも、保険給付(保険サービス)を受けるには、保険に加入している証拠が必要です。
公的医療保険に加入している証拠は保険証、民間医療保険に加入している証拠は保険証書です。
公的医療保険で足りない部分を民間医療保険で補う。
ここまで公的医療保険と民間医療保険の違いを挙げてきましたが、特に重要なのは次の二点です。
- 公的医療保険は強制加入。民間医療保険は加入したい人だけが加入すればいい
- 公的医療保険の運営には税金が投入されるのでお得。民間医療保険の運営には、税金が投入されないうえ、保険会社の儲けや従業員の給料を差し引いた残りしか保険給付に回されないので損。
公的医療保険は強制加入である上に、民間医療保険と比べればお得です。
公的医療保険による保障は最大限利用すべきです。
民間医療保険は、公的医療保険で不足がある場合だけ、使えばいいのです。