保険営業マンの「入院費用は1日2万円」に騙されてはいけない

更新

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保険営業の方に

一日当たりの入院費用はだいたい2万円ですよ。
と言われたことがあります。@web_shufuです。

しかしこれは鵜呑みにしてはいけません。

2万円が算出された計算式は不適切なものですし、そもそも一日当たりの入院費用を計算する意味がありません。

医療保険の必要性を検討するなら、入院期間ごとに入院費用総額を計算しておいた方がよほど有益です。

「入院費用は1日約2万円」の根拠とされるのは、生命保険文化センターによる計算

保険業界の方が「入院費用は1日約2万円」と言う場合、その根拠は、生命保険文化センターが「生活保障に関する調査」で行っている計算です。

自己負担費用の総額を入院日数で除した1日あたりの自己負担費用*は、平均で19,800円となってい る。(中略)*サンプルごとに算出したものの平均値(生命保険文化センターの平成28年度生活保障に関する調査

私の妻あたりから

ウェブシュフ妻
生命保険文化センターって何?

と言われそうなんですが…

生命保険文化センターは、公正・中立な立場で生活設計と生命保険に関する情報を提供しています。(公益財団法人 生命保険文化センター

一見信用できそうに見えますよね。でもここに落とし穴があるのです。

生命保険文化センターは、生命保険会社が大半を占める会員からの会費収入に依存しているからです。

しかし、それを抜きにしても、「入院費用は1日約2万円」の計算がまずいです。

生命保険文化センターの計算方法は「1日当たり」の平均を求めるものとしては不適切

1日あたりの自己負担費用の平均は、入院した人の自己負担費用総額を、入院した人の入院日数合計で割ることで求めることができますよね。

式に書くと、以下のようになります。

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しかし、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」では、全く違う計算方法を使っています。

  1. 入院した人それぞれについて、入院中の自己負担費用の総額を入院日数で割って、1日あたりの自己負担費用の平均金額を計算します。
  2. 入院した人それぞれの「1日あたりの自己負担費用の平均金額」をすべて合計します。
  3. 2の数値を入院した人の人数で終わって1日あたりの自己負担費用の平均を求める。

本来、「1日あたり」の平均を求める場合、日数で割る以外の割り算が登場する余地はありません

それなのに、生命保険文化センターは人数で割っています。おかしいです。

実際に計算してみると、どれだけ不適切かわかる

兄は、足掛け3か月75日間入院し、入院中の自己負担費用は33万円でした。弟は、手術で2日間入院し、入院中の自己負担費用が8万円でした。この兄弟について、1日当たりの自己負担費用を求めると何円になりますか。

この例で、1日当たりの自己負担費用を求めると、以下の様になります。

$$\frac{兄弟の自己負担費用の合計}{兄弟の入院日数合計}\\
=\frac{33万円+8万円}{75日+2日}\\
≒\color{red}{5325円}$$

これが普通の計算ですよね。

一方、「1日あたり」の平均を求めるのに、人数による割り算を持ち出す生命保険文化センターの方法は…兄の1日当たり自己負担費用をa円,兄の1日当たり自己負担費用をb円とすると

$$\frac{a+b}{2}\\
=\frac{\frac{33万円}{75日}+\frac{8万円}{2日}}{2}\\
=\color{red}{22200円}$$

全く違う計算結果が出てしまいました。とっても不適切です。

「入院費用は1日約2万円」は実態より著しく高額

生命保険文化センターの計算方法では、入院日数の違いを考慮しません。

そのため、実際の1日あたりの自己負担費用に比べて、著しく高い金額がはじき出されてしまうのです。

身内ともいえる生命保険会社の中でも、「入院費用は1日約2万円」の利用を避けている会社があります。

住友生命のウェブサイトでは、生命保険文化センターの「入院費用は1日約2万円」を使わず、13,618円だと試算しているのです。

こちらの方が常識的な金額をはじき出しています。

「入院費用は1日約2万円」が実態より著しく高くなる理由は他にもある

「入院費用は1日約2万円」が実際より著しく高い金額になるのは、一日当たりの平均の算出方法が間違っている点にありました。

しかし次の部分もその原因の一つです。

入院経験がある人のうち、高額療養費制度を利用した人及び利用しなかった人(適用外含む)の直近 の入院時の自己負担費用*の平均は22.1万円となっている。(中略)*治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や 衣類、日用品などを含む。(生命保険文化センターの平成28年度生活保障に関する調査

高額療養費制度の手続きを忘れた人の分まで集計しているから実態より高くなる

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まず「入院費用は1日約2万円」は、高額療養費制度の手続きを忘れた人の分まで含めて、集計したものですよね。

高額療養費制度の手続きを忘れると、本来より自己負担費用が膨らみます。

その分、「入院費用は1日約2万円」は、実態より高額になるんです。

差額ベッド料も入れて集計しているから実体より高くなる

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また、「生活保障に関する調査」で計算される入院時の自己負担費用には、差額ベッド料金が含まれることが分かります。

厚生労働省によると差額ベッド料は、患者本人が希望しなければ、支払う必要はありません。

差額ベッドを希望しない人にとって、「入院費用は1日約2万円」で計算される入院時の自己負担費用は、実態より高額となってしまいます。

差額ベッドの料金を含んでいる点では、住友生命のウェブサイトも同じです。

項目 金額(円)
医療費自己負担分 5,120
食事代(3食) 1,080
差額ベッド代 5,918
家族の交通費 1,500

太字の部分は、必ずしもかかる費用ではありません。

これを差し引くと、入院費用は1日6,000円程度となります。

とは言え、これは全体の平均ですから「我が家の場合はどうなるか」ということを考える必要がありますけどね。

そもそも入院費用の日額に意味はない

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ここまで、生命保険文化センターの算出した「入院費用が1日約2万円」という計算結果が、いかに不適切かという話をしてきました。

しかし、そもそも、1日あたりの入院費用を計算することにあまり意味はありません

入院費用の計算は、1日あたりの入院費用に入院日数を単純にかければよいというほど、単純なものではないからです。

入院期間が長くなれば、高額療養費制度など、医療費が際限なく膨らまないようにしてくれる制度の恩恵を受けることができます。

そのため、入院日数が増えるほど、1日あたりの入院費用は安くなります

だから、1日あたりの入院費用を計算することに、あまり意味はありません 。

医療保険の必要性を検討するにあたっては、入院日数ごとに入院費用総額を把握しておく事の方が、よほど大事です 。

「入院費用は1日2万円」と勧誘されて入った保険があるなら即刻見直すべき

というわけで、「入院費用は1日2万円」と言われるままに加入した医療保険があるなら、即刻見直しましょう。

保険商品だけでなく、「入院費用は1日2万円」などと勧誘してきた人との付き合いも、見直した方がいいと思いますね。

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