HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

差額ベッド代は本来は確定申告時に医療費控除の対象とはならないはず

連載:医療保険は不要 第14回です。

前回は、差額ベッド代の支払拒否 について書きました。

今回は、差額ベッド代を医療費控除することについて書きます。

我が家は差額ベッド代の支払いを拒否することにしているので関係ないのですが、差額ベッドが医療費控除の対象になるという話を聞いたことはありませんか。

確定申告をすればある程度税金が戻ってくるという話なのですが、私も聞いたことが何回かあるので実際そういうことはあるのでしょう。

ですが、理屈から言えば、差額ベッド代が医療費控除の対象になるなど、あってはならない話です。

いつまでも医療費控除の対象になるとは思わないほうがいいと思います。

国税庁の見解では、自分の都合で利用した差額ベッドの代金は医療費控除の対象にならない

[User:っ – Wikimedia CommonsGFDL, CC-BY-SA-3.0, CC BY-SA 2.1 jp or CC BY-SA 2.5], via Wikimedia Commons

国税庁のホームページ内で「差額ベッド」で検索したところ、医療費控除の対象となるかどうかに言及しているページが見つかりました。

【照会要旨】 いわゆる差額ベッド料は、医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】 入院の対価として支払う部屋代等の費用で医療費控除の対象となるものは、医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要です(所得税基本通達73-3)。
 したがって、自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません。(差額ベッド料|所得税目次一覧|国税庁

もう一つありました。

本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。(No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例|所得税|国税庁

これを見ると、自分が希望して差額ベッドを利用した場合は、差額ベッド代は医療費控除の対象とならないことが分かりますよね。

差額ベッド代を払うケースは、自分の都合で差額ベッドを利用した場合だけ

ところで、差額ベッドを利用しても、必ずしも差額ベッド代を支払う必要はありませんでしたよね。

差額ベッド代の対策は支払拒否に限る

以下の3つのどれか一つに当てはまれば、差額ベッド代を払わずに差額ベッドを利用できます(病院が差額ベッド代を請求するのは禁止)。

  1. 差額ベッド代の金額が記載された同意書に署名をしていない場合
  2. 治療上の都合で差額ベッドを使うことになった場合
  3. 病棟管理の都合から差額ベッドを使うことになった場合

ということは、以下の3つを共に満たす場合のみ、病院から請求されれば差額ベッド代を支払う必要があります。

  1. 同意書にサインした
  2. 治療上の必要はなかった
  3. 病棟管理上の必要もなかった

同意書と言うのは、「自分自身が希望して差額ベッドを利用します」と宣言するような書面です。

ということは、差額ベッド代が発生するケースは、自己都合で差額ベッドを利用した場合だけなんですよね。少なくとも理屈の上では。

差額ベッド代が医療費控除の対象となることなどあり得ない。理論的には…

差額ベッド代が医療費控除の対象とならない場合を、ここで思い出してみましょう。

自分が希望して差額ベッドを利用した場合は、差額ベッド代は医療費控除の対象となりませんでしたよね。

ところが、差額ベッド代は、自分が希望して差額ベッドを利用した場合にしか発生しないんです。

ということは、理論的には、差額ベッド代が医療費控除の対象になるケースは存在しないはずなんです。

実際には差額ベッド代は医療費控除の対象として認められています

とは言え、今のところは同意書を差し入れていても、差額ベッド代を医療費控除の対象としてもらえるようです。

自分の身内で差額ベッド代を支払った人は誰もいないうえ、自分自身も絶対支払わないという主義なので、伝聞情報で書かざるを得ないのが残念です。。。

ただ、国が発行している文書をつなぎ合わせると

差額ベッド代を払った=100%自己都合

という図式は成り立つのは確かです。

いつまでも差額ベッド代が医療費控除できるなどとは、思わない方がいいですよね。

差額ベッド代は支払わないようにするに限ります。


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