HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

先進医療は治療費の全額が自己負担になるが、保険診療より優れているとは言えない。

連載:医療保険は不要 第15回です。

前回は、差額ベッド代と医療費控除 について書きました。

今回は、先進医療について書きます。

先進医療は、その名前からは最先端の雰囲気がしますが、決して保険診療より優れているわけではありません。

それなのに、保険診療と違って、費用は全額自己負担です。とても高く付きます。

先進医療は、未だ安全性と有効性が確認されていない医療

保険診療は、保険証を提示すれば自己負担3割以下で利用できる診療のことです。

保険診療は国のお墨付きの診療です。保険診療は、安全性と有効性が確立されています。

一方、先進医療は保険診療ではありません。先進医療は、安全性と有効性が確認されていません。

先進医療は健康保険に収載するかどうか評価段階の治療で、とくに優れた医療を指すわけではない。(最先端・高額のイメージばかりが独り歩き「先進医療」にまつわる3つの重大な誤解|男の健康|ダイヤモンド・オンライン

先進医療は、保険診療の候補として、安全性や有効性がテストされている最中の診療なんです。

先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。(先進医療の概要について |厚生労働省

テストの結果、安全性や有効性が十分に認められれば、先進医療は保険診療となります。

逆に、十分な安全性や有効性が認められなければ、保険診療として採用されず、先進医療としての指定も解除されてしまいます。

安全性や有効性について言えば、保険診療>>先進医療>>>>>その他の保険外診療

先進医療は、安全性と有効性が確認されてはいませんが、それらをテストするに値すると判断されています。

先進医療は、先進医療以外の保険外診療よりは、安全性や有効性がいずれ確認される可能性が高いです。

安全性や有効性について言えば、保険診療>>先進医療>>>>>その他の保険外診療となります。

先進医療のコストは全額自己負担

最後の頼みの綱となるかも知れない先進医療ですが、保険診療に比べて自己負担はとても大きくなります。

先進医療は保険診療(採血や医師の診察など)と並行して行われます。

保険診療費用の自己負担割合は3割以下です。

しかし先進医療の費用は全額自己負担です。公的医療保険は全く負担してくれません。

もちろん高額療養費制度の対象にもなりません。

高額な先進医療を受けると、家計は大変なことになります。

最も高額な治療は500万円かかる…

2017年8月現在、先進医療の中でも高額なものが「オクトレオチド皮下注射療法」です。費用は5,410,269円。

がん治療として使われる陽子線治療や重粒子線治療なども高額です。

平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について(厚生労働省)によれば、陽子線治療の費用は2,765,086円、重粒子線治療の費用は3,149,172 円です。

先進医療を使うかどうか。保険で備えるかどうか。

先進医療は、費用が高くつく可能性があるのですが、安全性や有効性は未だ確認されていないのです。

先進医療を利用するかどうか、利用するなら保険をかけるのかどうか、とても迷いますよね。

差額ベッドについては「絶対利用しない」と固く誓っている我が家も、先進医療については散々悩みました。

今の我が家では「数百万円なら何とかなるかな、痛いけど。」ということで保険に入っていませんが、先進医療に備えて保険に入るという考え方は分かります。

以前の我が家も先進医療のためだけに医療保険に入っていたからです。

我が家は、以前は先進医療のためだけに医療保険に入っていたのですが、今は解約しました。

我が家では、先進医療に対してのみ保険をかけたかったのですが、当時はそのような保険商品はありませんでした。

医療保険に加入して先進医療特約をつけるしかありませんでした。

しかし、先進医療の費用について調べるうちに、「数百万円ならまあ何とかなるかな、痛いけど。」と思うようになりました。

そこで2017年以降は先進医療特約も利用しないこととしました。先進医療特約のためだけに最低限度で加入していた医療保険も解約しました。


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