HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

賃貸の火災保険:大家・不動産屋が勧める保険は相場より高い。自分で安いものを探すべき。

2015-07-13_2300
アパートやマンションなどの賃貸住宅に引っ越すと、入居時に火災保険への加入を強制するところが多いです。

不動産業者や大家さんが「この保険に入ってくれ」と勧めてきた保険商品には要注意。

相場と比べて割高な商品であるケースが多いのです。

同種の保険を比較して最もリーズナブルなものに入りましょう。

火災保険を比較して少しでも安い保険に入ろう

賃貸向けの火災保険で割高商品を避けるためには、

  • 勧められるままに保険に入らない
  • 保険会社の言う「標準」「平均」ではなく、あくまで自分に必要な補償を計算する
  • 自分で保険商品を探し比較する

という態度が必要です。

私もいくつかの会社について保険料を調べて比較しました。(2015年7月21日)

保険会社 保険料 家財 借家賠 個人賠
日新火災 4000 100 2000 10000
全労災 7950 300 1000 10000
ジェイアイ傷害火災 6000 185.9 2000 2000
富士火災 23415 1010 2000 10000

家財=家財補償額(万円)、借家賠=借家人賠償責任補償額(万円)、個人賠=個人賠償責任補償額(万円)、保険料の単位は「円/年」

実は、上の表の富士火災は、我が家が賃貸入居時に

  • 不動産会社に勧められるままに
  • 保険会社の標準家財価額をあてにして
  • 自分で保険商品を探し比較することもせずに

加入した保険です。

一方、一番上の日新火災は、色々調べた結果、自分で加入することにした保険です。いわば私の中の一番人気。

日新海上火災「お部屋を借りるときの保険」

※オススメですが私が勧誘・募集しているわけではありません。興味のある方は、ご自分で契約内容を吟味の上、加入の是非を判断してください。

日新火災の賃貸向け火災保険は一年契約で保険料4000円。同じ補償内容で比べた場合、保険料の安さランキングでは一位になるでしょう。

賃貸向け火災保険の保険料の相場・目安は、いまや年4000円まで下がったと言うことですね。

富士火災と日新火災との保険料の差額は、1年当たり20,000円近くに達します。

今の賃貸アパートに入居して3年経っていますので、総額6万円もの保険料をどぶに捨てた勘定です。

賃貸入居時に、不動産会社に勧められるままに、保険会社が言う「標準家財価額」に基づいて保険に加入した人は、我が家と同じくらい損をしている可能性が有ります。

我が家の大損ぶりと、そこからの脱出については、この記事の末尾に記しています。

割高保険は一刻も早く途中解約。前払いした保険料の一部は返金されます。

賃貸入居時に割高保険に入ってしまった方も「もう遅い」と諦める必要はありません。

保険はいつでも解約できます。一刻も早く中途解約してリーズナブルな保険に変更しましょう。

解約時には、前払いしていた保険料の一部は戻ってきます。一種の解約返戻金です。

例えば、1年分の保険料を前払いして保険に加入し、保険契約期間に入ってから3ヵ月後に解約した場合、残りの9か月分の保険料が払い戻しとなります(解約手数料は差し引かれますが)。

もちろん、解約時期によっては、満期(更新時期)まで待ってから、乗り換えたほうが得な場合があります。

解約する前には、代理店である不動産会社や大家さんに問い合わせて、解約した場合に戻ってくる保険料を確かめましょう。

ついでに、乗り換え先の保険が満たすべき条件も聞いておきましょう。

賃貸から賃貸への引越し時には、火災保険が重複しないように注意

賃貸から別の賃貸への転居するときに、今の賃貸の保険の契約期間がまだ残っているにもかかわらず、新居でまた新しく保険に入る人がいます。

こんなことをすると、しばらくの間、旧居分の保険と新居分の保険が二重契約になってしまい、大変ムダです。

引越し時には、保険会社に連絡してきちんと手続きを行い、二重契約にならないようにしましょう。

旧居の保険がリーズナブルなら住所変更して新居の保険として使おう

賃貸から別の賃貸へ引越す場合、火災保険は、保険期間が残っていれば、住所変更によってそのまま使えます。

リーズナブルな保険に入っているなら、引越し時はきっちり住所変更手続きをしましょう。

旧居の保険が割高なら引越し時に忘れず解約

旧居の保険が住所変更手続きによって新居で使えると言っても、割高保険ならそんなことをする値打ちはありません。

引越しを機会に解約して、リーズナブルな保険に乗り換えましょう。

無駄な保険料を払わないよう、賃貸向け火災保険の補償内容と各々の必要性を把握しよう

リーズナブルな保険に乗り換えるには、賃貸入居時に必要な保障内容を理解する必要が有ります。

賃貸入居時に不動産屋さんやオーナーから加入するよう言われる火災保険は、大きく分けて以下の4つの保険で構成されています。

  • 借家人賠償責任保険
  • 個人賠償責任保険
  • 家財保険
  • 地震保険

それぞれ、

  • 何に備えたものか
  • 入居者に加入の必要性はあるのか
  • 大家さんにとってはどうか

などを検討してきましょう。

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任とは、借家人が大家さんに対して負う賠償責任のことです。ちなみに読み方は「しゃっかにんばいしょうせきにん」です。これに備えた保険が借家人賠償責任保険です。

入居者にとっては加入必須

火の不始末による火事、ガス漏れによる爆発事故、水漏れ事故…

こういった不注意によって、自分が借りている部屋を台無しにすれば、大家さんへの原状回復義務を果たせなくなります。

このとき、大家さんに対して原状回復費用を賠償する責任が生じます。

借家人の貸主に対する賠償責任は、失火責任法の対象外なので、たとえ重大な過失がなくても、自分の不始末で火を出してしまうと賠償責任を負わなければなりません。

また、自室以外に被害が及んでしまうと、その範囲についても損害賠償責任を負うケースがあります。

そうなると損害賠償の金額は軽く1000万を超えます。

大家さんに対する賠償責任が発生すれば、自分の支払い能力を超えるケースも十分考えられるのです。

発生確率は低いものの、ひとたび発生すれば家計に破滅的な損害をもたらす事故に備えて入るのが保険です。

お住まいの賃貸アパート・マンションで、火災保険の加入が強制ではなく任意だったとしても、借家人賠償責任保険は賃貸入居者が必ず入るべき保険なのです。

大家さんにとっては入居者に加入を強制したい保険

入居者の不注意による事故で損害が出た場合、補償する責任は入居者にあります。

だからといって、大家さんが、入居者の不注意による事故に備えなくて良いということにはなりません。

もし、入居者に資産がなく、火災保険にも未加入で、支払い能力がなければ、事故の損害は大家さんに直接降りかかってしまいます。

それを防ぐ手段が、入居者に対して借家人賠償責任保険への加入を義務付けることです。

そういうわけで、大家さんにとっても借家人賠償責任保険の必要性は大きいです。

個人賠償責任保険

日本損害保険協会などによると、個人賠償責任とは「住宅の管理」や「日常生活」が原因で負うことになった法律上の損害賠償責任のことです。

これに備えた保険を個人賠償責任保険といいます。

※先ほど説明したように、借家人が大家さんに対して負う賠償責任は借家人賠償であり、個人賠償責任に含まれません。

入居者にとっては必要

入居者が不注意による漏水やガス爆発を起こせば、近隣の住民に対して個人賠償責任を負うことになります。

寝タバコなどの重大な過失で火災を引き起こして死亡者を出すなどすると、損害賠償が億単位になっても不思議ではありません。

個人賠償責任を負うと、自己の支払い能力を軽く超えて、人生終了レベルの負債を抱えることになります。

個人賠償責任は、発生確率は低いものの、ひとたび発生すれば家計に破滅的な損害をもたらします。賃貸入居者にとって個人賠償責任保険は加入必須です。

しかし賃貸入居時に新たに個人賠償責任保険に入る必要があるとは限りません。自動車保険のオプションなどとして既に加入している場合があるからです。

個人賠償責任保険への加入は必要ですが重複加入しないように気をつけましょう。

大家さんにとっては入居者に加入を強制するほどではない

大家さんにとって入居者間のトラブルはない方が良いです。大家さんにとっても、入居者が個人賠償責任保険に加入しているに越したことはないです。

しかし、入居者が個人賠償責任保険に入ってない場合でも大家さんの財布は傷みません。

その意味では、大家さんにとって、個人賠償責任保険への加入を入居者に義務付ける必要性はあまり高くありません。

家財保険・地震保険

家財保険とは火災保険のうち、家財のみを対象としたものです。オプションで家財を対象にした地震保険もつけることが出来ます。

入居者にとってはたいていの場合は不要

隣人の不注意で自分の家財がや被害を受けた場合、失火責任法があるため、火元の隣人に対して損害賠償を請求することが出来ず、被害が補償されない場合があります。

しかし、家財保険に入っていれば、隣人からのもらい火による火災によって家財が損害を受けた場合でも、その被害は補償してもらえます。

「だから家財保険が必要」と言う人がいますが本当にそうでしょうか。

例えば、夫婦二人暮らしである我が家の場合、全ての家財を買い直すとしても、200万円あればおつりが来ます。

家財を失うことになれば痛手ですが、家によほど高価なものを置いていない限り、家計に破滅的な損害をもたらすとは到底言えません。

また家財一式を火災などで失うことなどめったにありません。

めったに起きず、起こったとしても破滅的な損害とはならないリスクには、保険で備える必要はありません。

よほど高額な家財を持っていない限り家財保険は必要ありません。

大家さんにとってはどうでもいい保険のはず

入居者が家財を失っても大家さんにとっては痛くもかゆくもありません。

大家さんが入居者に家財保険への加入を強制する必要は全くありません。

大家さんや不動産業者は火災保険の代理店としても儲けようとしている

しかし、賃貸入居時に加入させられる火災保険は、大家さんにとっても入居者にとっても加入の必要性がない家財保険が主契約になっています。

入居者にとって必要な借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険は特約(オプション)扱いです。

大家さんにとっても入居者にとっても、最も必要なのは借家人賠償責任保険でしたよね。本来ならこれを主契約にするべきです。

なぜそうしないかというと、大家さんや不動産業者が保険代理店を兼ねていることが多いからです。賃料で儲けるだけでなく、保険料でも儲けようとしているのです。

その手口はあまり褒められたものではありません。

不要な保険まで加入させようとする

儲けようとすれば保険をたくさん買わせないといけません。

その一つの方法が不要な保険を主契約にして、必要性の高そうな保険を特約にすることなのです。

入居者にとって不要な家財保険を主契約にして、必要性の高い借家人賠償責任保険を特約扱いにすることで、借家人賠償責任保険にしか加入したくない入居者も、不要な家財保険に入らざるを得なくなります。

不動産業者が入居者に家財保険の加入を求めるのは、それとセットになっている「借家人賠償責任保険(借家賠)」に入ってもらうことが主な目的とされる。借家賠がない入居者が火災を起こしたりして被害の賠償金が払えないと、家主が大きな損失を被り、入居者自身も経済的に追い詰められかねないからだ。

ところが、借家賠だけでは保険料が安く、不動産業者にとっては代理店ビジネスの魅力が乏しい。このため保険会社は「家財保険とセットにして保険料をかさ上げせざるを得ない面がある」(ある損保幹部)という。中西さんが契約した少額短期保険会社(少短)の場合、保険料の30~45%ほどが代理店の手数料だ。(本当に家財のため? 賃貸物件で勧められる保険 :日本経済新聞より)

ひどい話だと思いませんか。

同種の保険の中でなるべく保険料が高いものを勧める

儲けようとすれば高い保険を売らないといけません。大家さんや不動産業者は、割高な保険を熱心に勧めてきます。

とはいえ、特定の保険商品を指定してその商品への加入を義務付けるのは違法なので、「絶対にこの保険に入ってくれ」というような言い方はしないです。

しかし、賃貸入居時は忙しいので、勧められるままに保険に入って無駄に高い保険料を払い続ける人は多いです。

我が家もそうでした。

保険会社も高い保険料を払わせようと必死。

不要な保険を何とか売りつけようとするのは、保険代理店である不動産業者や大家さんだけではありません。

保険商品を作っている保険会社も、高い保険料を払わせようと必死です。

保険会社のいう「標準的な」「平均的な」家財の価額は不自然に高い

保険料を吊り上げるために、保険会社は家財の標準金額をびっくりするほど高く見積もっています。

本当に家財のため? 賃貸物件で勧められる保険 :日本経済新聞によると、

損害保険ジャパンの参考資料では世帯主が40歳、夫婦と子ども2人の標準世帯の家財評価は和服が118万円、ピアノなど楽器が47万3000円、タンス類が65万8000円、パソコンは周辺機器を含めて49万7000円というが、どの世帯にも当てはまるとは限らない。

┐( -“-)┌ヤレヤレ…「どの世帯にも当てはまるとは限らない」って日経さん、賃貸入居者にはこんなのほとんど当てはまりませんよ。

ウチの場合、和服もピアノもタンスもありません。パソコンは周辺機器を含めて20万円ありませんし、5年以上使っているので時価ゼロ…。実際、何事もなくてもそろそろ買換えの時期です。

保険会社の「標準~」とか「平均~」は信じてはいけません。これを信じて保険金額を設定するとバカ高い保険料を払うことになります。

ちなみに、この記事には、損保大手各社の見積りによる「世帯主が40歳、夫婦と子ども2人の標準世帯の家財評価表」が掲載されていました。

保険会社名 家財(万円)
あいおいニッセイ同和 1410
日本興亜 1400
損保ジャパン 1270
三井住友 1250
東京海上日動 860

これって多分一戸建ての世帯を中心に集計した結果なんですよね。だから各社そろいも揃って高すぎです。これを信じて保険契約したら無駄な保険料をむしりとられます。

標準や平均など気にせず、地道に自分の家財の値打ちを計算してから保険をかけましょう。というか、そもそも家財に保険は必要ないので、可能な限り保険金額(保障額)を下げて、保険料を下げましょう。

不動産業者に勧められるままに保険に入った我が家の間抜けな事例

最後に我が家の間抜けぶりをお話します。

我が家は大和ハウス系列の大和リビングが運営する賃貸アパート「D-room」に入居しています。

入居時に借家人賠償責任保険特約付きの火災保険への加入を強制されます。

大和リビングさんは大家さんであると同時に保険代理店でもあります。ある商品を熱心にオススメしてくれました。

オススメ商品は、保険代理店としての大和リビングさんにとって儲かる商品、すなわち保険料が高い商品である可能性が高いはずです。

でも、入居時はいろいろ忙しく、保険を比較検討するのが億劫で、勧められるままにオススメ保険に加入してしまいました。

大和リビングさんは、「他の借家人賠償責任保険特約付き家財保険でもかまいませんが…」と言ってくれてましたけどね。

勧められるままに入った保険は最優先で見直すべし

保険の見直しの鉄則として「勧められるままに入った保険には大きなムダがある」と言うものがあります。

このたび自分で保険を見直して年間保険料を8万円以上削減したのですが、その際、勧められるままに入った火災保険については念を入れて調べました。

調べてみたら、家主オススメの商品は、やはりとても割高でした。

大和リビングさんのオススメ商品は、富士火災海上保険の「ライフパートナーα」。これに加入していましたが色々と割高でした。

補償対象 保険金 保険料
家財 1010万円 14745円
地震 505万円 7295円
個人賠償責任 10000万円 1000円
借家人賠償責任 2000万円 375円

年間保険料合計23415円。

正直言って、年間保険料375円の借家人賠償責任保険だけに加入したいんですよ。

だけど家財保険に入らないと借家人賠償責任保険に入れません。

入りたくもない家財保険(保険金1010万円)のために、保険料を年間14745円も払うことになっていました

家財全てを失っても生活は破綻しないので、家財保険は不要だし保険金1000万円は高すぎです。

一般の賃貸住宅入居者で1000万円も家財持ってる人がどれだけいるのか。

また、家財にかける地震保険も当然不要です。その分の年間保険料7295円もとってもムダ。

個人賠償責任保険は賃貸入居者にとっては必要ですが、我が家の場合他の保険で入っているのでやっぱりムダ。

そういうわけで、借家人賠償責任保険だけに加入する方法はないものかと必死に模索しましたが、借家人賠償責任保険を単独で販売している保険会社は見当たりませんでした。

それなら、家財保険・地震保険・個人賠償責任保険のセット販売商品の中で最安値を捜すしかありません。

日新海上火災の「お部屋を借りるときの保険」が格安だった

そうして出会ったのが、日新海上火災の「お部屋を借りるときの保険」です。

補償対象 保険金 保険料
家財 100万円
地震 0 0
個人賠償責任 10000万円
借家人賠償責任 2000万円

家財保険は保険金を100万円まで下げられます。ネット見積もり・ネット申込が可能でお手軽です。

保険料の内訳は不明瞭なのですが、限界まで保険金を下げると年間保険料は4000円。

地震保険への加入も必要ありません。

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ただ、個人賠償責任保険と借家人賠償責任保険の金額が固定されています。自由に下げられません。それが不満です。

今後もっと改善されるように望みます。

家財保険の見直しで年間保険料を約2万円削減できた

借家人賠償責任保険が単独で販売されず、家財保険・個人賠償責任保険と抱き合わせで加入せざるを得ないことには不満でした。とは言え、保険料の削減には成功しました。

家財保険※ before after
富士火災 23145 0
日新火災海上 0 4000

※借家人賠償特約(2000万円)と個人賠償特約(1億円)がついています。

賃貸入居時に家主さんに言われるままに家財保険に加入する人は多いと思います。

そういう方は、是非とも、家財保険を見直してみてください。

1年間で数万円、10年間で数十万円の節約になりますよ。


※注意…本記事は私が日新海上火災の「お部屋を借りるときの保険」に加入することに決めた事実とその経緯をお伝えするものであり、決して加入を勧めるものではありません。

追記:県民共済のほうが安いかも知れない

日新火災の「お部屋を借りる時の保険」 よりも、県民共済の新型火災共済が安いかも知れません。

上記ツイートにあるように、県民共済は営利を目的として運営されてはいないので、剰余金が出ると割戻金として払い戻されます。

割戻金は保険料の3割理前後期待することができますが、年によって上下しますし、住んでいる都道府県によっても違います。

ただ、割戻金を勘定に入れると、日新火災の「お部屋を借りる時の保険」 よりも、県民共済の新型火災共済が安く上る可能性は高いです。


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