売上アップを目指してSEOに取り組むのは、グーグルアドワーズのようなPPC(ペイパークリック)広告に比べてとても効率が悪いです。SEOの目的はほとんどの場合売上アップに尽きるので、SEO業者死亡といってもいい状況が到来していると思います。
(注)この記事はアメリカのPPC広告支援企業がまとめたインフォグラフィックの内容を、自分なりにまとめたものです。
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買おうとして検索する人はアツい見込み客
検索は何かを調べるために使われますが、その中には当然何かを買おうとして調べる場合も含まれています。
ウェブシュフの場合も以下のキーワードで検索してそのままネットショップで購入したことがあります。
- デスクトップPC 最安値
- 液晶テレビ26型
- すのこベッド
ネットショップにとってみれば、こういった「買おうとして検索する人」は、かなり売上につながりやすい見込み客ですから、何とか自店に呼び込みたいところです。
そのためには、検索結果の1ページ目のなるべく目立つところに自分のネットショップへのリンクを掲載して「買おうとして検索する人」の目に触れなければなりません。
検索結果ページの構成
それでは、検索結果ページの構成を見てみましょう。
まず、yahoo検索で「デスクトップPC 最安値」
次に、グーグル検索で「すのこベッド」
どちらも、スクロールせずに閲覧できる範囲をキャプチャーしたものです。
画面のうち、赤枠で囲んだ部分がオーガニック検索結果(広告ではない検索結果)を表示している部分です。
それ以外のほとんどは、スポンサードサーチ(広告検索結果。検索されたキーワードに関連した広告を表示するシステム)です。
オーガニック検索結果は端に追いやられている
オーガニック検索結果は画面上の15%ほどしか占めておらず、検索順位で1位をとっても端っこにとても控えめに表示されるだけです。2位以下の場合はスクロールしないと表示されません。
また、インフォグラフィックによるとオーガニック検索で1位を獲得しても、そのページが受けた全てのクリックのうち1割弱ほどのクリックしか獲得できません。
また、検索結果ページのクリックのうち、オーガニック検索結果へのクリックが占める割合は3割強です。
つまり、オーガニック検索で上位表示をしても、「買おうとして検索」してくれるようなアツい見込み客にあまりアピールできません。
スポンサードサーチの方が幅を利かせている
控えめなオーガニック検索結果に比べて、スポンサードサーチのほうは幅を利かせています。
まず、画面の85%はスポンサードサーチ(有料広告検索結果)に埋め尽くされます。
また、インフォグラフィックによると、オーガニック検索の上に表示される「検索キーワード」に関連した広告(3リンク)に対するクリックはそのページが受けた全てのクリックの4割を占めます。
右側サイドバーの広告へのクリックはページ全体に対するクリックの2割を占めます。
つまり、閲覧者の6割が広告をクリックしてくれます。
売上直結キーワードではPPC広告がSEOより圧倒的に有利
以上のように、様々な企業が競って広告出稿するような売上に直接結びつくキーワードでは、SEOよりもPPC広告のほうが明らかに集客力があります。
もちろん、PPC広告が画面を覆い尽くしているからなのですが、そこには多くのショップ運営者にとって盲点となりかねない要素も潜んでいます。
広告でも気にせずクリックする人はかなりいる
アメリカでの調査によると、オーガニック検索結果とスポンサードサーチを区別できない人が約4割いるそうです。
ある程度ウェブに慣れた人の場合は、両者は簡単に区別できます。さらに、人間は広告(売り込み)をあまり好まないので、広告のクリック率は相当下がります。
しかし、オーガニック検索結果とスポンサードサーチを区別できない人は、広告(売り込み)を避けません。それどころか、オーガニック検索の真上に設置されている「検索キーワードに関連した広告」などはオーガニック検索1位のサイトよりもっとクリックされやすいでしょう。
ウェブに携わる仕事をしていると、ウェブになじんでいない人の行動を見落としがちです。
ウェブになれた人は広告なんてクリックしないかも知れませんが、ウェブに不慣れな人は広告を広告とも思わずにクリックしてくれるのです。
難しくなるSEO
ところで、SEOは最近急激に難化しています。
パンダアップデートとペンギンアップデートによって、安易なSEO対策は逆効果になりました。
また、何らかの対策を施しても、検索結果のパーソナライズ化等で効果測定がより難しくなっています。
SEOはより手間がかかり、コストもかかる方向に向かっています。
報われないSEO
そして、苦労して検索結果の上位に自分のサイトを上位表示させても、1位にならない限りスクロールしないと表示されません。そして、1位になってもそれほど見込み客にアピールできません。
一方、SEO対策が裏目に出て売上が下がることすらありえます。
こんな状況では、順位下落時の損失補償までしてもらえないと怖くてSEO業者に発注できませんね。
SEOは死亡!
もともと、ショップ運営者をはじめサイトオーナーがSEOに取り組むのは、売上や収入をUPさせるためでした。
しかし、SEOは売上アップの手段としては大変効率の悪いものになり、その使命を終えました。
また、SEOだけを請け負っている業者に未来はないでしょう。
SEO業者は「検索順位をどれだけアップさせるか」ではなく「売上をどれだけアップさせるか」に取り組み、コンサル化しないと生き残れないのではないでしょうか。
売上直結キーワードのヤフー検索結果について2014.7.18日追記
ヤフー検索における「財布 メンズ」の検索結果のファーストビューは、ネットストアの広告で埋め尽くされ、オーガニック検索を画面の下へ押し出しています。これは検索ユーザーの利益を考えれば当然そうなるべきもので、決してオワコンではありません。では、一体誰にとってオワコンなのでしょうか。
Google・ヤフーは検索クエリを4種類に分類している
ヤフー検索とGoogle検索はずいぶん異なる結果を表示するケースが多いのですが、ヤフー検索は実はGoogleの検索エンジンを使っています。
そのGoogle検索はクエリを4種類に大別しています。もちろんGoogleエンジンを採用するヤフーも同じことをしています。
[img-link url=”https://www.suzukikenichi.com/blog/3-types-of-classification-of-user-intent/” title=”SEOに必須、検索意図で分類する3つのクエリのタイプの違いとその内容 | 海外SEO情報ブログ”]
先日流出したGoogleの「検索品質評価ガイドライン」でも13.5にて説明されています。
[img-link url=”https://www.scribd.com/fullscreen/217994742″ title=”Scribd”]
「検索品質評価ガイドライン」から引用しつつ、4種類それぞれを説明すると…
「すぐ買う」Action Queries
The intent of an action query is to accomplish a goal or engage in an activity on the web. The goal or activity may be to download, to buy, to obtain, to be entertained by, or to interact with a resource that is available on the web. Users want to Do something.
いわゆる「すぐ買う」クエリも含まれていますね。ネットで商売をする場合には一番おいしいクエリですね。検索結果には、お目当てのものが買えるページへのリンクがずらりと並ぶことが望ましいですね。
情報や知識を探し回ろうとするInformation Queries
An information query seeks information on a topic. Users want to Know something and the goal is to find information.
Information Queriesはひたすら情報や知識を探し回ろうとするクエリです。検索結果には、情報な豊富なページへのクエリをずらりと並べたいところです。
特定のウェブページに行こうとするNavigation Queries
The intent of a navigation query is to locate a specific webpage. Users have a single webpage or website in mind. This single ebpage is called the target of the query. Users want to Go to the target page. The most helpful page for a navigation query is the navigational target page.
Navigation Queriesは特定のウェブページに行こうとするクエリです。検索結果では、その特定のウェブページが確実に1位になってほしいところです。
検索結果は「財布 site:amazon.co.jp」とそっくりになるのがのぞましいですよね。
複数のユーザー意図がこめられたクエリ
クエリの中には2種類以上のクエリの特徴を兼ね備えたものも存在します。こういうクエリをQueries with Multiple User Intents(複数のユーザー意図がこめられたクエリ)と言うようです。
「財布 メンズ」は「すぐ買う」クエリ。検索結果はショップへのリンクばかりで当然
「財布 メンズ」で検索する人は、男性向けの財布を「すぐ買う」人が多数派でしょう。
「財布 メンズ」はAction Queriesであり、検索結果には男性用財布が買えるページへのリンクがずらりと並ぶことが望ましいですね。たとえそれが広告リンクだらけでも問題ないでしょう。
「財布 メンズ」のグーグル検索結果も広告だらけ
そういうわけで「財布 メンズ」検索結果はGoogle検索結果も広告だらけです。ヤフーほどではありませんが広告がかなり幅を利かせています。「財布 メンズ」がAction Queriesなのですから当然です。
パーソナライズドされていない場合
パーソナライズドされていない(グーグルからログアウトした状態)における検索結果のファーストビュー。
メンズ用財布を売っているページへのリンクばかりが並んでいるので、大半のユーザーにとっては便利ですね。
パーソナライズドされた場合
ところが、私の場合、パーソナライズドされたGoogle検索結果では状況が一変します。こちらがファーストビュー。
広告(ショッピングサーチ)は相変わらず幅を利かせていますが、ずいぶん控えめになりました。
私は、何かを買いたいと思って検索したなら、広告でもどんどん踏んで行きます。(わざわざ広告を回避するってめんどくさくないですか。)
しかし、買いたいと思って検索することはあまりので、結果として広告を踏む回数はとても少ないです。
そのため、Googleさんからは、私は広告嫌いなユーザーに見えるのかもしれません。別に暇ならチラシや広告見るのも大好きなのですが。
「財布 メンズ」のヤフー検索結果がオワコン呼ばわりされるワケ
検索ユーザーの利便性という視点からは、「財布 メンズ」の検索結果にショップへのリンクをずらりと並べるヤフー検索は決してオワコンではありません。
しかし立場を変えればオワコンです。
SEOによって「すぐ買う」クエリのオーガニック検索結果で上位を占めることにより、購買可能性の高い見込み客を自サイトに大量に呼び込もうとするショップ運営者やアフィリエイターにとって、集客ツールとしてのヤフー検索はオワコンでしょう。
オワコンなのはヤフー検索ではなく、SEOによってすぐ買うおいしい客を集めようとする考え方です。
また、オーガニック検索>広告という価値観の人にとってもヤフー検索はオワコンに見えたかもしれません。
でも、オーガニック検索結果とスポンサードサーチを区別できない人が約4割、閲覧者の6割が広告をクリックしている現状では、オーガニック検索と広告を区別しないのがマジョリティーです。オーガニック検索>広告というのは少数派。
オーガニック検索がファーストビューに現れないことを理由に、ヤフー検索をオワコンとする人もまた少数派でしょう。
「すぐ買うクエリ」でSEOによる集客が効かないとすればどうすればいいのか
既に書きましたが、「すぐ買うクエリ」を含むAction Queriesでは、SEOによる集客は効率が悪くなっています。対応策は以下の二つです。
- 「すぐ買うクエリ」でリスティング広告を打つ
- インフォメーショナルクエリでSEOをかけて、買うには程遠い段階にいる人々を集め、彼らが買う段階にまで育つのを待つ(または積極的に育てる)
「ヤフーオワコン」の方(リスティングコンサルタント)のステマではありませんが、ネットですぐ買う客をすぐに集めたければリスティングだと思います。
クエリの目的が「買う」ではなく「調べる」場合は広告よりオーガニックが優先されている
ちなみに、ヤフーやグーグルの検索結果のファーストビューが広告で埋め尽くされるのは、「すぐ買う」系のAction Queriesだけだと思います。
「財布 歴史」「財布 英語」のようなInformation Queriesでは、広告はあってもサイドバーのみ。オーガニック検索結果に比べて広告はずいぶん控えめです。オーガニック検索結果では、情報が豊富なページへのリンクが並びます。
一般ユーザーにとってはヤフーもグーグルも検索エンジンとしてオワコンではない
ヤフーにしてもグーグルにしても検索ユーザーの意図に合わせた検索結果を返しているだけだと思います。
先ほども言いましたが、ヤフー検索がオワコンに見えてしまうのは
- すぐ買うおいしい客をSEOで集めようとする人
- オーガニック検索>広告という価値観の持ち主
だと思います。一般ユーザーにとっては決してオワコンではありません。