先日公立中学で教師をしている私の妻が定年退職した場合の退職金が2,375万円であることを書きました。
しかしこの金額は額面金額です。
ライフプラン表には、額面ではなく手取り金額を書き入れるので、退職金の手取り額を計算してみました。
手取り=額面金額-税金・社会保険料
手取りというのは、給料明細の給料総額と、実際に銀行口座に振り込まれた金額の差額のことです。
一般には手取り=額面金額-税金・社会保険料と考える人が多く、ライフプランでもそのように扱うことになっています。
退職金には社会保険料はかからない
手取りを求めるには、額面金額から社会保険料を差し引かなければなりません。
でも退職金には社会保険料がかからないんです。
退職金の手取り額を求める際には社会保険料のことは考えなくてもいいんです。
退職金にかかる税金
退職金に社会保険料はかかりませんが、税金はかかります。所得税と住民税がかかるのでそれぞれの金額求めます。
退職所得=(退職金額面金額-退職所得控除)×1/2
税金の計算をする前に退職所得の計算をします。
一般に収入そのものを所得とすることはほとんどありません。
退職金の場合も額面金額から退職所得控除を差し引いて2で割ったものが退職所得となります。退職所得は税金計算上大変優遇されていますね。
退職所得控除は勤続年数(1年未満切り上げ)によって決まります。No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|所得税|国税庁によると以下の通りです。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
1~2年 | 80万円 |
3~20年 | 40万円×勤続年数 |
21年~ | 800万円+70万円×(勤続年数-20) |
私の妻が定年まで勤務すると、勤続年数は38年になりますから、退職所得控除=800万円+70万円×(38-20)=2,060万円です。
退職所得は(2,375万円-2,060万円)×1/2=1,575,000円となります。
所得税の金額
所得税は全ての所得を合計した金額にかかるのが普通です。
しかし退職所得は他の所得と分離して所得税額を計算することになっています。
所得税は所得金額が多くなるほど税率が上がる累進課税の仕組みを取っているので、退職所得を他の所得と分離することができるのは、大変助かります。
この点でも退職所得は優遇されています。
さて、所得が多くなると税率が上がると言いましたが、実際どのようになっているかと言えば、所得の区分によって決められた税率と控除額を用いて、退職所得の所得税額=退職所得×税率ー控除額で求めます。
所得の区分ごとの税率・控除額は下記のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0円 |
195万円~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4.000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
私の妻の退職金にかかる所得税額を計算すると、退職所得×税率ー控除額=1,575,000×5%-0=78,750円となります。
住民税
退職所得に対する住民税の計算式は、退職所得×10%となります。住民税は所得税と違って累進課税の仕組みはありません。所得が多かろうが少なかろうが税率は常に10%です。
私の妻の退職金にかかる住民税は、退職所得×10%=157,500円です。
これで退職金の手取り額が求められるようになりました。
退職金の手取り額
私の妻の退職金の手取り額は以下の様になります。
退職金の額面金額-税金-社会保険料
=23,750,000円-(78,750円+157,500円)-0円
=23,513,750円
ライフプランにはこの手取り金額を書き込みます。
面倒ですが、次は老後の年金の手取り額も、求めようと思います。