1級ファイナンシャルプランニング技能士の@web_shufuです。妻は公務員(教師)です。
アラフォー以上の方には、告知義務違反をそうとは知らずにやらかしている人が結構多いと思います。何と私もそうでした。FPなのに…。
健診結果と保険契約の内容をもう一度良くチェックして、告知義務違反を犯していないかどうかを確認することをお勧めします。
以下、私の「やらかし」と告知義務違反のペナルティーについて書きます。
人間ドックのC判定は大したことがないと思い込んでいたが
今年度の保険の見直しにも大体のめどがついたので「今年の人間ドックはどうしようかな?」と思いながら去年の人間ドックの結果を見ていました。
去年は眼圧が高くてE判定を食らったのですが、その件についてはその後の検査で特に心配ないということになり、ほっと一安心していました。
一方、C判定を食らった項目もあり、それについては勝手に「大したこと無いだろう」と高をくくっていました。
E判定に目が行くあまり、C判定なんてかわいく見えてしまったわけです。
実はC判定は要治療。特定の症例についてC判定を食らうと医療保険には入れない
ところが、今になって人間ドックの結果を再確認すると、次のような記述があって冷や汗です。
C判定を受けた項目は、日常生活に注意を要します。健康管理に注意して定期的な経過観察が必要です。
C判定って「要治療」なんですね。大したこと無いなんてとんでもない。私以外でも同じような勘違いをしている人がいるんじゃないでしょうか。
C判定は医療保険や生命保険に影響する
医療保険や生命保険は、医者の治療が必要なレベルで血液や内臓の異常があるとなかなか入れるものではありません。これらのことは保険加入前の告知で必ず聞かれることになります。
つまり、C判定を食らうと、保険に入れなくなったり、保険料が高くなったりするのです。
C判定を食らったところは、治療を要するものとして告知しないと告知義務違反になる
私はこの人間ドックの結果が出た直後に生涯で初めて医療保険に加入していました。告知の時に私が何と答えてたかがとても心配になったので確認しました。
すると…
Q 申込日現在、次の疾病で、医師の診察・検査・治療・投薬を要すると診断されているか、実際にその処置を受けていますか?(中略)高尿酸血症、脂質異常症、(中略)脂肪肝…
これに対して「いいえ」と答えました。
いやはや、もう思いっきり嘘ついてますね。完全な告知義務違反です。
C判定は要治療なのに勝手に「大したことない」と思い込んでいたからこうなったのであって、悪気はありません。しかし、違反は違反です。慌てて医療保険を解約しました。
告知で嘘をつくとペナルティー
保険というものは、だれでも自由に加入させると、保険金をもらえる確率が高そうな人(死にそうな人や病気になりそうな人、すでに病気になっている人)ばかり加入するようになり、運営できなくなってしまいます。
そこで、保険会社は、こういう人を保険から締め出すために、保険加入を申込んだ人に
- 年齢
- 性別
- 職業
- 入通院治療歴
- 障害の有無
- 喫煙歴
などの質問をして健康に関する重要事項を告知させます。もちろん、保険金をもらえる確率が高そうな人からの保険加入の申込みは承諾しません。これを危険選択といいます。
保険加入を申込む人が告知で嘘をつくと、告知義務違反となり、後々に保険金の支払いが受けられないなどのペナルティーを受けることになります。
私の場合で言えば、将来保険金を受け取れるような事態が生じても、告知のところで嘘をついているので、ペナルティーが課せられて受け取れなくなる恐れがあります。そうなったら支払った保険料はすべて無駄金です。
また、告知義務違反が判明した時点で、保険契約が解除されるケースもあります。この場合も既に支払った保険料は戻ってきません。
嘘をついたことに気づいたら保険会社に連絡する
告知で嘘をついたことに気が付いたら、保険会社に連絡するのが筋です。
解約させられるかもしれませんが、割増保険料や特定部位の不担保などの条件付きで、保険契約を継続できるかもしれません。
ただ、保険契約が継続できても保険料が割高になることは避けられません。
私は解約することにした
そこで私は自ら解約をする道を選びました。
私はもともと医療保険不要派です。
今回、問題になっている医療保険は、先進医療特約を安価でつけるためだけに、入院保障を1日1000円の最低レベルに設定して加入したものです。
最近、先進医療特約に疑問を感じ始めたこともあり、この機会にやめることにしました。
保険加入者の落ち度で告知をめぐるトラブルが発生することは多い
保険の告知をめぐるトラブルはとても多いです。
今回自分でやらかしてみてわかりましたが、人間ドックの結果で異常が出ても、自分では大したことがないと勝手に思っている場合、その思い込みによって告知の時に悪意無く嘘をつくケースがあり得ます。
そのほかにこんなトラブルもあります。
保険営業マンが告知義務違反をそそのかした場合はペナルティーなし
告知義務違反には保険契約解除や保険金支払い拒否などの重大なペナルティーが科されます。
しかし告知義務違反が保険会社の落ち度によるものなら話は別です。保険契約の解除も保険金不払いも起きません。
保険会社の故意または重大な過失で告知義務違反が見逃された場合
保険会社が、故意または重大な過失で、告知義務違反を見逃していた場合は、保険契約が解除されません。
保険会社には、契約者の告知義務違反に気づいても、あえて見逃そうとする動機があります。
保険の営業職員の報酬体系は成果報酬型となっていることが多いので、このようなことが起こり得るのです。レアケースではありますが。
こうなると、保険会社があまりに腹黒いので、告知義務違反をした契約者であっても、契約解除やそれによる保険金不払いを免れます。
この場合は、何事もなかったように保険契約が継続して、保険金が支払われます。
保険会社の営業職員が告知妨害や不告知教唆を行った場合
告知妨害は読んで字の通りの意味です。不告知教唆とは、告知しないよう契約者をそそのかすことです。
保険会社の営業マンが、保険会社にとって困る告知妨害や不告知教唆をなぜするのか。
それは、保険の営業職員の報酬体系が成果報酬型となっていることと関係があるでしょう。
告知妨害や不告知教唆によって契約者が告知義務違反を犯した場合は、保険契約は解除されず保険金は約束通り支払われます。
[img-link url=”http://style.nikkei.com/article/DGXMZO92976870Z11C15A0000000″ title=”「がん隠した」、生保が支払い拒否 その真相は |くらし&ハウス|NIKKEI STYLE”]
告知妨害や不告知教唆があっても、告知義務違反と因果関係がなければ、保険契約の解除や保険金支払いの拒否が認められる
不告知教唆や告知妨害があった場合であっても、告知義務違反との間に因果関係が認められない場合は、告知義務違反を理由にした保険契約の解除が認められます。
この場合、もちろん保険金は支払われません。
国民生活センターのPDFファイルにわかり易い例が出ていました。
例えば、顧客が胃がんなのに胃炎で通院したと伝えたところ、胃炎の通院などは記載しなくてよいと営業職員が言ったというケースでは、この不告知教唆がなくとも顧客は告知書に胃炎と不実のことを書くと考えられ、不告知教唆と不実告知に因果関係がなく、生命保険会社は契約を解除できます。
告知義務違反を理由にした保険契約の解除には期限がある
「告知義務違反を犯すと保険契約が解除されて保険金が支払われない」という話をしつこくしているわけですが、保険契約を保険会社が解除する権利には期限があります。
- 告知義務違反などの解除の原因を保険会社が知ってから1か月間
- 責任開始日から2年間契約が継続した時
では、契約してから2年たてば告知義務違反には問われないのか、と言えばそれは違います。
しかし、告知義務違反を理由にした保険契約の無効や取消しには期限が無い
契約者が保険金の不法な取得を目的としている場合などに、保険会社は保険契約を無効とすることができます。
例えば、契約申し込みの時点ですでに保険金支払事由に該当していることを知りながら、これを隠して契約者が保険に加入している場合などがこれに該当します。
ただし、保険会社がそれと知りつつ放置したなら、無効とはなりません。
保険契約者・被保険者・保険金受取人が詐欺や脅迫を行って保険契約が締結された場合などは、保険契約は取消となります。
無効や取り消しとされた場合、保険金が支払われることはありません。それまでに支払った保険料も返還されません。
[img-link url=”http://www.seiho.or.jp/activity/guideline/pdf/announce.pdf” title=”正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン”]
告知や診査はいい加減にすると大変なことになる
告知は新規契約時だけではなく、保険契約の復活、復旧、中途増額、転換時にも行う必要がありますので、その都度きちんとしておきたいですね。