保険は諾成契約の一つです。契約者と保険者が合意すれば保険契約は成立します。(ただし受取人と被保険者が異なる契約の場合は被保険者の同意も必要です。)
理屈から言えば、合意の日が保険契約の成立日です。
言い換えると、契約者の保険加入申込みを、保険会社が承諾した日です。
しかし、保険会社が契約上の義務を果たし始める日は、契約日より前にさかのぼります。
これを責任開始日(期)といいます。
保険の契約日とは、保険会社が契約を承諾した日のこと
保険会社が契約を締結した場合は、遅滞なく保険証券を契約者に対して交付しなければなりません。
保険証券の記載内容は通常次の通りとなります。
- 保険会社の名前
- 契約者の名前
- 被保険者の名前その他被保険者を特定するための情報
- 保険金受取人の名前その他受取人を特定するための情報
- 保険金支払事由(保険事故)
- 保険期間
- 保険金額と支払方法
- 保険料とその支払い方法
- 契約日
- 保険証券作成日
保険証券は「保険会社が契約者からの保険契約締結の申し込みを承諾した証」でもあります。
ですから
[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]保険証券発行日が保険契約成立日となります。[/bubble]
本来であれば、保険証券が発行されるまでは、保険契約の効力が発生しないことになります。
保険証券が発行されるまでに数週間かかることもあるので、これでは契約者が不利です。
責任開始日とは保障が開始される日のこと
そこで、生命保険約款では、たとえ保険証券発行前であっても、契約者が
- 申し込み(生命保険契約申込書への記入と署名捺印)
- 初回保険料の払い込み
- 告知または診査
のすべてを完了した日に、保険会社が保険契約上の保障責任を負い始めることとされているのが一般的です。
この日を責任開始日(責任開始期)といいます。この日以降、保障という保険の効力が発生するので、責任開始日は効力発生日ということもできます。
あくまで契約が成立した場合に、保険会社が責任開始日にさかのぼって責任を負うというのが重要なことです。
参考⇒失効した保険が復活した場合の責任開始日
また、責任開始日から2年経過すると、保険会社が告知義務違反を理由に契約解除することができなくなるので、その意味でも責任開始日は重要です。
[img-link url=”https://webshufu.com/insurance-notification-examination/” title=”告知義務違反とならないよう保険契約時の告知と診査はしっかり行う”]
責任開始の特約
一部の保険会社では、責任開始の条件から「初回保険料の払い込み」を除外し、「申し込み」と「告知または診査」が終了した時点で責任開始日とするような特約を付けています。
この場合は通常より責任開始日が早くなりますね。
また、保険料をクレジットカードで払う場合は、保険会社がクレジットカードの有効性などを確認した時に第1回保険料を領収したものとして取り扱ってくれる場合もあります。⇒メットライフアリコなど
責任開始日と契約日のパターン
責任開始のための3つの条件のうち最初に行われるのは申込みです。
しかしその他2つについては状況に応じて順番が入れ替わります。
保険証券の発行は、責任開始のための3つの条件が全て成立した後となることが多いですが、必ずそうなるとは限りません。
申込み⇒初回保険料⇒告知⇒保険証券
告知日が責任開始日です。保険証券発行日が契約日です。
申込み⇒告知⇒初回保険料⇒保険証券
初回保険料を支払った日が責任開始日です。保険証券発行日が契約日です。
申込み⇒告知⇒保険証券⇒初回保険料
初回保険料を支払った日が責任開始日です。保険証券発行日が契約日です。
一番大事なのは重要事項の説明書をよく読むこと
以上、生命保険の契約日と責任開始日について一般的なところをまとめました。
しかし、一般論より大事なのは、
[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]自分の契約している保険で契約日と責任開始日についてどのような規定があるか
[/bubble]
です。契約前に重要事項の説明のために交付された書類によく目を通しておきましょう。
[img-link url=”https://webshufu.com/document-before-insurance-contract/” title=”生命保険の契約前交付書類 (約款、契約のしおり、契約概要、注意喚起情報)”]