結婚・出産・子供2人の養育で約4500万円かかります

Bride

先日、FP業務で結婚・出産・子育て費用の試算をしてみました。

諸統計の平均値を使って試算したのですが、子供二人を大学卒業まで育てるのに4,500万円かかることが分かりました。

身分が安定している教師の方でも、親になるのはちょっと覚悟がいりそうですね。

(以下の内容は2015年ころの事情に基づいて書かれたものです。)

試算の結果

結婚して子供を大学卒業まで育て上げるのにかかる費用(単位:万円、合計は100万円未満四捨五入)を、

  • 公立コース(小中高大全て国公立)
  • 私立コース(小中高全て私立・大学は私立理系)

の別に試算しました。

子供一人の場合

子供一人の場合は、公立コースで約2,700万円、私立コースで約3,900万円です。

費目公立コース私立コース
結婚費用188188
出産費用2525
子供の生活費1,3201,320
保育園・幼稚園年代の教育費200200
小学校~高校の教育費5001,600
大学学費250520
合計およそ2,5003,900

子供二人の場合

子供二人の場合は、二人とも公立コースなら約5,000万円、二人とも私立コースなら7,300万円になります。

費目公立コース私立コース
結婚費用188188
出産費用5050
子供の生活費2,3702,370
保育園・幼稚園年代の教育費400400
小学校~高校の教育費1,0003,200
大学学費5001,040
合計およそ4,5007,300

4,500万円などと脅かしましたが、結婚式の費用自体は大きくありません。子育て費用が大きいんですね。

試算の根拠

どうしてこんな試算結果になるのか、内訳などを説明していきます。

結婚費用と初婚年齢の平均

結婚関連費用の平均から結婚関連収入の平均を差し引くと約180万円です。ウェブシュフ夫婦は地味婚だったので70万円ほどでしたが。

結婚関連費用、結婚関連収入について内訳などを見ていきましょう。

結婚関連費用の平均は615万円

リクルート・ブライダル総研の調査結果新生活準備調査によると、結納・婚約~新婚旅行までにかかった総費用(単位:万円)の全国平均は586万円。ちなみにウェブシュフ夫婦は215万円。

費目全国平均ウェブシュフ家
結納式の費用180
両家の顔合わせの費用53
婚約指輪370
結婚指輪(2人分)2440
挙式、披露宴・披露パーティ総額35870
新婚旅行6140
新婚旅行土産1110
家具寝具家電購入費用7727
引越し費用610
新居の敷金・礼金1815
支出合計615215

結婚関連収入の平均は427万円

一方、結婚絡みでもらえるお金(単位:万円)は、全国平均が386万円、ウェブシュフ夫婦の場合は130万円。

費目全国平均ウェブシュフ家
親族の援助195130
親族以外のご祝儀2320
収入合計427130

結婚に伴う純支出は平均で188万円

結局、結婚関係の純支出(支出合計-収入合計)の全国平均は約188万円(=615-427)でした。

私たちは地味婚なので85万円でしたが。

平均初婚年齢は男31歳女29歳

ライフプランを立てるには「結婚にいくらかかるか」と同時に「いつ結婚するか」も重要です。

厚生労働省の人口動態調査によると、平均初婚年齢は上昇を続けています。

平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性は29.4歳。
年度
19752724.7
198027.825.2
198528.225.5
199028.425.9
199528.526.3
200028.827
200529.828
201030.528.8
201531.129.4
202031.029.4

このように男女とも晩婚化は止まっていません。

結婚が具体化していない20代の方は、男性は32歳、女性は30歳で結婚するものとして、ライフプランを立てるといいでしょう。

妊娠出産費用の平均・相場

国や自治体から様々な援助によって、妊娠・出産にかかるお金は、第1子の場合約25万円程度に抑えられています。第二子以降はそれよりも若干少なくなります。

まず、平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 – 内閣府によると、第1子一人当たりの妊娠中の出産準備費(単位:円)は約65,662円です。

ここでいう出産準備費とは、医療機関以外への支払い額のことです。

費目全国平均
妊婦用品・衣料費等44,100
妊娠中の運動・学習、胎教、安産祈願費等15,606
妊娠中の家事サービス費5,956
合計65,662

次に、第1子一人当たりの出産関連費は185,053円です。

ここで言う出産関連費とは、医療機関への支払い額のことで、国・自治体等からの助成金を差し引いた実費(手出し)です。

費目全国平均
出産前の定期健診費59,864
分娩・入院費110,894
通院や里帰り出産のための交通費14,295
合計185,053

出産準備費と出産関連費をあわせて約25万円です。

第2子以降の出産関連費は、お下がりが利用できるなどの理由で、費用が抑えられます。

とはいえ、きちんと手続きをした場合の話ですから、手続きを怠ると妊娠出産費用が膨らんで大変なことになります。

いざ子供を授かったときは、手続きのことをすぐに考えるようにしたいですね。

子供にかかる生活費(養育費)の相場、平均

子供一人にかかる生活費の総額は、教育費と住居費を除いて、中学卒業までで約980万円、高校卒業までで約1,210万円、大学卒業までなら約1,520万円になります。

一方で、平均的な所得水準の世帯は、子供が中学を卒業するまで総額約200万円の児童手当が貰えます(所得制限があるので注意)。

つまり、子供一人にかかる生活費のうち親が自腹を切って支出する部分は、中学卒業までで約780万円、高校卒業までで約1,010万円、大学卒業までなら約1,320万円ということになります。

中学生までの生活費について

平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 – 内閣府によると、「教育費」「保育園費・幼稚園費」「子どものための預貯金・保険」を除く、第一子の年間養育費(単位:千円)は以下のようになります。

費目未就園園児小学生中学生
服飾雑貨69666977
食費166225278357
生活用品150938397
医療12132223
携帯00423
小遣い011039
お祝い行事60413234
旅行レジャー97136167147
合計554576661772

高校生・大学生時代の生活費について

子どものくらしとお金に関する調査(第2回)平成22年度[1] : 知るぽるとによると、高校生の小遣いの平均は月5,000円(年60,000円)です。

私が「子供一人を育てるのに、 高校卒業までなら約1,210万円、 大学卒業までなら約1,520万円かかります」と言ったのは、

  • 高校・大学時代のお小遣いの平均は月5,000円
  • その他の養育費は、中学時代と全く同額かかる

という前提のもと計算したものです。

二人目以降の子供にかかる生活費

二人目以降の養育費(教育費・保育費を除く、単位:円)は、第2子は第1子の「8割」、第3子は「6割」として計算すると良いと思います。

児童手当

児童手当は子供が中学校を卒業するまで受け取れる手当てです。誕生日や兄弟の数によって手当ての総額は変わりますが、子供一人あたり少なくとも198万円は貰えます。

第1子・第2子に対する児童手当の月額(単位:円)は以下の通りです。

年齢月額
3歳未満15,000
3歳以上中学校終了まで10,000

第3子以降は小学校修了まで月額15,000円となります。

保育園・幼稚園年代の教育費の平均・相場

世帯年収や住む地域によって異なりますが、0歳から保育園に通わせた場合、小学校に上がるまでにかかる保育料は160万円程度。

習い事などその他の教育費を含めると、小学校に上がるまでにかかる教育費の総計は200万円程度です。

保育料

平成 27年 地域児童福祉事業等調査の結果|厚生労働省によると、児童1人あたりの年額保育料(単位:円)の平均は以下の通りです。

種別年額保育料
児童が1人の世帯275,640
児童が2人の世帯210,660
児童が3人の世帯124,872

幼稚園の学費

結果の概要-平成28年度子供の学習費調査:文部科学省によれば、幼稚園に通わせた場合、学校教育費・学校給食費の年間合計(幼稚園に支払うお金の総額、単位:円)の平均は以下の通りです。

種別金額
公立幼稚園140,964
私立幼稚園348,687

塾や習い事(学校外教育費)

結果の概要-平成28年度子供の学習費調査:文部科学省 によると、3歳~5歳時における年間の学校外活動費(塾・習い事費用、単位:円)の平均は以下の通りです。

種別金額
公立幼稚園92,983
私立幼稚園133,705

このデータは幼稚園児のみを対象にしたもので、保育園児は調査対象から漏れていますが、保育園児もほぼ同様の約10万円と見積もっておけば良いと思います。

小学校~高校の教育費

小学校から高校まで、全て公立に通わせた場合の教育費の合計は約500万円、全て私立に通わせた場合の教育費の合計は約1600万円です。

結果の概要-平成28年度子供の学習費調査:文部科学省によると、1年間にかかる学習費(単位:円)を学校種別ごとにまとめると以下のようになります。

小学校公立私立
学校教育費60,043870,408
学校給食費44,44144,807
学校外活動費217,826613,022
合計322,3101,528,237
中学校公立私立
学校教育費133,640997,435
学校給食費43,7308,566
学校外活動費301,184320,932
合計478,5541,326,933
高校公立私立
学校教育費275,991755,101
学校給食費
学校外活動費174,871285,067
合計450,8621,040,168

大学時代の教育費(学費)

4年で卒業した場合の学費は、国立大学で約250万円、私立大学(理系)で520万円です。

私立大学の学費の相場・平均

によれば私立大学の初年度学生納付金平均額(単位:円)は以下の通りです。

種別授業料入学料施設整備費
全体900,093252,030181,294
文系781,003231,811152,496
理系1,101,854254,941184,102
医歯2,847,9401,050,306872,711

入学料は初年度だけの費用、それ以外は卒業するまで毎年かかる費用ですね。

国立の場合

一方、国立大学の学費はほとんど一律です。文系・理系医歯系の区別もありません。

授業料・入学料 — 大阪大学によると(単位:円)、

区分授業料年額入学料
学部535,800282,000
大学院研究科535,800282,000
法科大学院804,000282,000

国立大学の場合は、文系と理系との間に学費の差はありません。

一方、結婚による生活費削減効果は3,900万円以上

「結婚したらお金かかるよ」という話をずっとしてきました。でも、結婚でお金が節約できる側面もあります。

実は、結婚して夫婦が同居し始めた瞬間から、生活費が大きく浮くようになるのです。

統計局ホームページ/家計調査年報(家計収支編)平成26年(2014年)によると、単身男性の消費支出は168,166円/月、単身女性の消費支出は155,834円/月、二人世帯の消費支出は255,320円です。

ひとり暮らしをしていた男女が結婚すると、1ヶ月当たり68,680円(168,166 + 155,834 -255,320)の消費支出削減効果があることがわかります。

仮に、夫婦とも30歳で結婚し、50年後にどちらかの死によって結婚生活が終わったとすれば、結婚による生活費削減効果総額は39,408,000円(65,680×12×50)です。

結婚して共働きを続ければ、収入はそのままで、大幅な節約効果を手にすることが出来ます。

このメリットを考えれば、子供二人を公立コースで育て上げた場合に4,500万円かかったとしても、大したことはありませんね。

平均はあくまで平均。大事なのは自分でライフプランを立ててやりくりすること

「結婚と子育て(二人)で45,000,000円かかる」というのは、世の中の平均的な相場を積み上げた参考情報に過ぎません。

45,000,000円を目にして思考停止に陥って、

  • そんなにお金ないから結婚やめとこうかな…
  • とにかく貯金しなきゃ

等と悩みを抱えても仕方ありません。

自分の家計の将来を考えるなら、自分の希望や価値観を反映させたライフプランを作成して色々と考えるより他ありません。


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