HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

夫(妻)死亡後の生活費は、夫(妻)が健在な場合より少なくて済む

夫(妻)死亡後の生活費は、夫(妻)が健在な場合より少なくて済むことが多いです。

「夫が亡くなったら、収入が激減するわ…」ということばかりに気が行く方が多いですが、収入減によるダメージは、生活費の減少である程度緩和されます。

ですから、生命保険について考えるなら、夫(妻)の死後に、自分や子供たちなど残された家族の生活がどうなるかを丁寧に試算しないといけません。

我が家で行った試算を例に解説します。

夫婦とも長生きする前提でライフプランを作る

まずは夫婦二人とも長生きする前提でライフプランを作ります。

ライフプラン表を作る際には家族構成を書き入れますが、この記事では我が家を例にいろいろと説明するので、我が家の家族構成を説明しておきます。

  • 私は1971年生まれで、主夫&自営業。
  • 妻は1972年生まれで公立中学教師。一家の大黒柱。
  • 私たち夫婦に子供はいません。

なお、二人とも両親は健在で、結構な高齢になっています。

  • 私の父(1942年生まれ)
  • 私の母(1944年生まれ)
  • 妻の父(1944年生まれ)
  • 妻の母(1948年生まれ)

皆さんは、それぞれのご家庭の状況に沿って、家族構成を書き入れてくださいね。

生命保険を考えるうえで重要なのはキャッシュフロー表

ライフプラン表のうち、特に重要となるのが、キャッシュフロー表(家計の収支表)の部分です。

キャッシュフロー表は

  • 夫(妻)に生命保険をかける必要性があるかどうか
  • 必要性があるなら現金の額をいくらにすればいいか

ということを判断するための基礎になります。

支出を3つに分ける

キャッシュフロー表の支出項目は、誰のために使ったかが明確なものと不明確なものとに分けることができます。

さらに、誰のために使ったかが明確な支出は、 生命保険を検討する上で亡くなると仮定する夫(妻)のために使ったものと、それ以外の誰かのために使ったものとに分けることができます。

このように考えると、キャッシュフロー表上の支出は以下の三つに区分することができます。

  • 亡くなると仮定する夫(妻)のための支出
  • 亡くなると仮定する夫(妻)以外の誰かのための支出
  • 誰のためのものか不明確な支出

我が家の場合は以下の3つに区分することになります。

  • 亡くなると仮定する妻のための支出
  • 自分のための支出
  • 妻のためか自分のためかが不明確な支出

夫(妻)のために行っている支出は、夫(妻)が亡くなると0になる

亡くなると仮定する夫(妻)のためだけに行っていた支出は、夫(妻)が亡くなればゼロになります。

我が家では、妻が亡くなると仮定して妻にかける生命保険を考えたので、妻のための支出をまとめました(単位は万円/年)。

費目別 妻生前 妻死後
妻車検・車買換え 40 0
妻ガソリン代 15 0
妻車の税と保険料 21 0
妻職場交際費 21 0
妻お小遣い・交際費 74 0
妻医療費・人間ドック 10 0
妻服飾費 25 0
合計 182 0

表の形式でまとめるとわかりやすいですね。妻は「え?私のためにこんなにお金を使っているの?」というのですが、私はずっと前から知ってました。

我が家の妻の金遣いが荒さはさておき…

どこの家庭でも、お小遣い・交際費・自動車関連費用などは、誰のための支出であるかが明確だと思います。

ご自身のご家庭の事情に即して考えてみてください。

夫(妻)以外の誰かのための支出は、夫(妻)の死後も減少しない

亡くなると仮定する夫(妻)以外の誰かのために行っている支出は、夫(妻)が亡くなった後も減りません。

我が家では、妻が亡くなると仮定して妻にかける生命保険を考えたので、妻以外の誰かのために行っている支出をまとめました(単位は万円/年)。

費目別 妻生前 妻死後
私のお小遣い・交際費 30 30
私の消耗品費 1 1
私の支払手数料 2 2
※介護・葬儀 25 25
私の図書費 10 10
私の医療費・人間ドック 20 20
私の服飾費 10 10
合計 98 98

我が家は二人暮らしなので、妻以外の誰かのために行っている支出は、ほとんどが私のための支出ということになります。

妻よりずいぶんつつましいです。

唯一違うのが介護葬儀費用です。これは私のための支出ではありません。妻と私のそれぞれの両親にかかる介護葬儀費用として計上しています。

合計で1400万円かかると見積もっているのですが、私が102歳まで生きる前提でライフプランを作っているので、一年あたり25万円も見ておけば大丈夫だという計算です。

子供のための支出、特に教育費は重要

お子さんのいる家庭で生命保険を検討する際には、子供のための支出を「夫(妻)の死後も減少しない支出」として漏れなく計上しておくことが大事です 。

特に教育費は重要です。

教育費のために生命保険に入ると言っても過言ではないからです。

キチンと見積もってください。

誰のためであるかが不明確な支出は、減るかどうかを一概には判断することができない

家計支出には、誰のための支出であるかが不明確なものもあります。

例えば、住居費、通信費(プロバイダ費用、固定電話代など)、食費などがそうです。

こういった支出が夫(妻)が亡くなった後に減るかどうかは、一概には判断できません。

住居費について考えると、持ち家世帯の場合は、団体信用生命保険で夫(妻)死亡後のローン返済が免除されば、住居費は減ります。

でも、ローンのうち、生き残った妻(夫)が背負っている部分は、死亡後もローンは免除されません。

賃貸世帯の場合は、夫(妻)死亡後に狭くて安い賃貸に引っ越せば、住居費は減ります。しかし、引っ越さなければ、住居費は減りません。

結局、住居費のような「誰のためであるかが不明確な支出」が夫の死後に減るかどうかは、個々の家庭の事情によるとしか言えません

もしかしたら、夫(妻)が亡くなった後に支出が増えるかも知れません。

ご自分の家庭の事情を考慮に入れて、費目別に丁寧に試算するしかありません。

これも表の形式にまとめるといいです。

ちなみに、我が家は賃貸住まい(家賃月7万円)ですが、妻の死後にはより安い賃貸(月5万円程度)に引っ越すことにしています。

その前提で妻死後の住居費を見積もっています。

夫(妻)が亡くなる前後の生活費をそれぞれ集計して比べる

最後に夫(妻)が亡くなる前後の生活費を集計してみましょう。

ほとんどの場合、夫(妻)が亡くなる前よりも夫(妻)が亡くなった後の方が生活費が少なくなるはずです。

我が家の場合は以下のようになりました。

費目別 妻生前 妻死後
家計支出合計 599 297

妻が亡くなった後、生活費はちょうど半分くらいになります。

生命保険を考えるなら、夫(妻)死後は生活費が大きく減ることを意識したい

生命保険を検討する際は、「夫が亡くなったら、収入が激減するわ…」という不安ばかりにとらわれがちです。

しかし、生活費もかなり減ることを考えれば、収入激減のダメージはそこまで大きくなりません。

そのうえ、夫(妻)が亡くなった後は、遺族厚生年金や遺族基礎年金を受け取れることも多いです。

こういったことも考慮に入れて、生命保険の保険金額を適切に設定したいところです。

保険金の額が多すぎると、保険料の負担で長い間に少しずつ家計がむしばまれてしまいます。

心配だからと言って保険金を増やし過ぎないようにしてくださいね。


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