臓器移植と先進医療だけに特化した医療保険「リンククロスコインズ」への加入を検討したけど見送った

連載:医療保険は不要 第36回です。最終回です。

前回は、海外旅行時には、治療費無制限補償と持病補償のある海外旅行保険に入ったほうがいい ということについて書きました。

今回は、前回に引き続き、医療保険に入る必要はないと考える私が「敢えて加入を検討した方がいい」と思う保険を紹介します。

今回紹介するのは、先進医療を補償する保険です。

我が家では、以前、先進医療と臓器移植に特化した医療保険「リンククロスコインズ」への加入を真面目に検討しました。

入院保障を付けずに先進医療特約を付けることができる保険は、私が知る限りこれだけです。魅力的な部分もありました。

しかし結局は加入を見送りました。その結論に至るまでを書きます。

リンククロスコインズへの加入を検討されている方の参考になれば幸いです。

リンククロスコインズの保障内容

Linkx coins(リンククロス コインズ) | 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命を確認したところ、こんな保障内容でした。

  • 保険料は月々500円
  • 臓器移植給付金は1000万円(給付は一回限り)
  • 先進医療給付金は2000万円まで(給付回数無制限)
  • 先進医療一時金5万円(給付回数無制限)

リンククロスコインズの臓器移植への保障は帯に短したすきに長し


リンククロスコインズの臓器移植医療給付金は1000万円です。

所定の臓器移植手術を受けたときに支払われます。

所定の移植術とは、心臓・肺・肝臓・膵臓・小腸・腎臓の移植術のことをいいます。 また、被保険者が受容者として移植術を受けられた場合に限ります。(Linkx coins(リンククロス コインズ) | 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命

臓器移植に対する保障が付いた保険商品はこれまでとても少なかったので、リンククロスコインズは一見魅力的です。

ただ、臓器移植医療給付金は臓器移植にかかった費用にかかわらず1000万円という定額です。

臓器移植にかかった費用が100万円でも1億円でも、給付金の金額は1000万円です。

我が家としては多額の費用が掛かったときにそれを埋め合わせてもらいたいので、これでは帯に短し襷に長しです。

国内の臓器移植はほとんどが保険適用

先日の記事でも書きましたが、日本国内で臓器移植を受ける場合、そのほとんどが公的医療保険の適用対象となります。

公的医療保険の適用対象となれば、高額療養費制度が適用されます。自己負担はとても少なくて済みます。

移植のための臓器搬送に少々費用がかかりますが、それでも200万円もあれば臓器移植を受けることは出来ます。

これくらいであれば十分に貯蓄でまかなうことができますよね。

日本国内で臓器移植を受ける場合、臓器移植医療給付金の1000万円などいりません。

我が家が臓器移植に備えて保険に入るとすれば、それは海外移植を受ける場合です。

海外臓器移植の費用は億単位。1000万円の給付金では足りない

海外で臓器移植を受ける場合、デポジットとして事前に億単位のお金の入金が求められます。

日本の国立成育医療研究センターによれば、アメリカでは2007年頃までは心臓などすべての臓器移植は3000万~7000万円だった。それが、2009年には心臓移植を求める日本人の幼児に対し、4億円のデポジットを求められたケースもあった。(米の臓器移植 カネの力で優先させる日本人対策で費用が上昇│NEWSポストセブン

だから海外移植が必要になった方は募金をしますよね。

では、リンククロスコインズに入っておけば、いざという時に募金をしなくてもよいのでしょうか。

そんなことありませんよね。

億単位の費用がかかるなら、臓器移植医療給付金として1000万円を貰ったところで、焼け石に水です。

いざ臓器移植のために海外に出向く必要が出たなら、リンククロスコインズに加入していても、募金に頼らなければならないでしょう。

もちろん、臓器移植の費用に少し足りない程度まで募金が集まった場合などは、「臓器移植医療給付金の1000万円のおかげで助かった」というケースも考えられます。

だから1000万円の臓器移植医療給付金が全く無意味だとは言いません。

でも移植に必要なお金を賄うには、臓器移植医療給付金の金額1000万円は力不足だと言わざるを得ません。我が家はそう判断しました。

なお、海外での臓器移植がリンククロスコインズの臓器移植医療給付金の対象となるには、日本国内の医師(保険医)によって治療上必要であると診断された臓器移植であることが条件になります。

日本国内での小腸移植に備えるなら悪くないかもしれませんが‥

先ほど日本国内での臓器移植はほとんどが保険適用だという話をしましたが、小腸移植は保険適用外です。

小腸移植は一部の病院で受ければ先進医療となりますが、他の病院で受けた場合は先進医療とされず、費用の自己負担額は1000万円から2000万円になります。

これに対応するためなら、臓器移植医療給付金が1000万円であるリンククロスコインズは、悪くない選択かもしれません。

リンククロスコインズの先進医療への保障は2000万円。一般的な先進医療特約より充実。

リンククロスコインズの臓器移植医療給付金が力不足だといいましたが、先進医療に対する保障は充実していると思います。

リンククロスコインズの先進医療保障は2本立てです。

  • 先進医療給付金は2000万円まで(給付回数無制限)
  • 先進医療一時金5万円(給付回数無制限)

リンククロスコインズの加入者が先進医療を受けると、先進医療一時金として先進医療にかかる費用に関わらず5万円、先進医療給付金として先進医療にかかる技術料相当額がもらえます。

また、先進医療給付金と先進医療一時金には給付回数の制限はありません(先進医療は何回も受けるようなものではありませんから大したメリットはないかもしれませんが)。

リンククロスコインズの先進医療に対する保障は充実していると言えるでしょう。

しかし将来を見据えると2000万円は中途半端かもしれない

リンククロスコインズの先進医療保障は2000万円で、他と比べれば充実しています。しかし適正な保障金額かと言われると疑問です。

現在の先進医療の中で最も高額なものは、がん治療として使われる陽子線治療や重粒子線治療です。

どちらも費用は300万円程度です。

先進医療を一生の間に何度も受けることは考えにくいので、現状では先進医療に対する保障は1千万円もあれば十分です。

一方、現在保険診療とされている診療や治療の中にも、1ヶ月の治療費が1億円もかかる高額なものがあります。

[img-link url=”https://webshufu.com/thanks-for-high-cost-illness-insurance/” title=”【高額療養費のメリット】1か月の医療費が1億円でも、自己負担額は驚くほど少額で済む”]

1ヶ月に1億円もかかる治療が先進医療として採用されたとすれば、先進医療に対する保障は1億円程度必要ということになります。

リンククロスコインズの先進医療保障は2000万円ですから、現在の先進医療に対して備えるには大き過ぎ、将来の先進医療費用高騰に備える意味では心もとないです。

つまり、リンククロスコインズの先進医療保障は中途半端だと言えます。

我が家はリンククロスコインズへの加入を見送りましたが…

我が家のリンククロスコインズに対するスタンスは「見送り」です。

臓器移植に対しても先進医療に対しても保障が中途半端だからです。

先進医療や臓器移植に対してのみ保険で備えたい人には魅力的

我が家は見送りましたが、リンククロスコインズがダメな保険などとは思っていません。

「いま販売されている医療保険に魅力はない」とよく言う私が検討したこと自体、既存の医療保険よりも圧倒的に魅力的だと思っている証拠なんですよね。

「入院保障は別にほしくないけど、先進医療や臓器移植に対しては保険で備えたい」とお考えなら、リンククロスコインズを検討する価値はあると思います。


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