妻(夫)が亡くなった時に遺産全額を相続することはできるのか

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2016-06-29-how-to-succeed-to-all-the-partner-property

先日、稼げない夫が生活費を負担すると家計に余分な出費が発生して迷惑だからやめた方がいいという記事を書きました。あらすじをまとめると、

稼げない夫が生活費を出す⇒稼いでる妻の貯蓄がすごい勢いで伸びる⇒妻死亡時に相続で流出するお金が増える⇒妻に掛ける保険金を高くせざるを得ない⇒保険料が高くなる⇒…この流れは家計にとって損ですよね

という感じです。

これについて美人投資ブロガー @rosenesanmary 様からコメントを頂きました。

このご指摘はまさに正論です。遺言書を使うなどすれば、妻(夫)が亡くなった時に、配偶者である自分が遺産の全額を相続することも不可能ではありません。

ただ、我が家としては思うところがあり、遺言書を用意して遺産全額の相続をするのは見送ることにしました。

まず、妻(夫)に「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を書いてもらう

妻(夫)が亡くなった時、遺産を相続する権利があるのは自分だけではありません。

妻(夫)に生存している親がいれば、自分以外にその親も相続人になります。

妻(夫)に生存している親がいなくても、生存している兄弟姉妹があれば、その兄弟姉妹も相続人になります。

兄弟姉妹が亡くなっていても、その子供が代わりに相続人になります。

何もしなければ、自分が妻(夫)の遺産をすべて相続できるのは、妻「夫」に生存している親も兄弟も甥・姪も全ていない場合だけとなります。

ですから、妻(夫)が亡くなった時に配偶者である自分が遺産全額を相続したいなら、@rosenesanmary さんの御指摘のように、遺言書を利用するのがもっともポピュラーだと思います。

しかし、

ウェブシュフ
「僕に遺産の全額を譲る」って遺言書を作っといて
ウェブシュフ妻
オッケー。

などと単純な問題ではありません。妻からすれば色々思うところがあってもおかしくないからです。

遺言書の書き方にはクリアすべきハードルがたくさんあって大変

さて、妻(夫)が遺言書を書く気になってくれたとして、

ウェブシュフ妻
遺言書ってどう書けばいいの?

という壁があります。

遺言書は、法律で定められた一定の形式を守らないと、無効になってしまうこともあるので、遺言書の書き方はとても大事なのです。

形式には大きく分けて以下の3つがあります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

それぞれ絶対に守らなくてはならない形式・手続きが定められています。ここでは詳しく書きませんが。弁護士さんの運営する下記サイトに形式手続面が簡単にまとめられているので、ご参考までにご覧ください。

私としては、遺言書を書くなら、公正証書遺言をお勧めします。公証役場で作成するので手続・形式面の失敗がまず起こらないからです。

妻(夫)が拒否しても当然だと思うべし

妻(夫)に「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を書いてもらうと、自分が遺産の全額を相続することができるようになります。

でも、「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を書いてもらうって、よく考えるとかなり自分勝手な話だと思うんですよね。

ウェブシュフ妻
私が死んだら年老いた親にも少しは遺産を残したいわ

妻(夫)が「親にも遺産を残したい」と思うのは当然ですよね。これは兄弟に対しても同じだと思うんですよね。

だから妻(夫)に「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を書くよう頼んでも、断られる可能性もありますし、断られたからって妻(夫)を責めるわけにも行きません。

「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書があっても遺産全額を相続できないことも…

さて、ここまでは、妻(夫)に「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を書いてもらえば、妻(夫)が亡くなったときに自分が遺産全額を相続できるかのような言い方をしました。

しかし、現実には、遺言書があっても、自分が妻(夫)の遺産全額を相続できるかどうか分からないケースがあります。

妻(夫)の親には遺留分があるため、遺産の1/6を分配しないといけない

妻(夫)に生存している親がいる場合、その親も相続人になります。親には遺留分があります。

遺留分は「最低限相続できる金額」のことです。亡くなった人の親には遺産の1/6が遺留分として認められています

ですから、亡くなった妻(夫)の親から遺留分の主張(遺留分減殺請求といいます)があると、たとえ「配偶者に遺産の全額を相続させる」との遺言書があったとしても、遺産の1/6は妻の親に分配しないといけません。

自分が相続できるのは遺産の5/6です。

ただし、亡くなった妻(夫)の親が、妻(夫)が亡くなってから1年以内に遺留分減殺請求をしなければ、遺言書の通りに自分が妻(夫)の遺産全額を相続できます。

妻(夫)が生きているうちに妻(夫)の親に遺留分を放棄してもらう手続きもありますが、それでも無償で放棄してもらうことはほぼ不可能です。

このように、妻(夫)に生存している親がいる場合、「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書があっても、妻(夫)の遺産を自分が全額相続することはかなり難しいです。

一方、妻(夫)の兄弟には遺留分がないので、「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書があれば大丈夫

妻(夫)の親には遺留分がありますが、妻(夫)の兄弟姉妹には遺留分がありません。

妻(夫)の死亡時に妻(夫)の親が亡くなっていれば、相続人は自分と妻(夫)の兄弟姉妹だけです。

このケースでは「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書があれば、妻(夫)の遺産の全額を自分が相続することができます。

しかし「配偶者に遺産の全額を相続させる」という極端な遺言は遺恨の元

このように、「配偶者に遺産の全額を相続させる」旨の遺言書を妻(夫)に書いてもらえば、万一妻(夫)が亡くなったときにも、自分が多くの遺産を手にすることができます。

妻(夫)に生存している親がいない場合には遺産の全額を自分が相続することができますし、そうでない場合にも遺産の5/6を自分が相続することができます。

しかし、「配偶者に遺産の全額を相続させる」ような極端な遺言は残された遺族の間に亀裂を入れてしまうと思うんですよね。

妻が「私に遺産の全額を譲る」旨の遺言書を残してくれていても、妻が亡くなって遺言書の内容が明らかになった時点で

妻の父
亡くなった娘にあんな遺言を書かせたのはウェブシュフ君だろう…
妻の妹
ウェブシュフ義兄さんひどくない?

となりそうな気がして怖いんですよね。

子供のいない身としては、年老いた後の身寄りとして、義兄弟との関係もある程度保っておきたいです。。。

我が家では遺産そのものを調整して相続時の資産流出を抑制することにしました。

そういうわけで、我が家では「配偶者に遺産の全額を相続させる」という遺言は使わないことにしました。

その代わり、あまりに妻に偏っている資産バランス(妻9:私1)を調整することにしました。

以前の記事稼げない夫が生活費を負担すると家計に余分な出費が発生して迷惑だからやめた方がいいでも書きましたが、

  • 稼ぎの多いほう(我が家では妻)が生活費の大半を支出する
  • 年間110万円までの贈与には贈与税が課税されないことを利用して、その範囲内で稼げる方から稼げないほうに資金移動をする

というような手段で、夫婦の資産バランスを最終的にはイーブンにする方向で調整します。

「妻9:私1」が「妻5:私5」になるだけで、妻に万一のことがあった場合に相続で流出する金額は少なくなります。

それでも相続による流出が重大な影響を与えるなら定期保険でカバー

我が家では相続で資産がある程度流出することを受け入れる選択をしましたから、資産流出が私の老後にどの程度影響するかを考えておかないといけません。

そこで、私が2073年(102歳)まで生きると仮定して、妻が亡くなった年次別に私の死亡時に残る金額(生涯キャッシュフロー)を調べて把握しました。

調べた結果、あまりに早く妻が亡くなると相続による資産流出が私の老後にクリティカルヒットすることが分かったので、当分の間妻に定期死亡保険をかけて対応することになりました。

まとめ

妻(夫)が亡くなった時に配偶者である自分が遺産の全額または大部分を相続することは可能です。

ただ、それには、「配偶者に遺産の全額を相続させる」という遺言を妻(夫)に書いてもらわないといけません。

我が家では、遺言が妻の親兄弟と私との関係に亀裂を入れそうな気がして、遺言は避けました。

代わりに、夫婦の資産比率を「妻9:私1」から「妻5:私5」に少しずつ修正することで、相続による資産流出を抑制することにしました。

そのうえで、相続による資産流出が私の老後に重大な影響を与えないように、定期保険を利用してカバーしています。

しかし、どんな対応策をとるかは人それぞれです。家庭の数だけ正解があるような案件です。

大事なのは、その決断の元となるデータを、ライフプランをきちんと立てるなどして把握しておくことです。

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