今回からは決算手続きを行います。まずは決算整理前残高試算表の作成から。
以前に紹介した青色申告帳簿作成用エクセルファイルを使用して、残高試算表を作ります。
残高試算表は、各勘定の残高を一覧表示するもので、正しく記帳ができているかチェックするのに欠かせません。
決算整理前残高試算表を作る前に~期中の仕訳は漏れや重複なく「作業用シート」に集まってますか
期中の仕訳はすべて「作業用シート」に集めましょう。
コピペするときは、普通に張り付けるのではなく「値のみ」を貼り付けるのがいいです。
同じ仕訳を重複してコピペしないように注意する
特に、アマゾン・アソシエイトの取引明細から作った仕訳をコピペするときは注意してください。
ASPの取引明細から作った仕訳に、「預金(楽天)〇〇〇/ 売掛金〇〇〇」のような、売掛金が銀行に入金される仕訳が含まれる場合は注意です。
こういう仕訳は銀行明細とダブるのでコピペする対象から外します。
それには、借方勘定科目でフィルタをかけるといいです。借方勘定科目で「預金…」となる仕訳を表示しないようにすると…
すると、「預金(楽天)〇〇〇/ 売掛金〇〇〇」のような、売掛金が銀行に入金される仕訳はすべて消えます。
これをコピペすればいいですね。
摘要欄でソートして勘定科目の空欄を埋める
さてこれで今までエクセルでやった仕訳はすべて「仕訳帳-本体」に集まりました。
ここで摘要欄でソートしましょう。すると、似たような取引別にグルーピングされた状態になるわけですが…
空欄が目に付くはずです。なぜなら銀行明細などを仕訳化した時に、借方か貸方のどちらかは空欄になったままだからです。
空欄は今から埋めます。例えば以下の空欄ですが、「AMAZON JAPAN G.K.」から楽天銀行の口座に入金されたことはすぐにわかりますよね。
空欄になっている貸方勘定科目は「売掛金(アマゾン)」ですね。
こんな感じで、摘要欄と相手科目がわかれば、たいてい勘定科目の空欄は埋められますので、頑張って埋めてください。
ASPから売掛金が振り込まれたときの手数料が計上漏れになっていませんか
アフィリエイターやブロガーが忘れやすい仕訳として、ASPから売上が振り込まれたときの支払手数料の計上があります。
ASPによっては売上振込時の手数料をブロガーやアフィリエイターから徴収しないところもありますが、アマゾンアソシエイトやA8.netは売掛金から手数料を差し引きます。
このうち、アマゾンアソシエイトからの売上については、手数料が差し引かれた事実を全て仕分けにしてあります。
しかし、 A8.net についてはまだそれをしていませんので、今からします。
と言っても、 A8.net からゆうちょ銀行に売上が振り込まれた日付全てについて、
支払手数料 30 / 売掛金 30
という仕訳を追加するだけです。簡単ですね。
売掛金と預金には()で会社名を付けましたか
売掛金と預金は、かっこ書きで会社名や銀行名を明らかにしておいたほうがいいです。
私の場合、預金については確実にできているのですが、売掛金については()で取引先を書くのをよく忘れます。
というわけで、ここで確認します。
()書きのない「売掛金」は、摘要欄を見て取引先を()で書くようにしてください。
仕訳帳の貸借が一致してますか
最後に借方金額の合計と貸方金額の合計が一致していることを確認してください。
一致していないときは、必死で間違いを探して直しましょう。
「作業用シート」を日付昇順で並び替える
前回の記事までで、青色申告帳簿作成用エクセルファイルの作業用シートには、期中の取引がすべて仕訳されています。
ただ、日付順に並んではいません。
仕訳帳は仕訳が日付順に並ぶのが原則なので、作業シートの仕訳も日付昇順で並べ替えておきます。
仕訳に使われた勘定科目を全種類拾って「勘定科目一覧」をつくる
残高試算表を作るには、仕訳に使われた勘定科目を、もれなく拾う必要があります。
これを行うには、エクセルのユニーク抽出が便利です。
作業シートで借方科目列全体を選択して、自動フィルタボタン⇒フィルタオプションの設定と進んでください。
フィルターオプションは以下のような設定にして「OK」をクリック。
するとG列には、借方科目列に登場した全勘定科目がずらりと並びます。
同じようにして、H列に、貸方科目列に登場した全科目を表示してみましょう。
H列の「開始残高」「売掛金」「預金」はG列と重複しているので削除し、残った勘定科目を「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」の各勘定に並べ替えると、
「勘定科目一覧」ができました。
残高試算表シートの科目列に「勘定科目一覧」をコピペ
「勘定科目一覧」を残高試算表の科目列にコピペします。
…あれ、何も起きませんね。
しかし、仕訳帳シートに仕訳を貼り付けると、残高試算表シートに数字が表示されます。
作業シート全体を選択して仕訳帳シートにコピペすると、残高試算表シートが稼働する。
作業シートに移動して、先ほど作業したGHI列を削除しましょう。そして、作業シート全体を選択して、仕訳帳シートにコピペしてください。
そして、残高試算表シートに戻りましょう。すると、数字が表示されていますね。これが残高試算表です。
残高試算表の数値は、仕訳帳シートから各勘定の残高を自動計算したものです。
残高試算表で確認するべきこと
残高試算表は、仕訳が正しくできているかどうかを確認するために作るという話をしました。
決算整理前残高試算表では具体的にどこをチェックするかというと、以下の3項目です。
3項目が全てクリアできるまで、仕訳の見直しをしてください。
残高試算表の貸方合計と借方合計は等しく無ければならない
残高試算表シートを少し下スクロールしてください。71行目に、貸方列の数値の合計と借方列の数値の合計が表示されます。この二つは等しくならねばなりません。
等しくなければ、仕訳作業でミスをしています。作業シートに戻り、ミスを直した後、作業シート全体を仕訳帳シートにコピペして、残高試算表まで戻ってきてください。
残高試算表の預金残高は年末時点の実際の事業用口座預金残高と一致しなければならない
残高試算表の預金残高は実際の事業用口座預金残高と一致しなければなりません。
私の場合、事業用口座は、ゆうちょ銀行と楽天銀行ですから、この二つの口座の年末残高の合計が、残高試算表の預金残高と等しくならねばなりません。
もし等しくなければ、どこかで仕訳のミスをしています。
作業シートに戻り、ミスを直した後、作業シート全体を仕訳帳シートにコピペして、残高試算表まで戻ってきてください。
残高試算表の売掛金残高は、年末時点の実際の売掛金残高と一致しなければならない
預金残高だけではなく、売掛金残高もチェックしましょう。
取引のある全ASPについて、年末時点の売掛金を調べて合計します。
年末時点の売掛金とは、年末時点で最低支払額以上の金額で確定しているのに、未だ支払われていない報酬のことです。
面倒ですが、ASPごとに調べて合計しましょう。
この合計金額が、残高試算表の売掛金残高と一致しなければなりません。
もし一致しなければ、どこかで仕訳のミスをしています。
作業シートに戻り、ミスを直した後、作業シート全体を仕訳帳シートにコピペして、残高試算表まで戻ってきてください。
「決算整理前残高試算表」は保存しておく。
チェックが済んだら、残高試算表全体をコピ-して、「形式を選択して貼り付け」で「値のみ」を選んで貼り付けます。
貼り付ける場所は、75行目付近でいいと思います。「残高試算表」を「決算整理前残高試算表」に変えておきましょう。
空白行も削除しておきましょう。
残高試算表は、青色申告帳簿作成作業で何かトラブルがあった時に、その原因を突き止めるための重要な資料です。
絶対に保存しておいてください。