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決算整理後残高試算表の作成と決算振替仕訳

今回は決算整理後残高試算表の作成と決算振替仕訳を見ていきます。

なお、説明は「青色申告帳簿作成用エクセルファイル」を利用する前提で行っています。

青色申告帳簿作成用
エクセルファイル
ダウンロード

決算整理後残高試算表

決算振替の前に、決算整理仕訳を反映させた残高試算表「決算整理後残高試算表」を作ります。

決算整理仕訳で新たに登場した勘定科目を残高試算表に書き込む

家事按分では新たに登場する勘定科目はありませんでした。

一方、貸倒引当金の計上では、貸倒引当金繰戻(収益)と貸倒引当金繰入(費用)が新登場しました。

そこで、この2つの勘定科目を残高試算表シートに書き入れます。
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この時点では、残高試算表の数値は決算整理仕訳を反映していません。

作業シート全体を仕訳帳シートにコピペ

次に作業シート全体を仕訳帳シートにコピペします。

その後、残高試算表シートに戻ると、先ほどまでと全く違う数値が出ているはずです。

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これで決算整理仕訳までが反映された「決算整理後残高試算表」ができました。

決算整理後残高試算表を保存

決算整理前残高試算表と同様、決算整理後残高試算表も、青色申告帳簿作成作業で何かトラブルがあった時には、その原因を突き止めるための重要な資料となります。

ですから保存する必要があります。

残高試算表全体をコピ-して、決算整理前残高試算表の下に、形式を選択して貼り付け(値のみ)で貼り付け、空白行を削除するなどして見た目を整えましょう。

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これで決算整理後残高試算表が完成しました。

決算振替仕訳

決算振替仕訳は決算のための振替仕訳です。

決算とは、1年間の利益を算定し、翌年に繰り越す資産・負債・資本の各科目の残高を確定する作業のことです。

決算の結果が損益計算書や貸借対照表という決算書類です。

決算振替仕訳は決算整理後残高試算表を見ながら行います。

収益科目・費用科目の残高を損益勘定に振替

損益勘定とは、純損益(収益総額-費用総額)を計算するための勘定です。

収益科目・費用科目の残高を損益勘定に振替えたのち、残高を計算したら、その金額が1年間の利益になるという仕組みです。

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まず、収益科目(売上・貸倒引当金繰戻、決算整理後残高試算表の赤枠内)を損益勘定に振り替えます。

収益科目は貸方に残高があります。それを振り替えるので、振替仕訳の借方科目は「売上」「貸倒引当金繰戻」で貸方科目が「損益」です。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 売上 ××× 損益 ×××
12/31 貸倒引当金繰戻 ××× 損益 ×××

金額は「売上」「貸倒引当金繰戻」の残高がゼロになるような金額、すなわち、決算整理後残高試算表上の「売上」「貸倒引当金繰戻」の残高金額となります。

仕訳は作業シートに書き入れます。手打ちはなるべく避けて、残高試算表シートからのコピペでなるべく入力するようにしてください。
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次に、費用科目(決算整理後残高試算表の青枠内)を損益勘定に振り替えます。

費用科目は借方に残高があります。それを振り替えるので、振替仕訳の貸方科目は各費用科目となり、借方科目が「損益」となります。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 損益 ××× (各費用科目) ×××
12/31 損益 ××× (各費用科目) ×××
12/31 損益 ××× (各費用科目) ×××

金額は各費用科目の残高がゼロになるような金額、すなわち、決算整理後残高試算表上の各費用科目の残高金額となります。

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損益勘定の残高を元入金勘定に振替

損益勘定の残高を算定するには、自動計算が一番。

残高資産表シートの開始残高の下に「損益」を記入し、作業用シート全体を仕訳帳シートにコピペしてから、残高試算表シートに戻ってきましょう。

すると、損益勘定の残高が表示されています。
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この時点における損益勘定の残高=当期利益です。利益の分だけ純資産は増えますよね。

そこで、損益勘定の残高(当期利益)を元入金(純資産)に振り替える仕訳を、作業シートで行います。金額欄は先ほど確認した損益勘定の残高=当期利益です。
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再び、作業シート全体を仕訳帳シートにコピペしてから、残高試算表シートに戻ると、損益勘定の残高がなくなっています。
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これで、損益勘定の振替は終了です。

※損益勘定の借方に0が表示されるのは「青色申告帳簿作成用エクセルファイル」のバグなんですが…、見た目以外に悪影響がないので直さず放置しています。

事業主貸・事業主借の残高を元入金勘定に振替

次に行うのは事業主貸と事業主借の清算です。

振替が必要な理由

事業主貸は「家計口座が出すべき資金を、事業用口座が立て替えた」状態、すなわち「事業から家計への貸し」でした。

事業主借は「事業用口座から出すべき資金を家計口座に立て替えてもらった」状態、すなわち「事業による家計からの借り」でした。

どちら場合も、同一人物間のお金の貸し借りですよね。返済の義務はありません。

返済の義務がないのですから、事業主貸・事業主借は、単に事業資金を出し入れしたのと同じであるとも言えます。

  • 事業主貸(資産)の発生=家計による事業資金の引き出し=元入金の減少(純資産の減少)
  • 事業主借(負債)の発生=家計による事業資金の差し入れ=元入金の増加(純資産の増加)

青色申告の処理上、事業主貸・事業主借は、期中においてはそれぞれ資産の発生・負債の発生として扱うのですが、決算では元入金の減少・元入金の増加として扱います。

そこで、決算振替では、事業主貸・事業主借の残高を元入金勘定に振り替える仕訳を行います。

実際の仕訳

「なぜ、事業主貸・事業主借の残高を元入金勘定に振り替えなければいけないのか」について話しましたが、正直少し難しいです。

理由の理解はあやふやでもいいので、振替仕訳のパターンだけは覚えておきましょう。

まずは、事業主貸の残高を元入金勘定に振り替えます。

借方に残高がある事業主貸の振替ですから、貸方科目は「事業主貸」で借方科目が「元入金」です。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 元入金 ××× 事業主貸 ×××

金額は「事業主貸」の残高がゼロになるような金額、すなわち、決算整理後残高試算表上の「事業主貸」の残高金額となります。

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次に、事業主借の残高を元入金勘定に振り替えます。

貸方に残高がある事業主借の振替ですから、借方科目は「事業主借」で貸方科目が「元入金」です。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 事業主借 ××× 元入金 ×××

金額は「事業主借」の残高がゼロになるような金額、すなわち、決算整理後残高試算表上の「事業主借」の残高金額となります。

仕訳を書くのは作業用シートです。このような形で、損益振替仕訳の下に書きます。

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事業主貸残高・事業主借残高の元入金勘定への振替が終わったので、作業用シート全体を仕訳帳シートにコピペしましょう。

その後残高試算表シートを覗いてみると、
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ずいぶんすっきりしました。この時点の各勘定の残高は、次に行う閉鎖手続きで行う各仕訳の金額となるので、とても重要です。

閉鎖手続き・閉鎖仕訳

この時点で残高が残っているのは、資産、負債、資本の各勘定だけです。

決算振替で最後に行うのは閉鎖手続きです。

閉鎖手続きは、資産、負債、資本の各勘定の残高を閉鎖残高勘定に振り替える仕訳です。

閉鎖仕訳とは

閉鎖手続きで行う仕訳を閉鎖仕訳と言います。

閉鎖仕訳は開始仕訳の逆です。

青色申告は毎年の事業による収益・費用を把握してその年の利益を計算して、国に報告するためのものです。

言い換えると、事業用の財布へのお金の出入りを年単位で把握して、1年間で中身がどれだけ増えたかを計算して報告するわけです。

これを厳密に行うには、以下のような手順を踏む必要があります。
 
1.事業用の財布を年ごとに一つずつ用意する
2.年初に事業用資産・負債・純資産などを、その金額を正確にカウントしたうえで、その年の事業用の財布に全部入れる
3.年末に事業用資産・負債・純資産などを、その金額を正確にカウントしたうえで、その年の事業用財布から全部出す
4. 年初の純資産と年末の純資産を比べて増加額を調べることで利益がわかる

青色申告帳簿の作成では、上記①~④の手順もしっかり行います。

このうち、②の作業を開始手続きと言い、開始手続きを表す仕訳を開始仕訳と言います。

③の作業を閉鎖手続きと言い、閉鎖手続きを表す仕訳を閉鎖仕訳と言います。
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開始仕訳~年初時点の資産・負債・純資産を明らかにする仕訳|FPウェブシュフ)>

閉鎖仕訳の形式を書くと以下のようになります。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 閉鎖残高 ××× 預金 ×××
12/31 閉鎖残高 ××× 売掛金 ×××
12/31 貸倒引当金 ××× 閉鎖残高 ×××
12/31 元入金 ××× 閉鎖残高 ×××

1行目は「閉鎖仕訳で事業用の財布から出したために、預金が全額なくなりました。」というような意味合いです。

「閉鎖残高」は「閉鎖手続きによって減った」という原因を表す勘定科目です。

金額欄は、事業主貸残高・事業主借残高の元入金勘定への振替が終わった時点での、残高試算表における預金の残高です。

2行目以降も「閉鎖仕訳で事業用の財布から出したために、全額なくなりました。」という意味合いです。1行目と同様に仕訳します。

結局、閉鎖仕訳は、資産、負債、資本の各勘定の残高を閉鎖残高勘定に振り替える形になっているのは見て取れますね。

実際の仕訳

実際の仕訳は、作業シートに書きます。

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作業用シート全体を仕訳帳シートにコピペし、残高試算表シートに戻ってください。閉鎖仕訳で新たに「閉鎖残高」勘定が登場したので、損益の下あたりに書き入れましょう。すると、

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なんと、全勘定科目の残高がゼロになるんですね。

※閉鎖残高勘定の貸方に0が表示されるのも「青色申告帳簿作成用エクセルファイル」のバグなんですが…、見た目以外に悪影響がないので直さず放置しています。

私の場合、青色申告帳簿作成作業で、この瞬間が最もうれしいです。

「終わりが見えてきた」という気がしますから。

これで仕訳帳は完成

今回で決算が終了し、青色申告で作成が必須である帳簿の一つである仕訳帳は完成しました。

ところで、青色申告で作成が必須である帳簿はもう一つあります。総勘定元帳です。

次回はこれを作成します。



「決算整理後残高試算表の作成と決算振替仕訳」への3件の返信

こんにちは、POPです。

>事業主貸残高・事業主借残高の元入金勘定への振替が終わったので、作業用シート全体

・・・の文章の上のエクセル画像の赤枠で囲った2行の一番右なのですが、ともに「決算振替:事業主勘定を元入金に振替」で間違いないのでしょうか?一つ目は「決算振替:事業主貸を元入金に振替」二つ目は「決算振替:事業主借を元入金に振替」ではないのだろうか?・・・と思ったのですが。。。
事業主貸、事業主借をあわせて事業主勘定といったりするものなのでしょうか?

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