高校教諭が入学式を欠席 「息子の入学式に出席のため」という理由は許されるかというニュースで、教師という仕事のブラックさに注目が集まったので、教師の妻を持つ主夫として言いたいことを言ってみます。
教員はサビ残当然
教員といえども労働者なので労働基準法を適用されます…原則として。
しかし、給特法という法律によって、教員は幾ら残業しても残業代がもらえません。
いや、正確には、わずかな固定残業代の支給で、支給された残業代に相当する時間を大幅に上回るサービス残業を強いられています。
給特法は1971年に制定されました。その内容は
(1)超過勤務禁止の原則(教職員に超過勤務はない)、したがって
(2)超過勤務手当ての支払いの否定(超過勤務はないのだから超勤手当ては払わない)、それに代わるものとして
(3)教職員の勤務の特殊性に照らした調整給の支払い(時間に関係なく4%を支払う)、という3本柱から成り立っています。
しかし現状はどうでしょう。(1)は全く形骸化しています。ところが(2)によって当局は超勤時間を把握する必要を免除され、(3)たった4%(時間にすれば20分ぶんです)で、無制限な労働を強いられています。
クレスコが「教職員の働き方」を特集 – みえ教育ネットワークより
授業以外の仕事が多すぎる
サビ残OKなので、教師は学校教育であるか否かを問わず、授業以外のさまざまな業務に刈りだされ、こき使われるようになってきました。
国や県などの使用者からすれば、幾ら使っても残業代という追加的費用を払わなくていいのですから、業務効率化のモチベーションは上がらないし、何か仕事があればどんどん教師にさせようとします。
私の妻は中学教師ですが授業以外の仕事が多すぎます。
[img-link url=”http://matome.naver.jp/odai/2137160915054702001″ title=”日本の公的ブラック企業『教職』の情けない実態 – NAVER まとめ”]
部活動の顧問は超絶ブラック
授業以外の仕事で一番ひどいと思うのが部活の顧問です。問題点はこのあたりのエントリに良くまとまっている気がしますが…。
さらに補足すると、部活の顧問への就任は業務命令などによるものではなくあくまで自発的に就任する形をとります。
しかし、全ての部活に責任教諭である顧問を配置しなければなりませんから、たいていの場合、教諭はいずれかの部活の顧問に就任せざるを得ない状況になります。
ですから顧問への就任は表向き自発意志でも実態は半強制です。次の記事にその悲哀が表れています。
ヘタに学生時代にスポーツの経験がある教員は、体育会系部活の顧問を務めるよう強く促され、顧問になる羽目になるケースが多いです。
そうなると部活の試合や練習で土日がすごい勢いでつぶていきます。
私の妻など3月31日から4月28日まで29日間連続出勤です。それでも文句も言わず前向きに取り組んでいる様子は、身内ながら賞賛しておりますが…
はっきり言っていつでも過労死できる状態です。
労働安全衛生法違反で過労死ライン を大幅に超えるような勤務実態は給特法を大義名分に放置することなど許されるはずがありません。
この労働時間の長さだけは早急に改善して欲しいです。
その他無給でこき使われている事例
給特法によって幾ら働かせてもタダであるがために、教師は部活以外でもこき使われてます。
家庭訪問
4月5月のうちに担任教師が生徒全員に対して家庭訪問をするのが通例です。でもそんなこと本当に必要なんでしょうか。
家庭訪問の多くは勤務時間外に行われています。
もし、給特法が無かったら、残業代の発生を抑えるためにも、家庭訪問は必要性が高い家庭のみに限定されるのではないでしょうか。
給特法で残業代を払わなくていいがために、特に必要性のない家庭訪問まで行われていると思います。
登校指導
登校指導は朝の勤務時間外に行われますが、先生が通学路の道端に立っているだけで生徒の事故率が下がったりするとは思えません。
給特法が無かったら、残業代の発生を抑えるためにも、廃止されるのではないでしょうか。
ゲーセン・飲食店・ショッピングセンターなどのパトロール
パトロールも勤務時間外に行われています。生徒がよくない行動をしないよう見張るもので、祭りの時期に特に多いです。
しかし下校後の生徒の行動を指導するのは教師の責任ではなく親の責任です。
給特法が無かったら、残業代の発生を抑えるためにも、廃止されるのではないでしょうか。
地区進出学習会
同和地区の公民館などで対象を同和地区の生徒に限定して行われる学習会を地区進出学習会といいます。
夕方以降の夜間に行われます。別に教える役は教師でなくともいいのでしょうけど、教師は幾らこき使ってもタダだからここでも駆り出されます。
給特法が無かったら、残業代の発生を抑えるためにも、廃止されるのではないでしょうか。
その他
そのほかにも、
- PTAの役員選び
- 成人式への参加
- 各業者に対する職業体験学習協力の募集・打診
など、ほんとにたくさんの仕事があって大変です。
これらの仕事は大抵時間外勤務になるのですが、もちろん給特法によってタダ働き。
この10年吹き荒れる給料削減の嵐
教師の仕事はこんなにブラックなのに、震災復興とは無関係に、着々と給料が削減されています。
[img-link url=”https://web.archive.org/web/20131225054510/http://www.asahi.com/articles/TKY201311080509.html#MainInner” title=”教員給与1.7%減、財務省が要求へ 公立小中校が対象:朝日新聞デジタル”]
こんなことをしていたら優秀な人ほどいなくなっちゃいます。
教師の仕事は「仕事」と考えると割が合いません。これから目指す人にもオススメできません。
妻が死んだら訴えてやる!!
色々書いてきてきましたが、最後に一番言いたいことを書きます。
妻が過労死したら
訴えてやる!!
今のところ妻は元気ですし文句一つ言わずにがんばっていますが、1ヶ月連続勤務は異常です。
教員の善意ややりがいに過度に依存する、ブラック企業そっくりな構造は一刻も早く改革してもらいたいです。