我が家では妻の死亡保険金額を見直すために、生涯キャシュフロー表を作りました。
[img-link url=”https://webshufu.com/necessary-guarantee-amouont-based-on-life-plan/” title=”死亡保険金の額を決めるには生涯キャッシュフロー表が便利”]
生涯キャッシュフロー表を作るには、生涯世帯収入を把握しないといけないのですが、壁になるのが妻(夫)が亡くなったときに貰える遺族年金額の計算です。
年金というと難しく感じますが、今はねんきんネットがあるのでさほどでもありません。
遺族基礎年金の金額は簡単にわかる
遺族年金には遺族厚生年金と遺族基礎年金があります。遺族基礎年金の金額は、日本年金機構の下記ページを見れば一目瞭然です。
[img-link url=”https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html” title=”遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構”]
簡単ですね。ねんきんネットを使うまでもなく分かります。「ねんきんネットから遺族年金の生涯受給額を概算する方法」というタイトルなのに、これじゃあ「ねんきんネット」は関係ないですね。
ちなみに、うちには子供がいませんので、妻が亡くなっても私には遺族基礎年金の受給権はありません。
遺族厚生年金の受給条件を確認
気を取り直して、次は遺族厚生年金の金額を求めることにします。
まずは遺族厚生年金の受給条件を確認しておきましょう。
心配しなくとも、厚生年金への加入歴がある妻(夫)が亡くなれば、遺族厚生年金はほぼ貰えます。けどね。
遺族厚生年金の金額と老齢厚生年金の金額の間に成り立つ関係を頭に入れる
続いて、老齢厚生年金と遺族厚生年金の関係を見ておきましょう。R,Iを以下の様に定めると…
- R:ある時点で妻(夫)が仕事を辞めてしまった場合に65歳から支給される老齢厚生年金額(年額)
- I:ある時点で妻(夫)が死亡した場合に死亡直後から遺族に支給される遺族年金額(年額)
老齢厚生年金の金額や遺族厚生年金の金額を求める式は以下の様になります。
厚生年金加入期間が300ヵ月以上のとき
I=R×0.75
厚生年金加入期間が300ヵ月未満のとき
I=R×0.75×300/厚生年金加入期間の月数
老齢厚生年金の金額(R)が分かれば遺族厚生年金の金額(I)を求めるのは簡単なんです。
ねんきんネットで老齢厚生年金・遺族厚生年金の金額を試算する
ところで、老齢厚生年金の試算をするならねんきんネットが便利です。
[img-link url=”https://webshufu.com/nenkin-net/” title=”ねんきんネットで年金試算と年金記録確認をする手順”]
私の妻のような公務員は、ねんきんネットでは老齢厚生年金の試算ができませんが、その他の給与所得者は大抵ねんきんネットで老齢厚生年金の試算ができます。
地方公務員の場合は、地共済年金情報ウェブサイトをうまく使って、老齢厚生年金の額を把握しましょう。
[img-link url=”https://webshufu.com/public-officials-pension-calculate-test/” title=”地方公務員向け年金試算サイト「地共済ウェブサイト」の使い方”]
ねんきんネットや地共済ウェブサイトを使えば、「ある時点」を色々と変えて老齢厚生年金の額を試算することができます。
「ある時点」というのは、遺族厚生年金試算のキモになる以下の分における「ある時点」のことです。
- R:ある時点で妻(夫)が仕事を辞めてしまった場合に65歳から支給される老齢厚生年金額(年額)
- I:ある時点で妻(夫)が死亡した場合に死亡直後から遺族に支給される遺族年金額(年額)
「ある時点」を1年刻みで変化させて、そのすべてについて老齢厚生年金の金額(R)と遺族厚生年金の金額(I)とを試算しておいてください。(ちなみに妻または夫が定年退職した後は老齢厚生年金の金額(R)は変わりません。)
試算には、先ほども書いた次の式を使います。
厚生年金加入期間が300ヵ月以上のとき
I=R×0.75
厚生年金加入期間が300ヵ月未満のとき
I=R×0.75×300/厚生年金加入期間の月数
遺族厚生年金の額(年額)が分かれば、自分が生涯に受け取れる年金額の合計も計算することができます。
我が家でも、私が2073年に102歳で死ぬものとして、妻の死亡年次別に、私が生涯に受け取る遺族厚生年金の受給額の合計を計算してみました。
妻死亡年 | 遺族厚生年金(年額) | 生涯受給額 |
---|---|---|
2015 | 619,996 | 35,959,746 |
2016 | 627,981 | 35,794,904 |
2017 | 635,321 | 35,577,957 |
2018 | 661,353 | 36,374,425 |
2019 | 693,739 | 37,461,901 |
2020 | 726,125 | 38,484,606 |
2021 | 758,510 | 39,442,539 |
2022 | 790,896 | 40,335,700 |
2023 | 823,282 | 41,164,090 |
2024 | 855,668 | 41,927,709 |
2025 | 888,053 | 42,626,556 |
2026 | 920,439 | 43,260,632 |
2027 | 952,825 | 43,829,936 |
2028 | 985,210 | 44,334,469 |
2029 | 1,017,596 | 44,774,231 |
2030 | 1,049,982 | 45,149,220 |
2031 | 1,082,368 | 45,459,439 |
2032 | 1,090,464 | 44,709,025 |
2033以降 | 1,090,464 |
試算を終えて、我が家は安心しましたが、安心するには早かったんです。
妻を亡くした夫に対する仕打ち
実は、日本の社会保険は、妻に先立たれた夫には厳しいのです。
遺族厚生年金についても、妻に先立たれた夫には、次のような支給条件を付けています。
- 55歳になる前に妻を亡くした夫は遺族厚生年金がもらえない
- 55歳以上59歳以下で妻を亡くした夫は、遺族厚生年金の支給対象となるが、支給開始は60歳となる
先ほど行った試算は、妻に先立たれた夫に対する支給制限を考慮していません。
妻に先立たれた夫への支給制限を考慮して、私が生涯に受け取る遺族厚生年金の受給額合計を試算したところ、がっかりな結果に…
妻死亡年 | 遺族厚生年金(年額) | 生涯受給額 |
---|---|---|
2015 | 0 | 0 |
2016 | 0 | 0 |
2017 | 0 | 0 |
2018 | 0 | 0 |
2019 | 0 | 0 |
2020 | 0 | 0 |
2021 | 0 | 0 |
2022 | 0 | 0 |
2023 | 0 | 0 |
2024 | 0 | 0 |
2025 | 0 | 0 |
2026 | 920,439 | 38,658,437 |
2027 | 952,825 | 40,018,637 |
2028 | 985,210 | 41,378,838 |
2029 | 1,017,596 | 42,739,038 |
2030 | 1,049,982 | 44,099,239 |
2031 | 1,082,368 | 45,459,439 |
2032 | 1,090,464 | 44,709,025 |
2033以降 | 1,090,464 |
…どれくらい「がっかり」するかを可視化したのが次のグラフです。
横軸が妻が亡くなった年次、縦軸が遺族年金の生涯受給額(単位:万円)です。
オレンジ色は支給制限が全くない場合の遺族年金生涯受給額です。
紺色が夫に対する支給制限を織り込んだ遺族年金生涯受給額です。
妻を亡くした夫に対する支給額が紺色、夫を亡くした妻への支給額がオレンジ色だと言い換えることもできますね。
がっかりは、妻を亡くした夫にだけ起こることですので、夫を亡くした妻なら心配無用です。この辺は先日の記事でも書きました。
[img-link url=”https://webshufu.com/survivors-social-security-benefits-for-widower/#page” title=”55歳になる前に妻を亡くした夫は遺族厚生年金がもらえない”]
遺族厚生年金の仕組みは、妻を亡くした夫に厳しく、夫を亡くした妻に優しいです。
妻を亡くした夫には支給されない「中高齢寡婦加算」
さて、夫を亡くした妻にやさしく、妻を亡くした夫に冷たい仕組みとしては、中高齢寡婦加算というものもあります。
- 遺族年金の「中高齢寡婦加算」とは/All About
夫が亡くなったときに夫の被保険者期間が通算で20年以上あれば、残された妻が40歳上65歳未満の間、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(平成28年年額585,100円)が上乗せされます。
妻を亡くした夫には中高齢寡婦加算など行われません。我が家には関係のない話でした。
65歳以上になると遺族厚生年金の金額から老齢厚生年金の金額が差し引かれて支給される
遺族老齢年金は妻(夫)に先立たれた時からもらえますが、65歳になるとほとんどの人が自分の老齢厚生年金を貰えるようになります。
この場合、遺族厚生年金の支給は、老齢厚生年金分を差し引いて行われます。
我が家の場合は、私が受給する老齢厚生年金の金額は年額179,796円でしたから、65歳以降は遺族厚生年金の支給額から179,796円が差し引かれ、トータルで1,090,464円となります。
我が家のように、亡くなった妻(夫)の残す遺族年金が夫(妻)の老齢厚生年金よりはるかに多い場合はこのような計算をしますが、それ以外の場合は別の方法で遺族厚生年金の額が計算されます。詳細は日本年金機構の解説をご覧ください。
遺族厚生年金額の手取り額を求める
さて、ここまでくれば、妻の死亡年次別に遺族厚生年金の生涯受給額を計算するのは簡単ですよね。
ただし、計算で出てくるのはあくまでも額面金額の合計です。
キャッシュフロー表や生涯キャッシュフロー表に書き込むのは手取り金額ですから、額面を手取りに直さないといけません。
老後の年金の手取り額を計算したら額面の88%くらいでしたから、これに倣って遺族厚生年金の手取りを計算しましょう。
これで妻の死亡年次別に遺族年金の生涯受給額を計算することができました。
50歳以上の方は年金事務所や街角の年金相談センターで試算してもらえる
遺族年金の試算はライフプランを立てるには必要不可欠ですが面倒ですよね。
実は、年金事務所や街角の年金相談センターでは遺族年金の額を無料試算してくれます。ただし対象は50歳以上の人だけです。
我が家は夫婦とも50歳未満なので、しぶしぶ自分で試算をしました。
将来設計に関わることなので、誰でも気軽に無料試算できるようにしてもらいたいですね。