HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

生命保険商品の種類一覧をわかりやすい図にまとめてみた

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生命保険の商品はいろいろな種類に分類されます。

保険事故や予定利率の設定など商品の特性に着目して分類されているので、おおよその分類方法をつかんでおくと、保険を選んだり見直したりするのにとても役立ちます。

なお、この記事では保険契約の絡んだ説明をするので、下記記事で説明した用語に目を通していただけるとありがたいです。
[img-link url=”https://webshufu.com/insurance-contract-stakeholder/” title=”契約者、保険者、被保険者、受取人、保険事故(保険契約用語)|FPウェブシュフ”]

保険事故による分類

保険事故とは、保険が支払われる条件とされている不幸な事故のことです。

保険事故に着目すると生命保険は以下の3種類に分けられます。

  • 死亡保険
  • 生存保険
  • 生死混合保険

死亡保険

死亡保険の保険事故は「死亡」です。

被保険者(保険が掛けられている人)が死亡したり、高度障害状態(働ける見込みがないという意味で死亡同然の状態)になったときに、保険金が支払われます。

典型的な死亡保険としては定期保険と終身保険の二種類があり、変額保険として終身型変額保険があります。

[img-link url=”https://webshufu.com/death-insurance/” title=”死亡保険は死亡した時に保険金がもらえる保険のこと”]

定期保険

定期保険は、保険料は掛け捨てで、一定の保険期間が設定され、期間内に被保険者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が支払われます。定期保険はさらに以下の種類に分けられます。

  • 平準定期保険
  • 逓増定期保険
  • 逓減定期保険
  • 生存給付金付き定期保険
  • 収入保障保険

終身保険

終身保険は貯蓄性がある定額保険で、保険期間が一生にわたる保険です。終身保険を主契約として定期保険を特約として付けたものを、定期保険特約付き終身保険といいます。

定期保険特約付き終身保険は、生涯にわたる基本的な保障は終身保険で賄い、大きな保障が必要な時期は定期保険で補償額の上積みをするものです。

一時期は死亡保険の大部分はこの形でした。

生存保険

生存保険は生存を保険事故とする保険で、ある時点で生き残っている人を対象として保険金が支払われます。長生きした場合の資金手当てを目的として使われます。

生存保険は、ある時点まで生き残れなかった場合には、給付が全くありません。また途中解約もできません。

そのため、過酷な状況を生み出すとして、日本では純粋な生存保険は認可されません。(慶應義塾大学保険フォーラム)

純粋な生存保険の代表はトンチン保険です。

[img-link url=”https://webshufu.com/survivor-insurance/” title=”トンチン保険などの生存保険は生き残りゲームそのもの”]

生死混合保険

死亡と生存のどちらも保険事故とする保険のことを生死混合保険といいます。生きて満期を迎えても、保険期間中に亡くなっても、保険金が支払われます。

[img-link url=”https://webshufu.com/mixed-insurance/” title=”生死混合保険は死亡保険金か満期保険金が必ず受け取れる保険”]

生死混合保険には養老保険、個人年金保険、貯蓄保険、学資保険などがあり、これらはいずれも貯蓄性がある定額保険です。

養老保険に定期保険を特約として付けたものが定期保険特約付き養老保険です。

なお、変額保険タイプの生死混合保険としては、有期型変額保険、変額個人年金保険などがあります。

掛け捨て型か貯蓄型か

生命保険は貯蓄性に注目して分類することもできます。

貯蓄(積立)型保険

終身保険や養老保険、個人年金保険は、必ず保険金が支払われる保険です。責任準備金の金額は満期に近づくほど増えていきます。

これらの保険は、契約から解約または満期を迎えるまでの時間が長ければ、支払った保険料以上の満期保険金や解約返戻金を受け取れる可能性が高まります。

こういった保険を貯蓄型保険といいます。保険料がコツコツ積み立てられるイメージです。

必ず保険金を受け取れるのがメリットですが、その分保険料が高くなるのがデメリットです。

掛け捨て保険

一方、定期保険は違います。必ずしも保険金が支払われるわけではありません。

そのため保険期間を通じて責任準備金の額は低い水準です。満期保険金がありませんから、保険期間が終わりに近づくにつれて、責任準備金の金額はゼロに近くなります。

保険期間の途中で解約しても解約返戻金が支払われないこととなっていることが多いです。

保険料を払っても、死亡または高度障害にならない限り、なにも貰えません。そのため、定期保険は掛け捨て保険と呼ばれます。

保険金がもらえない確率が高いのはデメリットですが、その分保険料は貯蓄型に比較して格安になるのがメリットです。

予定利率を設定しているかどうかによる違い

貯蓄性のある生命保険は、予定利率の設定によって、定額保険と変額保険に分類することができます。

定額保険

定額保険は、将来の保険金支払いに備えて積み立てている責任準備金の運用利回り(予定利率)をあらかじめ保証して、保険金額及び解約返戻金の金額を約束している保険です。貯蓄型保険の一つです。

定額保険の資産を運用する勘定を一般勘定といいます。一般勘定の運用リスクは全て保険会社が負っています。

保険商品の中で、掛捨てではなく、「変額」が名称に入らないものは、すべて定額保険と考えてよいです。

変額保険

変額保険は、運用利回り(予定利率)をあらかじめ決めずに、運用成績によって保険金額及び解約返戻金の金額が変化する保険です。貯蓄型保険の一つです。

変額保険の契約者は、払い込んだ保険料の運用先として、株式、債券、短期金利商品などを組み入れた投資信託を自ら選択します。

この投資信託を管理する勘定を特別勘定といいます。特別勘定の運用リスクはすべて契約者が引き受けます。保険会社は一般勘定と特別勘定をはっきり区別しています。))をあらかじめ決めずに、運用成績によって保険金額及び解約返戻金の金額が変化する保険です。貯蓄型保険の一つです。

変額保険の契約者は、払い込んだ保険料の運用先として、株式、債券、短期金利商品などを組み入れた投資信託を自ら選択します。

この投資信託を管理する勘定を特別勘定といいます。特別勘定の運用リスクはすべて契約者が引き受けます。保険会社は一般勘定と特別勘定をはっきり区別しています。

死亡や高度障害などの保険事故が発生した時に、自ら選択した投資信託の運用結果が最低保障の基本保険金額を上回っている場合は、変額保険金額が支払われます。

逆に、運用結果が思わしくない場合は基本保険金額が支払われます。

配当があるかどうかによる違い

保険には配当が支払われる有配当保険と、配当がない無配当保険に分けることができます。別の記事で説明しました。

[img-link url=”https://webshufu.com/insurance-with-or-without-profit/” title=”Q. 有配当保険は無配当保険より得なの? A. 別に得ではありません…”]

続々と登場する新商品

ここまでいろいろと生命保険を分類してきましたが、最近はずいぶん様々な新商品が登場しています。

ユニバーサル保険

自由設計型保険とも呼ばれます。

保険料・保険期間・保険金額のうち、2つを契約者が自由に決めることができるのが特徴です。

保険期間の途中で保険金額を引き下げて保険料負担を軽減することも可能です。

必要保障額の変化に応じて臨機応変に保険金額を変えることができます。しかし、こまめに保険を見直さないとこの利点を生かすことはできません。まめな人に向いている保険だと言えます。

リスク細分型保険

リスク細分型保険は自動車保険の分野でひろまた考え方です。

多くの自動車保険では、事故歴や年齢等によって運転者のリスクが細かく算定されていて、それによって保険料が変わりますよね。

生命保険や医療保険の一部商品でも同じような考え方が導入されています。

例えば、喫煙者の保険料を高くする生命保険・医療保険あどがリスク細分化の考え方を利用したものだと言えます。

無選択型保険

無選択型保険とは、保険会社が告知や診査などの危険選択を行わない保険です。

ある程度高齢になると、危険選択によって生命保険や医療保険に加入できない方がいるのですが、そのような方の中にも、かなり不利な条件でも保険に入りたいという方がかなりいます。

無選択保険はこういった方々のニーズにこたえる形で登場しました。

無選択型保険は一般の保険商品に比べてかなり契約者に不利な内容になります。

例えば、死亡保険金は契約から一定期間内は払込保険料総額以下に抑えられることが多いです。また、高度障害状態に該当しても、保険金は支払われず、保険料払い込み免除の取り扱いもありません。

また、保険料そのものも一般の保険契約者より高めになります。万一長生きした場合は、終身保険の払込保険料総額が、死亡保険金を大きく上回ることもあります。

無選択保険というのは、

[bubble speaker=”保険会社” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]告知や診査なしで入れてあげるけど、条件は不利だよ。[/bubble]

という保険なのです。

引き受け基準緩和型保険

引き受け基準緩和型保険は、

[bubble speaker=”保険会社” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]加入に当たって告知や診査は義務付けるけど、一般保険商品と比べればさほど厳密には行わない[/bubble]

というものです。

告知の項目数が一般の保険商品より絞り込まれているので、「限定告知型保険」とも呼ばれます。

無選択型保険ほどではないにしろ、一般の保険商品より危険選択が緩いので、持病や既往症を持っている方でも加入しやすいのが特徴です。

ただし、一般の保険商品と比べれば、契約内容は契約者に不利になっています。

加入後一年程度は保障内容が抑えられていることが多いですし、保険料も通常の保険商品より高くなります。

外貨建て保険

最近はあらゆる種類の保険について、外貨建ての商品が登場しています。

保険料の運用は外貨で行われ、保険金支払い時に外貨を円に戻して支払われます。保険金額は運用成績によって変化します。

外貨建て保険では保険料の運用リスクを契約者が負うので、保険料が運用される勘定は一般勘定ではなく特別勘定となります。

外貨で運用するので比較的高金利ですが為替リスクには注意が必要です。

どれを選べばいいのか

このように生命保険は実にたくさんの種類に分類することができます。

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どれを選ぶか迷いますね。当サイトにも「保険の選び方や見直し方はどうしたらいいですか」との質問がたくさん来ます。

しかし保険選びに唯一無二の正解などありません。

敢えて言えば

[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]ライフプランを立てて、自分の価値観と資金計画と向き合って、じっくり選びましょう[/bubble]

ということになります。まずは、ライフプランを立てましょう。

[img-link url=”https://webshufu.com/how-to-make-a-life-plan-with-excel/” title=”エクセルを使ったライフプランの立て方~ライフプラン表の作り方|FPウェブシュフ”]

ライフプランを立てたら、まずは自力で保険を見直してみてください。

[img-link url=”https://webshufu.com/how-to-review-and-select-insurance-20160417/” title=”保険の見直し方と選び方|FPウェブシュフ”]

確かに自力で全部やるのは大変です。専門家の力を借りたければ、保険ショップのFPによる無料相談を活用するのがいいでしょう。

追記:団体信用生命保険について

団体信用生命保険は、住宅ローンなどに紐づけて加入することになる保険です。住宅ローンの残債があるうちに死亡または高度障害となった場合に、残りのローンを保険金で完済できるように加入します。

保険契約者と保険金受取人は、ローンの貸し手である銀行などであり、被保険者はローンを借り入れている人となります。

団体信用生命保険の保険金額はローン残債の減少と一ともに減少していくように設定されています。団体信用生命保険に満期保険金はありませんから、一種の逓減定期保険と言えます。

住宅ローンを組んだら保険の見直しをすべきですね。


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