HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

「コンテンツマーケティングが新しいSEO」ではない理由

By: Gavin Llewellyn

私が購読しているブログの1つにSEO Japanがあります。さほど熱心な読者ではなかった時期もありますが、長いお付き合いですし、ずいぶんお世話になっています。しかし、「コンテンツマーケティングが新しいSEOである。」というのは明らかに間違いです。

2013年4月8日追記:
当記事については、SEO Japanの滝日さんがレス記事を上げて下いました。これに対して、私のほうからもレス記事を上げました。両記事ともお読みいただけると幸いです。

この記事では、コンテンツマーケティングがSEOの手法みたいに書かれていますが、それはまるっきり逆です。

SEOは検索エンジン最適化

検索エンジン最適化のことです。これに異論の余地はありません。

SEOは、検索エンジン経由でコンテンツにきてもらうための策であって、それ以上のものではありません。

いわば、コンテンツを見つけてもらうために採り得る施策のひとつでしかありません。

SEOはコンテンツマーケティングの手段

一方、コンテンツマーケティングを実施するにあたっては、検索エンジン以外の場所で見つけてもらうことも意識しなければなりません。

また見つけてもらって終わりではなく、その先の売上につながる漏斗も用意しなければいけません。

となると、SEOは、コンテンツマーケティングの遂行に当たってやらなければならない数多くの施策のうちの1つでしかありません。

マーケティングが主でSEOは従

そういうわけで、コンテンツマーケティングが主でSEOが従なのは明らかです。

また、これはコンテンツマーケティングを論じる場合に限った話ではありません。

マーケティングについては、様々な考え方が提唱されていますが、そのいずれであっても、売り手と買い手の接触という局面は避けられません。

そして、検索エンジンは接触の場の1つです。

となると、いかなるマーケティング論においても、SEOは売り手が買い手に効率よく接触するための手段のひとつになります。

SEOはどう考えてもマーケティングの一施策なのです。SEOはマーケティングの下僕に過ぎません。

事実を捻じ曲げるのは何故か

では、SEOブログの権威といってもいい「SEO Japan」が、何故「コンテンツマーケティングが新しいSEO」などというおかしな記事を載せるのか。

多分それは、自分たちがその分野の中で一定の権威を確立している、SEOという言葉の価値を下落させたくないからです。

SEOは売上に直結していた

以前は、SEOと言えば「不自然でもいいからとにかく被リンクを増やすこと」でした。多少不自然なリンクでもGoogleは見逃してくれました。

そして、不自然なリンクによるSEOで検索順位で上位を獲得し、サイトへの流入客を増やせば、その先の販売にいたる道筋がお粗末でも売れました。

例えば、ガラケー向けの「麻雀ゲーム」を比較してアフィリエイトするサイトを運営するなら、「麻雀ゲーム」と言うそのものズバリで検索数の多いキーワードで上位に入りさえすれば、それだけで「すぐ買う客」を集められるので、わりと満足な売上が期待できました。

つまり、SEOは売上と密接に結びついていました。

ペンギンアップデートでSEOは変質

しかし、googleが取り入れたペンギンアップデートで、不自然なリンクはより厳しく取り締まられるようになりました。

これによって、自サイトへのリンクをひたすらに増やすことによるSEOは限りなく不可能に近くなりました。

いや、むしろ過去に増やした不自然なリンクを、必死に外さないといけないほどです。

もはや、「麻雀ゲーム」のような、「すぐ買う客」を効率よく集める比較的検索数の多いキーワードで、自サイトを効率よく上位表示させる手段はありません。

もはやSEOは「有用なコンテンツ作り」

「麻雀ゲーム」というキーワードで上位表示をしたいなら、まず、「麻雀ゲーム」あるいは「麻雀」そのものに関して、被リンクやソーシャルでのシェアが自然に増えるような有用なコンテンツを数多くこつこつと作らないといけません。

その結果、「麻雀ゲーム」あるいは「麻雀」に関するロングテールなキーワードで上位表示されるケースが徐々に増えて、最終的に「麻雀ゲーム」という言葉で検索上位に上がります。

このように、SEOは、「不自然でもいいからとにかく被リンクを増やすこと」から「被リンクやソーシャルでのシェアが自然に増えるような有用なコンテンツを数多くこつこつと作ること」になったのです。

SEOは以前ほど売上に直結していない

しかし、確実に「麻雀ゲーム」という売上に直結する言葉で検索上位に上がる保証もありません。また、そこにいたることが出来たとしても、かなり手間暇がかかります。

したがって、「麻雀ゲーム」ほどには「すぐ買う客」を集められないロングテールなキーワードにも、見込み客を本当の顧客に変える導線を今まで以上に適切に用意しないといけません。

つまり、SEOが成功して一定の流入数を確保したとしても、見込み客を本当の顧客に変える導線を今まで以上に適切に用意しないと、売上に結びつきにくくなるのです。

ペンギンアップデートによって、SEOの売上への寄与度は大きく下がったのです。

SEOがマーケティングの手段に過ぎないことを自覚すべき

こうなるとSEO会社の存在価値は暴落です。

「有用なコンテンツの制作」は大半のSEO会社の得意分野ではないですし、SEOの売上への寄与度が下がっているので、そこにコストをかける人は減るでしょう。

SEOだけを売りにしていては、SEO会社に未来はありません。

マーケティング全体に関わるサービスを提供するなり、マーケティング会社の指揮下に入ってSEOを担当するなりしないと、SEO会社は価値を提供できなくなります。

seo会社は「コンテンツマーケティングが新しいSEO」などと言って、コンテンツマーケティングを無理やりSEOに内包させ、SEOにコンテンツマーケティング以上の価値があるように見せかける行為はやめたほうがいいです。

SEOがマーケティングの下僕に過ぎないことを自覚して、マーケティング会社として生まれ変わるべきでしょう。

最後に

私も、結構な数のアフィリエイトサイトがペンギンに捕獲されて、収入を激減させた口です。

「麻雀ゲーム」のサイトも実際に運営していて、何とか今までのSEOが通用しないものか、と思わず考えてしまいました。(結局あきらめましたが。)

ですので、SEOの専門家としてそれなりの地位を築いた人たちが、SEOの価値を維持したいと考える気持ちはよくわかります。

でも、現実は受け入れて、新しい方向に踏み出さないとジリ貧になる気がします。


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