妻は公立学校の教師、公務員世帯の家計を預かる主夫FPの@web_shufuです。
本業は主夫ですが、一応は個人事業主(フリーランス)です。主な収入源はブログやサイトのアフィリエイトです。
たいして稼いでいないので、毎年この時期になると、

と妻からのプレッシャーがすごいです。
‥というわけで、個人事業主(フリーランス)の節税対策とその効果を、ブロガー・アフィリエイターの目線で自分が分かりやすいように自分用備忘録としてまとめてみました。
※なお、当記事における税金計算はおおよその節税効果をつかむために行っているものであり、端数処理などは省略しています。この点ご了承ください。
もくじ
事業にかかる税金にはどんなものがあるか
節税とは税金の節約ですから、税金について知らないと始まりません。
まず、ブログからのアフィリエイト収入など事業にかかる税金の種類を確認しましょう。
- 所得税
- 住民税(所得割)
- 事業税
- 国民健康保険料(国民健康保険税)
国民健康保険料は本質的には社会保険料です。しかし国民健康保険税とも呼ばれるので、ここでは税金として扱うことにします。
この記事では、上記4つの税金の節約について考えます。
消費税については無視します。個人事業主であるブロガーやアフィリエイターは、多くの場合、消費税免税事業者だと思いますので。
節税のことを考える前に、今年の売上と経費を予測しておく
その年の税金にはその年の売上と経費が大いに関係してきます。
今年の売上と経費を予測しておきましょう。
売上の予測
11月になると10月末までに確定した売上を集計することができます。
これを12/10倍して1年分の売上を予測しておきましょう。
経費の予測
次に、過去の確定申告書類を引っ張り出して、毎年の経費がどれくらいかを把握しましょう。
例年通りの事業運営なら、今年の経費は過去の平均くらいになるはずです。
今年だけの特殊事情があるなら、それを加味して経費を予測しておきましょう。
私の場合は青色申告特別控除を除いて毎年約100万円の経費が掛かっていますので、経費を100万円として節税を考えます。
節税するなら、確定申告書上のどの金額に対して税金がかかるかを把握すべし
先ほど「その年の税金には、その年の売上と経費が大いに関係してきます。」と言いましたが、節税するにはこれを理解しただけでは不十分です。
「税金が何に対してかかるか」も理解しないといけません。
これを確定申告書で簡単に説明したのが次の図です(所得のすべてが事業所得であるものとします)。

特に⓽➀㉖が大事です。
節税は、ある節税手段を使った時に、⓽➀㉖の数字がどうなるかをシミュレーションしつつ考えるのが大事です。
極端な話ですが、⓽➀㉖の数字が0になるまで節税できたなら、それ以上の節税は無駄です。
節税を全くしないのも無駄ですが、やりすぎもまた無駄ですから、シミュレーションをしながら適度な節税をするよう心掛けたいものです。
国民健康保険料(所得割部分)は総所得金額(⓽)に、事業税は事業所得(➀)に対してかかる
事業税は事業所得(➀)に、国民健康保険料(所得割部分)は総所得金額(➈)に対してかかります。所得のすべてが事業所得の場合は➀=➈となります。
伊賀市の国民健康保険税の金額は、被保険者の人数が1人(40歳以上)である世帯の場合、以下の3つを合計したものになります。
- 医療分年税額=(➈-33万円)×6.7%+23,000円+22,000円(最高限度額は54万円)
- 介護保険分年税額=(➈-33万円)×1.5%+6,000円+4,500円(最高限度額は16万円)
- 後期高齢者支援金分年税額=(➈-33万円)×1.08%+3,500円+4,500円(最高限度額は19万円)
3つの税率を合計すると9.28%になりますね。
事業税の金額は、事業所得(➀)から事業主控除(290万円)を控除したものに5%を掛けたものになります。
- 事業税=(➀-290万円)×5%
所得税や住民税(所得割)は、課税される所得金額㉖に対してかかる
一方、所得税や住民税(所得割)は、所得金額の合計から「所得から差し引かれる金額」の合計を差し引いて求めた「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)に対してかかります。
所得税は「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)に税率をかけたものとなります。超過累進課税なので所得が増えれば増えるほど税率が上がります。
- 所得税=㉖×税率-控除額
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
住民税(所得割)は「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)に5万円を足してから10%をかけたものになります。
- 住民税(所得割)=(㉖+5万円)×10%
経費を増やすことができれば、国民健康保険税・事業税・所得税・住民税のすべてが減る
節税手段として一番効果的なのが、経費を増やすことです。経費とは収入を得るための費用のことです。
経費が増えれば、事業所得(➀)と総所得金額(⓽)は減り、所得金額の合計から控除の合計を差し引いて求めた「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)も減ります。
その結果、国民健康保険税・事業税・所得税・住民税のすべてが減ります。
例えば、所得税率が20%だとすると、経費を1000円増やせば442.8円の節税となります。
経費 | 1000円↑ |
---|---|
所得税 | 200円↓ |
住民税 | 100円↓ |
事業税 | 50円↓ |
国民健康保険税 | 92.8円↓ |
節税額合計 | 442.8円↓ |
モノを買って経費を増やすなら、翌年に確実に必要になるものを買うのがおススメですが…
経費を増やせば効果的な節税ができますが、経費を増やそうとして不要なものを買うようでは、節税額以上に無駄遣いをすることになります。
節税は節約のためにするのですから、これでは本末転倒です。
モノを買って経費を増やすなら、
- 翌年に確実に必要になるものを今のうちに買う
のがいいです。
これなら節税のために余分な買い物をしたことになりません。

モノを買わずに経費を増やす方が魅力的です。
経費は原則として何か買わなければ増えません。
しかし何も買わずに経費を増やす方法もあります。お金を支出せずに所得税・住民税・事業税・国民健康保険税の全てを減らせるので魅力的です。
その方法とは…
- 青色申告をして青色申告特別控除(65万円)の分だけ経費を増やす
- 倒産防止共済(経営セーフティー共済)に加入して、その年に支払った掛金(上限は240万円/年)の分だけ経費を増やす
の二つです。
青色申告特別控除については「ブログ・アフィリエイト所得の白色申告はあり得ない!青色申告のメリットまとめ」をご覧ください。
倒産防止共済(経営セーフティー共済)の説明は、こちらの記事が詳しく分かりやすいです。
倒産防止共済に40か月以上加入すると、解約時に掛金全額が戻って来ます。
掛金を拠出しても、実質的には何も支出していないも同然です。
ただ、解約時に戻るお金は全額が事業収入となって課税対象となります。倒産防止共済解約のタイミングは悩ましいです。


「所得から差し引かれる金額」を増やすと所得税・住民税は減るが、事業税・国民健康保険税は減らない
経費を増やすのではなく、「所得から差し引かれる金額」を増やすことでも、節税することができます。
ただし、経費を増やす場合に比べて、節税効果はかなり落ちます。
「所得から差し引かれる金額」が増えても、所得金額の合計金額(⓽)は全く変化せず、所得金額の合計金額から「所得から差し引かれる金額」の合計を差し引いて求めた「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)だけが減ります。
その結果、所得税・住民税は減るのですが、事業税・国民健康保険税は減ってくれません。。。
例えば、所得税率が20%なら、「所得から差し引かれる金額」を1000円増やすと300円の節税となります。
所得から差し引かれる金額 | 1000円↑ |
---|---|
所得税 | 200円↓ |
住民税 | 100円↓ |
事業税 | 0円 |
国民健康保険税 | 0円 |
節税額合計 | 300円↓ |
とはいえ、所得税・住民税だけでも減ってくれれば有難いです。「所得から差し引かれる金額」の増額にも真剣に取り組んでいます。
国民年金保険料や国民健康保険料を支払えるだけ支払う
「所得から差し引かれる金額」の社会保険料控除は、その年に支払った社会保険料の合計を「所得から差し引かれる金額」に含めてくれるというものです。
私のように、ブログからのアフィリエイト収入で生計を立てる場合、社会保険料と言えば…
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料(国民健康保険税)
の二つです。
どちらも普通は一年分しか支払えませんが、次のようなことをすれば社会保険料を余分に支払うことができます。
- 滞納している国民健康保険料(国民健康保険税)・国民年金保険料を支払う
- 免除されていた国民年金保険料を支払う
- 国民年金保険料を2年前納して来年度分も支払う
国民年金保険料はどうせ払うものですから、2年前払いして今年分の節税に役立てました。
保険料も4%ほど少なくなります。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、中小企業経営者や個人事業主向けの退職金積み立てです。
その年に積み立てた掛金は、小規模企業共済等掛金控除として「所得から差し引かれる金額」に含めることができます。
掛金の上限は年間84万円です。
掛金を上限に設定すると「所得から差し引かれる金額」が84万円増え、「課税される所得金額」(㉖=⓽-㉕)は84万円減ります。
その分所得税・住民税が安くなってお得です。
当然ですが、積み立てた金額は、将来において小規模企業共済を解約するときに受け取ることができます。
この時、税金が比較的少なくて済む退職所得として受け取ることができます。その面でも節税になります。
また、向こう1年分の掛金を前払いすることができるため、その年の自分の売上と経費を概ね把握してから掛金の調整ができるのもいいですね。


確定拠出年金(iDeCo)に入る
確定拠出年金は、国が用意した私的年金(自分で責任をもって用意する年金)制度です。
老後資金という意味では小規模企業共済と似ていますが、少し違うところもあります。
- 確定拠出年金は運用先を自分で決めないといけません。
- 私のような個人事業主の場合、確定拠出年金の掛金上限は月額68,000円(年額816,000円)です。
- 掛金の前払いはできません。
しかし、その他の部分については、小規模企業共済と似ています。
その年に積み立てた掛金は、小規模企業共済等掛金控除として「所得から差し引かれる金額」に含めることができ、その分だけ所得税・住民税が安くなってお得です。
積み立てた金額はいずれ退職所得または雑所得(年金)として受け取ることができます。
退職所得や雑所得(年金)は税金が安く済むのでとてもありがたいです。
そんな有難い確定拠出年金(iDeCo)ですが、私はまだ始めていません。。。


年間掛金の上限である816,000円を年末にドーンと一括拠出できると勘違いして、今年は加入し損ねました。
2018年からはそのようなことも可能になるようですが今はまだ無理です。
加入手続きも今頃始めため、今年はiDeCoに掛金を一円も拠出できませんでした。。。
生命保険料控除いっぱいまで貯蓄性保険に加入
所得税の生命保険料控除は、その年に支払った生命保険料のうち、最大12万円までを「所得から差し引かれる金額」に含めることができるというものです。
利用しないともったいないです。
ただし、生命保険料控除を利用するために掛け捨ての保険に入るのは、節税のために余計な買い物をすることと同じですからあまりよくありません。
生命保険料控除を活用するなら貯蓄型の保険に入った方がいいです。
また、生命保険料の掛金全額が控除の対象とされるわけではありません。
所得税の生命保険料控除の上限である12万円の控除を受けようとすると、年間24万円以上の保険料を支払わなければなりません。
あまり効率が良くないので、今まで私は生命保険料控除を利用してこなかったです。

妻も怖いことですし、今後は保険ショップ巡りをするなどして、生命保険料控除を上手に利用する方法を模索したいと思います。
ブログ収入は不安定。収入があるときは、あまり先のことを考えず全力で節税するのがいいと思う
節税手段の中には、来年分の経費や「所得から差し引かれる金額」を先食いしてしまうものもあります。
- 翌年に確実に必要になるものを今のうちに買う
- 国民年金保険料の2年前納
などがそうです。
こういう手段で節税すると、来年の売上が今年並みにあった場合、今年節税した分だけ来年の税金が上がることになりかねません。
しかし、来年の売上が急減した場合は、今年節税してよかったということになります。
ブログからのアフィリエイト収入なんて、何かあれば一瞬で吹き飛びます。

売上があるときには全力で節税するべきです。
年収990万円の個人事業主が、きちんと節税をした場合と一切しない場合とでは、支払う税金が約180万円違ってくる
節税をするかしないかで支払う税金にどれくらいの違いが出るかを計算してみました。
年収990万円の個人事業主がきちんと節税をした場合と全く節税しなかった場合では、税金の額が約200万円違ってきます。
今年支払った国民健康保険税が89万円で、節税に対する取り組み方が以下のように違う2人の個人事業主(年収990万円)を考えましょう。
項目 | きちんと節税 | 全く節税せず |
---|---|---|
売上 | 990万 | 990万 |
青色申告 | する | しない |
倒産防止共済 | 上限まで払う | 未加入 |
その他の経費 | 100万 | 100万 |
国民年金保険料 | 2年前納 | 1年前納 |
国民健康保険料 | 89万円 | 89万円 |
小規模企業共済 | 上限まで払う | 未加入 |
確定拠出年金 | 上限まで払う | 未加入 |
生命保険料控除 | 上限まで利用 | 利用せず |
基礎控除 | 38万 | 38万 |
なお、上の表で触れていない控除は、きちんと節税をした場合と全く節税しなかった場合のどちらについても、利用しないものとします。
経費や控除の金額は、きちんと節税した場合と節税を全くしない場合とでは、以下のように違ってきます(計算を簡単にするために金額は1万円未満四捨五入で表示)。
項目 | きちんと節税 | 全く節税せず |
---|---|---|
売上 | 990万 | 990万 |
青色申告特別控除 | △65万 | 0 |
倒産防止共済 | △240万 | 0 |
その他の経費 | △100万 | △100万 |
事業所得➀ | 585万 | 890万 |
総所得金額➈ | 585万 | 890万 |
国民年金保険料 | △38万 | △19万 |
国民健康保険料 | △89万円 | △89万円 |
小規模企業共済 | △84万 | 0 |
確定拠出年金 | △82万 | 0 |
生命保険料控除 | △12万 | 0 |
基礎控除 | △38万 | △38万 |
課税される所得金額㉖ | 242万 | 744万 |
上記の条件のもとで、次の4つの税金の額が、節税の有無によってどれだけ差を生むか計算したら、
- 所得税の差は約95万円
- 住民税(所得割)の差は約50万円
- 事業税の差は約15万円
- 国民健康保険料(国民健康保険税)の差は約20万円
となるのです。
所得税の節税効果は約95万円
まず、所得税の節税効果から計算しましょう。計算式は
- 所得税=課税される所得金額㉖×税率-控除額
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
でした。二つを合計すると以下のようになります。
所得税+復興所得税
=(課税される所得金額㉖×税率-控除額)×1.021
問題は税率と控除額ですが、累進課税ですので所得金額によって変化します。

(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。 700万円×0.23-63万6千円=97万4千円 ※ 平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。(No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁)
実際に計算してみましょう。(本来は端数処理が必要ですが、今はおおよその節税効果を確認できればいいので、端数処理は割愛します。)
きちんと節税した場合の所得税‥(242万円×10%-97,500円)×1.021=147,534円
全く節税しない場合の所得税‥(744万円×23%-636,000円)×1.021=1,097,779円
節税による所得税削減効果は約95万円です。
住民税(所得割)の節税効果は約50万円
次に住民税(所得割)の節税効果を計算します。計算式は以下の通りです。
- 住民税(所得割)=(㉖+5万円)×10%
実際に計算すると…
きちんと節税した場合の住民税(所得割)‥(242万円+5万円)×10%=247,000円
全く節税しない場合の住民税(所得割)‥(744万円+5万円)×10%=749,000円
節税による住民税(所得割)削減効果は約50万円です。
なお、住民税にも所得税と同様の生命保険料控除が適用されるものとして計算しました。
事業税の節税効果は約15万円
事業税の節税効果の計算です。
- 事業税=(➀-290万円)×5%
きちんと節税した場合の事業税‥(585万円-290万円)×5%=147,500円
全く節税しない場合の事業税‥(890万円-290万円)×5%=300,000円
節税による事業税削減効果は約15万円です。
国民健康保険料(国民健康保険税)の節税効果は約20万円
国民健康保険料(国民健康保険税)の節税効果を計算します。
国民健康保険料(国民健康保険税)は住む自治体によって税率が異なるので、わが伊賀市の場合で計算します。
被保険者の人数が1人(40歳以上)である世帯の場合、以下の3つを合計したものが国民健康保険料(国民健康保険税)になります。
- 医療分年税額=(➈-33万円)×6.7%+23,000円+22,000円(最高限度額は54万円)
- 介護保険分年税額=(➈-33万円)×1.5%+6,000円+4,500円(最高限度額は16万円)
- 後期高齢者支援金分年税額=(➈-33万円)×1.08%+3,500円+4,500円(最高限度額は19万円)
きちんと節税した場合の国民健康保険税は以下の合計です。
- 医療分年税額=414,840円
- 介護保険分年税額=93,300円
- 後期高齢者支援金分年税額=67,616円
全く節税しない場合の国民健康保険税は以下の合計です。
- 医療分年税額=540,000円
- 介護保険分年税額=139,500円
- 後期高齢者支援金分年税額=100,556円
節税による国民健康保険料(国民健康保険税)削減効果は約20万円です。
節税の手抜きによるダメージは大きい
年収が1000万円に迫ると、節税の手抜きによるダメージは約180万円近くになります。
収入が少なければ節税効果も少なくなりますが、それでも節税するのとしないのとでは随分違います。
今年の私の場合は…
- iDeCoに加入し損ねたために小規模企業共済等掛金控除を約82万円
- 生命保険に加入していないために生命保険料控除を12万円
節税の手抜きで控除を合計約94万円分も利用し損なっています。
所得税率を20%とすると節税の手抜きによるダメージは27万円程度となります。
この分を取り返すために今年は倒産防止共済(経営セーフティー共済)に再加入しました。
解約のタイミングに頭を悩ませることになりそうですが‥、いつか収入が激減した時に解約することになるでしょう。
また、所得税率が最低の5%となるような稼ぎしかなくとも、青色申告をするのとしないのとでは、税金が15万円近く違ってきます。
これまで節税にきちんと取り組んでいなかった個人事業主の方は、今年こそ節税にまじめに取り組んでみてはいかがでしょうか。