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訂正仕訳~逆仕訳(反対仕訳)や振替仕訳で間違いを修正

ブロガー・アフィリエイターのための「はじめての青色申告シリーズ」第11回です。

前回の記事はこちら

今回は訂正仕訳の話です。

昔は仕訳をボールペンで手書きしていたので訂正は大変でした。

そこで、訂正するための仕訳として逆仕訳(反対仕訳)と振替仕訳が使われました。

今はPCで仕訳を行うので、単なる訂正のためにこれらの仕訳を使うことは余りないですが、振替仕訳は決算手続きで利用するので重要です。

逆仕訳(反対仕訳)は、間違い仕訳を取り消して無かったことにする仕訳


間違った仕訳を訂正するには、間違った仕訳を完全に取り消して、無かったことにするのが一番です。

仕訳そのものを削除してもいいのですが、間違った仕訳を残しつつ、貸方と借方を入れ替えた仕訳を新に行うことで取り消すこともできます。

この「貸方(右側)と借方(左側)を入れ替えた仕訳」のことを逆仕訳(反対仕訳)といいます。

間違い仕訳の例

例えば、3/8に事業用口座から水道代8,000円を支払ったときに以下のような仕訳をしたとします。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 水道光熱費 8,000 預金 8,000 (取引先など)

借方(左側)は水道光熱費という費用が8,000円発生(増加)したことを、貸方(右側)は預金という資産が8,000円減少したことを表します。

でも、料理レシピを書かないアフィリエイターやブロガーの場合、水道代は事業の必要経費にすることはできないです。私もそうです。

間違った仕訳を取り消して、新しく正しい仕訳をしないといけません。

逆仕訳で間違った仕訳を取り消す

ここで、間違えた仕訳を削除せず、取り消したい仕訳の左右を入れ替えた逆仕訳(反対仕訳)を書いても、間違えた仕訳を取り消すことができます。

3/10に3/8の間違いに気が付いて逆仕訳をすると、以下のような仕訳になります。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/10 預金 8,000 水道光熱費 8,000 3/8の訂正

借方(左側)は預金という資産が8,000円増加したことを、貸方(右側)は水道光熱費という費用が8,000円減少した(取り消された)ことを表します。

3/8の誤仕訳と、3/10の逆仕訳を合わせて考えると、

   誤仕訳 逆仕訳
預金 -8,000 +8,000 ±0
水道光熱費 +8,000 -8,000 ±0

結局のところ、預金の増減・水道光熱費の増減、ともに無かったことになり、間違いは完全に取り消されました。

取り消した後、改めて正しい仕訳

その後改めて以下のような正しい仕訳をします。

水道代は事業の必要経費ではなく、生活用の口座から支出すべきものですから、水道光熱費ではなく事業主貸で処理します。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/10 事業主貸 8,000 預金 8,000 3/8の訂正

これで訂正完了です。

最終的には、最初から正しい仕訳をしたのと同じ状態に

最初の誤った仕訳、逆仕訳、正しい仕訳の順に、預金・水道光熱費・事業主貸の増減を表にまとめると以下のようになります。

   誤仕訳 逆仕訳 正仕訳
預金 -8,000 +8,000 -8,000 -8,000
水道光熱費 +8,000 -8,000 ±0 ±0
事業主貸 ±0 ±0 +8,000 +8,000

3つの仕訳の結果、最初から正しい仕訳をしたときと同様、預金が8,000円減少し、事業主貸が8,000円増加する結果になりました。

つまり帳尻がありました。\(^o^)/

逆仕訳⇒正しい仕訳で訂正完了

間違えた仕訳をしてしまったときは、間違えた仕訳を削除する代わりに、

  • 元の仕訳の左右を入れ替えた逆仕訳を行って間違い仕訳を取り消し
  • その後正しい仕訳を行う

という手順で訂正することもできるのです。

振替仕訳は、間違い仕訳に修正や調整を加えて、正しい状態にする仕訳

振替仕訳は、間違い仕訳を勘定科目を書き間違えたときに、勘定科目を訂正する仕訳です。

間違い仕訳の例

例えば、3/8に事業用口座から水道代8,000円を支払ったときに以下のような仕訳をした場合、

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 水道光熱費 8,000 預金 8,000 (取引先など)

間違った部分に修正を加える

間違っているのは借方(左側)に書かれている勘定科目「水道光熱費」の部分ですよね。

「水道光熱費の8,000円増加」だけが誤りなのですから「水道光熱費の8,000円増加を取り消して(つまり水道光熱費を8,000円減少させて)、事業主貸が8,000円増加するような仕訳を書こう」というのが振替仕訳の発想です。

訂正は振替仕訳のみで完了する

3/10に振替仕訳をしたなら以下のようになります。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/10 事業主貸 8,000 水道光熱費 8,000 (取引先など)

これで訂正は完了です。

最初の誤った仕訳、振替仕訳の順に、預金・水道光熱費・事業主貸の増減を表にまとめると以下のようになります。

   誤仕訳 振替仕訳
預金 -8,000 ±0 -8,000
水道光熱費 +8,000 -8,000 ±0
事業主貸 ±0 +8,000 +8,000

最初から正しい仕訳をしたときと同様、預金が8,000円減少し、事業主貸が8,000円増加する結果になりました。

正しい仕訳、逆仕訳による訂正、振替仕訳による訂正、は全て同じ事実を表している

逆仕訳による訂正も

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 水道光熱費 8,000 預金 8,000 (取引先など)
3/8 預金 8,000 水道光熱費 8,000 3/8の訂正
3/10 事業主貸 8,000 預金 8,000 3/8の訂正

振替仕訳による訂正も

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 水道光熱費 8,000 預金 8,000 (取引先など)
3/10 事業主貸 8,000 水道光熱費 8,000 3/8の訂正

最初から正しい仕訳をしても

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 事業主貸 8,000 預金    8,000        

すべて「預金が8,000円減少し、事業主貸が8,000円増加した」という同じ事実を記録したものです。

重要:金額を訂正する振替仕訳

仕訳の間違いには金額のみ間違えたというケースもあります。

逆仕訳で間違いを取り消してから正しい仕訳をしてもいいですが、このケースでは振替仕訳の方がよく使われます。

金額が少なすぎた場合に増額して訂正する

例えば、3/8に事業用口座から家賃60,000円が引き落とされたのに、以下のような仕訳をしてしまった場合、

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 家賃 6,000 預金 6,000      

次の様にすると家賃増加と預金減少を、それぞれ54,000円増やすことができます。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/10 家賃 54,000 預金 54,000 3/8の訂正

2つの仕訳を合わせれば家賃を60,000円支払ったことになります。うまく訂正できました。

金額が多すぎた場合に減額して訂正する

例えば、3/8に事業用口座から電気代6,000円が引き落とされたのに、以下のような仕訳をしてしまった場合、

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/8 水道光熱費 60,000 預金 60,000      

次のようにすると、水道光熱費の増加と、預金の減少を、それぞれ54,000円減額することができます。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
3/10 預金 54,000 水道光熱費 54,000 3/8の訂正

2つの仕訳を合わせれば水道光熱費を6,000円支払ったことになります。うまく訂正できました。

今は訂正目的で振替仕訳や逆仕訳を使う必要はないが、仕組みを理解する必要はある

逆仕訳や振替仕訳の説明をしましたが、今時の個人事業主がPCで仕訳する場合、間違えた仕訳の訂正に逆仕訳や振替仕訳を使う必要はありません。

日常の取引の仕訳を間違えたら、その仕訳を普通にDELETEボタンで削除して、正しい仕訳をすればよいのです。

では、何の為に説明したかというと、仕訳帳から損益計算書や貸借対照表を作る決算手続きで、振替仕訳が必要だからです。

また、年末に行う家事按分の仕訳でも、振替仕訳の考え方は重要です。

特に振替仕訳の仕組みには、なじんでおきたいところです。


次回「はじめての青色申告シリーズ」第12回は

をお送りします。



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