ブロガー・アフィリエイターのための「はじめての青色申告シリーズ」第5回です。
前回(第4回)は青色申告開始手続きについて書きました。
前年のうちに手続きが済んでいる人は今年は青色申告ができますが、2月中旬から3月中旬にかけての確定申告期間中に青色申告をしなければなりません。
青色申告では所定の帳簿や書類を作らないといけないのですが、事前の段取りが悪いと後でとても苦労します。
帳簿作成に取り掛かる前に、やっておくべき準備を把握しましょう。
具体的にどんな準備をすればいいのか
準備が大事、準備が大事、と連呼していますが、具体的に何をすればいいのか。
大きく分けて次の二つの準備をすることになります。
- 収入・支出や現金・預金を事業と家計に色分けする
- 事業用のお金の流れを裏付ける証拠を集める
収入・支出や現金・預金を事業と家計に色分けする
青色申告は事業所得(事業利益)を国に報告するものです。
所定の帳簿と決算書類を作らないといけませんが、そこには事業用のお金の流れだけを記録します。
ですから、収入・支出・現金・預金をそれぞれ事業と家計に色分けすることが必要です。
お金の流れを裏付ける証拠を集める
また、青色申告では、所定の帳簿と決算書類を作るだけではなく、証憑書類(帳簿や書類の記載内容の裏付けとなる明細や領収書類)を保存することも必要です。
収入・支出・現金・預金口座をそれぞれ事業用と家計用とにしっかり区分することで、どのような明細・領収書類を集めて保存すべきかがわかります。
帳簿作成作業の前に、お金の流れを事業と家計とに区分し、証憑書類をきっちり確保しましょう。
また、取引明細類は、証憑書類として保存するだけでなく、エクセルで仕訳を作る元資料としても重要です。
取引明細類をウェブサイトから保存する場合は、
- 印刷保存用のPDF形式
- .csv形式などExcelに対応する形式
の2通りで保存しておくべきです。
現金の区分と証憑書類
まず、現金を事業用と家計用に分けることから始めましょう。
…と言いたいところですが、アフィリエイターやブロガーの場合、現金は全て家計用として扱うべきです。
事業用の現金を持つと帳簿作成作業がとても煩雑になります。
持たずに済むなら事業用の現金は持たない方がいいのです。
アフィリエイターやブロガーの場合、事業用の現金のやり取りはとても少ないはず。
事業用の現金を持たなくても全く問題はありません。
現金を全て家計用とすることで、現金についての証憑書類を集める手間も小さくなります。
私も現金はすべて家計用として扱っていて、事業用の現金は持たないようにしています。
預金の区分と証憑書類
預金については、売上が入金される口座はすべて事業用口座とし、それ以外の口座を家計口座とすればいいです。
事業用口座の入出金明細は、帳簿作成作業で最も重要になる基礎資料です。.csvファイルで1年分をダウンロードしておきましょう。
作業用の入出金明細とは別に、証憑資料として保存するものが必要ですが、これは通帳でいいです。ATMなどで1年分漏れなく記入しておきましょう。
通帳のないネット専業銀行を利用している場合は、通帳の代わりに取引履歴明細証明書をPDFで保存しておきましょう。
いずれ印刷して紙の形にして残すのですが、青色申告では印刷するべきものが大量にありますので、印刷は最後にまとめて行います。
私の場合は、A8ネットからの売上はゆうちょ銀行に、その他のASPからの売上は楽天銀行に入金されるので、この2つの銀行口座を事業用口座としています。
楽天銀行では入出金明細画面の下のほうに、
入出金明細(.csv)と取引履歴明細証明書(.pdf)のダウンロードコーナーがあります。
ダウンロードした明細類は銀行明細ファイルに保存しています。
他の銀行も同様にしてください。
銀行口座一つ当たり5分もあれば明細は集まりますね。
収入の区分と証憑書類
給与収入、親族からの贈与、利子その他の金融収益、賃料その他の不動産収入などは、個人事業主として青色申告するべき売上には含まれません。売上(事業収入)ではなく家計収入として扱います。
ブロガーやアフィリエイターの場合、売上(事業収入)となるのは主に広告収入です。これらは帳簿に記入しないといけません。もちろん証憑書類が必要です。
次の3つに分けて
- 何時いくらの売上が上がるか
- 何時振り込まれるか
- どのように振り込まれるか
それぞれについて証憑書類を用意します。ちょっと面倒ですね。
「何時いくらの売上が上がるか」についての証憑書類
「何時いくらの売上が上がるか」については、各ASPのサイトの、各月ごとの売上確定金額が一覧表になったページが証憑書類になります。
A8だと成果確定レポート[月別]がこれに相当します。
「何時振り込まれるか」についての証憑書類
「何時振り込まれるか」については、事業用預金口座の入出金明細を見れば明らかです。
改めて何か別の証憑書類を取得する必要はありません。
私の場合は、ゆうちょ銀行の入出金明細を見れば、A8の売上がいつ振り込まれたかがわかります。
「どのように振り込まれるか」についての証憑書類
次に、「どのように振り込まれるか」ですが、各ASPの規約とその周辺に記載されていることが多いです。
例えば、私がお世話になっているA8ネットの場合、AS会員利用規約:アフィリエイトサイト(AS)会員サポート:アフィリエイトのA8.netで、報酬が「どのように振り込まれるか」が書かれています。
第11条 成果報酬の支払い
1. 当社は、AS会員に対し成果報酬の支払いを行うものとする。
2. 成果報酬の支払いは、当社が別途定める成果報酬の支払方式のうちAS会員が指定する方式に従い行われるものとし、当社は、当該AS会員に対して支払う成果報酬のすべてを合算し、金融機関所定の振り込み手数料を控除した金額を、当該AS会員の指定する金融機関の口座へ振り込み送金する方法により支払う(但し、第6条5項の規定に従う)。
また成果報酬の支払方式リンクをクリックした先に「金融機関所定の振り込み手数料」が掲載されています。
これも「どのように振り込まれるか」についての証憑書類ですね。
証憑書類はすべてPDFで保存しておきます。
結局、A8ネットでは以下の4つ書類が「何時いくらの売上が上がり、何時どのように振り込まれるか」についての証憑書類になります。すべてPDFに保存します。
- 成果確定レポート[月別]
- ゆうちょ銀行の入出金明細(PDF保存済)
- AS会員利用規約:アフィリエイトサイト(AS)会員サポート:アフィリエイトのA8.net
- 成果報酬の支払方式
私は、PDFの整理のために売上明細フォルダを作って、その中に各ASPごとにフォルダを作っています。
ファンコミュニケーションズ(A8ネット)フォルダ内はこんな感じ。
ゆうちょ銀行の明細は銀行明細フォルダの中にすでに保存してありますから、ファンコミュニケーションズ(A8ネット)フォルダ内にはありません。
他のASPについても同様に証憑書類集めをします。1ASPあたり5分もあればできます。
規約関係の証憑書類は、規約が変わらない限り次の年も使い回せます。
青色申告2年目以降は、その分、売上に関する証憑書類集めが楽になります。
支出を経費(事業支出)と家計支出に分けるのはとても面倒
ここまで、現金・預金・収入を事業と家計に色分けし、事業に色分けされた部分についてお金の流れを裏付ける証憑書類を集める作業を行いました。
あとは支出について同じような作業をすれば帳簿作成の事前準備は完璧です。
「もう一息です」と言いたいところですがこれが大変です。続きは次回エントリで!!
次回「はじめての青色申告シリーズ」第6回のエントリは
をお送りします。