妻は公務員で中学教師です。@web_shufuです。
先日来、ライフプラン表の精度をより高めるために、妻の将来の収入を一生懸命試算した記事を連投しました。@web_shufuです。
今回は、私(昔サラリーマンで今自営業)の年金収入の試算をした話です。試算にはねんきんネットを利用したのですが、試算結果で、老齢厚生年金の「国からの支給額」「基金代行部分」の数値が、実際と異なる数値になっていたのでメモに残します。
ねんきんネットの試算結果を理解するための準備
ねんきんネットの年金額試算機能は便利です。ほんとに様々なシミュレーションが簡単にできます。
しかし、試算結果をライフプランに生かすには、多少の予備知識も必要です。
サラリーマンの年金は基礎年金、厚生年金、企業年金(厚生年金基金等)の3階建て
厚生年金基金に加入していたサラリーマン経験者の老後の年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、厚生年金独自の給付の3階建てになっています。
厚生年金基金加入者の老齢厚生年金は、大部分が厚生年金基金から支給される
3階建てになっている年金のうち、老齢基礎年金と、老齢厚生年金を運営するのは国です。厚生年金基金などの企業年金の運営者は企業です。
本来なら、老齢厚生年金と老齢基礎年金の給付は国が、厚生年金基金独自の給付は企業が行うべきです。
ところが、厚生年金基金のある企業の従業員だった人(つまり厚生年金基金への加入歴がある人)に対する老齢厚生年金の給付については、国がその大部分を厚生年金基金に代行させています(代行部分)。
厚生年金のうち国が支給するのはほんの一部となります。
どうしてこんな制度ができたのか
厚生年金基金は、厚生年金給付業務の大部分を国に代わって行うことで、従業員から預かった厚生年金保険料を国に納めず手元に置いておくことが認められています。
高度経済成長期など高金利時代にはかなりの高利回りで運用することができたので、厚生年金基金で老齢厚生年金の給付を代行して年金資金を運用すると、企業に大きな運用差益が生じました。
しかしバブル崩壊後の低金利時代にはそうはいきません。代行して年金資金を運用しても、年金を維持するだけの利回りすら確保がままならず、運用差益ではなく運用差損が発生するようになりました。
低金利自体に代行してもデメリットだらけなので、最近は代行を返上する企業がたくさんあります。少し脱線しました。
厚生年金基金への加入期間が短いと、厚生年金基金に代わって企業年金連合会が給付する
既に書いたように、厚生年金基金への加入歴がある方に対する老齢厚生年金の給付業務は、大部分を厚生年金基金が行うことになっています。しかし、加入歴が10年未満の人に対しては、厚生年金基金に代わって企業年金連合会が支給を行います。
私のサラリーマン歴は10年余り、そのうち厚生年金にきちんと加入していた企業への勤務歴は約3年半、厚生年金基金への加入期間も約3年半です。
私への老齢厚生年金の給付は、大半が企業年金連合会から行われることになります。
厚生年金基金や企業年金連合会に、代行部分の給付金額と基金本来の給付金額を確認しておこう
ねんきんネットで年金を試算する前に、厚生年金基金や企業年金連合会に、代行部分の給付金額と厚生年金基金本来の給付金額を確認しておきましょう。
問い合わせの結果、私の場合は、企業年金連合会からの給付は、厚生年金基金の代行部分が約111,000円/年、厚生年金基金本来の給付は約25,300円/年、となることが分かりました。
ねんきんネットの試算結果で老齢厚生年金の「国からの支給部分」の金額が自分の想像以上だったので大喜びしたのですが…
ここで、少々恥ずかしいですが、私の年金試算結果を見てみましょう。
老齢厚生年金の「国からの支給部分」「基金代行部分」がややこしくて、誤解を招きかねないものなのです。
これを見て私が最初に思ったことは、以下の図の通りです(金額は年間支給額)。

ねんきんネットの表示がおかしかっただけでした…
一瞬喜んだのですが、

と考えて、老齢厚生年金の額を計算してみることにしました。
実は、よほど高給取りの人を除けば、老齢厚生年金額の概算は簡単です。厚生年金加入中に貰った給料とボーナスをすべて合計して0.005をかければOKです(正確な金額より少し低めの年金額が出ます)。自分が計算すると112,450円でした。

ねんきんネットでは、代行部分を除いて126,600円がもらえそうな試算結果が表示されたのですが、実際は代行部分を含んだ金額だとしか思えません。そこで、ねんきんネットと年金定期便に関する専用ダイヤル0570-058-555に問い合わせました⇒(電話を掛ける)
しかし、担当者の方もわかっていないらしく、30分ほど電話で押し問答とたらいまわしをリピートした結果

と答えを引き出しました。
結局「国からの支給額」は、代行部分を含んだ金額で、126,600円には代行部分も含まれていたのです。それなら何のために「基金代行部分」欄を作ったのか…。
結局「国からの支給部分」は自分の思った通りの水準に落ち着きました。
というわけで、現時点における私の年金試算結果は以下の通りでした。
年金種別 | 年金額(年額) |
---|---|
老齢基礎年金 | 781,200 |
老齢厚生年金 | 126,600 |
(国から) | (15,600) |
(代行部分) | (111,000) |
厚生年金基金 | 25,300 |
合計 | 933,100 |
この年金額は65歳から受給する場合のものです。厚生年金基金以外の金額は、支給時期を繰り下げれば増えますし、繰り上げれば減ります。
ねんきんネットでは支給時期をいろいろ変えて試算することもできますから、70歳支給開始の場合もシミュレーションしました。シミュレーションしなくても、それぞれの金額を1.42倍すればおおよその金額はわかるんですけれども。
年金種別 | 年金額(年額) |
---|---|
老齢基礎年金 | 1,109,298 |
老齢厚生年金 | 179,796 |
(国から) | (?) |
(代行部分) | (?) |
厚生年金基金 | (?) |
合計 | 1,325,002 |
合計の1,325,002は933,100*1.42で計算しました。厚生年金基金の部分は「?」にしているのですが、1,325,002-1,109,298-179,796=35,908円と考えることができますね。
65歳以降も働くつもりなので、70歳支給開始でライフプランを立てることにしました。
ねんきんネットの試算結果は鵜呑みにできない
ねんきんネットの試算結果のうち、老齢厚生年金の部分については鵜呑みにできません。しかし、
- 厚生年金加入中に貰った給料とボーナスをすべて合計して0.005をかけると、老齢厚生年金の金額(年額)より少し低めの金額が出る
ということを覚えておいて、不明なところはねんきんネットと年金定期便に関する専用ダイヤル0570-058-555に電話を掛けて確かめることで、かなり正確な年金受給見込み額が分かります。
ねんきんネットには改善すべき点は多いですが、ライフプランを立てるのに欠かせません。上手に使いたいですね。
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