HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

フリーレントって何?メリットとデメリットまとめ

引越しなどで不動産物件を探していると「フリーレント」という言葉をよく聞くと思います。語感がとてもお得な感じで、実際、費用削減効果もあるのですが、色々注意しなければいけないところもあります。

フリーレントとはどんなシステム?

フリーレントは「入居後一定期間家賃が無料になる」という意味です。

例えば、フリーレント一ヶ月の物件であれば、入居後一ヶ月間家賃が発生しません。

その分前家賃も少なくなります。場合によっては前家賃が一切不要になります。

フリーレントは引っ越したばかりのモノ要りな時期に家賃を免除してくれます。借り手からすれば引越し・賃貸の初期費用を少なくしてくれるのでとてもメリットが大きいです。

フリーレントの期間はどれくらい?

事業用物件ならフリーレント半年の物件も見かけますが、一般消費者向けの居住用不動産の場合は、フリーレントの期間は1カ月程度が相場です。

しかし、中にはURのようにフリーレントの期間2ヶ月の物件もありますので、好条件を求めて一生懸命探す価値はあります。

大家さんや不動産屋さんにとってメリットはあるの?

フリーレントは家賃免除なのですから、貸し手である大家さんにとっては一見損なシステムです。

大家さんにとってのメリットが見えないと「わけあり物件じゃないの?」「怪しい事故物件?」という疑念が渦巻きますよね。でも、そんなことはありません。

フリーレントは大家さんにとっても以下のようなメリットがあるのです。

  • 借り手にとってありがたい条件=入居者が集まりやすく空室率が下がる
  • 家賃を下げて物件の資産価値が落ちるくらいなら、家賃を下げずにフリーレントするほうがよい
  • 家賃を下げると、同じ建物の他の入居者から家賃減額要求が相次ぐので、フリーレントで対応したほうがよい。

一部の大家さんがフリーレントを積極的に使おうとする目的や理由はこういったところにあります。

また、その物件を仲介している不動産屋さんにとっても、家賃を下げるくらいならフリーレントのほうがいいのです。

不動産屋さんの仲介手数料は仲介した物件の家賃を基準にして決まりますから、家賃が下落すると仲介手数料も下がります。それなら家賃を下げずにフリーレントにしたほうがいいわけです。

フリーレントだけど賃料が割高の場合がある

フリーレントというと、大家さんが家賃を一か月損する仕組みに見えますが、実はそうではありません。大家さんは工夫次第できっちり収入を確保することもできるのです。

フリーレント無しの場合の家賃

例えば、大家さんが、フリーレント無しで家賃69,000円/月で貸したいと考えている物件があるとします。

大家さんはこの物件から2年間で、69,000円×24か月=1,656,000円の収入を見込んでいます。

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フリーレント1ケ月の場合の家賃

大家さんがこの物件を1ヶ月フリーレントで賃貸することにした場合はどうでしょうか。

大家さんは、フリーレントを実施する一方で家賃を引き上げ、2年間で1,656,000円の収入が確保できるように家賃を決めることができます。

この場合、2年間(24か月)のうち1か月は家賃がもらえませんから、残りの23ヵ月で1,656,000円を回収しないといけません。

すると、このフリーレント物件の家賃は、1,656,000円÷23ヶ月=72,000円という風に決められます。

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このように、フリーレントであっても長期的には借り手が全く得をしない物件というのもあります。ここは借り手にとってのフリーレントのデメリットの一つです。

賃貸契約に当たっては、フリーレントという言葉に惑わされず、契約期間全体の支払総額や平均家賃を基準に比較し、客観的に判断することが必要です。

フリーレント最大の注意点は違約金

フリーレントを設定する代わりに家賃を割高にして一定期間で帳尻を合わせようとする大家さんにとって、短期間で退去する入居者の存在は大きなリスクです。

一定期間入居してもらえなければ、フリーレント物件の大家さんは損をすることになるからです。

そこで、ほとんどのフリーレントの契約書には、所定の期間(半年、1年、2年)より短い期間しか居住せずに中途解約して退去する入居者に対して、解約違約金の支払義務を課す特約条項が入っています。この点が借り手から見た最大のデメリットです。

違約金が課されるので、頻繁に引っ越す方にはフリーレント物件は向きません。

また、一度入居すると違約金がなくなるまで引っ越しにくいので、部屋選びは慎重にしないといけません。

違約金額は(フリーレント月数)×(家賃/月)に設定されていることが多く馬鹿になりません。

フリーレント物件というのは○年縛り物件なのです。

フリーレントでも管理費や共益費は発生する

フリーレントというと、タダで住めるような気になりますが、ただになるのは家賃だけです。

管理費や共益費は支払わなければならないので、その点も注意が必要です。

借り手にとってのフリーレントの長所と短所まとめ

色々書きましたが、借り手にとってのフリーレントのメリットとデメリットをまとめると以下のような感じです。

  • モノ要りな時期に家賃を免除してくれるのは大きなメリット
  • 長期的には借り手が必ずしも得しない場合があるのはデメリット
  • 短期間で退去すると違約金が発生するのは大きなデメリット

フリーレントは賢く使えばとてもいいシステムです。デメリットに気をつけながら上手に利用しましょう。


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