
家計簿は単式簿記で記入するのが普通ですが、家計管理に真剣に取り組むなら、複式簿記で家計簿を作るべきです。現時点の資産総額なども一目でわかります。
現金を管理せず、預金の出入りをベースに記帳すると、手間もさほどではありません。
この形式で家計簿を作ると、青色申告用仕訳帳のたたき台として使えるので、青色申告の作業も楽になりますよ。
家計簿をつけるなら、現金払いは極力避ける
本題に入る前に大事なことを書きます。
家計簿や青色申告用の仕訳帳を少しでも楽に作りたいなら、現金による支払はなるべく避けることが基本です。
なるべく多くの支払いを銀行引き落としやクレジットカード払いにしておくと、通帳や明細さえあれば、相当日が経ってからも仕訳をするのが簡単です。
現金払いだとこうは行きません。現金決済はなるべく避けましょう。
「複式簿記による家計簿」ってどんなもの?
その名の通り複式簿記の手法でつける家計簿です。
預金の出入りなど、家計簿への記載は全て仕訳で行います。
現物を見てもらったほうが早いので、見本を用意しました。
後ほど、「複式簿記による家計簿」の作り方を説明しますが、すべてこの「複式簿記による家計簿見本」を使って説明します。
「複式簿記による家計簿見本」には4枚のシートが用意されています。各シートの説明は以下の通りです。
- 仕訳帳…「複式簿記による家計簿」の本体です。
- 残高試算表…特定の日付における各勘定科目ごとの残高が簡単に把握できます。
- 特定期間増減…特定期間における各勘定科目ごとの金額の増減が一目でわかります
- 作業用シート…仕訳などを書き込むのはこのシートです。出来上がってから、仕訳帳シートなどにコピペします。他のシートを直接編集すると、数式が狂って、わけがわからない状態に陥ることが多いので。
ご興味がある方は、使われている関数等をご覧になって、仕組みを想像してみてください。
「複式簿記による家計簿」のメリット
表計算ソフトで「複式簿記による家計簿」を作れば、大きなメリットが得られます。
一言で言えば、家計の「見える化」に役立つんです。
資産・負債のバランスを簡単に把握できる
表計算ソフトで「複式簿記による家計簿」を作れば、関数を用いて、残高試算表を半自動的に生成することが出来ます。
これによって、特定日における以下の事柄が一目でわかる状態を作り出すことが出来ます。
- 資産総額
- 負債総額
- 資産負債の各勘定の残高
バランスシートを作らずとも、作ったのと同様の効果が得られるわけです。
特定期間における各勘定科目の金額の増減が一目瞭然
関数を使えば、○月○日~○月○日という特定の期間内における各勘定科目の増減も、半自動的に計算できるようになります。
つまり、○月○日~○月○日の間に
- 貯金はどれだけ増えたか
- 通信費はどれだけかかったか
などが一目瞭然となるわけです。
通常の家計簿と同じように、期間内の支出と収入も一目でわかります。
便利だと思いませんか。
「複式簿記による家計簿」は青色申告書類作成も簡単
個人事業主の方が家計簿をつけるなら、絶対複式簿記でやるべきです。
@web_shufuは、これまでは、事業がらみの取引のみを、事業用(青色申告用)の仕訳帳や総勘定元帳に記帳してきました。
青色申告このことだけを考えれば、そうするのが最も効率的だったからです。
しかし、家計簿を作って家計管理に真剣に取り組むようになった以上、仕訳帳や総勘定元帳を、家計用と事業用とにわざわざ分けるのはとても無駄です。
家計簿が複式簿記になっていて、そこに仕訳帳も総勘定元帳もあるのですから、これをそのまま利用すればいいのです。
事業に関係する取引も事業に無関係な取引も、全て家計簿の仕訳帳に記入して、決算整理で家事按分を行えば、青色申告用として十分に使える仕訳帳となります。
2015年の青色申告からは、家計簿から青色申告決算書を作っています。
「複式簿記による家計簿」を作るための準備
以下のものを準備してください。
- 画面の大きなタブレットかPC
- 表計算ソフト
- 見本(ダウンロード)
画面の大きなタブレットかPC
家計の状態を一目瞭然に把握するには、ある程度のスクリーンサイズが必要です。
スマホではなく、大き目のタブレットか、PCが用意するといいです。
表計算ソフト
エクセルはもちろんOK。フリーソフトの「Libre office calc」や「Apache OpenOffice calc」でも大丈夫です。
私は「Libre office calc」を使っています。Excel 形式で保存出来るので便利です。
見本をダウンロードする
表計算ソフトが用意できたら「複式簿記による家計簿見本」をダウンロードしてください。
「複式簿記による家計簿見本」も「Libre office calc」で作り、Excel 形式で保存したものです。
次はいよいよ作業に入ります。
「複式簿記による家計簿」は開始仕訳で始める
「複式簿記による家計簿」を作るにあたって最初にすることは、開始仕訳によって、資産、負債、純資産の内容・総額を明らかにすることです。
開始仕訳ははとても特殊で「現金預金増減の事実を原因とともに記録したもの」とはかけ離れたものです。
開始仕訳はどんなものなのか、見本ではどんな開始仕訳をすればいいのかは下記記事でご確認ください。
月初に前月分の仕訳をまとめて行う
開始仕訳が終わったら、翌月の初めまで何もしなくて良いです。月が変わったら、月初に前月分の仕訳をまとめて行います。
前月分の仕訳が終わったら集計作業を行う
仕訳作業が終わったら次は集計作業です。
複式簿記で家計簿を作るメリットとして冒頭で挙げた、
- 資産・負債のバランスを簡単に把握できる
- 特定期間における各勘定科目の金額の増減が一目瞭然
を実現していきます。
「複式簿記による家計簿見本」は、仕訳作業が終わったばかりの状態です。集計作業は全くしていません。
集計作業を行うのは、残高試算表シートと特定期間増減シートですが、見本では全く集計できていませんよね。
下記記事の内容に沿って集計作業を行います。
集計結果を見て、
- 前月末時点の資産・負債の残高
- 前月一ヶ月間に発生した費用・収益の金額
が把握できれば作業は終了です。お疲れ様でした。
あとは、毎月初めに「仕訳」⇒「集計」を繰り返すだけ
複式簿記で家計簿をつける作業は、最初に開始仕訳をした後は、月初めが巡ってくるたびに「仕訳」⇒「集計」の作業をやるだけです。
最初は多少苦労するかもしれませんが、数ヶ月で慣れます。
見本をまっさらにして家計簿を始めよう
「複式簿記による家計簿見本」で家計簿記入の流れがわかったら、見本をまっさらな状態にして実際に家計簿をつけ始めましょう。

仕訳帳は1行目を残して全てDelete

残高試算表では科目列の3行目以下をDelete。

特定期間増減表でも科目列の3行目以下をDelete。
作業用シートは全部Delete。
この状態から家計簿を始めましょう。
一人でも多くの読者の皆さんが、複式簿記で家計簿をつけることを願っています。