私は「保険はギャンブルだ。」とよく言うのですが、「保険はギャンブルじゃない(怒)」などと、結構一生懸命に否定する方がいます。
しかし、保険には、不確実性によってお金の出入りが左右されるギャンブル性があります。その意味で保険はギャンブルです。
「一山当ててやろう」と考えて保険に入る人はいないと思いますが、保険を合理的に検討するなら、保険はギャンブルであることを頭に入れる必要があります。
統計を調べて確率や期待値も考慮したうえで、保険に加入するかどうかを判断するのは当然です。
「人生における負けを埋め合わせる分だけ勝つように」設計されたギャンブルが保険
保険はギャンブルですが、ルーレットやサイコロ賭博などの「保険と呼ばれないギャンブル」とは違うところがあります。
それは、保険というギャンブルで勝つのは、現実の人生で負けたとき(不幸が起きた時)だけだということです。
保険というギャンブルで勝って得た保険金で、不幸によって(人生というギャンブルで負けて)発生した金銭的損失を埋め合わせるように設計されています。
これが保険の補償機能や保障機能ですが、保険そのものがギャンブルでなければ、こういった機能は実現できません。
よく考えずに保険を掛けると単なるギャンブルになる
「不幸によって(人生というギャンブルで負けて)発生した金銭的損失」を埋め合わせるように設計することで、ギャンブルは初めて保険と言えるようになります。
うまく設計されていない保険は、ルーレットやサイコロ賭博と同じく、保険と呼ばれる余地のないギャンブルと化します。単なる賭博だと言ってもいいでしょう。
こうなると、「不幸によって(人生というギャンブルで負けて)発生した金銭的損失」を、大きく上回る保険金を得たり、大きく下回る保険金しか得られなかったりします。
合理的に保険をかけるには、不幸が起きる確率と損害額の把握が欠かせない
「人生というギャンブルで負けて発生した金銭的損失」を埋め合わせる分だけ保険で勝つには、不幸が起きた時の損害を合理的に計算する必要があります。
そのためには、「不幸がどれくらいの確率で起きて、その時にはどの程度の金銭的損失が発生するか」を、ある程度は調べる必要があります。
保険はリスクマネジメントなので、コストも気にしなければならない
ところで、保険はリスクマネジメントの一手段です。
リスク・マネジメントとは不測の損害を最小の費用で効果的に処理するための経営管理手法(神戸大学 鈴木武志助教)
保険を検討するならコストも気にしないといけません。
全保険期間にわたって支払う保険料の総額をもって、コストと考えてもいいかも知れません。
受け取れる保険金の期待値もコスト計算の一部
しかし、保険金を受け取れる可能性がある以上、保険料総額から保険金の期待値を差し引いたものをコストと考えるべきだと思います。
このコストを考えると、「保険に入ると損!純保険料と付加保険料を見れば明らか」という結論が出ます。
もちろん、キャッシュフローの損得だけで、保険について考えるのは浅はかです。
保険に加入するとキャッシュフローの期待値では損になるのですが、損と引き換えに家計の破たんを確実に防ぐことができるなら、悪くないですよね。
もっとも、保険よりも損が少なくて済むリスクマネジメントの手段があるなら、そちらのほうが魅力的に見える人が多いでしょう。
- ピンチのときに誰かからお金をもらえないか。
- それが無理でも貸してもらえないか。
- そもそも、自力で貯蓄して備えておくことが出来ないか
こういった手段を比較検討して、自分にとって最も良いと思える対処をすればいいのではないでしょうか。