
By: Images Money
今月から晴れて妻の扶養家族となった主夫@web_shufuです。扶養家族になるには手続きがあれこれ必要で、色々調べていくうちに配偶者控除の適用要件が意外に緩いことがわかったのでその辺まとめてみました。
配偶者控除とは
正確な定義は「No.1191 配偶者控除|所得税|国税庁」をご覧ください。
配偶者控除を一言で言うと、配偶者を扶養している場合に、実際の所得から38万円を差し引いて所得税を計算してもらえる仕組みです。
当然ですが、その分税金は少なくなります。
@web_shufuの嫁は、配偶者である@web_shufuを扶養しているので、配偶者控除が適用されます。
配偶者控除による妻(夫)の所得税節税効果
税金の計算にとても便利です。
このサイトで、@web_shufuの嫁の年収が500万円ということでシミュレーションします。
まず、「平成25年分~」にチェックを入れて「計算」ボタンをおしてください。このときは「配偶者年収(つまり@web_shufuの年収)」が1,300,000円もあるため、配偶者が扶養家族とみなされず、配偶者控除が適用されません。所得税額は145,400円になります。
次に、「配偶者年収」を0円にして扶養家族とみなされる状態にしてみましょう。「計算」ボタンをおすと、所得税額が106,600円になります。
@web_shufuに配偶者控除が適用されることで、@web_shufu嫁の所得税は38,800円も下がりました。
配偶者控除による妻(夫)の住民税節税例
住民税は税率10%ですので、@web_shufuに配偶者控除が適用されることで、@web_shufu嫁の所得税は380,000円×10%=38,000円下がります。
配偶者控除による妻(夫)のトータル節税効果
@web_shufuの嫁の年収が500万円だとすると、@web_shufuの嫁が払う税金は、配偶者控除の適用によって、76,800円も削減されます。
配偶者控除の適用による所得税の節税効果は、年収が上がれば上がるほど大きくなります。
一方、住民税の節税効果は、年収が500万円より増えても変わらないです。
しかし、配偶者控除を受けられるなら受けるにこしたことがないことは明らかです。
妻(夫)が配偶者控除を受けるための条件
配偶者控除を受けるには、控除対象配偶者がいることが条件になります。つまり、主夫(主婦)の妻(夫)が配偶者控除を受けるためには、主夫(主婦)が控除対象待遇者の条件を満たさないといけません。
上のほうでリンクした国税庁のページでは、控除対象配偶者を以下の全てを満たす人と規定しています。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
(1)(2)は婚姻届を出して夫婦が同居してればクリア。別居でも主夫(主婦)が配偶者に生活費の面倒を見てもらっている状況なら問題ないです。
(4)については、妻(夫)が個人事業主で、主夫(主婦)が事業専従者として届け出て、なおかつ妻(夫)から一度でも給料の支払を受けていたら、そういう妻(夫)は控除対象配偶者じゃないですよ、と言う話です。
このように見ていくと、自分を主夫(主婦)と考える人で、(1)(2)(4)をクリアできない場合はあまり考えられないので、以下(3)について詳しく見ます。
※ちなみに(4)にひっかかる主夫(主婦)には配偶者控除よりさらに有利な節税策がありますが、ここでは触れません。
合計所得金額
というわけで、「年間の合計所得金額が38万円以下であること。」が控除対象配偶者であるかどうかの判定の肝なのです。
それでこの合計所得金額がいったい何なのかといえば、確定申告書の所得金額の合計欄の金額のことなのです。
フリーランスなどで仕事をする主夫(主婦)が使う確定申告書Bなら「合計⑨」、それ以外の主夫(主婦)が使う確定申告書Aなら「合計⑤」の金額です。
(注)確定申告書Bの場合で、確定申告書Bの右下にある「本年分で差し引く繰越損失額(54)」に数値が記入されている場合は、「合計⑨」と「本年分で差し引く繰越損失額(54)」の合計額が合計所得金額となります。
@web_shufuの場合は、給与所得と事業所得しかないので、以下の様な考え方で計算することになります。
- 給与所得=給与額面総額-給与所得控除65万円
- 事業所得=売上-経費-青色申告特別控除65万円
- 合計所得金額=給与所得+事業所得
当然ですが、1.と2については右辺が負の数になった場合は0とされます。
「年間の合計所得金額が38万円以下」を噛み砕く
以上のことを理解すると、控除対象配偶者になるための条件「年間の合計所得金額が38万円以下」が、思ったより緩い条件になることがわかります。
世間では年収103万円がボーダーみたいに言われていますが実はそうじゃないのです。
給与所得しかない場合
給与所得しかない主夫(主婦)が控除対象配偶者になる条件は、
合計所得金額=給与額面総額-給与所得控除65万円≦38万円なので
給与額面総額≦103万円である必要があります。
この場合は確かに年収103万円がボーダーです。
事業所得しかない場合
事業所得しかない主夫(主婦)が控除対象配偶者になる条件は、
合計所得金額=売上-経費-青色申告特別控除65万円≦38万円なので
売上≦103万円+経費である必要があります。
経費は人によって色々でしょうけど、PCが1台ある6畳の部屋で作業している@web_shufuの場合、月に2万円くらいにはなります。
年間の経費総額が24万円だとすると、年収127万円がボーダーです。
事業所得も給与所得も両方ある場合
ところで、事業所得も給与所得も両方ある場合、事業の経費が24万円だとすると、控除対象配偶者になる条件は、以下のように書けます。
合計所得金額
=給与所得+事業所得
=給与額面総額-給与所得控除65万円+売上-経費24万円-青色申告特別控除65万円
=給与額面総額+売上-154万円
≦38万円
つまり年収=給与額面総額+売上≦192万なら、控除対象配偶者になれちゃいます。控除対象配偶者になれるかどうかのボーダーは年収192万円(事業の経費が24万円の場合)です。
配偶者控除ボーダーまとめ
以上のように、主夫(主婦)が控除対象配偶者にになれるかどうか、すなわち妻(夫)が配偶者控除を受けられるかどうかのボーダーラインは、主夫(主婦)の働き方でずいぶん変わります。
まとめるとこんな感じです。
- 給与所得しかない主夫(主婦)は年収が103万円を超えると、38万円以上の合計所得金額となり、控除対象配偶者ではなくなります。
- 事業所得しかない主夫(主婦)は年収が127万円を超えると、38万円以上の合計所得金額となり、控除対象配偶者ではなくなります。(年間の事業の経費が24万円の場合)
- 事業所得と給与所得の両方を得ている主夫(主婦)は年収が192万円を超えると、38万円以上の合計所得金額となり、控除対象配偶者ではなくなります。(年間の事業の経費が24万円の場合)
フリーランスでも労働契約を意識せよ
実は、この話の本質は、1.2.3.の順に年収と所得の落差が大きくなると言うことです。
所得税・住民税・国民健康保険税は所得が低いほど額が低くなるのですから、3.が圧倒的有利です。
そういうわけで、この記事で取り上げたテーマは、主婦や主夫に限らず、フリーランスで仕事をしている人は意識すべき節税ポイントです(と、ここまで書いてやっと気付きました)。
相手先に一定時間滞在せざるを得ないなど、一定期間従業員並の拘束を受ける仕事なら、請け負うのではなく短期雇用労働者として行うなど、契約形態を工夫するだけで結構な節税になります。
また、請負債権より労働債権のほうが何かあったときに支払の優先度が高かったりします(つまりほかの業者より優先される)。
請負を労働と偽るのは駄目ですが、案件によっては、一時的に短期労働者となることを提案してもいいと思います。
今年こそ
ちなみに2012年の@web_shufuは、自らが嫁の控除対象配偶者であることが明らかなレベルまで、収入を落としてしまいました。
今年は頑張るぞ、おー。
2015.3.2追記:2014年分の確定申告で妻の扶養家族から脱出しました。
ツッコミ募集
この記事は、いつも通り自分の書きたいことを書きたいように書きました。
が、内容的に間違っているところがあるなら直したいので、この方面に詳しい方からのツッコミを切にお待ちしています。