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Binanceの広告活動の違法性が分かる金融庁事務ガイドライン

先日の記事「【仮想通貨】Binanceは違法取引所。無責任に口座開設を勧めていいの?」に多くの反響を頂きました。ありがとうございます。

さて、反応の中で目立ったのが「海外の取引所が日本で違法になるわけがない」というものでした。これは私にとって予想外でした。

資金決済法の次の部分を読めば、Binanceなどの無登録海外仮想通貨取引所が資金決済法に違反していることは明らかですよ。

資金決済法 第二条第七項 この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
第六十三条の二 仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。
第六十三条の二十二 第六十三条の二の登録を受けていない外国仮想通貨交換業者は、国内にある者に対して、第二条第七項各号に掲げる行為の勧誘をしてはならない。

もちろん、無登録の海外仮想通貨取引所は日本国内に存在しないわけですから、違反に対してどれほど有効な取り締まりができるかは疑問です。

しかし資金決済法違反の事実は明確でしょう?

これについて、金融庁の事務ガイドラインを発見しましたので紹介します。

資金決済法だけを見て考えるよりわかりやすいと思いますよ。

金融庁の事務ガイドラインの場所

金融庁ホームページ法令・指針等:金融庁事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係:金融庁仮想通貨交換業関係

ガイドラインの内容

以下、背景が灰色の部分は、「仮想通貨交換業関係」からの引用ですが、太字の部分は私が強調したものです。

Ⅱ-4 外国仮想通貨交換業者に対する基本的考え方
Ⅱ―4-1 外国仮想通貨交換業者の勧誘の禁止
外国仮想通貨交換業者(法に基づく登録を受けた者を除く。以下、Ⅱ-4-2において同じ)は、法令に別段の定めがある場合を除き、国内にある者に対して、仮想通貨交換業に係る取引の勧誘をしてはならない
Ⅱ-4-2 外国仮想通貨交換業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引
外国仮想通貨交換業者がホームページ等に仮想通貨交換業に係る取引に関する広告等を掲載する行為については、原則として、「勧誘」行為に該当する。

「別段の定め」はみなし仮想通貨交換業者のことです。

それ以外の外国仮想通貨交換業者は、日本国内向けに「ホームページ等に仮想通貨交換業に係る取引に関する広告等を掲載する行為」が禁止されます。

アフィリエイトは「ホームページ等に仮想通貨交換業に係る取引に関する広告等を掲載する行為」に明らかに該当しますよね。

Binanceが日本国内のサイト運営者向けにアフィリエイト広告を展開するのは、資金決済法に違反しているんです。

ただ、次のような但し書きが続きます。

但し書きの内容をまとめると以下のような感じです。

  • 日本国内にいる人には取引させないと宣言すること
  • 日本国内にいるかどうかは本人確認手続きをすること
  • 「明らかに日本国内にいる人」からの注文には応じないこと
  • (アフィリエイトなどで)日本国内にある者を対象とするホームページ等にリンクを設定しないこと

一応原文も引用しておきます。

ただし、以下に掲げる措置を始めとして、日本国内にある者との間の仮想通貨交換業に係る取引につながらないような合理的な措置が講じられている限り、日本国内にある者に向けた「勧誘」には該当しないものとする。
⑴担保文言
日本国内にある者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
① 当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと。
② 担保文言が、当該サイトを利用する日本国内にある者が合理的に判読できる言語により表示されていること。
⑵取引防止措置等
日本国内にある者との間の仮想通貨交換業に係る取引を防止するための措置が講じられていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
① 取引に際して、利用者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること。
② 明らかに日本国内にある者による仮想通貨交換業に係る取引であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該者からの注文に応ずることがないよう配意していること。
③ 日本国内に利用者向けのコールセンターを設置する、或いは日本国内にある者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある者に対し仮想通貨交換業に係る取引を誘引することのないよう配意していること。
また、以上に掲げる措置はあくまでも例示であり、これらと同等若しくはそれ以上の措置が講じられている場合には、当該広告等の提供は、日本国内にある者向けの「勧誘」行為に該当しないものとする。
⑶なお、以上に掲げるような合理的な措置が講じられていない場合には、当該広告等の提供が日本国内にある者向けの仮想通貨交換業に係る取引の「勧誘」行為に該当する蓋然性が極めて高いことから、当該外国仮想通貨交換業者は、日本国内にある者との間で勧誘を伴う仮想通貨交換業に係る取引が行われていない旨を証明すべきである。

このように、せっかく但し書きがあるのですが…Binanceは登録者の本人確認すら行っていませんから、「日本国内にある者との間の仮想通貨交換業に係る取引につながらないような合理的な措置」を取っているとは到底言えません。

やはりBinanceが日本国内向けに広告を行うと資金決済法違反になります。

なお、このような規制の仕方は、海外FXに対する規制と似ています。参考になりそうなツイートを見つけましたので貼っておきます。前後のやり取りをすべて見ればかなり参考になるかと。

https://twitter.com/fixer_fx/status/951072094514593792

ここまで読んでもなお、Binanceの違法性が納得できないなら、つける薬がありません。

なお、当記事の内容は、記事を書いた時点(2018/1/16)における事実に基づいたものです。