HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

社労士試験の科目・配点・合格基準

社労士試験の勉強を始める前に、試験について知らないといけません。

なかでも、試験科目・配点・合格基準を知ることは、受験勉強の方針を立てるのにとても重要です。

社労士試験の科目数は10教科

社労士試験の科目は以下の10科目です。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 雇用保険法
  • 労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

科目名は長いので、この記事では科目の表記に略称を使います。正式名称の対応は以下の通りです。

労基…労働基準法
安衛…労働安全衛生法
労災…労働者災害補償保険法
雇用…雇用保険法
徴収…労働保険の保険料の徴収等に関する法律
労一…労務管理その他の労働に関する一般常識
社一…社会保険に関する一般常識
健保…健康保険法
厚年…厚生年金保険法
国年…国民年金法

社労士試験の配点と合格ライン

社労士試験の配点・原則的な合格ラインを、科目別に「原則的な合格ライン/配点」の形でまとめると次のようになります。

社労士試験合格ライン(原則)

配点と合格点は「合格点/配点」と言う分数で表しています。

例えば、表内の3/5は「配点は5点、合格ラインは3点以上」という意味になります。

表には17個の分数があります。社労士試験には合格基準が17個設定されているのです。

17個の基準を全て上回った人だけが社労士試験に合格するというわけです。

社労士試験に受かるには、極端な不得意科目を作らず、全科目まんべんなく点数を取ることが求められます。

特に、選択式は全科目6割以上の得点が必要。ハードルが高いです。

毎年のように合格基準の引き下げ補正がある

社労士試験では、ほとんど毎年、合格基準の引き下げ補正が行われています。

原則的な合格基準がそのまま適用される年はあまりありません。

試験で原則的な合格ラインを下回っても合格への望みが絶たれるわけではありません。

試験終了後は、雨乞いならぬ「引き下げ補正乞い」を行う受験生が後を絶ちません。

総得点についての合格ラインの引き下げ補正

選択式・択一式の総得点に対して設定される合格ラインは、多くの年で引き下げ補正されます。

この引き下げ補正の基準は、厚生労働省によって明確に定められています。

(1) 総得点の補正

① 選択式試験、択一式試験それぞれの総得点について、前年度の平均点との差を少数点 第1位まで算出し、それを四捨五入し換算した点数に応じて前年度の合格基準点を上げ 下げする(例えば、差が△1.4点なら1点下げ、+1.6点なら2点上げる。)。 ※ 前年の平均点との差により合格基準点の上下を行うが、前年に下記③の補正があっ た場合は、③の補正が行われなかった直近の年度の平均点も考慮する。

② 上記①の補正により、合格基準点を上下させた際、四捨五入によって切り捨て又は繰 り入れされた小数点第1位以下の端数については、平成13年度以降、累計し、±1点 以上となった場合は、合格基準点に反映させる。ただし、これにより例年の合格率(平 成12年度以後の平均合格率)との乖離が反映前よりも大きくなった場合は、この限り ではない。

③ 下記(2)の各科目の最低点引き下げを2科目以上行ったことにより、例年の合格率と 比べ高くなるとき(概ね10%を目安)は、試験の水準維持を考慮し合格基準点を1点 足し上げる。


出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000379093.pdf

科目別合格ラインの引き下げ補正

科目別の合格ラインも補正基準がはっきりしています。

選択式の補正こそ、受験生の運命を大きく左右することが多いです。

(2) 科目最低点の補正

各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。

ただし、次の場合は、試験の水準維持を考慮し、原則として引き下げを行わないこととする。

ⅰ) 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
ⅱ) 引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000379093.pdf

選択式試験でも、毎年のように科目別合格ラインの引き下げ補正が発生します。

選択式で2点未満の科目があった受験生は、原則として不合格なのですが「2点未満となった科目で引き下げ補正がありますように…」というお祈りを捧げてしまう受験生が後を断ちません。

私も初回の受験時はそうでしたが、8月末に試験が終わってから、11月の合格発表まで生殺し状態です。

祈りを捧げている暇があったら、試験には落ちたものとして来年の試験に向けて準備を始めるべきですけど、ついつい祈ってしまいます。

選択式で全教科3点以上取っておけば、余計な心配はしなくていいので、まずはそこを目指したいところです。

過去に行われた引き下げ補正

では、過去の社労士試験における合格ライン補正 を見てみましょう。

ほとんどの年で補正が行われています。

選択式補正択一式補正
2000補正なし補正なし
2001総得点41/労安3/労一社一3総得点45/労一社一3
2002労安2総得点44
2003労一2/社一2/国年2/厚年2総得点44/労安3/厚年3
2004 総得点27/健保1総得点42/健保3/国年3/厚年3
2005労安2総得点43
2006総得点22/労安2/労災2/雇用2/社一2/厚年2総得点41/労安3/労一社一3
2007補正なし総得点44
2008総得点25/健保1/国年2/厚年2総得点48
2009総得点25/労安2/労災2/厚年2総得点44
2010総得点23/社一2/健保2/国年1/厚年2総得点48
2011総得点23/労安2/労災2/社一2/国年2/厚年2総得点46
2012総得点26/厚年2総得点46
2013総得点21/労災2/雇用2/社一1/健保2総得点46
2014総得点26/雇用2/健保2総得点45/労一社一3
2015総得点21/労一2/社一1/健保2/厚年2総得点45
2016総得点21/労一2/健保2総得点42/労一社一3/国年3/厚年3
2017総得点24/雇用2/健保2総得点45/厚年3
2018総得点23/社一2/国年2総得点45

上の表で西暦を表す数字は、その年の社労士試験について厚生労働省が発表した「合格基準及び正答」へのリンクとなっています。

受験経験のある方は、この表の意味するところはすぐに分かると思います。

しかし受験経験がない方はわかりにくいはずです。表の見方を少し説明します。

例えば2000年の試験では選択式・択一式とも補正がありませんでした。この場合は原則どおりの合格基準となります。

科目 選択式 択一式
労基・安衛3/54/10
労災・徴収3/54/10
雇用・徴収3/54/10
労一・社一4/10
労一3/5
社一3/5
健保3/54/10
厚年3/54/10
国年3/54/10
合計28/4049/70

続いて2017年度試験について見てみましょう。次の補正が行われていますよね。

方式補正内容
選択式総得点24/雇用2/健保2
択一式総得点45/厚年3

補正を合格ラインの表に反映させると、次のようになります。

科目選択式択一式
労基・安衛3/54/10
労災・徴収3/54/10
雇用・徴収2/54/10
労一・社一4/10
労一3/5
社一3/5
健保2/54/10
厚年3/53/10
国年3/54/10
合計24/4045/70

表の中で太字になっているところが、補正によって合格ラインが引き下げられたところです。

同様に考えて、各年度の合格ラインを把握してください。

ちなみに私は、2017年の試験では選択式の労一だけ合格ラインをクリアできず、不合格となりました。

17箇所に設定された合格ラインを、たった一つでもクリアできなかった場合、不合格です。

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