社会人になるタイミングで保険を検討する人もいると思いますが、そのタイミングで医療保険に入る必要はありません。
どうしても医療保険に入るなら、定期医療保険を選ぶべきであって、終身医療保険の出る幕はありません。
新入社員はお金がないけど、保険に入らなくても大丈夫?
新社会人は貯蓄が乏しいです。
[bubble speaker=”” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]お金がたまる前に万一のことがあったらどうするんですか。だから保険が必要です。[/bubble]
などと言われたら、「保険に入らなきゃ」と思いがちです。
しかし、実は保険に入らずとも問題ないケースがほとんどです。
「お金がない⇒保険を使おう」という発想はやめましょう。
まず「お金がないから保険に入る」という発想はやめましょう。
保険は万一の際の資金手当て手段として使えますが、コストが高いです。
もっとコストの低い資金調達手段があるなら、そちらを優先すべきです。
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と言うのは、保険以外の手段を検討してないので短絡的ですよね。
[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]お金がたまる前に万一のことがあったらどうするんですか。資金手当ての方法を幅広く検討しておきましょう。[/bubble]
くらいの考え方が適切です。
保険のコストは高いので保険を使うと損をする
保険のコストがどれだけ高いかを見てみましょう。
例えば、ライフネット生命の終身医療保険「新じぶんへの保険」エコノミーコース(入院給付金日額10,000円コース)に40歳女性が加入した場合、
生涯合計 | 金額(円) | % |
---|---|---|
保険料総額 | 2,062,148 | 100 |
純保険料 | 1,651,887 | 80.10 |
付加保険料 | 410,261 | 19.90 |
契約者一人が死ぬまでに支払う保険料の総額は平均で206万円を超えます。
一方で、契約者一人当たりの純保険料(保険金支払い原資)の総額は165万円です。
206万円払っているのに、保険金として戻ってくるお金の元手は165万円…。差額の41万円は保険加入者にとっての損です。
以前にも書きましたが、保険はそもそも金銭的には損をするのです。
[img-link url=”https://webshufu.com/medical-insurance-is-not-profitable/” title=”保険に入ると損!純保険料と付加保険料を見れば明らか”]
損に見合う保障があるならいいが…
それでも、損と引き換えに、万一の際には運命が大きく変わるほどの多額の保険金・給付金を出してもらえるなら良いでしょう。
それならば、たとえ損をしても保険に入る値打ちはあります。
しかし、一般的な医療保険(一入院支払限度日数60日で入院給付金日額1万円のタイプ)では、一回の入院で給付されるお金は100万円未満でしょう。
[bubble speaker=”ウェブシュフ妻” imgurl=”/img/wife.png” type=””]100万円で人生変わるかな…[/bubble]
この金額で人生が左右されることはまずないでしょう。
医療保険には損に見合う保障があると言えるでしょうか。
医療保険のコストは高いので、ほかに安価な資金調達方法があれば、そちらを利用するべきです。
お金がないなら、まずは保険以外の資金調達方法から検討しよう
先程も言いましたが、一般的な医療保険で入院時に給付されるお金は、せいぜい100万円です。
保険以外の方法で入院時に100万円を用意する目処が立つ場合は、医療保険の出る幕はありませんよ。
貯蓄がない人が、保険以外で資金を用意する方法には、以下のようなものがあります。
- 親族、特に親を頼る
- 会社を頼る
- 公的扶助を頼る
医療保険を検討するのは、これらの方法を検討した後でも全く遅くありません。
親族、特に親を頼る
100万円くらいの金額なら、保険を使わずとも、親族とくに親を頼れば用意できませんか 。
「社会人になったからもう親には頼らない」というのは立派な心構えですが、その心持ちで医療保険に加入するのは考えものです。
親に泣きつけば100万円を用意してもらえるなら、高い保険料を払って医療保険に入る必要はありませんよね。
親に十分頼れる状況なのに頼らずに医療保険に入るのは、単なる保険料の無駄遣いでしょう。
日常的に親に泣きつくのは考えものですが、緊急事態に助けてもらうのは問題ないでしょう。
頼れる親や親族がいるなら堂々と頼りましょう。
会社を頼る
では親を頼れない場合はどうすればいいでしょうか。
その場合は勤務先を頼りましょう。
一部の会社には福利厚生などで、入院した従業員を援助する制度があります。
また、援助するところまでいかなくても、病気などで困窮した従業員に対して低利貸付が行われている会社は多いです。
さらに「給料の非常時払」も使えます。
労働基準法第25条では、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。(労働基準法第25条(非常時払)について |緊急情報|厚生労働省)
これはどこの会社でも利用することができます。
このように、会社には困った従業員を助ける仕組みがあります。
- 福利厚生による資金援助
- 従業員向け低利貸付
- 給料の非常時払い
など、会社の仕組みを利用して入院時に100万円を調達するめどが立つなら、やはり医療保険は不要です。
公的扶助に頼る
親にも会社にも頼れない場合はどうしたらいいでしょうか。
その場合に頼るべきはお役所、つまり公的扶助です。
- 生活保護
- 無料低額診療制度
- 福祉資金の借入
このうち最初の二つは、貯蓄が乏しい新社会人と言えども利用できるようなものではありません。
もっと困っている人のための制度です。
しかし、就職先の給料に恵まれていない場合は、福祉資金の借入は利用できる可能性があります。
東京都社会福祉協議会が出しているパンフレットへのリンクを張りますが、全国どこでも似たような制度が利用できます。
- 生活福祉資金貸付制度
- 不動産担保型生活資金貸付
福祉資金の借入金利は、キャッシングやカードローンより圧倒的に低いです。
たとえ入院費用を借りる羽目になっても、定職に就いてさえいれば、無理なく返済していけるでしょう。
医療保険を使うなら終身医療保険より定期医療保険
ここまで、保険以外の手段で入院時に100万円が調達できるなら、医療保険の出る幕はないという話をしてきました。
裏を返せば、保険以外の手段で入院時に100万円が到達できる目処が立たないなら、医療保険への加入を検討したほうが良いかも知れません。
その場合は、終身医療保険ではなく、定期医療保険を検討するといいでしょう。
上の図は年齢と貯蓄の額について一般的な傾向を表したグラフです。
就職後、貯蓄は年齢を重ねるごとに増えていきます。
最初は「医療保険に入っておいたほうがいい」と判断した人も、貯蓄が増えるに従って「医療保険に入らなくてもいいよね。」と判断が変わるものです。
それであれば、終身医療保険ではなく、定期医療保険が適していることになります。
「社会人になったから保険に入ろう」という考えだと損をする
保険に入るべきなのは、保険で備えるべき状況がある場合だけです。
社会人になったかどうかは、保険加入とは、直接の関係はありません。
保険に入るかどうかは、
[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]高い保険料を払ってまで保険で備えたほうがよいリスクに直面しているかどうか[/bubble]
で決めるべきです。