自然保険料と平準保険料、責任準備金と解約返戻金

2016-05-27-insurance-term

生命保険に入ると長い間一定の保険料を毎月支払うことになりますよね。

当たり前のようにそうしているわけですが、実は保険の考え方からすると、これはとても画期的なことなのです。

保険料の一部は将来に備えて積み立てられていて、これが責任準備金と呼ばれています。

自然保険料なら責任準備金は不要

人はみな年を取るほど死亡率が高くなります。

給付・反対給付均等の原則
によれば、死亡保険では、高齢の加入者ほど高い保険料を支払わなければなりません。

このように、保険事故を起こす確率(危険率)に応じて決められた保険料のことを自然保険料といいます。

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自然保険料方式で保険料が決まっている場合は、理論上責任準備金は必要ありません。

平準保険料では責任準備金の積み立てが必要

ところが、ほとんどの生命保険では、保険期間を通じて一定の保険料を払い込む仕組みになっています。これを平準保険料といいます。

平準保険料は、若いときは自然保険料よりも多く、年を取ってからは自然保険料よりも少なくなります。

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[bubble speaker=”ウェブシュフ妻” imgurl=”/img/wife.png” type=””]年を取ってから支払うべき保険料の一部を若いときに先払いしているのね[/bubble]

平準保険料方式の場合、若いうちに先払いした保険料は、先々の保険金や給付金の財源として、大切に保管・運用する必要があります。

これが責任準備金です。

定期保険の場合

定期保険の場合、責任準備金は、年齢が若く保険料を先払いしている間は増加します。

しかし、年を取って自然保険料より少ない保険料しか払わなくなると、若いうちの先払い分を取り崩すことになり、少しずつ減っていきます。

保険期間の終了時には、保険金を支払う必要が全くなくなることから、責任準備金はゼロになります。

終身保険や養老保険

養老保険が定期保険と最も異なるのは、満期時に生存保険金を支払うことです。

被保険者が満期まで生存していても、保険期間中に亡くなっても、保険金を支払わなければならなくなります。

養老保険では保険金の支払いが必ず発生するので、満期時にも相応の責任準備金が必要になります。

また、終身保険は保険期間が障害にわたるため、保険金の支払いが必ず発生します。

終身保険や養老保険は、保険期間中に死亡保険金の支払いがなかったとしても保険期間の終了時には確実に保険金の支払いが発生するところが、定期保険とは異なるわけです。

そのため、年々責任準備金が増加していくよう、定期保険に比べれば高い保険料が設定されます。

解約返戻金

保険を解約した時には、責任準備金から一定の解約控除を差し引いた金額が支払われます。これを解約返戻金と言います。

解約返戻金=責任準備金-解約控除

解約控除は解約に対する一種のペナルティーです。保険期間の開始から日数が経つほど小さくなります。

定期保険では、保険期間が相当長くない限り、解約返戻金がゼロに設定されていることが多いです。

一方、終身保険や養老保険では、解約返戻金がかなりまとまった金額になることが多いです。そのため、終身保険や養老保険では、本来の補償目的ではなく、貯蓄目的で加入する人も多くなります。

平準保険料は画期的な仕組みですが、かえって損をする可能性もある

平準保険料の仕組みは画期的です。しかし以下のようなデメリットがあります。

  • 平準保険料方式の保険に入っても、若いうちに解約すると、自然保険料方式に保険に入った場合より損をする。
  • 「今やめたら損」という気持ちから、いつまでも不要な保険に入り続け、無駄な保険料を支払う。

普通の人なら、デメリットの方が大きく出る可能性もあるので、私はあまりお勧めしていません。

保障目的で保険に加入するなら、終身タイプの保険よりも定期タイプの保険、定期タイプの保険なら保険期間がなるべく短く頻繁に更新する必要のあるものを選ぶべきです。


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