HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

扶養に入る条件・手続・必要書類まとめ

2012年3月にアフィリエイト収入が激減。2年間ヒモ主夫だった@web_shufuです。

結婚時は妻の扶養に入るなんて考えもしなかったのですが、あっという間に妻(公務員・教師)の扶養に入ることになりました。

私のように、妻(夫)がサラリーマン(公務員含む)で、自分の収入が激減した場合について、行うべき手続きをまとめてみました。

アフィリエイターだけでなく、その他のフリーランスの方にも参考になりますよ。多分…

扶養家族の意味は幅広い

「妻(夫)の扶養に入った」が指す状態は場面によって違います。

  • 所得税法上の控除対象配偶者となったことを指す場合
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者となったことを指す場合
  • 妻(夫)が支給を受ける扶養手当の対象となる扶養親族となったことを指す場合

扶養家族という言葉が使われた場合、このうちのどれを指すのかをはっきりさせないと、話が混乱して訳が分からなくなります。

一つずつ話していきます。それぞれ手続きが必要です。

所得税法上の控除対象配偶者となる条件

納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。
(中略)
配偶者に所得があっても、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であれば配偶者控除が受けられます。(No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか|所得税|国税庁

自分の収入が給与所得だけなら、控除対象配偶者となれる条件は、年収が103万円以下であることです。いわゆる103万円の壁ですね。

一方、フリーランスには「年収がいくら以下」というはっきりした基準がありません。あくまで所得が38万円以下かどうかで判断されます。

事業所得、給与所得、雑所得等をうまく組み合わせることで、相当高額な年収でも、控除対象配偶者となることが可能です。

[img-link url=”https://webshufu.com/how-to-be-supported-by-my-wife/#under38″ title=”フリーランスの主夫(主婦)必見の節税テク!年収192万円でも配偶者控除を受けられるかも?|FPウェブシュフ”]

やるべき手続き

手続の必要書類は、収入が激減した状況を表す屈辱の確定申告書です。

これを妻(夫)を通じて妻(夫)の勤務先に提出します。

扶養に入る手続き自体はこれだけです。

扶養に入るタイミング

確定申告で前年の自分の所得が38万円以下であることが確定すると、妻(夫)に対しては前年の年初から配偶者控除が適用されます。

つまり一年以上さかのぼって配偶者控除が適用されることになります。

税金を取り戻すために還付申告が必要

ところが、私のように妻(夫)がサラリーマンである場合、前年の妻(夫)に対する税金は、年末調整で一旦は配偶者控除が適用されないものとして計算されています。

前年の年初から配偶者控除が適用されることによって、妻(夫)の前年の収入から源泉徴収で支払った税金は本来より多かったことになります。

払いすぎた税金を取り戻すには、妻(夫)の税金を安くするための確定申告(還付申告)が必要になります。

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我が家でいえば、私の2012年分の所得に関する確定申告書(2013年2月に申告)に基づいて、2012年の妻の税金を安くするための還付申告を行いました。

還付申告によって、私は2012年の最初から控除対象配偶者になっていたものと扱われるようになり、税金が還付されました。

面倒くさそうですよね。でも、還付申告は郵便やe‐Taxでもできますし、受付期間は5年間もありますから、思ったほどではないんですよ。

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。  国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税、消費税の申告書や青色決算書などを作成できます。作成したデータは、電子申告(e‐Tax)を利用して又は印刷して税務署に郵送等で提出することができます。(No.2035 還付申告ができる期間と提出先|所得税|国税庁

人によりますが、還付申告はふるさと納税並みかそれ以上の節税効果がありますから、やるに越したことはありません。

メリット・デメリット

先程も書いたように、税金が安くなるのが最大のメリットです。

自分が所得税法上の控除対象配偶者となれば、妻(夫)に配偶者控除が適用され、妻(夫)にかかる税金がばかにならないレベルで安くなります。

デメリットは自分のちっぽけなプライドが傷つくことくらいでしょう。

所得税法上の控除対象配偶者となる条件に当てはまってしまうことは屈辱ではありますが、あてはまったなら、堂々と配偶者控除のメリットを享受しましょう。

社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者となる条件

「妻(夫)の扶養に入った」という場合、社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者になったことを指すケースもあります。

私のように収入が激減した場合、所得税法上の控除対象配偶者となるだけでなく、社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者にもなるケースが多いです。

私の妻が社会保険(健康保険・厚生年金)でお世話になっている公立学校共済組合の場合、社会保険上の被扶養者となる条件はシンプルです。

[img-link url=”https://www.kouritu.go.jp/hiroshima/tetsuduki/kyosai/fuyosha/hifuyosha/index.html” title=”被扶養者の認定手続き:公立学校共済組合”]

  • 年収130万円以下

以上です。事業所得を得ている場合は、総収入から差し引くことができる経費が少しは認められています。

しかし、確定申告時に経費として差し引けるものでも、被扶養者の認定手続きでは差し引けないことになっているものが多いです。

特に、私のように自宅兼事務所で作業をしているフリーランスの場合、確定申告時に家事案分するような経費はほとんど認められません。

そのためシンプルに年収で判断されます。

なお、給与所得を得ている場合などは、130万円の12分の1に当たる108,333円を超える月収があるかどうかで判断される場合もあるようです。

必要な手続き

我が家のように妻(夫)が公務員で自分が個人事業主の場合、確定申告の直後に妻(夫)の勤務先の担当者の下に過去2年分の確定申告書をもって駆け込めばいいです。

駆け込むのはもちろん妻(夫)でもOKです。

扶養に入るタイミング

社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者となるのは手続き後です。

私が妻の社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者となったのは、2012年分確定申告(2013年2月に申告)の翌月からでした。

所得税法上は2012年の最初から私が「扶養に入っている(控除対象配偶者になっている)」ものとして扱われましたから、それと比べると一年以上遅れて社会保険上「扶養に入っている(被扶養者となっている)」ものとして扱われるようになるわけです。

手続きが遅れると、保険証や年金の手続きがややこしいことになるので、ほんとに迅速にやるべきです。

メリット・デメリット

社会保険(健康保険・厚生年金)上、妻(夫)の被扶養者となると、健康保険料や年金保険料が妻(夫)一人分で済むようになります。

我が家でいえば、妻が健康保険料や年金保険料を給料天引きで支払うだけでよくなるわけです。

私の方は、国民健康保険の保険料も、国民年金の保険料も、どちらも支払わなくていいのです。

しかし、私にも健康保険証が交付され、健康保険の恩恵を受けることができます。

また、妻の扶養に入った私は国民年金の第3号被保険者となります。国民年金保険料を納めていないのに、国民年金保険料を納めたものとして取り扱われます。

このようにメリットが大きい一方、デメリットは自分のちっぽけなプライドが傷つくだけです。

まあ、屈辱ではありますが、社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者になれるのなら、堂々と手続きをしてメリットを享受しましょう。

扶養手当支給上の扶養親族

さて、「妻(夫)の扶養に入った」という場合、「妻(夫)の勤務先から扶養手当をもらえるようになる」ということを指す場合もありますね。

扶養手当はどこの職場にでもあるようなものではありませんし、扶養手当があるところでも、勤務先によって支給の基準はバラバラです。

私の妻がお世話になっている三重県の場合、扶養手当が配偶者に支給されるかどうかの判断基準は、

  • 配偶者の年収が130万円以下であること

です。

社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者であるかどうかの判定と同じように、事業所得を得ている場合は、総収入から差し引くことができる経費が少しは認められています。

ですが、私のように自宅兼事務所で作業をしているフリーランスの場合は、差し引ける経費がほとんどなく、シンプルに年収で判断されることになるでしょう。

必要な手続き

我が家のように妻(夫)が公務員で自分が個人事業主の場合、確定申告後なるべく早く、妻(夫)の勤務先の担当者の下に年収が130万円未満である屈辱の確定申告書をもって駆け込めばいいです。

ほかに必要書類があれば、ここで指示されるのでそれに従いましょう。

扶養手当はトラブルの宝庫ですので、支給開始決定時に支給終了時の手続き等について問いただして確認し、雇用主の指示内容を文書化するよう求めておくことが必須だと思います。

扶養に入るタイミング

私が妻の社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者となったのは、2012年分確定申告(2013年2月に申告)の翌月からでした。

扶養手当支給上の扶養親族となるタイミングは、社会保険(健康保険・厚生年金)上の被扶養者になる時期と同じになることが多いようです。

メリット・デメリット

役職が上がったら役職手当がついて月給が上がるというのと同様に、結婚して配偶者の収入が所定の限度額以下なら扶養手当がついて月給が上がるわけです。

扶養手当は、能力に比例しない給料なので、なんかおかしいという意見もありますよね。

ただ、扶養手当はもともと人材確保策だったので、こういうものはあっても仕方がないと思います。

ヤクルトが人材確保のために営業所に保育施設を併設して、従業員に便宜を図っているのと同列で扱われるべきものだと思います。

ともかく、扶養手当が受けられるようになると、働きぶりが変わらなくても給料が上がるわけです。これが最大のメリットですね。

一方、デメリットはプライドが傷つくというだけです。扶養手当が受けられるだけの条件を満たしているなら、遠慮なく手続きをして、扶養手当を受け取っておきましょう。

まとめ

私のような個人事業主で、妻(夫)がサラリーマンの場合、妻(夫)の扶養に入るなら、

  • まず自分の確定申告を行う
  • その後すぐ確定申告書過去2年分を妻(夫)の勤務先に提出
  • 還付申告も早目に行う

という作業が必要です。

とくに、社会保険上の被扶養者となるための手続きや、扶養手当の支給対象として認定してもらうための手続きが遅れると、遡って処理してくれないので迅速に手続してください。


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