【入院費用日額】一日当たりの病院への支払い額は1万円を大きく割り込む

更新

先日から医療保険の必要性を厳しく見つめ直しています。@web_shufuです。

60日以上の入院について費用を計算してみました。

その結果、1日あたりの病院への支払いは、1万円に遠く及ばないレベルでした。

ただし、自営業の方が入院中に全く働けない場合は、収入減少によって受けるダメージが大きくなります。

それを含めると、入院中に全く働けない自営業の方が入院によって受けるダメージは、1日あたり1万円を超えてしまいます 。

入院費用日額を入院日数別に内訳付きで計算してみた結果

Calculator

当記事では、入院費用を、病院に支払う費用だけではなく、「入院で失う勤労収入などの逸失利益を含めた入院による損害金額全体」として考えることとします。

計算に当たって次のような条件設定をしました。ちょっと長いですが、この先を読み進める方は必ず読んでください。

  • 入院時の治療は保険診療に限り、差額ベッド料のかかる病室は利用しない
  • 一般企業社員・優良企業社員・公務員は月給30万円、ボーナスは考慮しないものとする
  • 優良企業社員はシャープ従業員、公務員は三重県教職員であるものとする
  • 自営業は一月当たりの事業所得が30万円であるものとする
  • 専業主婦(主夫)とは配偶者がいて無収入の方を指すものとする
  • シニアとは収入が年金のみである方を指すものとする
  • シニアAとは70歳未満で年間所得210万円(年収ベースだとざっくり400万円)以下の方を指すものとする
  • シニアBとは70歳以上で一般所得者とされる方を指すものとする

では先に計算結果をご覧ください。計算過程はそのあと説明します。

専業主婦(主夫)以外の方が入院した場合

まず専業主婦(主夫)以外の方の場合、入院費用総額は以下のようになりました。金額の単位は万円です。

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入院日数180日を境に日数の密度が異なるために、グラフが不自然に屈折しているのはご容赦ください。

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この入院費用総額を日割りして、入院費用日額(単位:円)を求めると以下の様になります。

2016-11-14_1734

公務員の入院コストの小ささが際立ちます。シニア世代も小さいですね。

専業主婦(主夫)の方が入院した場合

専業主婦(主夫)の方の場合、配偶者の属性によって入院費用総額が異なりますので、それぞれについて計算しました。

次の表やグラフで、一般企業社員、優良企業社員、公務員、自営業とあるのは配偶者の属性です。金額の単位は万円です。

2016-11-09_1634

これもまた、入院日数180日を境に日数の密度が異なるために、グラフが不自然に屈折しているのはご容赦ください。

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この入院費用総額を日割りして、入院費用日額(単位:円)を求めると以下の様になります。

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入院費用の内訳

入院費用の計算過程は以下の通りですが、かなり長いです。

まず、入院日数に応じて以下の支出額や収入減の金額を計算します。と言っても、入院者の属性ごとに計算方法が微妙に違いますから、それぞれについて調べます。

次に、

を見積もります。入院した方にかかるお小遣い、家での食事にかかる食材費などの合計ですね。

そして、入院者の属性別に、入院日数別に①②③④の金額を求めて合計し、そこから⑤を差引きます。

このようにして

を作りました。

①入院中の医療費は、高額療養費制度によって自己負担額の上限が設定されている

入院中の医療費は、ほとんどの場合、高額療養費制度の適用対象となります。

高額療養費制度は、どんなに医療費がかさんでも、定められた限度額以上に自己負担が膨らまないようにしてくれる制度です。

サラリーマンや公務員の場合

高額療養費制度によって、1月当たりの自己負担額は、次の金額以下に抑えられます。

月給 一般企業 優良企業 公務員
83万円~ 約26万円 25,000円 5,100円
53~83万円 約17万円 25,000円 5,100円
28~53万円 約9万円 25,000円 5,100円
~28万円 約57,600円 25,000円 5,100円
住民税非課税 約35,400円 25,000円 5,100円

一般企業従業員に比べて、一部優良企業従業員や公務員は恵まれています。

よく語られる「高額療養費制度で一月当たりの医療費が○○円以内になる」というのは、上の表の一般企業従業員の水準をもとにしています。

一部優良企業従業員や公務員であるのに、一般企業水準を前提として医療保険に入ると、余分な保障をかけて保険料の無駄遣いにつながるので注意してください。

自営業者の場合

自営業者の場合、 高額療養費制度による1月当たりの自己負担額上限は以下のようになります。

年間所得 自己負担額上限/月
901万円超 約26万円
年間所得600万~901万円 約17万円
年間所得210万~600万円 約9万円
210万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

一月当たりの事業所得が30万円の人についていえば、年間所得は360万円となりますから、1月当たりの自己負担額上限は約9万円ですね。

専業主婦(主夫)の場合

無収入である専業主婦(主夫)の方の場合、高額療養費制度による1月当たりの医療費自己負担額上限は、配偶者の属性によって決まります。

シニアの場合

さて、公務員に限りませんが、皆さんいずれシニア(当記事では収入のすべてを年金に頼る人を指します)となります。

シニアは国民年金保険に加入するので、自営業者と同じ基準で高額療養費制度が運用されます。

シニアA(70歳未満)の場合、1月当たりの自己負担額上限は以下のようになります。

年間所得 自己負担額上限/月
901万円超 約26万円
年間所得600万~901万円 約17万円
年間所得210万~600万円 約9万円
210万円以下 57,600円
住民税非課税 35,400円

当記事におけるシニアAは年間所得が210万円以下ですから、1月当たりの自己負担額上限は57,600円となります。

シニアB(70歳以上)の場合、1月当たりの自己負担額上限は以下のようになります。

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当記事ではシニアBは一般所得者という設定で計算していますから、1月当たりの自己負担額上限は44,400円となります。

75歳以上となると、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移りますが、高額療養費制度の運営は同様に行われるので、1月当たりの自己負担額上限は44,400円のままです。

高額療養費の計算では、入院月数は「足掛け何カ月」で考える

高額療養費に関する計算では、月数に注意しなければなりません。

医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、暦月(月の初めから終わ りまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。 ※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。(高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局

例えば、9/20~11/18の60日間入院した場合、9,10,11月の足掛け3か月として数えます。

一般会社員が9/20~11/18の期間入院した場合、自己負担額上限は約9万円/月×3か月=約27万円となります。

②入院中の食費は一食460円

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入院中の食費についての患者自己負担額は、2018年以降、一食あたり460円となります。一日3食で1,380円、30日で41,400円です。

一部低所得者の場合はこの限りではないのですが、この記事では考慮しないこととします。

③差額ベッドを希望しなければ、差額ベッド料はかからない

「入院すると差額ベッド料金が必ず必要になる」とお考えの方もいるようですが、それは違います。

入院患者自らが差額ベッド料が必要な病室への入院を希望する旨の書面に署名捺印しない限り、差額ベッド料を支払う必要はありません

また、差額ベッドはそもそも保険診療でもありません。

差額ベッド料はゼロ円であるものとして計算しています。

④就業不能による収入減

専業主婦(主夫)やシニアの場合、普段は勤労収入がありません。入院中に就業不能を原因とする収入減が発生することはありません。

しかし、普段勤労収入がある方が入院で就業不能に陥ると、収入が減ってしまいます。
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サラリーマンや公務員の場合は、入院後1年半以上にわたって、収入減は普段の1/3以下にとどまる

サラリーマンがけがや病気で就業不能になった場合、加入している健康保険組合から傷病手当金が支給されます。

高額療養費と同様、傷病手当金の手厚さも、一般企業と優良企業(シャープ)ではずいぶん違います。

傷病手当金 一般企業 優良企業
支給割合 2/3 85%
減収割合 1/3 15%
支給期間 1年半 2年間

支給割合とは給料に対する傷病手当金の割合です。減収割合は1から支給割合を引いたものになります。

公務員の場合はさらに手厚くなっています。以下は三重県教職員の場合ですが、

  • 最初の6ヶ月は病気休暇で給料全額支給
  • 次の1年間は休職となり給料8割支給
  • その後2年間は無給の休職となるが、共済組合から給料の2/3相当の傷病手当金を支給
  • 休職中は三重県公立学校職員互助会から日額1,000円の支給

なお、サラリーマンや公務員が入院した時の就業不能による収入減は、30日=1か月として計算しています。

自営業の場合は、入院によって普段の収入をすべて失うことが多い

自営業で入院中に就業不能となるような職業の方は、普段の所得をまるまる失うことになります。

一方、ウェブサイト運営から収入を得ている場合など、入院中に収入を確保できる場合は話が違ってきます。

なお、当記事では30日=1か月として「自営業の方が入院すると普段の収入を全て失う」という前提のもと、収入減の金額を計算しています。

⑤入院で減少する家計支出を忘れずに考慮する

普段の家計支出のうち、入院した人にかかるお小遣い、外食代、交通費やガソリン代、家での食事にかかる食材費や調理にかかった光熱費などは、入院によってかからなくなります。

これらの合計が、サラリーマンや自営業者については4万円/月、専業主婦(主夫)やシニアについては2万円/月になるものとして計算しました。

⑥入院者の属性別に、入院が家計に与える損害金額の総額を、入院日数別に計算する表

入院者の属性ごとに、入院による損害の各要素(①から④)の金額を合計し、⑤を差し引きましょう。算出された数字が、入院による損害金額です。金額の単位は 全て「万円」です。

まずは一般会社員から。最初にも言いましたが月収30万円という前提で計算しています。
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続いて優良企業社員の場合。月収30万円のシャープ従業員の場合で計算しています。

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次は公務員です。月収30万円の三重県教職員の場合で計算しています。
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続いて自営業。通常の月間所得が30万円で、入院中に一切仕事が仕事ができない場合です。
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専業主婦(主夫)で配偶者が一般会社員の場合。専業主婦(主夫)については(この後も含めすべて)普段の収入が全くないものとして計算しています。
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次は、専業主婦(主夫)で夫が優良企業社員(シャープ勤務月収30万円)である場合。
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続いて専業主婦(主夫)で配偶者が公務員(三重県教職員で月収30万円)の場合。
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次は専業主婦(主夫)で配偶者が自営業の場合。
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以下、シニアの場合です。まずは70歳未満(シニアA)の場合から
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続いて70歳以上(シニアB)の場合。
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これらのデータが、最初で紹介した、入院費用総額や入院費用日額の計算のもとになっています。

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