HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

扶養手当に関する三重県の法令解釈がひどすぎる件

以前にも話したように、三重県職員である妻の扶養に入っていたことがあります。@web_shufuです。その際、県からは扶養手当の支給を受けていました。

しかし、その支給開始、終了手続きに関する県の法令解釈があまりに酷いので、三重県から扶養手当を支給されている人、これから支給を受ける可能性のある方向けに記録を書き残します。

扶養手当支給の根拠法令等について

なお、最後の「運用」については私が手打ちしたものなので、原版をコピーしたものもつけておきます。⇒1,2,3,4,5,6

扶養手当を受けるには収入が限度額以下でなければならないことを規定した法令

扶養手当を受けるには収入が限度額以下でなければなりません。このことを規定している法令は、まず規則第三条

三重県教育委員会(その委任を受けた者を含む。以下同じ。)(以下「認定権者」という。)が、職員から前条の届出を受けたときは、扶養親族届に記載の扶養親族が条例第十五条第二項に規定する要件を備えているかどうか又は配偶者のない旨を確かめて認定しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる者を扶養親族として認定することはできない。
一 職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当又は民間事業所その他のこれに相当する手当の支給の基礎となつている者
二 年額百三十万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者
三 身体又は精神に著しい障害がある者の場合は前二号によるほか、終身労務に従事することができない程度でない者

次に運用第1の2(3)

(3)所得全額の認定に当たっては、例えば家賃収入がある場合とか会社等に勤務して月々給与を得ている場合で、相当長期間にわたって毎月定まった収入がある場合には、限度額の12分の1の額をもって認定し、恩給、年金、利子、配当、農業所得のようにその所得が年1回ないし数回に限られているとか、その時期が特定しがたい所得が予想される場合には、年額そのものによって判断する。また、所得が日額で定められている場合には、限度額の365分の一の額をもって認定し、例えば雇用保険を受給している場合は、雇用保険法の規定による基本手当の日額が限度額の365分の1の額より多い時には、その支給を受ける期間中その者を認定することはできないものとする。

最後に次に運用第6の4

4 扶養親族の収入が不安定な場合の支給の周期について
(問)保険の外交員のような職種の収入の把握方法はどうするのか。
(答)保険の外交員のように月間所得が大きく変動する場合には、2,3か月程度の初頭の実績により判断し、その期間における平均所得が月額108,333円を超え、将来も同程度の所得が予想されるときには、扶養親族とすることができないものとしている。もっとも就業時点でその者の月間所得が当該金額以上となると推定される場合は、就業の当初から扶養親族としての要件を欠くこととなるのは言うまでもない。

これは法令というよりQ&Aですけどね。

収入が限度額以下であるかどうかを月額、年額、日額、いずれによって判断するかは、運用第1の2(3)で規定されている。

規則第三条では「年額百三十万円以上の恒常的な所得」が限度額として定められているのですが、運用第1の2(3)によって、

  • 限度額が月額(130万円÷12=108333円)で判断される場合
  • 限度額が年額130万円で判断される場合
  • 限度額が日額(130万円÷365=3561円)で判断される場合

の3つに場合分けされています。これに対するQ&Aとして運用第6の4があるわけです。

私は、アフィリエイトなどの事業所得は年額で判断されると思った

さて、私の収入は、結婚後今に至るまで、100%アフィリエイトで占められています。2012年に収入が激減しました。

年収 確定申告月 扶養手当支給
2011 130万超過 2012/2
2012 130万未満 2013/2
2013 130万未満 2014/3
2014 130万超過 2015/3
2015 130万超過 2016/3

妻に扶養手当が支給されるようにするための手続きをするにあたっては、私のアフィリエイト収入が、月額・年額・日額のどれで判断されるのかを、法令に則って考える必要がありました。

アフィリエイトは事業所得です。農業所得も事業所得です。私は運用第1の2(3)の以下の部分を見て

恩給、年金、利子、配当、農業所得のようにその所得が年1回ないし数回に限られているとか、その時期が特定しがたい所得が予想される場合には、年額そのものによって判断する。

[bubble speaker=”ウェブシュフ” imgurl=”/img/me.png” type=””]アフィリエイト所得は農業所得と同様に年額そのもので判断されるだろう[/bubble]

と考えました。

それで、収入が激減した年の分の確定申告を翌年2月に済ませてすぐ、妻に確定申告書を持たせて手続きをしてもらいました。

実際、扶養手当支給開始時は年額130万円基準で判断された

手続に際しては、収入が激減する前の年の確定申告書も持っていきました。

2枚の確定申告書を並べることで、「収入が激減して妻の扶養家族に入れるようになったのは、今年の確定申告の時期ですよ」ということを伝え、扶養親族の資格を満たしてからすぐに手続に来たことをアピールしたのです。

扶養親族としての要件を得たり、扶養親族としての要件を欠いたりしたときは、速やかに報告するよう法令に書かれているからです。

速やかに手続きした結果、私は晴れて妻の扶養家族として認定されました。

年収 確定申告月 扶養手当支給
2011 130万超過 2012/2
2012 130万未満 2013/2 2013/4開始
2013 130万未満 2014/3
2014 130万超過 2015/3

手続時には、青色申告決算書のように月額の収入や所得が分かるような資料は、全く提出を要求されませんでした。月額所得については一切考慮されていないことが分かります。

したがって、私のアフィリエイト収入が限度額を超えているかどうかは、確定申告書に基づいて年額で判断されたのです。

後日、県の担当者も、年額で判断したことを書面で認めてくれました。

扶養手当支給開始後も月額所得を裏付ける証拠書類の提出は求められなかった

さて、私のアフィリエイト収入が限度額以下であるかどうかを月額で判断するなら、扶養手当の担当者(法令では認定権者という)は提出するべき証拠書類を指定して私に提出を求めなければいけません。

規則第五条 認定権者は、前二条の認定を行うとき、その他必要と認めるときは、扶養事実等を証明することができる証拠書類の提出を求めることができる。

「証拠書類の提出を求めることができる」と容認規定のように書かれてはいますが、認定に証拠書類が必要なのは「運用 第2 証拠書類について」からも自明です。

事実上は「証拠書類の提出を求めなければならない」という強行規定と同じです。

しかし、私に対して、何かそのような書類提出の指示が行われたことはありませんでした。

私のアフィリエイト所得が年額で判断され、その判断は確定申告時においてのみ行われていたことは間違いありません。

ところが、扶養手当支給終了時に、急に月額を持ち出されて月額基準で判断され、中途半端な時期に扶養手当が打ち切られました

2014年分の確定申告を2015年3月に行ったところ、2014年の私のアフィリエイト収入が130万円を大幅に超えました。

そこで、自分がもはや嫁の扶養親族にはなれないことを理解し、扶養手当の支給を終わらせる手続きを行いました。

私の収入が限度額を超えていないかどうかは、確定申告の時期に確定申告書に基づいて年額のみを判断基準として行われたことが明らかでしたから、私としては以下のように取り扱われるものと信じて疑いませんでした。

年収 確定申告月 扶養手当支給
2011 130万超過 2012/2
2012 130万未満 2013/2 2013/4開始
2013 130万未満 2014/3
2014 130万超過 2015/3 2015/4終了

ところが、ここでびっくりする事件が起きました。

嫁が勤務先の担当職員に確定申告書を出して扶養手当の支給を終わらせる手続きをする旨を申し出たところ、「これは年収が多いなあ、月額で判断する」「月額の収入が分かる資料を過去2年分出せ」と言われました。

収入が限度額以下であることの判断基準として、急に月収を持ち出されたので私は当惑しました。

嫁の勤務先に赴き「なぜ今更月収で判断するのか」としつこく尋ねましたが、担当職員は「県から言われたので…」というのみ。

個人情報を出せというなら、個人情報保護条例に則って、その個人情報が必要不可欠であることを説明してもらわないと困ります。

しかし、出せと言われたものを出さないと、こちら側の落ち度になりそうです。文句をさんざん言いながら、求められた資料をすべて提出しました。

その結果、

[bubble speaker=”県の担当者” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]2014年2月に過去3か月の月収の平均が108,333円(130万円÷12=108333円)を超えたと判断される[/bubble]

との理由で、2014年2月に扶養手当の支給が終了したものとして取り扱われることになりました。

年収 確定申告月 扶養手当支給
2011 130万超過 2012/2
2012 130万未満 2013/2 2013/4開始
2013 130万未満 2014/3 2014/2終了
2014 130万超過 2015/3

この決定が出されたのが、2015年の3月ですから、2014年3月以降に支給された扶養手当は全額返還することになりました。

三重県の扶養手当支給に関する事務には矛盾があるのに一切謝罪がない

規則第三条では「年額百三十万円以上の恒常的な所得」が限度額として描かれているのですが、運用第1の2(3)によって、

  • 限度額が月額(130万円÷12=108333円)で判断される場合
  • 限度額が年額130万円で判断される場合
  • 限度額が日額(130万円÷365=3561円)で判断される場合

が規定されていました。

アフィリエイト所得について、年額で判断される場合と、月額で判断される場合があるようにはどうしても読めません

私のアフィリエイト所得が限度額以下であるかどうかを月額で判断するのが正しいなら、支給開始時の手続き時も月額で判断されるべきです。

しかし、現実には支給開始手続き時には、私のアフィリエイト所得が限度額以下であるかどうかは、三重県自身によって年額で判断されたわけです。

三重県自身が、私のアフィリエイト所得については「限度額が年額130万円で判断される場合」と考えていたことが明らかです。しかし

[bubble speaker=”県の担当者” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]支給開始時に年額で判断したのは適切[/bubble][bubble speaker=”県の担当者” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]支給終了時に月額で判断したのも適切[/bubble]

と臆面もなく答える始末。何ですかこのダブルスタンダードは。

また、その処置に適用された具体的な条文を問いただしたところ、

[bubble speaker=”県担当者” imgurl=”/img/male-biz.png” type=””]規則第三条と運用第6の4だけが適用される。
[/bubble]

との返答を2度にわたって頂きました。

つまり、運用第1の2(3)は適用されないと言い放っているのです。

根拠法令をどのように読めばこのような処置が許されるのか全く理解できません。

扶養手当の支給に関する三重県の法令解釈は常人では理解できない代物

結局何が言いたいかというと、扶養手当の支給に関する限り、三重県の法令解釈は私のような凡人では思いもつかない代物です。

そのため、普通に根拠法令に目を通して、然るべき手続きを取っていたとしても、三重県の担当者から青天の霹靂のような通告を受ける可能性が高いのです。

扶養手当支給終了手続きについて執拗に確認しておくしかない

三重県から扶養手当の支給を受けるなら、支給終了時の手続きについて予めしつこく尋ねておかないと、支給終了時に「えっ、そんなの聞いてないよ」という経験をすることは確実です。

「えっ、そんなの聞いてないよ」を避けるには、支給を受け始める時に、以下のようなことを確実にやっておきましょう。書面で説明してもらうことが必要です。

  • どのような所得を得ているかを書面で伝える。
  • 所得が限度額以下であるかどうかは、年額で判断されるのか、月額で判断されるのか、を書面で回答してもらう。
  • 所得がどのような状態になったら扶養手当の支給が終了するかを、書面で回答してもらう。
  • 支給終了の手続き時に必要な書類を、書面で支持してもらう

しつこいですが、書面でやり取りしてもらって下さいね。でないと多分「えっ、そんなの聞いてないよ」が頻出すると思います。

三重県から扶養手当を受けようとするなら色々と覚悟が必要です。


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