生命保険(死亡保険)の必要保障額は生涯収支から計算する

更新

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このグラフは、私が2073年(102歳)まで生きると仮定して、妻が亡くなった年次と私の死亡時に残る金額(つまり生涯収支)との関係を表したものです。妻の死で受け取れる死亡保険金は考慮していません。

最近、妻の退職金や年金について必死に調べてましたが…

その目的は、ライフプランを改めて立て直し、生命保険(死亡保険)を見直すためでした。

退職金や年金のデータを使って立てたライフプランを基に、妻が自分より早く亡くなった場合の我が家の生涯収支を計算して作ったのが冒頭のグラフです。

グラフを見れば一目瞭然ですが、妻が死んだ年によって、私の死亡時に残る金額は随分影響を受けます。私はこのグラフに基づいて、現在妻に4,000万円の定期死亡保険をかけています。

こういったことは、生涯収支表を作らないとわかりませんから、生命保険(死亡保険)の必要性と必要保障額の判断には、生涯収支表が欠かせません。

死亡保険の必要性と必要保障額は生涯収支で決まる

世の中には、

保険営業
一家の稼ぎ頭に生命保険(死亡保険)を掛けるのは当然

などと語る人がいますが、そんなことは自分の家庭について将来の家計シミュレーションをしないとわかりません。

生命保険が必要だと決めつけるのは駄目ですが、不要だと決めつけるのもまた駄目です。生命保険の必要性は、あくまでも生涯収支に基づいて、客観的に決めるべきものです。

生涯収支=自分が死ぬときに手元に残っているお金

生涯収支は自分が死んだときに残る資産のことです。人生における最終的な余剰金と言い換えてもいいですね。

これがプラスになるなら問題ないです。マイナスになるようなら何か手段を講じないと老後破綻することになります。

夫婦ともライフプラン通りに長生きした場合、生涯収支はライフプラン表を見ればわかる

我が家のライフプランは、「ライフプラン表のひな型(エクセル用xlsxファイル)」に付録として付けているのですが、夫婦が2073年末にそろって死ぬ前提で作られています。この時何と私は102歳、妻は101歳です。

「人生100年時代」と言われても取り立てて大げさに聞こえなくなってきたので、ライフプランは100歳まで長生きする前提で作るべきです。

我が家のように、

ウェブシュフ妻
下流老人とか老後破綻なんて絶対嫌

という場合は、むしろもう少し長生きする前提(110歳まで生きる前提)で作るべきかもしれません。

我が家の場合、夫婦ともに想定通りに長生きした場合の世帯生涯収支は、ライフプラン表の最後の年の貯蓄残高となります。結構なプラスになるのでまずます安心です。

自分が妻(夫)より先に亡くなる場合も、ライフプラン表を見れば生涯収支はわかる

ライフプラン表を長生きに備えて作っているとは言え、実際には夫婦の片方または両方がそれより早く死ぬことの方が多いでしょう。

しかし、自分が妻(夫)より先に亡くなる場合も、ライフプラン表を見れば、生涯収支は一目でわかります。例えば2050年に私が亡くなったとすれば、生涯収支は、2050年の貯蓄残高となります。

妻(夫)が自分より先に亡くなった場合は、ライフプラン表を見ても生涯収支はわからない

ところが、妻(夫)が自分より先に亡くなった場合は、生涯収支は、ライフプラン表を見ればすぐに分かるというものではなくなります。

ライフプラン表の貯蓄残高は二人とも生きている前提で計算されています。

しかし、妻(夫)が自分より先に亡くなった場合は、妻(夫)が死んだとき以降は、自分一人で生きることになります。当然、収入も支出も、二人暮らしの時とは違ってきます。

一人暮らしになってからの実際の貯蓄残高は、年々ライフプラン表の貯蓄残高とずれていくでしょう。自分の収入が亡くなった妻(夫)より少ない場合は、実際の貯蓄残高がライフプラン表の貯蓄残高を下回り、その差が年々開いていくことが予想されます。そうなると、下流老人転落や老後破綻のリスクが出てきます。

私のような主夫や主婦にとって、パートナーに先立たれた場合に備えたライフプランを立て、生命保険の必要性と必要保障額について考えておくことは必須です。

妻(夫)が自分より先に亡くなった場合は「生涯収支表」を作って生涯収支を把握する

妻(夫)が自分より先に亡くなった場合の生涯収支は、普通のライフプラン表を見ても分かりません。

そこで、ライフプラン表のキャッシュフロー表の下あたりに、「生涯収支表」を作ります。

生涯収支表付
我が家のライフプラン表

生涯収支の計算式は…

生涯収支(最終的な余剰金)
=自分が死ぬときに手元に残っているお金
世帯生涯収入-世帯生涯支出+ライフプラン作成時点の貯蓄額-相続による流出額
世帯生涯収支+ライフプラン作成時点の貯蓄額-相続による流出額

…となりますから、上記の計算式に出てきたそれぞれの金額を、生涯収支表に書き込んでいきます。

生涯収支表には

  • 世帯生涯収入を計算する部分
  • 世帯生涯支出を計算する部分
  • 世帯生涯収支、相続による資産流出、最終的な余剰金額(生涯収支)を計算する部分

の3つの部分を作ってあります。妻が死亡する年次ごとにこれらを計算して記入していきます。

なお「現在の貯蓄額」については計算欄を作っていません。これは、もともとのライフプラン表の「キャッシュフロー表」にある貯蓄残高欄の金額をそのまま使うからです。

世帯生涯収入の計算

世帯生涯収入とはライフプラン作成時から自分が死ぬまでの世帯収入合計額です。

自分が死ぬ時期を一定にすると(我が家の場合は2073年)、世帯生涯収入は妻が死ぬ時期によって変化します。

下の図は生涯収支表のうち世帯生涯収入を計算している部分です。2018年に妻が亡くなれば、世帯生涯収入が16,605万円になることを示しています。

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世帯生涯収入は、いくつかの項目に分け、妻が亡くなった年次別に、計算・記入していきます。地道な作業です。

我が家の場合は、妻が2016年に亡くなった場合から2072年に亡くなった場合までを、計算・記入しました。

面倒なように思えますし確かに面倒なのですが、一定の規則性があるので、コツをつかめば意外に時間はかかりません。

ポイントは遺族年金の計算です。配偶者が亡くなったら遺族年金がもらえるケースが多いので、貰えるなら世帯生涯収入に反映させます。

世帯生涯支出の計算

世帯生涯支出とはライフプラン作成時から自分が死ぬまでの世帯支出合計額です。

自分が死ぬ時期を一定にすると(我が家の場合は2073年)、世帯生涯支出は妻が死ぬ時期によって変化します。

下の図は生涯収支表のうち世帯生涯支出を計算している部分です。2018年に妻が亡くなった場合、我が家の世帯生涯支出は18,422万円になることが分かります。

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世帯生涯支出も、いくつかの項目に分けて、妻が亡くなった年次別に計算・記入していきます。

面倒ではありますが、世帯生涯収入を記入するのに比べれば楽です。

最終的な余剰金(生涯収支)の計算

下の図は生涯収支表で、世帯生涯収支、今の貯蓄額、相続流出、などから最終的な余剰金(生涯収支)を計算している部分です。

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2018年に妻が死亡した場合は、生涯収支は1,817万円の支出超過で、そこにライフプラン作成時点(ライフプランは便宜上前年末に作ったことにするので我が家の場合は2015年末)の貯蓄額3,014万円を加えると、最終的な余剰金が1,197万円となることが分かります。

しかし、1,511万円の相続流出を考慮すると、最終的な余剰金が314万円のマイナスとなり(つまり生涯で314万円の資金ショートが発生し)、人生の最晩年に老後破綻と下流老人化が待っていることが分かります。

ウェブシュフ妻
こうはなりたくないね。

また、妻が亡くなる時期が、2025年以前の場合と2026年以降の場合とでは、世帯生涯収支が驚くほど違って来ることもわかりますよね。

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生涯収支表を作ることで、配偶者が亡くなる年次によってその後の家計がいかに大きく変わるかが可視化されます。

だから、生命保険の必要性や必要保障額を検討するには、生涯収支表の作成が必要です。

ところで、ここで出てきた

  • 世帯生涯収支
  • 相続流出
  • 最終的な余剰金

の計算ですが、以下で少し説明します。

世帯生涯収支を把握して、ライフプラン作成時における貯蓄額を加える

世帯生涯収支は、世帯生涯収入から世帯生涯支出を差し引いて求めます。これは簡単です。

ライフプラン作成時点で世帯に貯蓄が一切ない場合、世帯生涯収支こそが自分が死んだときに残るお金、すなわち余剰金になるはずです。

しかし、ライフプラン作成の時点(ライフプランは便宜上前年末に作ったことにするので、ライフプラン作成時点とはライフプラン作成の前年末ということになります。)で世帯に貯蓄があるならその分余剰金が増えます。

ですから、世帯生涯収支にライフプラン作成時点の貯蓄残高を加えたものを計算しておきます。これが自分の死亡時に残る余剰金となります…

ウェブシュフ妻
…と言いたいのですが、相続のことも考えないといけません。

配偶者が亡くなると相続によって資産が流出します。その金額も把握しないといけません。

相続で流出する資産を把握して差し引く

配偶者が亡くなった場合、子供がいなければ、配偶者の親や兄弟も遺産の相続人になります。

配偶者の親が存命ならば、妻の遺産のうち自分が貰えるのは3分の2です。3分の1は配偶者の親に流出します。

配偶者が亡くなるより前に配偶者の親が亡くなっていても、配偶者の兄弟またはその子供が存命ならば、妻の遺産のうち自分がもらえるのは4分の3です。4分の1は配偶者の兄弟などに流出します。

配偶者の遺産が全て自分の手元に残るのは、ごく限られたケースのみです。生涯収支表を作る際には、相続流出額を把握して余剰金額に反映させなければなりません。

相続流出額は以下の様にして計算します。

  1. 「生涯収支表」ではなく「キャッシュフロー表」の貯蓄残高のうち、配偶者の貯蓄がどれくらいあるかを各年ごとに求めておく
  2. 配偶者の貯蓄に、その年に配偶者が亡くなった場合の死亡収入(死亡退職金など)を上乗せ
  3. 3分の1または4分の1をかけて相続流出額を求める

我が家の場合、妻の死亡年齢が70歳を超えるまでは、相続流出額が1,000万円以上となることが分かりました。相続流出額は無視することはできません。

生涯収支(最終的な余剰金)を把握

生涯収支(最終的な余剰金)
世帯生涯収支+ライフプラン作成時点の貯蓄額-相続による流出額

でしたから、ここまでくれば、生涯収支(最終的な余剰金)は簡単に計算できますよね。妻(夫)が死亡する年次ごとに、最終的な余剰金(つまり私が死んだときに残るお金)を計算・記入していきました。

この金額こそが妻(夫)に先立たれた後の人生に残された余裕となります。

生涯収支表があれば必要保障額が分かる

生涯収支を作れば、妻(夫)の死亡年次による「最終的な余剰金」の変化が分かります。

冒頭で紹介した図をもう一度見てみましょう。

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上の図は、私が2073年に死亡するものと仮定して、私の死亡時に残るお金(最終的な余剰金)が、妻の死亡年次によってどのように変わってくるかをグラフ化したものです。

自分が死んだ時期が同じでも、妻がいつ死ぬかによって、私の死亡時に残っているお金はこんなに違ってきます

これを基に必要保障額を考えていくのですが絶対的な正解はありません。

最終的な余剰金と3000万円に対する不足額を妻の死亡年次別にまとめてみました(下図)

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最終的な余剰金として3000万円を確保したいなら、妻の死亡に対する必要保障額は「3000万円に対する不足額」となります。

私は実際そう考えて、2016年時点では、妻には4000万円の死亡保険をかけています。1年更新の団体定期保険に入っているので、上の表の「3000万円に対する不足額」欄を参考に少しずつ保険金を減らしていく予定です。

でも、最終的な余剰金は妻が2031年に亡くなったときに最大化(7171万円)しますから、妻の死亡に対する必要保障額を「7171万円に対する不足額」と考えても間違いではありません。

必要保障額は、最終的には各個人がどれほどの余剰資金を持ちたいかで決まりますから、同じ条件でも人によってばらばらの答えとなります。

死亡保険を検討するなら生涯収支表を必ず作りましょう

しかし、結局のところ、必要保障額=確保したい金額という他ありません。

生涯収支表は、そこから自動的に必要保障額が導き出されるわけではありませんが、「確保したい金額」を決定するための材料として重要です。死亡保険の必要性の有無を検討する際には必ず作りましょう。

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