HCDコンサルティング(旧・中川勉社会保険労務士事務所FPウェブシュフ)のブログ

月収30万円の会社員に医療保険は不要

連載:医療保険は不要? 第20回です。

前回は、教師や公務員に医療保険は不要!充実の福利厚生で医療費の自己負担はかなり安く済む でした。

今回は、サラリーマンにとっての医療保険加入の意義を考えます。

サラリーマンは医療保険に入っていても救われません。

医療保険に入るくらいなら、所得補償保険や就業不能保険に入るべきです。

その理由をお話します。

「不要な保険に敢えて入る意義」を考えることが大事

連載:医療保険は不要 の冒頭で書いたように、医療保険加入は自由(任意)、つまり不要です。

「自分にとっては入る意義がある」と思うなら医療保険に入ればいいし、そうでないなら医療保険に入らなければいいのです。

そこを意識しながら、以下をお読みください。

本記事中の入院費用試算の前提などについて

今回は、シャープ社員と一般企業社員(全国健康保険協会加入)について、

  • 35歳、月給30万円、食費3万円/月、お小遣い1万円/月
  • 保険診療しか受けない
  • 傷病手当金支給終了後は障害基礎年金(2級)と障害厚生年金(2級)を受給する
  • 配偶者と子供二人がいて、いずれも障害年金の加算対象となる

という条件で、入院費用の試算をし、それに基づいて医療保険加入の是非を考えます。

入院費用の計算にあたっては、計算の考え方・高額療養費・傷病手当金への理解が欠かせません。まず以下の記事に目を通して下さいl。

計算の考え方・高額療養費・傷病手当金への理解が必要です。以下の記事には必ず目を通して下さい。

また、医療保険加入の是非については、以下の記事に書いた通りです。

実は、入院費用を試算するまでもなく、保険診療しか受けない限りにおいては、医療保険に加入する意義はなかなか見出しにくいものです。

今回はそのことを、より一層具体的に説明する回となります。

一般企業社員にとって、医療保険の魅力は大きくない

まず、一般企業社員(全国健康保険協会加入)について、入院費用を試算します。

先程の「入院費用試算の前提条件」に沿って試算すると、入院費用は次の通りになります。

※この記事では、入院費用を「 入院による家計のダメージ 」という意味で使っています。

入院費用は、入院期間が1年半を超えると300万円を超え、入院期間が3年を超えると700万円近くかかります。

このデータを示した上で「医療保険に加入する意義は見出しにくい」と言うと「頭おかしいんじゃないですか?」なんて言われそうですね。

でもやっぱり 、医療保険に加入する意義は見出しにくいと思います。

医療保険は、病気や怪我で長期間働けないときに役立たない

よく考えて下さい。

病気で1年半以上または3年以上働けないときって、その間ずーっと連続して入院しているでしょうか。

そうではありませんよね。

就業不能状態が続いていても、入院している期間はわずかで、残り期間は自宅療養しているものです。

ここでもう一点、よく考えてみて下さい。

自宅療養している人が医療保険に入っていたとして、救われるでしょうか。

一部の病気をで療養している場合を除き、救われませんよね。

医療保険は自宅療養中の就業不能者を見殺しにすることが多いのです。

見殺しにすると言っても、それは保険会社との約束通りであり、保険会社に文句を言うのは筋違い。医療保険に入ってしまった自分を恨むしかありません。

長期間働けない場合に備えるなら所得補償保険や就業不能保険

怪我や病気による収入減が長く続くケースに備えるなら、医療保険はあまり役立ちません。それ以外の手段で何とかしなければなりません。

こういう状況には、貯蓄や借入で備えるのが王道ですが、それで足りずに保険で備えるなら、医療保険よりは所得補償保険や就業不能保険です。

ただ、この種の保険には、保険金が支給されるための条件が著く厳しいものもあるので、加入を検討するなら細心の注意を払うべきです。

企業によっては、福利厚生や健康保険が充実している

このブログでは、福利厚生や健康保険が充実している大企業の代表として、シャープの例をよく使います。

今回も使わせていただきますが、全国健康保険協会に加入する一般企業社員に比べて圧倒的に恵まれています。

この状況で、医療保険に加入する意義はあるでしょうか?

家計の状況や価値観次第ではありますが、シャープ社員は、医療保険加入には意義を感じにくいでしょう。

それどころか、所得補償保険や就業不能保険すら、魅力を感じにくいのではないでしょうか。


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