大手媒体からの寄稿依頼など全く受けたことがないので、「うらやまけしからん」くらいな羨望のまなざしで見ていたウェブシュフです。でも、既存記事を全文転載する形での寄稿は、SEO的にはデメリットが大きすぎて検討に値しないような気がしてきました。
本来の「寄稿」とは
本来の「寄稿」とはコトバンクによると以下のような意味らしいです。
依頼されて、新聞や雑誌などに原稿を書いて送ること。
つまり、依頼されてから、依頼元の媒体のためだけに原稿を書く(書き下ろす)わけです。
自ブログにも同じ記事が収録されていることなどあってはならないことです。
既存記事の全文転載
ところが、ネットメディアの隆盛にともない、本来の寄稿とは全く異なる「既存記事の全文転載」を、あたかも寄稿であるかのように取り扱うメディアが現れました。
その名は「ガジェット通信」です。@getnews_kikoというアカウントすら持っています。
ガジェ通では、ガジェ通的におもしろい記事を見つけた場合、著者の許可を得て全文転載し、そのことを「寄稿」と言っているようです。
「寄稿」という言葉に対するガジェ通の解釈は、辞書に載っているものとはずいぶん違う「既存記事の全文転載」となっているようです。
全文寄稿=コピーコンテンツ作成
ところで、このガジェ通さんからの「既存記事の全文転載」許可願いですが、うっかりOKするとSEO的にはとんでもないことになるようです。
OKすると自ブログにあるオリジナル記事と全く同じ文章がガジェ通に載ることになります。
これは見事なコピーコンテンツの発生で、これから始まる悲劇の序曲が流れ始めました。
なにしろ、googleでは以下のような声明を出してコピーコンテンツの撲滅に本腰を入れ始めたところなんですから。
[img-link url=”https://webmaster-ja.googleblog.com/2012/10/google-search-algorithm-change.html” title=”Google ウェブマスター向け公式ブログ: 独自コンテンツをより高く評価するために”]
中でも日本のユーザーの方から寄せられるご意見の中には、独自のコンテンツを持つサイトが、ほかのサイトからのコピーで構成されるサイトに埋もれてしまい、見つけづらいというご意見が多数ありました。(中略)
Google は今後とも、ユーザが有用な独自コンテンツを見つけやすくなるよう、アルゴリズムの改善を進めてまいります。
googleは独自なコンテンツを優遇するわけではない
上の声明から、Googleは、似たようなコンテンツが複数あるときに、独自で有用なコンテンツを優遇しようとしていることがわかります。
すると、オリジナル記事と「既存記事の全文転載」によってできた記事がある場合、独自に書かれた記事であるはずのオリジナル記事が、検索結果でも優遇されるような気がしますよね。
でも、現実にはそれと全く逆のことが起こっています。
[img-link url=”http://fut573.com/data/google/kenga/” title=”ガジェット通信に寄稿した記事はGoogle先生にどう扱われるのか | 資料庫”]
記事タイトルで検索した結果にもかかわらず、3/4もの高確率でオリジナル記事が1位を獲得できていません。普通ならほぼ100%1位であるはずなのに、悲しすぎる結果です。
逆にガジェット通信のほうは、「既存記事の全文寄稿」すなわち「許可を得たコピー記事」にもかかわらず、7割以上の割合で1位獲得、それ以外の場合でも2位というすばらしい結果です。
独自コンテンツがコピーコンテンツに負ける悲しい現実がここにあります。
googleはあくまで有用なコンテンツを優遇する
なぜこんなことが起きるかというと、それはgoogleがユーザーを重視しているからです。
googleにとってユーザーというのは検索する人です。決してコンテンツを作る人たちではありません。
検索に対するニーズって言うのはいつの時代でも「1分1秒でも速く使える情報を速く探してね♪」です。「オリジナルを探してね」ではないはずです。
つまり、検索する人にとっては有用>独自なんです。
「有用」と「独自」のうちgoogleは「有用」をより重視しているはずです。
普通はオリジナル記事こそ最も高評価
とはいっても、タイトルも内容もそっくりな複数の記事がある場合、googleも大抵はオリジナル記事を最も高く評価します。
「どれがオリジナル記事か」は、記事が公開された日時などでかなり正確に判定できるようです。
ほとんどのコピー記事は検索結果にすら表示されません。
ところが著名なサイトが相手だと…
しかし、コピー記事が著名なサイトに掲載された場合、オリジナル記事よりも検索結果の上位に表示されることがあります。
これは、googleがオリジナル記事の判定を間違えたからではありません。オリジナル記事を正しく把握していながらも、著名なサイトに掲載されたコピー記事のほうを高く評価しているのです。
ウェブシュフは、ブロガーとしては「ふざけるな!!」と思います。
でも、一般に人というのは、同じ内容のコンテンツであれば、著名な媒体から発信されたものほど信用し有用だと評価する傾向があるからです。検索ユーザーとしてのウェブシュフにもそういう性癖が多少ともあるのは否めません。
googleが検索ユーザーの立場に立っているなら、この傾向を取り入れて、ガジェ通などの有名サイトに掲載された「全文寄稿」記事を高く評価するのは当然であるとも感じます。
検索結果から消える可能性も
しかし、問題は、「全文寄稿」がオリジナルより高く評価されるという程度ではすまないことが多いということです。
記事タイトルでの検索結果が、「全文寄稿」が1位でオリジナルが2位という程度なら、寄稿したブロガーとしては許容範囲だと思いますが、実際には20位以下になることが多いようです。
こうなると検索エンジンからのアクセスは全く見込めず、Googleからペナルティーを受けたも同然です。
寄稿先からの流入はわずか
ところで、ガジェ通などの有名メディアに寄稿するとき、思わず期待してしまいそうなのが寄稿先からのアクセスです。
しかし、「全文転載」では一向に期待できません。
[img-link url=”http://d.hatena.ne.jp/hagex/20121217/p10″ title=” ガジェット通信に記事を転載されたが……! – Hagex-day info”]
…少なすぎです。たとえ僅かずつでもかなりの長期間にわたって期待できる検索エンジンからのアクセスを犠牲にするには、あまりにも少ないです。
既存記事の全文転載はSEO的自殺行為
そういうわけで、ガジェ通などの大手メディアに既存記事を全文丸ごと寄稿するのはSEO的には自殺行為です。
SEO的なデメリット無しで大手メディアに出たいなら、以下の方法が無難かと思います。
- 元記事へのリンク付きで記事の一部転載のみ認める
- 本来の意味での寄稿依頼が来るように精進する
最後に
なお、以上の内容はグーグルに確認しようがないという意味で妄想の域を出ません。ご利用は自己責任で。